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第四十九話 お弁当
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昼休憩ーー。
春田は異様な空気のなかでどうしてこうなったのか考える。
少し整理すると、虎田からお弁当をもらい、ウキウキになったところまでは良かった。しかし、竹内に弁当の存在を知られ、食べたいと言われる。嫌がっていると、虎田が介入。
今、虎田はいつもの面子を捨て、竹内と春田と一緒に屋上に上がっていた。虎田はお弁当を広げる。中には、からあげと玉子焼き、ポテトサラダにレタスとトマト。そして、春巻きを斜めに半分切った彩りどりのおかずと、残りのスペースにご飯を敷き詰めた豪華な物だった。
「おお!旨そうだな!」
竹内もそのおかずを見て、「確かに……」と頷いている。
ふふんっと得意気に鼻を鳴らすと、箸箱からお箸を取り出す。
「まぁね。私だってこのくらいは……」
そこで虎田は固まった。気付いてしまったのだ。春田に渡したお弁当と自分の弁当の中身がご飯の量以外、変わらないことに……。
(ヤバい……)汗が吹き出る。
双方の弁当のシンクロ率が高すぎることが浮き彫りとなる。そのことに気付いたのは虎田だけではない。貰った春田も同様に気づいた。
(そいうえば……この弁当の中身はどうなんだ?せっかく誤魔化したのに一緒だったら駄目じゃないか?)チラリと虎田を見ると、何かを我慢しているような顔をしていた。
(あ、これ駄目だ……)弁当の包みに手をかけていたが、解くのをやめる。その様子を竹内は不思議な目で見ていた。
「……どした?」
竹内は何故、春田は弁当を広げないのか、疑問を口にする。春田はわざとらしくキョロキョロして、何かを探す素振りを見せる。
「あぁ~っと……飲み物なかったな~、ちょっと買ってくるわ……」
お弁当を持って、その場を後にしようとする。
「あ、めぐに言うよ……」
竹内は高橋に電話をしようと携帯電話を取り出す。
「いや、今日は遠慮する。俺が買いに行くからさ……」
「……荷物は置いて言ったら?」
弁当を握り締めて、屋上を後にしようとする春田に問うが、聞こえないふりをして、ささっと屋上を後にした。
「……は?何あいつ……」竹内はブーたれて、そっぽを向いた。虎田はその行動に対して凄くしょんぼりした。自分のせいで、春田の評価が見る間に下がっていく。
意を決して、竹内に言おうとすると、
「あ、あの……竹内さん……」
「あ、もしかして……委員長の弁当のクオリティにビビったのかも……」
「は?え?そ、そうかな……」見たことの無い竹内の何かに気付いたというような真ん丸な目が、虎田の意を消し去った。春田の状況を生み出した自分に嫌悪しつつも、その表情は意外そのものだったからだ。
(い、いや違う!)心で否定して、また竹内を見据える。ここで何か言わないと、春田の沽券に関わる。一息ついて気持ちを落ち着けると、口を開く。
ガチャンッと入り口が開き、パンを抱えた高橋が屋上にやって来た。
「あ、めぐ……こっちこっち」
高橋は竹内を見て小走りで走ってくる。
「お待たせしました!……この人は?」
虎田を見て誰何を尋ねる。
「ん……クラスの委員長」
「虎田です」
すぐ様、名前を名乗る。
「高橋っす!何か竹さん、最近いっつも違う人といますね」
パンを竹内に渡す。「……そうかな?」と首を傾げる。虎田の覚悟が、高橋の存在のせいと言ったら語弊があるが、気持ちがぶっ飛ぶ。要因とは言える。
「そういえば、さっき先輩がそこで弁当食ってましたよ?喧嘩でもしたんすか?」
それを聞いて竹内はバッと振り替えって「プッ」と笑う。クククッと体を震わせて笑った後、ピタッと急に止まって、無表情のまま正面を向く。
「……やっぱりね」
高橋は「は?」と疑問を浮かべる。竹内が虎田の弁当との格の差の話をすると、高橋も高笑いした。
(違うんです……)
虎田は心の底でそれを否定しつつも、あわせて苦笑いした。
春田は異様な空気のなかでどうしてこうなったのか考える。
少し整理すると、虎田からお弁当をもらい、ウキウキになったところまでは良かった。しかし、竹内に弁当の存在を知られ、食べたいと言われる。嫌がっていると、虎田が介入。
今、虎田はいつもの面子を捨て、竹内と春田と一緒に屋上に上がっていた。虎田はお弁当を広げる。中には、からあげと玉子焼き、ポテトサラダにレタスとトマト。そして、春巻きを斜めに半分切った彩りどりのおかずと、残りのスペースにご飯を敷き詰めた豪華な物だった。
「おお!旨そうだな!」
竹内もそのおかずを見て、「確かに……」と頷いている。
ふふんっと得意気に鼻を鳴らすと、箸箱からお箸を取り出す。
「まぁね。私だってこのくらいは……」
そこで虎田は固まった。気付いてしまったのだ。春田に渡したお弁当と自分の弁当の中身がご飯の量以外、変わらないことに……。
(ヤバい……)汗が吹き出る。
双方の弁当のシンクロ率が高すぎることが浮き彫りとなる。そのことに気付いたのは虎田だけではない。貰った春田も同様に気づいた。
(そいうえば……この弁当の中身はどうなんだ?せっかく誤魔化したのに一緒だったら駄目じゃないか?)チラリと虎田を見ると、何かを我慢しているような顔をしていた。
(あ、これ駄目だ……)弁当の包みに手をかけていたが、解くのをやめる。その様子を竹内は不思議な目で見ていた。
「……どした?」
竹内は何故、春田は弁当を広げないのか、疑問を口にする。春田はわざとらしくキョロキョロして、何かを探す素振りを見せる。
「あぁ~っと……飲み物なかったな~、ちょっと買ってくるわ……」
お弁当を持って、その場を後にしようとする。
「あ、めぐに言うよ……」
竹内は高橋に電話をしようと携帯電話を取り出す。
「いや、今日は遠慮する。俺が買いに行くからさ……」
「……荷物は置いて言ったら?」
弁当を握り締めて、屋上を後にしようとする春田に問うが、聞こえないふりをして、ささっと屋上を後にした。
「……は?何あいつ……」竹内はブーたれて、そっぽを向いた。虎田はその行動に対して凄くしょんぼりした。自分のせいで、春田の評価が見る間に下がっていく。
意を決して、竹内に言おうとすると、
「あ、あの……竹内さん……」
「あ、もしかして……委員長の弁当のクオリティにビビったのかも……」
「は?え?そ、そうかな……」見たことの無い竹内の何かに気付いたというような真ん丸な目が、虎田の意を消し去った。春田の状況を生み出した自分に嫌悪しつつも、その表情は意外そのものだったからだ。
(い、いや違う!)心で否定して、また竹内を見据える。ここで何か言わないと、春田の沽券に関わる。一息ついて気持ちを落ち着けると、口を開く。
ガチャンッと入り口が開き、パンを抱えた高橋が屋上にやって来た。
「あ、めぐ……こっちこっち」
高橋は竹内を見て小走りで走ってくる。
「お待たせしました!……この人は?」
虎田を見て誰何を尋ねる。
「ん……クラスの委員長」
「虎田です」
すぐ様、名前を名乗る。
「高橋っす!何か竹さん、最近いっつも違う人といますね」
パンを竹内に渡す。「……そうかな?」と首を傾げる。虎田の覚悟が、高橋の存在のせいと言ったら語弊があるが、気持ちがぶっ飛ぶ。要因とは言える。
「そういえば、さっき先輩がそこで弁当食ってましたよ?喧嘩でもしたんすか?」
それを聞いて竹内はバッと振り替えって「プッ」と笑う。クククッと体を震わせて笑った後、ピタッと急に止まって、無表情のまま正面を向く。
「……やっぱりね」
高橋は「は?」と疑問を浮かべる。竹内が虎田の弁当との格の差の話をすると、高橋も高笑いした。
(違うんです……)
虎田は心の底でそれを否定しつつも、あわせて苦笑いした。
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