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第四十六話 夜明け
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目が覚めると、見知った天井だった。
昨日の出来事を思い出そうと、起き上がって顔に触れる。特に代わり映えしない肌触りを二、三度撫でまわし、物思いにふける。
寝ているのか起きているのか分からない程、自分にとって都合のいい展開が巻き起こった。まず、三日前に遡る。俺はファミレスでポイ子と出会った。感動したのも束の間、一昨日はヤシャが町を混乱に陥れ、その後、和解。
ヤシャの不祥事と食糧難の危機を迎え、一時は異世界への帰還を通達するが、マレフィアの妨害により、事態は急変。未だ食糧難の危機は去っていないもののヤシャがこの世界の市民権を得た。
全ては魔法のおかげだった。それを思えば、これは全て夢だったのでは?と思わざるを得ない。何故なら全部、魔法のおかげで片付いたからだ。
ならばどこからが夢だったのか?無論ポイ子からというのが通説だろうが、自分が魔王だったことが夢で、全部虚像だったと思うのが一般的に見て常識的だ。
つまり自分のやって来た事、全て……ここにいると言う事は三日前からの行動全てが、夢だった。学校に行けば、虎田とは仲良くなっていないし、竹内以下4名は存在すらしていないかもしれない。
そう考えた方が都合がいいと思えた。頭がパンクするほど詰め込まれた三日間は春田の心を蝕んだからだ。
時間をチラリと見る。(もうこんな時間か)いつもより遅い目覚め、やはり夢と見るのが妥当だろう。ベッドから降りる。
「早く学校行かないと遅刻するぜ……」
無遅刻無欠席を貫く春田にとって、遅刻は珍しい行動となる。成績にも響くし、ほんのちょっぴりでも注目を集めたくなかった。
洗面所に行こうと廊下に出ると、いい香りが鼻をくすぐる。それと同時にキッチンからジュワッという何かを焼く音が聞こえた。この瞬間に気付く(夢じゃねぇわ……)一昨日もこんな気分になったことを思い出し、顔を洗う為、洗面所に向かった。
………
「おはよう聖也。待ってな、今ご飯できるから」
そこにはスポーツブラとランニングショーツに身を包み、所々に赤い肌を露出させ、胸元から太股を隠すエプロンを着用したヤシャの姿があった。
「お、おはよう、ヤシャ……。お前その衣装は……」
「刺激的過ぎたかにゃん?聖ちゃん。ふひひ」
後ろから抱きしめてきたのは、ぼっさぼさの髪をそのままにTシャツと下着一枚で楽な恰好をしているマレフィアだった。ヤシャとは対照的で、その肌の色は死人の様な白蝋である。
「もー思春期でちゅねぇ~」
マレフィアは春田の体を遠慮なしにまさぐる。
「マレフィア……止めろ!どこ触って……あ」
「おいやめろお前ら。全く……朝から破廉恥だぞ」
「それはヤシャっちには言われたくないよん」
焼いたハムエッグを皿に盛りつけるヤシャ。「ん?」といってフライパンをコンロの上に戻すと、「どういう意味だ」と仁王立ちでマレフィアを見る。その光景は春田には刺激が強すぎて、目を逸らしてしまう。春田の行動に違和感を感じると、ガチャンッという音が玄関から鳴り、ポイ子が入ってきた。
「あ、聖也様!おはようございます!」
買出しに出かけていたようで、ビニール袋を提げている。
「あれ?ヤシャ様はなんで裸で朝食作ってるんです?」
「何を言ってる?ちゃんと来てるが?」
後ろを向くと、スポーツブラとランニングショーツが見える。
「あ、本当ですね。エプロンのせいで着てないように見えたんですね」
ポイ子はにこやかに話すが、それを聞いたヤシャは劇的な怒りを見せた。マレフィアを睨みつけ、殺さんばかりの気を放つ。この衣装を用意したのは案の定マレフィアだ。全く恥ずかしがることもなく着ている様から、朝食を作る時の正装とでも言ったのだろうか。ハムエッグとトーストが乗った皿を春田に渡すと、マレフィアの首根っこを掴んで、自分の与えられた部屋に連れて行った。
ほどなくマレフィアの謝罪の声が部屋から漏れて聞こえる。
いつもよりちょっと豪華な朝食を食べつつ、ほっこりした。「美味い……」未だ戻ってこない二人を差し置いて、ポイ子と食べる朝食。ポイ子は相変わらず「あ~ん」とか言って春田の朝食に彩りを添えようとしてくるが、春田は華麗に拒否し、ヤシャの朝食を食べ終わる。買い置きの牛乳を飲んで、一息つき、時間を見る。
「……遅刻しちまう!!」
昨日の出来事を思い出そうと、起き上がって顔に触れる。特に代わり映えしない肌触りを二、三度撫でまわし、物思いにふける。
寝ているのか起きているのか分からない程、自分にとって都合のいい展開が巻き起こった。まず、三日前に遡る。俺はファミレスでポイ子と出会った。感動したのも束の間、一昨日はヤシャが町を混乱に陥れ、その後、和解。
ヤシャの不祥事と食糧難の危機を迎え、一時は異世界への帰還を通達するが、マレフィアの妨害により、事態は急変。未だ食糧難の危機は去っていないもののヤシャがこの世界の市民権を得た。
全ては魔法のおかげだった。それを思えば、これは全て夢だったのでは?と思わざるを得ない。何故なら全部、魔法のおかげで片付いたからだ。
ならばどこからが夢だったのか?無論ポイ子からというのが通説だろうが、自分が魔王だったことが夢で、全部虚像だったと思うのが一般的に見て常識的だ。
つまり自分のやって来た事、全て……ここにいると言う事は三日前からの行動全てが、夢だった。学校に行けば、虎田とは仲良くなっていないし、竹内以下4名は存在すらしていないかもしれない。
そう考えた方が都合がいいと思えた。頭がパンクするほど詰め込まれた三日間は春田の心を蝕んだからだ。
時間をチラリと見る。(もうこんな時間か)いつもより遅い目覚め、やはり夢と見るのが妥当だろう。ベッドから降りる。
「早く学校行かないと遅刻するぜ……」
無遅刻無欠席を貫く春田にとって、遅刻は珍しい行動となる。成績にも響くし、ほんのちょっぴりでも注目を集めたくなかった。
洗面所に行こうと廊下に出ると、いい香りが鼻をくすぐる。それと同時にキッチンからジュワッという何かを焼く音が聞こえた。この瞬間に気付く(夢じゃねぇわ……)一昨日もこんな気分になったことを思い出し、顔を洗う為、洗面所に向かった。
………
「おはよう聖也。待ってな、今ご飯できるから」
そこにはスポーツブラとランニングショーツに身を包み、所々に赤い肌を露出させ、胸元から太股を隠すエプロンを着用したヤシャの姿があった。
「お、おはよう、ヤシャ……。お前その衣装は……」
「刺激的過ぎたかにゃん?聖ちゃん。ふひひ」
後ろから抱きしめてきたのは、ぼっさぼさの髪をそのままにTシャツと下着一枚で楽な恰好をしているマレフィアだった。ヤシャとは対照的で、その肌の色は死人の様な白蝋である。
「もー思春期でちゅねぇ~」
マレフィアは春田の体を遠慮なしにまさぐる。
「マレフィア……止めろ!どこ触って……あ」
「おいやめろお前ら。全く……朝から破廉恥だぞ」
「それはヤシャっちには言われたくないよん」
焼いたハムエッグを皿に盛りつけるヤシャ。「ん?」といってフライパンをコンロの上に戻すと、「どういう意味だ」と仁王立ちでマレフィアを見る。その光景は春田には刺激が強すぎて、目を逸らしてしまう。春田の行動に違和感を感じると、ガチャンッという音が玄関から鳴り、ポイ子が入ってきた。
「あ、聖也様!おはようございます!」
買出しに出かけていたようで、ビニール袋を提げている。
「あれ?ヤシャ様はなんで裸で朝食作ってるんです?」
「何を言ってる?ちゃんと来てるが?」
後ろを向くと、スポーツブラとランニングショーツが見える。
「あ、本当ですね。エプロンのせいで着てないように見えたんですね」
ポイ子はにこやかに話すが、それを聞いたヤシャは劇的な怒りを見せた。マレフィアを睨みつけ、殺さんばかりの気を放つ。この衣装を用意したのは案の定マレフィアだ。全く恥ずかしがることもなく着ている様から、朝食を作る時の正装とでも言ったのだろうか。ハムエッグとトーストが乗った皿を春田に渡すと、マレフィアの首根っこを掴んで、自分の与えられた部屋に連れて行った。
ほどなくマレフィアの謝罪の声が部屋から漏れて聞こえる。
いつもよりちょっと豪華な朝食を食べつつ、ほっこりした。「美味い……」未だ戻ってこない二人を差し置いて、ポイ子と食べる朝食。ポイ子は相変わらず「あ~ん」とか言って春田の朝食に彩りを添えようとしてくるが、春田は華麗に拒否し、ヤシャの朝食を食べ終わる。買い置きの牛乳を飲んで、一息つき、時間を見る。
「……遅刻しちまう!!」
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