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第25話 魔力操作
しおりを挟むでも、それを追いかけるようにと言われたので、不快感を無視して集中しようと奮闘しているのだが……体を内側から撫でられているようで、何かもう、落ち着かないんですけど!? あちこちコショコショするぅっ……だからむず痒いんだってばっ。
「頑張って、ケイイチ。これを乗り越えられたら習得できるからっ」
「はぅ。うにゅぅ――」
ダメだ……まともに返事が出来ない。最早、何語をしゃべっているのか自分でも不明だが、これでも今の俺の精一杯なんだ……聞き苦しいだろうが勘弁してやってくれ。
その後も我慢して体中を動き回る魔力に耐えながら感じていると、少しずつその熱にも慣れてきたようで……。
「あ、ちょっと楽になってきた。魔力の流れを追えるようになってきましたよ、神官さんっ」
「おおっ、本当ですか! それでは仕上げに、今までの過程をひとりでやってみてくださいね」
「え……イヤイヤちょっと待って」
「いいえ、このまま一気にいきましょう」
「少し休憩……」
「フフフっ、さすが聖獣の卵に選ばれただけあって、魔力も多いし飲み込みが早くて素晴らしいです。コツを忘れない内に続けてやってしましょうね、ケイイチ」
「……ううっ、分かりました」
有無を言わさず、続行を指示された。神官さんったら、意外とスパルタだったんですね!?
繋いでいた手を離し、まず体の中にある魔力を感じ取って……。うんうんこれだね、ホワホワしてるあったかいやつだ、わかるよ。
これを動かす……神官さんの助けなしで。
チラリとみたら、ニコニコと微笑まれた。ひ、ひとりでやれって事ですね。が、頑張ります。
う~ん。血液のように循環させるイメージがいいか。
先程、神官さんから指導してもらったことを思い出しながら、そのあったかい塊に動けと念じる。
…………。
あ、大丈夫そう……結構、感覚的に動かす事が出来た。手伝ってもらっていた感覚が残っていて、先程の延長って感じでこう、ね?
……勢いって大事なんだなぁ。さすが神官さん、たくさんの人に魔力操作の指導をしてきただけあってよく分かってる。
暫く体内をあちこち動かして、指先から体外にも出したりなんかして……とか色々やっている内に、魔力操作を習得出来ました!
「お疲れ様です、ケイイチ。やりましたね」
「ありがとうございます、神官さん」
まぁその後は、疲れだけがどっと噴出してたけどね。ヘロヘロになって、思わずぐったりと椅子に寄りかかっていると、少し休憩しましょうと言って、神官さんが飲み物を出してくれた……ありがたい。
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