聖獣と共に生きる~異世界でものんびりさせてもらえない男の奮闘記~

飛鳥井 真理

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第32話 平和な国だったんで

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「成る程。それだと俺だけで大森林の中を進むのは難しというか……無理ですね」

 お二人の話を聞くと尚更、不可能に近いと思う。

「そうなんですよ、ケイイチ。ですから彼女が引き受けて下さって、本当にありがたいのです。よかった。感謝します、エアルミア」

「いやまあ、ここで巡り会ったのも神の思し召しだろうからな。この世界の住民の使命だと思って全力で君を守ろう。安心してくれ、ケイイチ」

「あ、はい。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。エアルミアさん」

「ああ、任せておけ」

 力強く頷いてくれる女騎士の姿は凛としていて格好よく、思わずキュンとしてしまった。

 女性に守ってもらうのは男の沽券にかかわるとか、もうそんな甘えたこと言っていられる状況じゃないしな。お姫様抱っこも(俺が彼女に)されてしまっていることだし、格好悪いのは今さらだ。

 強くて美しい彼女と出会えた幸運に感謝しながら、お世話になりますという気持ちを込めて、しっかりと頭を下げたのだった。



 すぐに旅立った方がいいとのことで三人で具体的に話を詰めていくと、色んな問題点が浮かび上がってきた。

「森に入ってからはいいとして、そこまでは人の国を通る訳ですからね。何かしら身分を証明できるものがあればいいのですが」

「う~ん。証明……ですか」

 それがないと街への出入りが毎回、大変になるらしい。簡単な審査と通行税を払えば入れてくれるらしいが、出入りするたびに調べられるというのもお金を取られるのも大変そうだ。


 困ったな。異世界人の俺にそんなものはないぞ。社員証や免許証なんかはあるけど全く役に立たないだろうし……。

 でも、そこら辺は言わずとも分かってくれているようで、まずエアルミアさんが手っ取り早い方法をひとつ、提案してくれた。

「そうだな。冒険者ギルドに登録してギルド証を発行してもらうという手もあるぞ」

「おおっ、冒険者ギルドですかっ」

 さすが異世界っ。冒険者ギルドがあるのか……テンションが上がるなぁ。

 それは是非、登録してみたい!


「ですがエアルミア、冒険者ですとこの国にいたという記録が残りますよ。ギルドカードにはケイイチが稀少な六属性持ちだと自動的に記載されてしまいますし」

「……つまり、使える人材だとして国に連絡がいく可能性がないとは言えないということか」

「ええ。出国が難しくなるかもしれません」

「そうだな。危険かもしれない」

 神官さんにそう言われて、エアルミアさんは眉間にシワを寄せ、腕を組んで考え込んでしまった。

 確かに俺も、ギルド登録には憧れ的なものはあるが危険を犯してまで登録したいとは思わないな。

 しかし本当、ありがたいよ。二人とも初めて会ったばかりの俺の身の安全のために、こんなにも真剣になってくれるなんてさ。



「どうしましょうねぇ」

 神官さんも、何か良い手はないかと首をひねっている。

「ギルド証だと身元不明の者でも審査なしで発行してもらえるという利点はありますが、デメリットもありますし」

「……手軽に作れるという以外、今のケイイチにはあまりメリットはないかもしれない。ちなみに君は、戦闘経験などはあるのか?」

「いいえ、全く無いです。めちゃくちゃ平和な国の出身なので」

 武器は携帯しているだけで罪になるから、ナイフすら持ったことがなかったんだと言ったら驚愕されたよ。




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