101 / 132
第99話 王都出発
しおりを挟む
あらから、あっという間に一週間が経過した。
今日はミア姫がオリエンスへ行く当日である。
「また、しばらく屋敷を開けることになってすまんな」
「いえ、屋敷は我々にお任せを」
セザール、ディルク、アルマ、そしてシャルに屋敷の管理を任せ、樹とアリアは表に止まっている馬車へと向かった。
馬車の側面にはオリエンス王国の王家の家紋が、先導する馬には綾瀬家の家紋が描かれていた。
「樹さんの家の家紋ってカッコイイですよね」
ミアが描かれた家紋を見て呟いた。
「まあ、陛下からもらっただけだけどな」
綾瀬家の家紋は桜をモチーフにしたものだ。
元日本人の樹としてはこの家紋は凄く気に入っている。
「さて、出発しようか」
「「はい」」
ミア、アリア、樹の順に馬車へと乗りこむ。
セザールたち使用人に見送られ、馬車は動き出した。
「今回は少し、長旅になりそうだな」
「そうね」
「はい」
ここからオリエンス王国までは丸5日はかかるであろう。
何事もないことを祈るばかりである。
「にしても暇だよな」
御者はミアの使用人がやってくれるため、樹はただ馬車に乗っているだけなのだ。
「じゃあ、あなたの今までやってきた冒険の話を聞かせなさいよ」
ミアが言った。
「そう言われてもな、あんまり話せるようなことやってないぞ。人身売買組織のボスを掃除したり、ドラゴン倒したり、魔人族倒したりしたくらいか」
「はぁ、聞いた私がバカだったわ」
ミアがため息交じりに言った。
「あ、大迷宮の攻略とかもやって来たな」
「その話聞きたい!!」
ミアが目を輝かせた。
「迷宮ってのはマナが濃いから人間は戦闘しにくいんだ。それに、深く潜れば潜るほど魔獣も凶暴化する。結構、最深部まで行くのは苦労するぜ」
「私も行ってみたい」
「いや、駄目だろ」
樹は真顔で言った。
「何でよ! ケチ!」
ミアは頬を膨らませた。
「仮にも隣国の姫さんを迷宮に連れていって怪我でもさせてもみろ。うちの責任問題になりかねん」
「でも、樹の後ろにいたら魔法からも物理攻撃からも守ってくれるでしょ」
「そりゃそうだが、万が一ってことがあるだろう」
そんなことを話しているうちに王都を出発して数時間が経過していた。
「アリアさんはどうして樹と組むようになったの?」
「それは、自分より強い男の人に初めて出会いまして。この人なら付いて行ってもいいと思えたんですよ」
アリアは微笑みを浮かべながら言った。
「へぇ、確かにアリアさんも相当な腕よね。それでもこの男の方が強いのね」
ミアは樹を横目で見た。
「ええ、多分、本気を出されたら三分持たせるのがやっとでしょう」
「え、あれ、本気じゃないの?」
「そうですね半分ってところですかね。あの方の腹の中は底が知れませんからね」
アリアは優しく微笑んだ。
そして、やがて日は傾いてくるのであった。
今日はミア姫がオリエンスへ行く当日である。
「また、しばらく屋敷を開けることになってすまんな」
「いえ、屋敷は我々にお任せを」
セザール、ディルク、アルマ、そしてシャルに屋敷の管理を任せ、樹とアリアは表に止まっている馬車へと向かった。
馬車の側面にはオリエンス王国の王家の家紋が、先導する馬には綾瀬家の家紋が描かれていた。
「樹さんの家の家紋ってカッコイイですよね」
ミアが描かれた家紋を見て呟いた。
「まあ、陛下からもらっただけだけどな」
綾瀬家の家紋は桜をモチーフにしたものだ。
元日本人の樹としてはこの家紋は凄く気に入っている。
「さて、出発しようか」
「「はい」」
ミア、アリア、樹の順に馬車へと乗りこむ。
セザールたち使用人に見送られ、馬車は動き出した。
「今回は少し、長旅になりそうだな」
「そうね」
「はい」
ここからオリエンス王国までは丸5日はかかるであろう。
何事もないことを祈るばかりである。
「にしても暇だよな」
御者はミアの使用人がやってくれるため、樹はただ馬車に乗っているだけなのだ。
「じゃあ、あなたの今までやってきた冒険の話を聞かせなさいよ」
ミアが言った。
「そう言われてもな、あんまり話せるようなことやってないぞ。人身売買組織のボスを掃除したり、ドラゴン倒したり、魔人族倒したりしたくらいか」
「はぁ、聞いた私がバカだったわ」
ミアがため息交じりに言った。
「あ、大迷宮の攻略とかもやって来たな」
「その話聞きたい!!」
ミアが目を輝かせた。
「迷宮ってのはマナが濃いから人間は戦闘しにくいんだ。それに、深く潜れば潜るほど魔獣も凶暴化する。結構、最深部まで行くのは苦労するぜ」
「私も行ってみたい」
「いや、駄目だろ」
樹は真顔で言った。
「何でよ! ケチ!」
ミアは頬を膨らませた。
「仮にも隣国の姫さんを迷宮に連れていって怪我でもさせてもみろ。うちの責任問題になりかねん」
「でも、樹の後ろにいたら魔法からも物理攻撃からも守ってくれるでしょ」
「そりゃそうだが、万が一ってことがあるだろう」
そんなことを話しているうちに王都を出発して数時間が経過していた。
「アリアさんはどうして樹と組むようになったの?」
「それは、自分より強い男の人に初めて出会いまして。この人なら付いて行ってもいいと思えたんですよ」
アリアは微笑みを浮かべながら言った。
「へぇ、確かにアリアさんも相当な腕よね。それでもこの男の方が強いのね」
ミアは樹を横目で見た。
「ええ、多分、本気を出されたら三分持たせるのがやっとでしょう」
「え、あれ、本気じゃないの?」
「そうですね半分ってところですかね。あの方の腹の中は底が知れませんからね」
アリアは優しく微笑んだ。
そして、やがて日は傾いてくるのであった。
14
あなたにおすすめの小説
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
圧倒的不利な状況を武と知略で切り抜ける!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる