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第31話 海の宝石
しおりを挟む「六つ、ですか。やっぱりそれって凄いんですかね?」
「ええ、素晴らしいですよ。ここまで揃っている人は、人族では滅多におりませんし。一番反応が強いのはやはりというか聖獣と相性の良い光属性でしたけれどね」
「成る程。じゃあ、光属性の魔法から習得していくといいんですかね?」
「そうですね。ただ、先程も言いましたが聖獣の卵が孵るまでは、ケイイチの魔力は枯渇気味ですから、練習は精霊樹を見つけて補給してからにした方がいいでしょう」
「……そうですか。分かりました」
人族としては凄い才能を持っているらしいけど、使いたい時に使えないんじゃあんまり喜べないよなぁ。まあ、今後に期待しとくか。
「それでは、そろそろお二人の紹介をさせていただきますね」
「あ、はい」
「こちらは、神殿騎士のエアルミアです。エアルミア、こちらは異世界人で神獣が半身に選んだケイイチです」
「よろしく、ケイイチ」
「エアルミアさん、よろしくお願いします」
女騎士さんの名前は、エルフ語で海の宝石という意味らしい。へぇ、印象的な青い瞳を持つ彼女にぴったりの名だなぁ。綺麗な響きだ。
「それで、彼女に、精霊樹までケイイチの護衛をお願いする話なんですが、実は貴方が魔力枯渇で倒れている間に少し、話し合っていたんですよ」
「そうだったんですか」
「ええ。その際は、ご本人と聖獣の卵を実際に見てから決めるのことになったのですが……エアルミア、どうですか……?」
「うむ。聖獣の卵をくっつけた、多属性持ちの異世界人……この目でしかと確認させてもらった。これほどの人材なら、エルフ族としても保護対象になるだろうな」
「……つまり?」
「引き受けた」
「あっ、ありがとうございます!」
強くてきれいなエルフお姉さんと二人旅が出来るとはっ。社畜の憧れ、ひっそりスローライフを送る事こそ無理っぽいが、これはこれでスッゴく楽しみになってきたな!
「お引き受けくださりありがとうございます、エアルミア。彼は異世界人ですので、この世界の事情になるべく巻き込みたくないのです。聖獣の半身というだけでも十分重荷を背負わせてしまっていますからね」
「ああ、そうだな」
「しかし、このまま人の国に居続ければ、それは難しくなるでしょうから」
「分かっている。まあ、南の大森林の奥へ……私達の国へ入りさえすれば大丈夫だろう。そこになら精霊樹もあるし、いつでも仲間達にも助けを求められる」
南の大森林にはエルフを始め、ドライアド、シルフ、ニンフと言った美しいが強くて排他的な妖精族の他、オークやトロルといった強力な魔物も生息している。ほとんどの人族の力では太刀打ちできない危険地帯なのである。
おまけにエルフの国の周辺には強力な不可視の結界があるらしく、中から招かれないと入れない仕様なんだとか。
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