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第29話 どうしよう!?

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「え?」

「いやですからね、彼女だったんですよ。ケイイチが倒れてすぐ後に、ちょうど帰ってこられまして。貴方をこう、腕に抱き上げてベッドまで運んで下さった方は……」

「え、えっ、ええぇぇっ!?」

 こ、こっ、こんな素敵な美女に、魔力不足で倒れた情けない姿を見られただけじゃなく、神官さんの説明だといわゆるお姫様と抱っこで運ばれちゃった、とか……なんだそれ……とってもショックだ……俺、初対面からめちゃくちゃ情けないよな……終わった。

「そ、それは……その、大変ご迷惑をお掛けしました……」

「いや。君は軽かったからな、問題ない」

「あははは、ありがとうございます」

 俺の方は問題有りありですけどっ! 中肉中背で178cmの俺と目線が合うということは、身長差はほぼないって感じだし、騎士として鍛えているだろうに体つきは健康的な女性美といった感じで、一見して筋肉がついているようには見えないというのに。
 軽々と運んでくださったんですかそうですか……あり得ない……ありがたいけどあり得ないです……しくしく。


 ……まあでも起こっちゃったものは仕方がない。立ち直りが早いのが俺の長所だしなっ。この記憶はさっさと封印しようそうしよう。

 しかし、そっかエルフさんかぁ……納得、納得。だからそんな、女性美の極致のような、女神のごとく美しい容姿をお持ちなのですねっ。

「な、な、なぬぅぁぁっ!?」

 おっ、なんだなんだ? 急に狼狽えだしてもっと真っ赤になってしまったぞ。あまりにも熱心に見つめ過ぎたか……美しさは罪と言うが、貴方が美しすぎるのがいけない。だって目が離せないんだもん……理想の女性過ぎて。

 端正な美貌は、整いすぎているがゆえに、やもすれば冷たい印象を与えてしまうが、こうして血が通い、頬を染めているところなんか見ると、一気に親しみやすくなるし。

 何と言うか、デキる女って雰囲気のクールビューティーな女騎士さんが照れる姿は、とてもいい……めちゃくちゃ可愛いです! もう好き、愛してる!

「……っ!!」

「まあまあ、ケイイチ。彼女が美しいのは否定しませんが、出会ったばかりのご婦人をいきなり好きだの愛しているだのと情熱的に口説き出すのはちょっと……びっくりしましたよ」

「え、え、えぇぇぇぇっ、嘘!? ……も、 もしかして今の、声に出てた……ですか!?」

 サーッと顔から血の気が引く。うわぁぁぁ……ど、どこから口に出してたっ? まさか、あれもこれも全部、彼女に聞かれてしまってないよな!?




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