64 / 247
第3部 第34話 「国内強化、急務!農場騎士団、全国展開へ」
しおりを挟む
ミズノ農場本館の作戦室には、王国地図が広げられていた。
王都を中心に、すでに完成している第1号農場騎士団――ミズノ農場。
その北側の原野に接する部分にある農地と騎士団の詰所には、燃料・食料・防衛・物流の全てが揃い、国家からも自治体からも絶賛される成果を上げていた。
しかし――
「……王都だけじゃ、まだ“点”にすぎない」
陽介は地図に印をつけながら、ぽつりとつぶやいた。
「“線”にして、“面”に広げていかないと……国の形は守れない」
________________________________________
🚧 50か所の農場騎士団構想
「理想は、全王国内に50か所の農場騎士団を配置することだ。
王都のように、町を守る“盾”になって、魔物を抑止し、同時に民の食と暮らしを守る」
陽介が指したのは、王国の各辺境や交易路沿い、山岳地帯、港湾都市など――まさに国土を網の目のように覆う拠点候補地。
紬も頷きながら言った。
「物流・燃料・食料が安定すれば、地方都市の自立にもつながる。
このネットワークが完成すれば、戦争が起きても飢えず、燃料も尽きない国家になる」
________________________________________
🧾 実現可能性は?
陽介は、内務官僚からの報告書に目を通す。
「――財政面での問題は、少ないな。
ミズノ農場の売り上げは、当初想定の2.4倍。他の拠点でも同様の収益モデルが確立できれば、税金なしで運営できる」
その報告に、参謀役のレオネルが深く頷いた。
「民間活力を活かした国家防衛。これは貴殿たちの発明だ。
……しかし、問題は“人”だ。拠点を50か所もつくるとなれば、剣の使い手だけでなく、農業に長けた者、魔物対策に強い者、指導者になれる者が必要だ」
________________________________________
🧭 総指揮にふさわしい男
陽介はその言葉を聞きながら、ためらうことなく切り出した。
「――だから、レオンに頼みたい。
国内農場騎士団計画“Project Root Shield”の**総指揮官(グランド・キャプテン)**になってくれないか?」
レオネルの瞳が揺れる。
「……私に、そこまでの大任が?」
「部隊運用、土地勘、騎士団内の信頼、何より“この農場”と“この国”を見てきた目がある。
自分が動くより、レオンが束ねてくれた方が、何十倍も効率的だ」
しばし沈黙ののち、レオネルは立ち上がり、陽介に手を差し出した。
「――拝命する。私のすべてをかけて、やり遂げよう」
________________________________________
🛡 Project Root Shield 始動!
• 国内を50の防衛農場ネットワークで繋ぐ構想
• 各拠点に独立運営の裁量を与える「騎士農統治モデル」採用
• 必要な人材は、ミズノ農場の実績者から育成・派遣
• 本部機能はミズノ農場内に設置、レオンが常駐し指揮
レオネルは早速、各地の騎士団・自治団体・旧友たちに通達を飛ばし、現地調査に乗り出すこととなる。
________________________________________
🌿 紬の視点から
その夜、事務所に戻った紬は、陽介の書きかけの地図を見ながら、そっと呟いた。
「これって、まるで……この国を“育ててる”みたいだね。農業で」
その言葉に、陽介も微笑んだ。
「そうだな。“国づくり”の種を、今蒔いてるんだ」
王都を中心に、すでに完成している第1号農場騎士団――ミズノ農場。
その北側の原野に接する部分にある農地と騎士団の詰所には、燃料・食料・防衛・物流の全てが揃い、国家からも自治体からも絶賛される成果を上げていた。
しかし――
「……王都だけじゃ、まだ“点”にすぎない」
陽介は地図に印をつけながら、ぽつりとつぶやいた。
「“線”にして、“面”に広げていかないと……国の形は守れない」
________________________________________
🚧 50か所の農場騎士団構想
「理想は、全王国内に50か所の農場騎士団を配置することだ。
王都のように、町を守る“盾”になって、魔物を抑止し、同時に民の食と暮らしを守る」
陽介が指したのは、王国の各辺境や交易路沿い、山岳地帯、港湾都市など――まさに国土を網の目のように覆う拠点候補地。
紬も頷きながら言った。
「物流・燃料・食料が安定すれば、地方都市の自立にもつながる。
このネットワークが完成すれば、戦争が起きても飢えず、燃料も尽きない国家になる」
________________________________________
🧾 実現可能性は?
陽介は、内務官僚からの報告書に目を通す。
「――財政面での問題は、少ないな。
ミズノ農場の売り上げは、当初想定の2.4倍。他の拠点でも同様の収益モデルが確立できれば、税金なしで運営できる」
その報告に、参謀役のレオネルが深く頷いた。
「民間活力を活かした国家防衛。これは貴殿たちの発明だ。
……しかし、問題は“人”だ。拠点を50か所もつくるとなれば、剣の使い手だけでなく、農業に長けた者、魔物対策に強い者、指導者になれる者が必要だ」
________________________________________
🧭 総指揮にふさわしい男
陽介はその言葉を聞きながら、ためらうことなく切り出した。
「――だから、レオンに頼みたい。
国内農場騎士団計画“Project Root Shield”の**総指揮官(グランド・キャプテン)**になってくれないか?」
レオネルの瞳が揺れる。
「……私に、そこまでの大任が?」
「部隊運用、土地勘、騎士団内の信頼、何より“この農場”と“この国”を見てきた目がある。
自分が動くより、レオンが束ねてくれた方が、何十倍も効率的だ」
しばし沈黙ののち、レオネルは立ち上がり、陽介に手を差し出した。
「――拝命する。私のすべてをかけて、やり遂げよう」
________________________________________
🛡 Project Root Shield 始動!
• 国内を50の防衛農場ネットワークで繋ぐ構想
• 各拠点に独立運営の裁量を与える「騎士農統治モデル」採用
• 必要な人材は、ミズノ農場の実績者から育成・派遣
• 本部機能はミズノ農場内に設置、レオンが常駐し指揮
レオネルは早速、各地の騎士団・自治団体・旧友たちに通達を飛ばし、現地調査に乗り出すこととなる。
________________________________________
🌿 紬の視点から
その夜、事務所に戻った紬は、陽介の書きかけの地図を見ながら、そっと呟いた。
「これって、まるで……この国を“育ててる”みたいだね。農業で」
その言葉に、陽介も微笑んだ。
「そうだな。“国づくり”の種を、今蒔いてるんだ」
75
あなたにおすすめの小説
村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
楓乃めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
レイルーク公爵令息は誰の手を取るのか
宮崎世絆
児童書・童話
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。
公爵家の長男レイルーク・アームストロングとして。
あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「僕って何かの主人公なのかな?」と困惑するレイルーク。
溺愛してくる両親や義姉に見守られ、心身ともに成長していくレイルーク。
アームストロング公爵の他に三つの公爵家があり、それぞれ才色兼備なご令嬢三人も素直で温厚篤実なレイルークに心奪われ、三人共々婚約を申し出る始末。
十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレイルーク。
しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。
全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。
「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてるからもう誰が誰だか分からないな。……でも、学園生活にそんなの関係ないよね? せっかく転生してここまで頑張って来たんだし。正体がバレないように気をつけつつ、学園生活を思いっきり楽しむぞ!!」
果たしてレイルークは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?
そしてレイルークは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか?
レイルークは誰の手(恋)をとるのか。
これはレイルークの半生を描いた成長物語。兼、恋愛物語である(多分)
⚠︎ この物語は『レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか』の主人公の性別を逆転した作品です。
物語進行は同じなのに、主人公が違うとどれ程内容が変わるのか? を検証したくて執筆しました。
『アラサーと高校生』の年齢差や性別による『性格のギャップ』を楽しんで頂けたらと思っております。
ただし、この作品は中高生向けに執筆しており、高学年向け児童書扱いです。なのでレティシアと違いまともな主人公です。
一部の登場人物も性別が逆転していますので、全く同じに物語が進行するか正直分かりません。
もしかしたら学園編からは全く違う内容になる……のか、ならない?(そもそも学園編まで書ける?!)のか……。
かなり見切り発車ですが、宜しくお願いします。
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
稀代の悪女は死してなお
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる