一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
3 / 718
第一章 出会い

第二話 未知との遭遇 前

しおりを挟む
「ドラキュラ城」

吸血鬼一族と呼ばれる、数百年前に滅ぼされた種族が根城にしていた遺跡だ。

その力は下位の魔族を軽く凌駕し、上級魔族に匹敵したとされ、再生能力は他の追々を許さない程だったという。

怖いのはその能力は基本能力と言う事だ。生き血をすすることでさらなる強化を得る、とんでもない化け物だったのだ。

殺すことが最も難しいので不死身との噂もたっているくらいだった。

しかしそのとんでもない力のせいなのか繁殖能力がほとんどなく一族は数の少なさから固まって生活していた。人の国を個体で、しかも短期で破壊可能な連中が、数を減らすまいと集団行動する様は、人にも魔族にも脅威でしかなかった。

だがそんな吸血鬼一族の繁栄は思ったほど長くは続かなかった。

魔族側にとんでもない力を保有した魔王が生まれたのだ。
現在も在籍するその魔王は、戦場にその名が挙がるだけで人類は撤退を余儀なくされる。そして当時より魔王の質が高くなったとされる現在も円卓最強の名をほしいままにする。

魔王の二つ名は”みなごろし”。

当時は円卓に入ったばかりで第10魔王に位置していた。
今もそのままなのか、はたまた数字は変わるものなのか人類側はその詳細を掴んではいないものの最も警戒する戦力の一つだ。そしてその魔王が行った最初の所業こそ吸血鬼一族の掃討。

吸血鬼一族も抵抗したが再生を上回る猛攻でその数を着実に減らしていった。その掃討劇から一匹だけ逃げ延びた吸血鬼がこの城の主と言われている。

命からがら逃げ伸びた吸血鬼は寝床を探した。誇り高い生き物である吸血鬼はその辺の建物では満足できず、この城を見つけ強襲した。

城の主は吸血鬼に城を明け渡し、命からがらここアルパザに逃げ延び当時村だったこの場所を、町まで復興させたそうだ。領主の伝記に、本人にインタビューした記録が残されていた。

「かの者は美しくも恐ろしい存在であった。女性の姿かたちはしているものの、芯から凍り付くほど寒気を感じたのだ」

その伝記によれば、姿は女性で、まるで蝋燭のように白い肌。異様に長い犬歯に、瞳が赤く、白目の部分が黒かったという。

領主以外は生き血をすする目的で殺されてしまったようで、交換条件が飲まれなければ、全員死んでいたのだろう。単純に吸血鬼の気まぐれで生き延びた。その後も命知らずが、吸血鬼を一目見てやろうと、あるいは退治しようと何度か城に入っていったが、生き延びたのは後にも先にも領主だけだった。

そして最後の犠牲者が出たその丁度100年後に、侵入を試みるものが現れた。

彼の名はラルフ。

今日を狙ったのは他でもない丁度100年目というプレミアム感を狙ってのことだ。

自分でも死者を冒涜する考えだと認識してはいたが、久々に訪れたアルパザで日銭を稼いでいた折、噂を耳にしてしまっては放っておくわけにもいかない。その上、領主は命からがら生き延びたのだ。

着の身着のまま飛び出したとあれば、財産はいまだあの城に眠っている。

トレジャーハンターは未開の土地でこそ、その真価を発揮するというもの。そもそも一攫千金が目当てでもあるのに、宝を前に指をくわえているなど名が廃る。アルパザに初めて来た時から噂は耳にしていたが、当時は若くまだ経験が浅かったしなにより怖かった。いわゆる野性的直感で危険を察知しあえて回避していた。

今は経験も積み自信をつけた。万が一の装備だって経費は掛かったが身に着けた。楽観的にも感じるが吸血鬼の脅威を回避できるだろう。少なくとも魔獣なら楽勝だ。

「アルパザの底」の店主はもちろん猛反対した。それもそのはず、かの化け物がたかだか100年くらいで死ぬはずがないからだ。1,000年、2,000年経っていれば、まぁ許されたかもしれない。そんな反対を押し切り、城の入り口にラルフは立っていた。

「こうしてみれば不気味だよなぁ…」

町から見れば単なるランドマークだが、近くに来れば老朽化が進んでいるのがよく分かる。ツタがはい回り、壁に苔が生え、白かったであろう壁は黒くくすんでいる。

城という外観から察するに、ずいぶんと気合の入ったお化け屋敷という印象だ。

ラルフは装備品を入念に確認する。

ライト、遠距離用と近距離用の武器、ピッキング類、携帯食料、飲料水、火付け器具、魔獣のフェロモンスプレー、魔獣撃退用スパイスのスプレー、煙幕玉、閃光弾、火薬、投げ縄、潤滑油、消臭剤、メモ帳、文具、スコップに刷毛、回復アイテムetc...

何度もチェックし出しやすさを考慮しジャケットに、パンツに、ハットの中に、カバンにと使いやすい位置にそれぞれ仕舞っていく。

ようやく準備が完了した頃には昼近くを回っていた。
これに関しては予定通りである。

吸血鬼伝説の一説に日の光を嫌うとある。信じすぎるのも危険だが、本当なら今この時こそチャンスだろう。ラルフは若干の不安はあるものの期待に胸を膨らませ、門に手をかける。

と、さび付いている蝶番に目が行く。このままでは音が鳴る。油をさしつつ慎重に門を開ける。

ギキィィ……

無音には程遠いが深く眠る魔獣ならごまかせる程度には抑えた。無論、吸血鬼が経験則にない聴力を持っていれば今ので侵入がバレる。

しかしここで留まるほど若くはない。慎重かつ大胆に内部へと侵入する。侵入に成功し真っ先にクリアリングに入る。そこで目に飛び込んできたものにラルフは驚き、戸惑い、ほんの一瞬思考が停止した。

入ってすぐ上に続く大きな階段と大きな広間が目に入る。流石に城というだけあって玄関が広い。だがこの程度の広さは他の遺跡で体感しているので、別段驚くほどでもない。

広間の中央に何故か鎮座する石の塊。
天井が抜け、ほぼ真上にある太陽が日差しを城の内部に侵入させ、その石の塊を照らしている。そしてその石の上に血みどろの人が乗っかていた。

(吸血鬼の新たな犠牲者がすでにいたのか?)

そうとしか思えない血液の量だった。ラルフは注意しながらその人に歩み寄る。長い金髪の女性だ。パッと見死んでいるようにも見えたが、胸の部分が動いている。まだ生きている。それを認識したラルフの行動は早かった。

石の上から慎重に降ろし、彼女を背負って城から出た。少しばかり離れた場所に作った野営地まで走り、女性の手当てをし始めた。回復アイテムを使い、傷をある程度修復したのち、包帯を使って傷を覆う。
回復アイテムのおかげで深い傷は消えたので、傷を縫うまでもなく自然治癒に任せられる。

治療を終えたころ熱が上がり始めたので、水を使って布を湿らせ額をぬぐう看病がひと段落を迎えたころ空は赤く日は落ちかけていた。丁度100年目の侵入に最適な時間が終わりを迎え、プレミアムタイムは過ぎさった。

ラルフは落ち込みはしたもののある種の満足感を得ていた。吸血鬼から100年目の犠牲者を出さなかったのだ。これは誇るべきことだ!と自分を慰めたためだ。

そこで女性に目を落とす。
綺麗な女性だ。
金色の髪の毛はお尻にかかるほど長く、肌は浅黒い。耳が長いのが特徴的なこの女性は、噂に聞くダークエルフだろう。

城には侵入した形跡がないことから、きっと屋根に上り崩れて落ちてしまったのだろう。そこで運悪く吸血鬼に見つかり半殺しの憂き目にあったのだ。と結論付けた。

なぜ上ったのか、吸血鬼の見た目など聞きたいことがあるのでラルフは彼女の目覚めを待った。

夕暮れ時が過ぎ去りあたりを闇が支配した頃、ラルフの起こした焚火たきびの火で金髪のダークエルフは目を覚ました。

「おはよう!よく眠れたか?」

ラルフは冗談交じりに寝起きのダークエルフに声をかけた―。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...