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第133話 取り合い
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「あ"あ"~……」
のぼせた春田の体は茹で上がったタコのように真っ赤になっていた。
あの後、美女3人に囲まれて湯船に浸からされた上、3人が3人とも春田を取り合って肌の密着までしてきた。男にとって夢のような事態に立たされた結果、倒れてしまったのだった。
自分でも情けないと思いながらも体は動かず、ヤシャに運ばれて滝澤のベッドに寝かされた。気絶直前だったため当然自分で下着を着れる状態になく、ナルルがせっせと世話をしていた。
替えの下着をあらかじめ滝澤の方で用意してくれていたので、スムーズに事が済んだ。
「春田さん、お加減はいかがでしょうか?」
滝澤は困り顔で心配してくれた。結局全てを見られた春田は恥ずかしさと情けなさでこのまま溶けて消えて失くなりたかったが、そんな事は出来ない。泣くくらいしか出来ない。
「お、おい大丈夫か?して欲しい事があったら何でも言えよ?」
ヤシャはオロオロしながら春田を看る。ナルルも側で春田の額を触ったり頬を撫でたりと一番スキンシップが激しい。ただ、ひんやりとした冷たい手で触っているので火照った体を冷やすのに丁度良い。さっきまで一緒に風呂に入っていたとは思えないほどだ。きっと魔法か何かだろう。
「まぁそう慌てるでない。聖也は単に湯でのぼせただけにすぎん。ここで涼んでおればすぐにも回復しよう」
ぼんやりした頭でナルルの言葉を聞く。このまま意識を飛ばして寝てしまいたかったが、そうもいかない言葉が聞こえてくる。
「後はわらわに任せて二人は部屋に行くが良い」
「あ、大丈夫です。わたくしにお任せください。ここはわたくしの寝室ですし、一晩中看護致します。どうぞお二人はお休みいただいて……」
「バカな。聖也がこの調子なのに休んでいられるか。私が側にいる。聖也がいてここで寝られないと言うなら私の部屋に移動させるぞ」
3人は春田の看護を自ら買って出て、且つ一人で看護したいと春田を取り合った。
「わらわはそれこそ完璧に春田を看護し、回復に導く手立てを持っている。お前らにそれがあるのかい?」
「ぬっ……私は回復に特化していないが……でも一緒にいることは出来る!」
「ナルル様は先程ただのぼせただけで安静にしていれば治ると仰ったではないですか?それにわたくしは人体の構造にも詳しく、体を冷やす手立てならございます。春田さんの事はどうかわたくしにお任せ願えませんか?」
3人は一歩も引かない。言葉と思いでバチバチ争う。
「まあまあ、お三方とも矛をお納めください」
そこに突然生えてきたポイ子が宥め始めた。
「何だお前は!突然やって来てしゃしゃり出るな!」
ナルルは3人の間に立ち諫めようとするポイ子に怒鳴り上げる。
「し~……もう夜中ですよ?もう少し声を落としてください。聖也様にも迷惑になりますよ?」
怒りに任せて手が出そうになっていたナルルも春田の名前を出されたら弱い。春田をチラリと見た後ぐぬぬっと歯を食いしばって声を抑える。滝澤はポイ子の突然の登場に驚いて思わず閉口してしまう。扉を開けた音も聞こえなかったし、この場所を教えたわけでもない。他の2人はまるで最初からいるように接しているが、これに驚かない人間はいないだろう。
「で?何の用だポイ子」
ヤシャは腕を組んでポイ子を見下ろす。
「聖也様はあなた方に任せるべきでないと判断いたしました。とはいえ私が代わると言えば戦争になるでしょう。なので、この私に良い考えがあります」
「……それはなんじゃ?勿体ぶらずに言え」
ポイ子は部屋の入り口付近を指す。
「ここは菊池のお兄さんにお任せするのです。男同士であれば間違いが発生する事も無いでしょう」
それを聞いて3人の顔が変わる。
「何を間違えるというんだ?」
「そうですよ。間違いだなんて……」
「わらわを何だと思うておるのか」
ポイ子が見透かしたような目で3人を見た後説明に入る。
「何故3人とも協力しようとしないのでしょうか?聖也様を看護するだけなら独り占めする理由などないでしょう?」
答える事が出来ない。正に図星という奴だ。そんな中ナルルだけが焦って声を上げる。
「なっ……さ、3人もいたら邪魔じゃろうが!看護だけなら1人で良いし……」
「はぁ……ナルル様、見苦しいとは思いませんか?どさくさ紛れに既成事実を作ろうなど愚の骨頂です。あなたの私欲を満足させるための時間ではありませんよ?重要なのは聖也様の健康だと言う事をお忘れなく」
ポイ子の良い方はキツいものがあったが、その通りだと言わざるを得ない。これには滝澤も何も言えない。呼び鈴を持ってチリンチリンと鳴らした。綺麗な鈴の音に誘われ、やって来たのは菊池妹だ。
「お呼びでしょうか?」
「すいません菊池さん。お兄さんの方に用があるので呼んで来ていただけないでしょうか?」
ポイ子が進んで質問に答える。菊池妹が滝澤を見るとコクリと一つ頷いた。
「……お呼びいたします」
スッと礼をして下がる。菊池兄がやって来るその間も3人が牽制しあい、到着と同時にその波も治まった。菊池兄妹が事情を知り、担架を持ってきたことで別の部屋への移動が決定した。
のぼせた春田の体は茹で上がったタコのように真っ赤になっていた。
あの後、美女3人に囲まれて湯船に浸からされた上、3人が3人とも春田を取り合って肌の密着までしてきた。男にとって夢のような事態に立たされた結果、倒れてしまったのだった。
自分でも情けないと思いながらも体は動かず、ヤシャに運ばれて滝澤のベッドに寝かされた。気絶直前だったため当然自分で下着を着れる状態になく、ナルルがせっせと世話をしていた。
替えの下着をあらかじめ滝澤の方で用意してくれていたので、スムーズに事が済んだ。
「春田さん、お加減はいかがでしょうか?」
滝澤は困り顔で心配してくれた。結局全てを見られた春田は恥ずかしさと情けなさでこのまま溶けて消えて失くなりたかったが、そんな事は出来ない。泣くくらいしか出来ない。
「お、おい大丈夫か?して欲しい事があったら何でも言えよ?」
ヤシャはオロオロしながら春田を看る。ナルルも側で春田の額を触ったり頬を撫でたりと一番スキンシップが激しい。ただ、ひんやりとした冷たい手で触っているので火照った体を冷やすのに丁度良い。さっきまで一緒に風呂に入っていたとは思えないほどだ。きっと魔法か何かだろう。
「まぁそう慌てるでない。聖也は単に湯でのぼせただけにすぎん。ここで涼んでおればすぐにも回復しよう」
ぼんやりした頭でナルルの言葉を聞く。このまま意識を飛ばして寝てしまいたかったが、そうもいかない言葉が聞こえてくる。
「後はわらわに任せて二人は部屋に行くが良い」
「あ、大丈夫です。わたくしにお任せください。ここはわたくしの寝室ですし、一晩中看護致します。どうぞお二人はお休みいただいて……」
「バカな。聖也がこの調子なのに休んでいられるか。私が側にいる。聖也がいてここで寝られないと言うなら私の部屋に移動させるぞ」
3人は春田の看護を自ら買って出て、且つ一人で看護したいと春田を取り合った。
「わらわはそれこそ完璧に春田を看護し、回復に導く手立てを持っている。お前らにそれがあるのかい?」
「ぬっ……私は回復に特化していないが……でも一緒にいることは出来る!」
「ナルル様は先程ただのぼせただけで安静にしていれば治ると仰ったではないですか?それにわたくしは人体の構造にも詳しく、体を冷やす手立てならございます。春田さんの事はどうかわたくしにお任せ願えませんか?」
3人は一歩も引かない。言葉と思いでバチバチ争う。
「まあまあ、お三方とも矛をお納めください」
そこに突然生えてきたポイ子が宥め始めた。
「何だお前は!突然やって来てしゃしゃり出るな!」
ナルルは3人の間に立ち諫めようとするポイ子に怒鳴り上げる。
「し~……もう夜中ですよ?もう少し声を落としてください。聖也様にも迷惑になりますよ?」
怒りに任せて手が出そうになっていたナルルも春田の名前を出されたら弱い。春田をチラリと見た後ぐぬぬっと歯を食いしばって声を抑える。滝澤はポイ子の突然の登場に驚いて思わず閉口してしまう。扉を開けた音も聞こえなかったし、この場所を教えたわけでもない。他の2人はまるで最初からいるように接しているが、これに驚かない人間はいないだろう。
「で?何の用だポイ子」
ヤシャは腕を組んでポイ子を見下ろす。
「聖也様はあなた方に任せるべきでないと判断いたしました。とはいえ私が代わると言えば戦争になるでしょう。なので、この私に良い考えがあります」
「……それはなんじゃ?勿体ぶらずに言え」
ポイ子は部屋の入り口付近を指す。
「ここは菊池のお兄さんにお任せするのです。男同士であれば間違いが発生する事も無いでしょう」
それを聞いて3人の顔が変わる。
「何を間違えるというんだ?」
「そうですよ。間違いだなんて……」
「わらわを何だと思うておるのか」
ポイ子が見透かしたような目で3人を見た後説明に入る。
「何故3人とも協力しようとしないのでしょうか?聖也様を看護するだけなら独り占めする理由などないでしょう?」
答える事が出来ない。正に図星という奴だ。そんな中ナルルだけが焦って声を上げる。
「なっ……さ、3人もいたら邪魔じゃろうが!看護だけなら1人で良いし……」
「はぁ……ナルル様、見苦しいとは思いませんか?どさくさ紛れに既成事実を作ろうなど愚の骨頂です。あなたの私欲を満足させるための時間ではありませんよ?重要なのは聖也様の健康だと言う事をお忘れなく」
ポイ子の良い方はキツいものがあったが、その通りだと言わざるを得ない。これには滝澤も何も言えない。呼び鈴を持ってチリンチリンと鳴らした。綺麗な鈴の音に誘われ、やって来たのは菊池妹だ。
「お呼びでしょうか?」
「すいません菊池さん。お兄さんの方に用があるので呼んで来ていただけないでしょうか?」
ポイ子が進んで質問に答える。菊池妹が滝澤を見るとコクリと一つ頷いた。
「……お呼びいたします」
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