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第五十六話 問題
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「何故だ!」
バンッと立ち上がる。
「いや、やる気があるのは結構なんですが……計算ができない、頭を下げない、敬語も使えないではウチでは雇えないです。力に自信があるなら建築現場とかで、その腕力を振るわれては?」
ガッカリしたヤシャがスーパーから出てくる。
「その様子ではまた断られたみたいですね」
「履歴書とかアポとかめんどいからってその辺省いても、面接で通るわけがないよねぇ。だってヤシャって頭下げらんないし」
さっき言われたことを改めて言われたヤシャはさらにガクッと肩を落とす。
「また建築現場行けって言われた……」
3人は「はぁ……」っとため息を出す。というのも、接客が無理な事くらい分かっていたので、真っ先に建築現場に行ったのだ。現場に入った時は単なる太々しい、でかい女程度の印象だったので、通常の業務通り、重機の使い方を教えてもらっていた。だが、ヤシャにはこの工程そのものが無駄に感じた。
最初こそ順調だったが、重機を使う手間を省くため素手で何でもやり始めたら、現場監督はビビッて逃げた。最初はいやらしい目で見ていたチャラ男たちも恐怖で漏らすほどだ。
ポイ子とマレフィアがわずか5分、目を離したらまさかのこの様だ。
記憶の消去を行い、お金を受け取るのもはばかられたので、結局30分無駄にしただけだった。
その後もバイトを転々としたが、次の場所では尻を触られたと言って半殺し、鉄骨5本を誰の力も借りずに肩に担ぎ、持ち運ぶ姿を目撃され、記憶消去。現場作業はお金にならないと言う事で、接客業にシフトしたが、やはりどこも雇わない。
「人間が脆弱すぎる。その上、精神も弱い。聖也の言った通り、私にはこの世界は小さすぎるのか……」
悔しがるヤシャ。
「これ思うんだけど、ポイ子ンが出稼ぎして、ヤシャが自宅待機の方が現実的じゃない?そこんとこはどう思っているの?」
「どうもこうもないだろ。この世界での有用性を見せねば、せっかく市民権を得たのに、全くの無意味じゃないか。諦めて帰る以外に方法はないのか……」
肩を落とす。
「いや、敬語を使いましょうよヤシャ様。そこからじゃないでしょうか?」
それはその通りだが、ヤシャに敬語など出来まい。まして頭を使うのが苦手なヤシャに、接客業務は不可能だと断言できる。ポイ子も言ってから気づいた。
「いや、ヤシャ様に接客は無理ですね。死人が出てからでは遅いですし……」
クレーム対応中に殴り殺す映像が出てから考えを改めた。
「どうしたらいいんだ……」
もう既に17時を回っている。春田も帰宅した事だろう。もう帰らなければならない。
「あれ?聖也様の気配が……」
その時、ふと、すぐ近くに春田の気配を感じる。
「なんだ、あいつ町に来ているのか?まっすぐ帰らないとは不良な奴め……」
「いいじゃん、一緒に帰れるよ。聖ちゃんと合流しましょ」
3人は「仕方ないなぁ」といった感じで、そろって歩く。その際の会話は「今日の晩飯は何にするか?」だった。気配を辿って進んでいると、おしゃれなカフェが見えてきた。
「な!?あ、あれは……」
そこで見えたのは店のテラスで優雅にお茶を飲む春田と滝澤の姿だった。
バンッと立ち上がる。
「いや、やる気があるのは結構なんですが……計算ができない、頭を下げない、敬語も使えないではウチでは雇えないです。力に自信があるなら建築現場とかで、その腕力を振るわれては?」
ガッカリしたヤシャがスーパーから出てくる。
「その様子ではまた断られたみたいですね」
「履歴書とかアポとかめんどいからってその辺省いても、面接で通るわけがないよねぇ。だってヤシャって頭下げらんないし」
さっき言われたことを改めて言われたヤシャはさらにガクッと肩を落とす。
「また建築現場行けって言われた……」
3人は「はぁ……」っとため息を出す。というのも、接客が無理な事くらい分かっていたので、真っ先に建築現場に行ったのだ。現場に入った時は単なる太々しい、でかい女程度の印象だったので、通常の業務通り、重機の使い方を教えてもらっていた。だが、ヤシャにはこの工程そのものが無駄に感じた。
最初こそ順調だったが、重機を使う手間を省くため素手で何でもやり始めたら、現場監督はビビッて逃げた。最初はいやらしい目で見ていたチャラ男たちも恐怖で漏らすほどだ。
ポイ子とマレフィアがわずか5分、目を離したらまさかのこの様だ。
記憶の消去を行い、お金を受け取るのもはばかられたので、結局30分無駄にしただけだった。
その後もバイトを転々としたが、次の場所では尻を触られたと言って半殺し、鉄骨5本を誰の力も借りずに肩に担ぎ、持ち運ぶ姿を目撃され、記憶消去。現場作業はお金にならないと言う事で、接客業にシフトしたが、やはりどこも雇わない。
「人間が脆弱すぎる。その上、精神も弱い。聖也の言った通り、私にはこの世界は小さすぎるのか……」
悔しがるヤシャ。
「これ思うんだけど、ポイ子ンが出稼ぎして、ヤシャが自宅待機の方が現実的じゃない?そこんとこはどう思っているの?」
「どうもこうもないだろ。この世界での有用性を見せねば、せっかく市民権を得たのに、全くの無意味じゃないか。諦めて帰る以外に方法はないのか……」
肩を落とす。
「いや、敬語を使いましょうよヤシャ様。そこからじゃないでしょうか?」
それはその通りだが、ヤシャに敬語など出来まい。まして頭を使うのが苦手なヤシャに、接客業務は不可能だと断言できる。ポイ子も言ってから気づいた。
「いや、ヤシャ様に接客は無理ですね。死人が出てからでは遅いですし……」
クレーム対応中に殴り殺す映像が出てから考えを改めた。
「どうしたらいいんだ……」
もう既に17時を回っている。春田も帰宅した事だろう。もう帰らなければならない。
「あれ?聖也様の気配が……」
その時、ふと、すぐ近くに春田の気配を感じる。
「なんだ、あいつ町に来ているのか?まっすぐ帰らないとは不良な奴め……」
「いいじゃん、一緒に帰れるよ。聖ちゃんと合流しましょ」
3人は「仕方ないなぁ」といった感じで、そろって歩く。その際の会話は「今日の晩飯は何にするか?」だった。気配を辿って進んでいると、おしゃれなカフェが見えてきた。
「な!?あ、あれは……」
そこで見えたのは店のテラスで優雅にお茶を飲む春田と滝澤の姿だった。
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