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第30話 動揺中
しおりを挟む「ほほぉぅ、なるほどなるほど? つまり無意識のうちに心の声が漏れだしてしまったと言うことですか。あ、ちなみに『しかし、そっかエルフさんかぁ……』からですよ、口に出していたのは」
「うわぁぁぁぁ――!?」
それって、ほぼ全部じゃないですか!? 神官さんがちょっと面白そうに口を挟んでからかってきたけど、それどころじゃないっ。そ、そ、そんなところからツルッと声に出してしゃべってたの、俺!?
これはきっと、美女にお姫様抱っこされたという衝撃が大きくて、動揺していたからに違いない。と、とにかく初対面で「愛してる」はないよなっ、本音だったとしても。謝ろう!
「すみませんすみませんすみません!!」
必死に謝ると、先程まで可愛く照れていたはずのエルフさんが笑顔を引っ込め、眉間にしわを寄せ、ちょっと不機嫌になってしまった……なんで!?
「何故、謝る? さっき言ったことは嘘だったのか……」
「いいえ、心からの本心です!」
だって地球でもこんな美人に間近でお目にかかったことないからね!? 動いているのが奇跡のような存在に出会ったら、全男子はきっと、絶対同じこと考えるはずっ。
嘘偽りがないことを示すためにも、俺に出来る限りのキリッとした顔で被せぎみに肯定する。すると、テレッと口元を緩め、チラチラと恥ずかしそうにこちらを見ながら答えてくれたのだ。
「あ、う、うん、そうか。ま、まあ、本心なら仕方がないな!」
「あ、ありがとうございます!」
少しチョロ過ぎないかなと心配にはなるけど、変態扱いもせずに許してくれた。よかった。初対面でいきなり、好みの美女に嫌われるのは辛すぎるからな。
「まぁ、いいですけどね。聖獣付きでも恋人さえつくらなければ、恋すること自体は自由らしいですし。応援していますよ、ケイイチ」
「……それって本当に応援してくれる気はあるんですか、神官さん」
「フフフッ、勿論ですとも」
全くもう、楽しそうですね、神官さん。しかし恋愛禁止だなんて、俺はどっかのアイドルか何かかよ。
さて、グダグダになってしまった初対面も乗り越え、すっかり打ち解けた俺達は、そこからちゃんと真面目な話もした。
「さて、ケイイチも回復しましたし、まずは魔力測定の結果をお伝えしますね」
「はい、お願いします!」
気になっていた俺の魔力計測の結果だが、聖獣に選ばれるだけあって内包魔力は多かったようだ。それは想定内だといわれたが、ただ魔法属性については、火、水、土、風の基本的な四属性に加えて、光と闇の稀少属性まであったらしく、予想外だったといわれた。
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