異世界転移が決まってる僕、あと十年で生き抜く力を全部そろえる

第三部・第16話 「剣と鍬、再び――農場騎士団、原野の壁となる」

🌾 朝の農場。整いゆく“理想郷”
「この第三区画も、次の月で収穫期だな」
陽介は、立派に育ったじゃがいも畑を見渡していた。
かつては荒地だったこの土地も、今や整然とした農園都市になりつつある。
「団長！ 新しい温室、完成しました！」
「副団長ー！ 肥料の管理棚、図面通りに設置しましたよ！」
かつて数名だった農場騎士団も、今や70名を超える中規模組織。
その内、農業に興味を持つ魔導士・騎士・鍛冶師・薬草学者などが次々と加わっていた。
きっかけは――
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🪶 レオネルの手紙（数日前）
「陽介殿
王都にて“農と剣を両立したい”という若者が増えております。
彼らは宮廷では浮きがちな存在。
よろしければ、あなたの農場で“第二の道”を歩ませていただけないでしょうか」
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⚔️ 農場の“防衛拠点”としての使命
農場の外れには、まだ手つかずの原野と原生林が広がっている。
そこから時折、魔獣や獣人系の魔物が農場へと接近してくることがある。
かつて陽介が提唱した農場騎士団の役目。
「町と原野の“間”に立ち、
大地を耕しながら、住民の暮らしを守る盾となること」
今こそ、それが試されるときだった。
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🧙‍♀️ 新たな仲間たち
「団長。魔導士隊からの合流、6名入りました」
「おお、どんな連中だ？」
副団長・紬が笑顔でメモを読み上げる。
「一人は薬草魔法の専門家、もう一人は“気候制御”が得意。
剣士では、“土属性特化”の元王都騎士が来てます」
「それ、畑にぴったりじゃないか……！」
また、土木のプロ・マグナの下には、新弟子たちが続々と。
農機技術者ティリオの研究室も手狭になり始めていた。
「――まるで、国一つを作ってる気分だな」
陽介が、ふと呟く。
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🛡️ 「守り」が農を支える
その夜、陽介は騎士団全員を集めて言った。
「これから先、俺たちは“攻める”より、“守る”ほうが重要になる。
原野は危険だ。でもあれは、“未来の農地候補”でもある」
団員たちが頷く。
「農場騎士団は、ただの農民でもない、ただの兵士でもない。
“生きる”を支える盾だ。誇りを持って、立ってくれ」
「はい、団長！」
「副団長！ 畑と戦線、両方行っていいですか！？」
「いいけど、土落としてからね！」
団員たちの笑いが、夜の農場に響いた。
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🧱 境界の砦・建設開始
そして翌日。
原野との境界に、石積みと防壁の建設が始まった。
• 魔獣の通り道を避けた設計
• 畑を守る風除けとしての役割もある
• 通信塔と見張り台、温水シャワーも設置（※紬案）
防衛ラインの名は――
「第一耕地壁・ミズノ・ライン」
いずれ、原野を越えたその先へ。
農場は、“壁”ではなく“橋”になる――
そんな予感を抱きながら、陽介は空を見上げた。