一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

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第七章 誕生

第四話 合間

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「嘘だろ……錚々そうそうたる面子じゃねーか」

 ラルフはその名前の羅列に畏怖する。人類でこれ程頼もしい者達を列挙すれば、それは白の騎士団くらいだろうと豪語出来る。知る者にとっては名前を聞くだけでも驚愕を隠せない程に凄い事ではあるが

「どノくらい凄い事なんじゃ?」

 知らない者には分かる筈もない。

「魔族で分かりやすく例えるなら魔王が六柱揃うレベルだ。おっと、あくまで例えだからツッコミは無しな」

 ラルフの返答を聞いた途端に口を開いたベルフィアだったが、ラルフの高速の牽制にムスッとして口を閉じた。

「はっは……あながち間違いでは無いのぅ。それくらいの気持ちが無いと魔族となんぞ戦えんしな」

 アスロンは笑うが、その顔は寂しそうだった。

「でもおかしくない?いくら極秘だからって、そんな凄いって人達がやった任務をラルフすら知らないなんて」

 表や裏、役に立つ立たない関係なしに情報を集めてきた情報通が知り得ない勇者一行の素性。ミーシャが疑問に思うのも無理はない。

「えーっと、なんて言ったらいいのか……活躍してた当初ならもっと詳細な情報が出回ってたかもだが、なにせ時期が違うからな。噂は程度にもよるけど俺が聞いた編成パターンは三つ。アニマンが多めだったとか、バードとホーンは居たけどヒューマンは三人だったとかさ」

「ちょっといいかな?おじいさんのお話とラルフの情報を聞いて思ったんだけど、ドワーフとマーマンが出てこないのはなんで?詳細聞いても良い?」

 アンノウンは興味津々に話に入ってきた。それに答えたのはアスロンだ。

「ふむ、ドワーフは戦士として優秀なんじゃが、そもそも里から出たがらんでな。まぁ戦闘以外にも物作りの才は種族一、故に戦争で職人を失うくらいなら戦わん方が良いという考えもある。マーマンは生活圏から既に儂らと違う。水中こそが領域の彼らに陸上で戦えなど酷な話じゃからじゃな」

「なるほど、事情が分かれば単純な話だね」

 アンノウンは即座に納得するも「アタシ モ チョット良イ?」とジュリアが声を上げた。

「ソモソモ何デ マーマン ハ 人類ノ側ナノカ、ソレガ分カラナイ。アタシ達 魔獣人 ト アニマンノ違イナンテ、顔ト体毛クライデショ?魚顔ノ マーマン ハ ドウシテ……?」

 当然の疑問だ。種族ごとに並べれば一目瞭然。ヒューマンは言わずもがな、エルフは耳が長いだけのヒューマン。アニマンは獣耳と尻尾を付けたヒューマンで、ドワーフはヒゲもじゃの小人。バードは羽根を付けたヒューマン、ホーンは角を付けたヒューマンだ。この六種はベースにヒューマンがある。
 ならばマーマンは?二足歩行の魚だ。魔獣人の近親種とも呼べそうな見た目を鑑みれば、種族的には魔族に近い。

「なんだジュリア、知らないのか?マーマンは無理やり人類の側に引き入れたんだぞ」

 ラルフは何でも無いように答えた。

「へ?なにそれ」

 ミーシャも「何が何だか」といった顔で聞いてくる。ラルフは教師にでもなったつもりで姿勢を正した。

「よし、良いか?マーマンを味方に出来れば、海の領有権は味方にした奴の物だ。海を手に入れられれば海産物も海路も手に入れられる。だというのに魔族は積極的に取りに行かなかった。それもそのはず、ジュリアと考えが同じで、見た目が魔族っぽいから油断してたのさ」

「見た目が魔族っぽいから」というのはラルフのこじつけだ。魔族に本当の所を聞けないので、多分そうだろうと決めつけた。その辺はさらっと流しつつラルフの解説は続く。

「日和見だったマーマンは戦いから避けて気ままに暮らしてた。どっちにも肩入れしてないからこそ、力の弱い人類は海を手に入れる事で魔族に対抗しようと必死にアプローチしてた。でもマーマンは静観を決め込んだんだ。自分達の価値をさらに上げる為にな……」

 勿体ぶった言い方に気が焦る者もいるが、それを無視して続ける。

「そんなしたたかなマーマン達だったが、割とすぐに人類側に着く事になる。その理由は白絶の暴挙だ。何を思ったか、マーマン狩りを始めたあの事件だな。これには魔族側も焦ったのか白絶を止める為に黒雲が戦場に出てきたって歴史書にある。そのお陰でマーマンは絶滅の危機を逃れた。魔族に恐怖した彼らは魔族から雲隠れし、黒雲の努力も虚しく魔族の敵になったってわけだ」

 長ったらしい説明を終えたラルフは誇らしげに鼻を鳴らす。しかし感心しているのはアスロンくらいで、みんな「ふーん」とあまり関心がない。それもそうだろう、アスロンの話が聞きたいのにマーマンの話に脱線している。

「マーマンはもういいんじゃな~い?おじいちゃんの話の続きを聞きましょ~よ」

 シーヴァがつまらなそうな顔で横槍を入れた。

「おまっ……せっかく説明してやったのに……」

 ラルフはガクッと肩を落とす。

「でも確かに言えてますよ。ラルフさんの話はためになりましたけど、問題はそこじゃないですもん」

 アルルはシーヴァに同調しつつアスロンに顔を向けた。

「アイナって人は私のお母さんでしょ?ブレイブさんと良い感じだったみたいだけど、もしかして私はブレイドと腹違いの兄妹だったりするの?」

 アスロンは口ごもる。どう言ったら良いか考えているようだ。しかし、口より行動が先に出た。首を横に振ったのだ。二人がブレイブの子である事は完全に否定した形だ。

「……そう。それが分かったら一先ず安心かな。続きを話してよおじいちゃん」

「う、うむ……皆、気になる事は多々あるとは思うが、続きを話すぞ。チーム結成から数日、儂らの力を使う時がやって来た。ヴォルケインの領内で魔族の進行が確認されたのじゃ。儂らは問題の場所に急行した……」



「ここって結構危険な場所だったりするわけ?クリムゾンテールじゃあるまいし、魔族が進行してくるとか……」

「オ?オ前、喧嘩売ッテンノカ!?母国ノ悪口ハ許サネェゾ!」

 イーリスの愚痴紛いの呟きにベリアは敏感に反応した。

「無駄口を叩くな。貴様らと居ると疲れる」

 オリバーは警戒を強めながら二人に指摘する。彼の虫の居所が悪いのはいつもの事だが、いつも以上にピリピリしてるのは魔族を警戒してだ。索敵のソースを他に割きたくないといったところか。

「み、皆さん、仲良く行きましょうよ。仲良く」

 ソフィーは仲を取り持とうとするが、無視された。アスロンは「やれやれ」といった顔で呆れている。

「俺達の領地に入ってくるなんて良い度胸だ。ブッ飛ばしてやろうぜ!」

 先導するブレイブは妙に楽しそうに仲間を鼓舞した。しばらく進むとヴォルケインの兵士が警戒しながら、陣形を組んでいるのが見えた。

「やっ、ご苦労さん。状況は?」

「あちらを……」

 指し示した先を見ると、魔族と思われる軍団がやって来るのが見えた。魔獣人、オーク、インプ、デーモン、そして魔獣。様々な魔族がひしめき合って行軍している様は悪夢でしかない。本来ならここで陣形を組んでいる兵士は、全滅と引き換えに魔族を少しでも減らす事が仕事となる。つまり一人として生き残る道は無かったのだが、ここに最強のチームが運良く最高のタイミングで集っていた。何よりも頼もしい味方だ。

「俺ガ引キ付ケル!オ前等ハ雑魚デモ狩ッテナ!!」

 いの一番に飛び出したのはベリア。体の頑強さを武器にタンクを買って出た。願っても無い事だが、まだ何も作戦を立てていない状況で飛び出すのは無謀という他無い。

「……世話の焼ける」

 オリバーは弓に矢を番えた。

「待った。援護射撃も欲しいところだが、それより空飛んでる奴を頼めるか?空はイーリスとオリバーに任せる。俺とベリアで下を引き付けて、アスロンがどでかい魔法をガンガンかます。ソフィーは回復担当。傷付いたのがいたら迷わず回復よろしく。兵士諸君は俺達が取り零した魔族を狩るって事で……」

 ブレイブの機転で即席の作戦が出来上がる。ベリアを除く味方はこの提案を聞き入れた。

「うむ」

「ま、良いんじゃない?」

「……異論はない」

「あ、えっと……私も無いです」

「了解しました。我々もその作戦に従事します」

 ブレイブは全員の了承を得ると、無骨なロングソードを引き抜いて前方にかざした。

「よぉし行くぞ!目にもの見せてやれ!!」
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