元ブラック塾講師、銭湯の上でFIRE生活はじめました。

谷川 雅

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第3部 第4話「予想外の依頼と、ややピンチな紬さん」

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「――え、講演ですか?」
ある午後、義春はお気に入りのサウナ後の“ととのいチェア”で、冷たい炭酸水を飲みながらスマホを眺めていた。
ふと届いたメールに、目が点になる。
送り主は、某大手証券会社。件名は【投資セミナー講師ご依頼の件】。
「いやいやいやいや、俺、別に投資家YouTuberでもなんでもないんだけど……」
内容を読むと、どうやら『株主優待×セミFIRE』生活がテレビ放送後に話題となり、
“初心者でも始めやすい投資のモデルケース”として紹介したいとのことだった。
「一応、検討しますって返しておくか……」
と悩んでいた矢先、別の部屋から紬の叫び声が響いた。
「ちょ、義春さん、やばいです、これ――!」
「うわ、なに? 脱税? 誤発注? 冷凍チャーハン1000個届いたとか?」
「そこまで深刻じゃないですけど、まあまあピンチです!」
どうやら紬の会社で出す予定だった「新作ロゴ入りパーカー」が、
納品直前で“クールサウナのロゴとほぼ一致してる”とクレームが入ったらしい。
「ロゴデザインってそんなかぶることある?」
「あるんですよ! 特に“水滴っぽい”とか“蒸気っぽい”とかサウナ系と発酵系は似がちなんです!」
義春は「なるほど…」とうなずきながら、ちゃっかり在庫にあるクールサウナの旧型フリースを羽織っていた。
「じゃあ逆に、コラボにしてもらえばよくない?」
「……えっ」
「どうせ今後も動画にロゴ映るんだし、“実は裏で手を組んでました”って発表すれば、
“オタク×ビジネスで謎の化学反応”ってバズるんじゃね?」
「それ……ありかもです……!」
________________________________________
そんなこんなで、クールサウナの撮影スタジオで緊急ミーティングが組まれた。
社長も同席し、紬と義春、そして広報チームが並んで座る。
「――ってことで、せっかくだからこのロゴ問題、逆手にとりましょう」
「面白いですね。“クールサウナ×紬印パーカー”の冬用コレクション、正式に出しましょうか!」
「社長、それ、最高です!」
「義春さん、やっぱ天才ですよ……!」
「え、いや俺、今日来るつもりなかったんだけどな……?」
________________________________________
こうして、「クールサウナ冬コレ2025」のコラボが始動。
次回の動画では、義春と紬が“氷点下サウナ”の中で新作パーカーを試すことに――!?
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