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第21話 色々と教えてもらう
しおりを挟む気を取り直して話の続きを聞いていると、どうやら教会にあるような周辺の国も含めて描かれた地図は貴重らしく、他では中々見れないだろうとのことだった。
だったら今、書き写させてもらうしかないよね?
神官さんに頼んでみたところ、快く了承してくれたので、遠慮なくご厚意に甘えさせてもらうことになった。
確か、日本から唯一持ってこれた薄っぺらい通勤鞄には、メモ帳や筆記用具が入っていたはず。
整理整頓が苦手な圭一の鞄の中は乱雑で、お目当てのものを探し出すのには時間が掛かる仕様になっているのだが……。
いつものようにゴソゴソと鞄の中を探ろうとして、既に自分がメモ帳とボールペンを引っ付かんでいるのに気づいた。
……うん?
今日は珍しくやけにアッサリと見つかったな……まあ、いいけど。
圭一が書き写している間に、神官さんからこの世界の通貨ついても説明をしてもらう。
硬貨はそれぞれ十枚ずつ、小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨の順に上がっていくようだ。
この世界の食材や衣服のお値段なども聞いてみたところ、物価はほぼ日本と変わらなかった。お金の単位も一緒だし、これなら戸惑うことなく適応できそうだ。
というわけで日本円に当てはめてみると、小銅貨が十円、銅貨が百円といった感じになった。
庶民の間では小銀貨の上の銀貨くらいまでしか流通していないそうだが、銀貨一枚で十万円相当なのだからそんなもんかと思う。
その上の通貨には、金貨や白銀、白金などもあるそうだが、貴族や豪商などのお金持ちしか使わないので、神官さんも見たことがないらしい。
……ふ~ん、じゃあ俺にも縁がないんだろうな。
何しろ奴らはたくさんお金を持っている人の方へと寄っていく習性があるからな、とかやさぐれたことを考えながら聞いていた。
また、もしこれから街に定住を希望することになるかも知れないからと、一般的な手続きの仕方も教えてくれた。
この街だとまずは住む場所を手に入れて、役所に申請する。その場合の住処とは、賃貸でも持ち家でも住み込みでも構わないようだ。
それから一年間分の税金を前払いで納めると、同期間……一年間分の身分証明を発行して貰えるらしい。
この税金は毎年必要で、支払いが滞ったり犯罪を犯したりすると、即座に取り消されるので注意してくださいと言われた。
大体、人族の街ではこれと同じような方法を取っているということだったので、一応覚えておこうと思う。
まあ、当分は定住しないというか、聖獣持ちだとバレたら身の危険を感じるから出来ないとは思うけどね。
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