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12章 災厄再来
161、依頼
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魔導局に到着し、いの一番にルイベリア=ジゼルホーンを呼び出す。ペタペタとスリッパのようなサンダルを履いて気怠そうに手を振ってきた。
「やーやー。レッドじゃないかぁ。あれれ? 見ない内に逞しくなったように見えなくもないなぁ。この前会った時より人数も増えてるし……」
「あ、ルーさん。えっと……久し振りってほどじゃないですけど、お元気みたいで安心しました。あの、ところで……局内が騒がしく感じますけど、何かあったんでしょうか?」
魔導局内は局員たちが忙しなく動き回り、てんやわんやの大騒ぎになっていた。
「原因なんて言わなくても分かるでしょう? 空のアレよ。ア~レ。あのくっそデカい要塞がやって来たことで本国が文句言ってきたのよねぇ~。何でもっと情報を送れなかったのか、もっと危機感を伝えることが出来たはずだ、だってさ。ベラート国王の書状を届けた時に『問題なし』と言ってきたのはあっちなんだけどねぇ」
「アヴァンティアの国王が書状を?……動いているのは俺たちだけではないと言うことだな」
「あ、ライトく~ん。前に君に会ったことを話したらサインもらって欲しいって同期のファンから言われててさぁ~。後で時間もらえる?」
「それは別に構わないが、こちらにも急用があってな……」
「そうそう、そうだよね~。分かってるよ~。レッドが僕を訪ねてくる時はゴーレムだよねぇ。実はいろいろ開発してて……」
「ルーさん」
ルイベリアの言葉を遮るようにレッドが話しかけた。その真剣な眼差しを受けてルイベリアも襟を正す。
「世界の危機に一つ手を貸してもらえませんか?」
「……ふふっ……なかなか面白い話が聞けそうだね。お茶でもどうかな?」
ルイベリアは外を指さす。いつものラボに案内しようとしている素振りだが、それをグルガンは断る。
「結構だ。それよりも上に案内してくれるか? 我らの話は個人の規模を大きく逸脱している」
「あっそう? それじゃどうぞ。僕の職場へ」
そうして魔道具研究室の応接間に通される。レッド、オリー、グルガン、ライト、ディロン、ウルラドリスの6人と常人には見えない風帝フローラの合計7人。広めにとってある空間もこれだけの人数ではかなり狭く見える。
「んだよ狭ぇな」
「まぁね。多くても4人で話し合う用に作ってあるし、それでも広い方だけどさ。それじゃ話を聞こうか?」
体面に座るドワーフ族のルイベリアは子供のように小さい。それゆえかディロンや人間形態のグルガンの大きさが一際目立ち、外目からは圧迫感を感じるがルイベリアは気にしていない。
「その前に一つ。世界の命運を共にしあう関係となる上で、我と貴公らの間での隠し事は無しにしたいと思っている。何かあってからでは遅いのでな。これは大事なことだ」
「……初めまして、だよね? 何? 契約書でも書こうか?」
「いや、商談や魔法契約などではなく、我の種族に関することだ。実はこの姿は仮のものでな。変身して見た目を誤魔化しているのだ」
「それが……変身? え、じゃ何? あなたはヒューマンじゃないってこと?」
「今から変身を解くが、大声を出さないで欲しい。良いかな?」
「うん良いよ」
ルイベリアは前に乗り出すように座り方を変える。ワクワクという感情が顔から溢れている。グルガンの全身が光を帯び、顔の形が変化すると同時に体格もひと回り大きくなっていった。
「おおっ!」
冒険者グルガンが獅子頭の魔族へと変貌した。ルイベリアは興奮から少し声が出てしまい、慌てて口を押さえた。
「……これは凄い。もしかして僕らの生活に魔族は紛れ込んでいるのかい?」
「いや、魔族でも異例のことだ。我だけが人間社会に溶け込み、情報の収集に明け暮れていた。本来の目的は人と魔族の敵対関係の解消にあったが、デザイアという共通の敵の出現で図らずも実現しそうになっているのは皮肉な話だ。平和的にお互いの許容範囲をすり合わせながら実現したかったのだがな……不本意と言わざるを得ないが、計画通りに進まないのはよくあることだ。この戦いでは魔族も参戦する。それもしっかりと協力関係を構築した上でな」
「これは心強い。ダンジョンの主人たる君たち魔族が手を貸してくれるのはこの上ない戦力だ。個人的には大いに歓迎だよ。それで? 僕を訪ねた理由を教えてもらおうか?」
グルガンは話が早いと揚陸艇の設計図を広げた。設計図が出てくると思っていなかったルイベリアは感嘆の声を上げて目を見張る。
「……なるほどね。これを僕ら魔導局総出で作って欲しいってことか」
「その通りだ。我も開発には参加し、技術の提供を惜しまないつもりだ。だが既にデザイアたちの侵攻は始まっている。時間はかけられないのだが、その点は大丈夫そうか?」
「良いね。本国が局長や役員を急に交代させたから信用問題で白紙になった仕事が多くてさ。丁度みんな暇してたんだ。今なら人をかき集められそうだよ」
「それは重畳。早速現在の局長に話を通してくれないか?」
それを聞いてルイベリアはパッと立ち上がった。
「それじゃ行こうよ。新しい局長に挨拶にさ」
彼女の提案で通された局長室。そこにはレッドのよく知る人物が立っていた。
「え、あっ!テスさん!」
「レッドか。今日はゾロゾロと何様かな?」
そこにいたのはルイベリアの同期、テス=ラニウム。人一倍真面目で規則と規律を重んじる堅物。しかしレッドとの出会いで常識に囚われすぎていたことを知り、ほんのちょっぴりだけ柔軟さを手に入れた。
そんな彼女が今や魔導局の局長である。
「本国の連中は気まぐれでな。私もすぐに左遷されてしまうかもしれないけど今だけは大手を振るって局長を名乗れる。ところで何? またゴーレム?」
「あ、違います。今回は……」
そこでテスにもルイベリアの時と同じことをし、揚陸艇の設計図にまで漕ぎ着けた。ルイベリアの時と違って魔族であることを教えた時はパニックを起こしたが、無事に鎮静化出来た。
「……ふむ。確かにあの空中浮遊要塞に行くなら空飛ぶ戦艦くらいないと話にならないか。それは認めよう」
「含みのある言い方だな。いったい何が言いたい?」
「なぁに簡単な話。これを作る費用のことよ」
「……費用……だと?」
「ええ。ルイベリアから聞いたかもしれないけど、今魔導局の仕事が激減しているの。この仕事はこちらとしても渡りに船と行ったところなの。時間もないとのことだったので魔導局総出な上に超特急で当たらせてもらうけども、これほど大掛かりとなるとかなりの費用になるかと……払えそう?」
「おいおい、世界の危機だってのに金をとんのかよ!」
「当然。世界の危機の前に私は職員に給料を払う必要がある。目先の生活が無いと世界平和は望めないってね。それに私は君たちが世界を救うと信じている。私たちが誇る専門の力を君たちの糧として欲しいんだ」
「ごまかされねぇぞっ!!」
「まぁまぁ。抑えて抑えて」
ウルラドリスにグイグイ押されながらディロンは局長室から退室させられた。
世界の危機の前に目先の生活。まさかそんなことを言われるとは思っても見なかったグルガンは戦闘以上に焦ったが、ここでケチっても仕方がないので頭を切り替えてテスに向き直った。テスもそれに合わせて口を開く。
「取り掛かるのは支払い後だ。こちらも仕事として確約したいからな」
「……良かろう。費用がどのくらいになりそうか試算してもらえるか? 金は何としてでも払う」
「ふっ、そうこなくては……分かった。少しだけ時間がかかりそうだから1階ロビーの待合室で待ってくれるか?」
「了解した」
グルガンは表情を崩さなかったが、レッドは戦々恐々としていた。一度テスにゴーレム製作を依頼した時からかなりの額を請求されたことを思い出したからだ。規則に厳しく規律を重んじるテスのことなので適正価格ではあるのだろうが、だとしたら揚陸艇の建造には一隻だけで国家予算レベルを要求されそうだと感じた。
そしてその想像は的中した。
「いや、これは……待て待て、さすがに無理だぞ」
ライトは羊皮紙に書かれた数字に慄く。ライトでも一生掛かって稼げないほどの数字の羅列が紙面に並んでいた。
「払わなければ取り掛かれんと言われた以上、どうにか金を集めねばならん……しかしどこから集めるか……」
グルガンは頭の中にあるお金を引っ張れそうなところを想像する。だが、金額が金額だけにすぐに集めきれるわけがない。年単位ならどうにかなりそうだが、今すぐともなれば弊害は凄まじい。
「あぁ? 皇魔貴族なんて大層な肩書持ってる割にはケチ臭ぇじゃねぇか? 使いどころなんてここしかねぇだろうが。全部さらっちまえよ」
「いや、そういうわけにはいかない。テス局長が言ったように、我ら領主も民の安寧のために税金を使用している。それに今はフィニアスを叩かれて皇魔貴族全体が弱っているのだ。ここでデザイアを倒すためと言って強引に徴収すれば、最初から勝てないと判断した連中が御家存続のために寝返る可能性も捨てきれん。これ以上面倒なことが起こらないようにそっとしておくのが無難なのだ」
「んなもん俺が片っ端から全部ぶっ殺してやるよ」
「やめてディロン!恥ずかしい!」
『……人間社会は難しいのぅ。なんかこう、パッとやってチャーッと終わらんのか?』
「終わらないのが社会なんだ。こうなったら冒険者ギルドにも話を付けてくる」
言うが早いかライトは即座に冒険者ギルドに走った。その後を目で追うルイベリア。
「あぁ、ライトくん。……まだサインをもらってないんだけどなぁ……まぁいいや。僕も仕事が出来たし、ここらでお暇させてもらうよ。期待して待ってるからねぇレッド」
「え、あっはい」
「んっふふ~。さぁ!忙しくなっちゃうな!」
ルイベリアは鼻歌交じりに魔導局から出てラボの方に歩いて行った。まるで戦艦の建造が絶対にとん挫しないと知っているかのように。
「信頼されているのだな。……よし、我らも動き出すとしよう。とにかくスピードが命だ。各自動くのも良いが、今すぐに当てが思いつくものは我が移動の手伝いを……」
そういって見渡すも誰も何も思い至らないようだ。
「……そうか。ならば我は融資を募るために少々出てくる。皆はライトの後を追って冒険者ギルドに向かってくれ。時が来たら我が皆を回収する。それではまた」
グルガンが移動するのを待ってレッドたちは冒険者ギルドに向かった。
「やーやー。レッドじゃないかぁ。あれれ? 見ない内に逞しくなったように見えなくもないなぁ。この前会った時より人数も増えてるし……」
「あ、ルーさん。えっと……久し振りってほどじゃないですけど、お元気みたいで安心しました。あの、ところで……局内が騒がしく感じますけど、何かあったんでしょうか?」
魔導局内は局員たちが忙しなく動き回り、てんやわんやの大騒ぎになっていた。
「原因なんて言わなくても分かるでしょう? 空のアレよ。ア~レ。あのくっそデカい要塞がやって来たことで本国が文句言ってきたのよねぇ~。何でもっと情報を送れなかったのか、もっと危機感を伝えることが出来たはずだ、だってさ。ベラート国王の書状を届けた時に『問題なし』と言ってきたのはあっちなんだけどねぇ」
「アヴァンティアの国王が書状を?……動いているのは俺たちだけではないと言うことだな」
「あ、ライトく~ん。前に君に会ったことを話したらサインもらって欲しいって同期のファンから言われててさぁ~。後で時間もらえる?」
「それは別に構わないが、こちらにも急用があってな……」
「そうそう、そうだよね~。分かってるよ~。レッドが僕を訪ねてくる時はゴーレムだよねぇ。実はいろいろ開発してて……」
「ルーさん」
ルイベリアの言葉を遮るようにレッドが話しかけた。その真剣な眼差しを受けてルイベリアも襟を正す。
「世界の危機に一つ手を貸してもらえませんか?」
「……ふふっ……なかなか面白い話が聞けそうだね。お茶でもどうかな?」
ルイベリアは外を指さす。いつものラボに案内しようとしている素振りだが、それをグルガンは断る。
「結構だ。それよりも上に案内してくれるか? 我らの話は個人の規模を大きく逸脱している」
「あっそう? それじゃどうぞ。僕の職場へ」
そうして魔道具研究室の応接間に通される。レッド、オリー、グルガン、ライト、ディロン、ウルラドリスの6人と常人には見えない風帝フローラの合計7人。広めにとってある空間もこれだけの人数ではかなり狭く見える。
「んだよ狭ぇな」
「まぁね。多くても4人で話し合う用に作ってあるし、それでも広い方だけどさ。それじゃ話を聞こうか?」
体面に座るドワーフ族のルイベリアは子供のように小さい。それゆえかディロンや人間形態のグルガンの大きさが一際目立ち、外目からは圧迫感を感じるがルイベリアは気にしていない。
「その前に一つ。世界の命運を共にしあう関係となる上で、我と貴公らの間での隠し事は無しにしたいと思っている。何かあってからでは遅いのでな。これは大事なことだ」
「……初めまして、だよね? 何? 契約書でも書こうか?」
「いや、商談や魔法契約などではなく、我の種族に関することだ。実はこの姿は仮のものでな。変身して見た目を誤魔化しているのだ」
「それが……変身? え、じゃ何? あなたはヒューマンじゃないってこと?」
「今から変身を解くが、大声を出さないで欲しい。良いかな?」
「うん良いよ」
ルイベリアは前に乗り出すように座り方を変える。ワクワクという感情が顔から溢れている。グルガンの全身が光を帯び、顔の形が変化すると同時に体格もひと回り大きくなっていった。
「おおっ!」
冒険者グルガンが獅子頭の魔族へと変貌した。ルイベリアは興奮から少し声が出てしまい、慌てて口を押さえた。
「……これは凄い。もしかして僕らの生活に魔族は紛れ込んでいるのかい?」
「いや、魔族でも異例のことだ。我だけが人間社会に溶け込み、情報の収集に明け暮れていた。本来の目的は人と魔族の敵対関係の解消にあったが、デザイアという共通の敵の出現で図らずも実現しそうになっているのは皮肉な話だ。平和的にお互いの許容範囲をすり合わせながら実現したかったのだがな……不本意と言わざるを得ないが、計画通りに進まないのはよくあることだ。この戦いでは魔族も参戦する。それもしっかりと協力関係を構築した上でな」
「これは心強い。ダンジョンの主人たる君たち魔族が手を貸してくれるのはこの上ない戦力だ。個人的には大いに歓迎だよ。それで? 僕を訪ねた理由を教えてもらおうか?」
グルガンは話が早いと揚陸艇の設計図を広げた。設計図が出てくると思っていなかったルイベリアは感嘆の声を上げて目を見張る。
「……なるほどね。これを僕ら魔導局総出で作って欲しいってことか」
「その通りだ。我も開発には参加し、技術の提供を惜しまないつもりだ。だが既にデザイアたちの侵攻は始まっている。時間はかけられないのだが、その点は大丈夫そうか?」
「良いね。本国が局長や役員を急に交代させたから信用問題で白紙になった仕事が多くてさ。丁度みんな暇してたんだ。今なら人をかき集められそうだよ」
「それは重畳。早速現在の局長に話を通してくれないか?」
それを聞いてルイベリアはパッと立ち上がった。
「それじゃ行こうよ。新しい局長に挨拶にさ」
彼女の提案で通された局長室。そこにはレッドのよく知る人物が立っていた。
「え、あっ!テスさん!」
「レッドか。今日はゾロゾロと何様かな?」
そこにいたのはルイベリアの同期、テス=ラニウム。人一倍真面目で規則と規律を重んじる堅物。しかしレッドとの出会いで常識に囚われすぎていたことを知り、ほんのちょっぴりだけ柔軟さを手に入れた。
そんな彼女が今や魔導局の局長である。
「本国の連中は気まぐれでな。私もすぐに左遷されてしまうかもしれないけど今だけは大手を振るって局長を名乗れる。ところで何? またゴーレム?」
「あ、違います。今回は……」
そこでテスにもルイベリアの時と同じことをし、揚陸艇の設計図にまで漕ぎ着けた。ルイベリアの時と違って魔族であることを教えた時はパニックを起こしたが、無事に鎮静化出来た。
「……ふむ。確かにあの空中浮遊要塞に行くなら空飛ぶ戦艦くらいないと話にならないか。それは認めよう」
「含みのある言い方だな。いったい何が言いたい?」
「なぁに簡単な話。これを作る費用のことよ」
「……費用……だと?」
「ええ。ルイベリアから聞いたかもしれないけど、今魔導局の仕事が激減しているの。この仕事はこちらとしても渡りに船と行ったところなの。時間もないとのことだったので魔導局総出な上に超特急で当たらせてもらうけども、これほど大掛かりとなるとかなりの費用になるかと……払えそう?」
「おいおい、世界の危機だってのに金をとんのかよ!」
「当然。世界の危機の前に私は職員に給料を払う必要がある。目先の生活が無いと世界平和は望めないってね。それに私は君たちが世界を救うと信じている。私たちが誇る専門の力を君たちの糧として欲しいんだ」
「ごまかされねぇぞっ!!」
「まぁまぁ。抑えて抑えて」
ウルラドリスにグイグイ押されながらディロンは局長室から退室させられた。
世界の危機の前に目先の生活。まさかそんなことを言われるとは思っても見なかったグルガンは戦闘以上に焦ったが、ここでケチっても仕方がないので頭を切り替えてテスに向き直った。テスもそれに合わせて口を開く。
「取り掛かるのは支払い後だ。こちらも仕事として確約したいからな」
「……良かろう。費用がどのくらいになりそうか試算してもらえるか? 金は何としてでも払う」
「ふっ、そうこなくては……分かった。少しだけ時間がかかりそうだから1階ロビーの待合室で待ってくれるか?」
「了解した」
グルガンは表情を崩さなかったが、レッドは戦々恐々としていた。一度テスにゴーレム製作を依頼した時からかなりの額を請求されたことを思い出したからだ。規則に厳しく規律を重んじるテスのことなので適正価格ではあるのだろうが、だとしたら揚陸艇の建造には一隻だけで国家予算レベルを要求されそうだと感じた。
そしてその想像は的中した。
「いや、これは……待て待て、さすがに無理だぞ」
ライトは羊皮紙に書かれた数字に慄く。ライトでも一生掛かって稼げないほどの数字の羅列が紙面に並んでいた。
「払わなければ取り掛かれんと言われた以上、どうにか金を集めねばならん……しかしどこから集めるか……」
グルガンは頭の中にあるお金を引っ張れそうなところを想像する。だが、金額が金額だけにすぐに集めきれるわけがない。年単位ならどうにかなりそうだが、今すぐともなれば弊害は凄まじい。
「あぁ? 皇魔貴族なんて大層な肩書持ってる割にはケチ臭ぇじゃねぇか? 使いどころなんてここしかねぇだろうが。全部さらっちまえよ」
「いや、そういうわけにはいかない。テス局長が言ったように、我ら領主も民の安寧のために税金を使用している。それに今はフィニアスを叩かれて皇魔貴族全体が弱っているのだ。ここでデザイアを倒すためと言って強引に徴収すれば、最初から勝てないと判断した連中が御家存続のために寝返る可能性も捨てきれん。これ以上面倒なことが起こらないようにそっとしておくのが無難なのだ」
「んなもん俺が片っ端から全部ぶっ殺してやるよ」
「やめてディロン!恥ずかしい!」
『……人間社会は難しいのぅ。なんかこう、パッとやってチャーッと終わらんのか?』
「終わらないのが社会なんだ。こうなったら冒険者ギルドにも話を付けてくる」
言うが早いかライトは即座に冒険者ギルドに走った。その後を目で追うルイベリア。
「あぁ、ライトくん。……まだサインをもらってないんだけどなぁ……まぁいいや。僕も仕事が出来たし、ここらでお暇させてもらうよ。期待して待ってるからねぇレッド」
「え、あっはい」
「んっふふ~。さぁ!忙しくなっちゃうな!」
ルイベリアは鼻歌交じりに魔導局から出てラボの方に歩いて行った。まるで戦艦の建造が絶対にとん挫しないと知っているかのように。
「信頼されているのだな。……よし、我らも動き出すとしよう。とにかくスピードが命だ。各自動くのも良いが、今すぐに当てが思いつくものは我が移動の手伝いを……」
そういって見渡すも誰も何も思い至らないようだ。
「……そうか。ならば我は融資を募るために少々出てくる。皆はライトの後を追って冒険者ギルドに向かってくれ。時が来たら我が皆を回収する。それではまた」
グルガンが移動するのを待ってレッドたちは冒険者ギルドに向かった。
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