一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

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第十一章 復讐

第三十二話 あの時、その時、この時……

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──数分前──

「マジかよ……」

 驚愕するラルフの元にやってきたのは、第四魔王"竜胆"ことティアマトと第十二魔王"くろがね"だった。

「あの……ミーシャ?」

 ラルフは不安そうな顔をミーシャに向ける。ほぼほぼ無傷の最強の敵が目の前に揃い踏みとなると、しものラルフも平常心ではいられない。
 特にティアマトは共に釜の飯を食べたというのに、今回の戦いでは敵として立ちはだかった。ここに連れてきたということは、攻撃されることはないと確信してのことだろうが、危険ではないと判断するには些か理由が足らない。
 ラルフの不安を察したミーシャは、鉄とティアマトの顔を覗き込む。鉄は頷き、ティアマトはそっぽを向いた。

「あ、大丈夫大丈夫。こいつらは降伏したから受け入れたの。つまり捕虜みたいなものね」

「はは、魔王クラスを捕虜ね……」

 ミーシャの笑顔に苦笑いで答えた後、ラルフは大きく息を吸って気持ちを落ち着ける。

「ようこそ俺たちの要塞へ。くろがねだっけ?会うのは二度目だな。俺を覚えてると良いが……」

「貴様を忘れるなど有り得ん。ヲルトの地を……それも円卓会議の場で我らを相手取り、図に乗った人間など歴史上存在しなかった。魔王が貴様如きに虚仮こけにされたと、後世に語り継がれないのがせめてもの救いよ」

「ああ、あれね。俺には何も出来ないから、せめて見栄を張るくらいしなきゃって必死だったのさ。気に障ったと思うが、俺なりに必死だったから勘弁な」

 ラルフは肩を竦めておどける。そして視線はそのままティアマトに向かう。チラッと目があった彼女はプイッと顔を背けた。

「こいつぅ……俺たちをイミーナに売っておいて、よくもノコノコ戻れたもんだな。幸い犠牲者は一人も居なかったから良かったものの、万が一何かやってたらここには居られなかったぞ?」

 ラルフの言葉に引っ掛かりを覚えたティアマトは反論する。

「犠牲者がいないですって?一人殺したわ。まさかあの女は仲間じゃないとかそういう……」

 言い掛けて言葉に詰まる。ズラッと並ぶラルフ一行の中に、確かに殺したはずのアンノウンの姿があったからだ。

「そんな……ふ、双子?とかそんなのよね?」

「私は私一人だけだよ?私を殺した夢でも見たの?」

「ゆ……ふざけてるの?」

 いや、考えてみれば、腹を貫いた時のあの感触。そして空中に浮かんだドラゴンを排出する鏡の存在。僅かばかりの可能性の中に”もしかすると死んでいないのかも知れない”と確かに思っていた。
 身代わり魔法か、幻術の類。この得体の知れない女が得意とする魔法にその答えがあるのだろうが、知りようがないので今みたいにはぐらかされたらそれっきりだ。

「ふざけているのはどっちだ?まーだ自分の立場ってもんが分かってねぇ。後でたっぷり分からせてやるからな」

 ラルフは踵を返して大広間に向かう。鉄はラルフのことを測りかねていた。捕虜とはいえ、敵を前にして無防備に背中を見せるなど恐怖はないのか?いや、話を聞いて何となく心を許したのかも知れない。さっきまでビクビクしていたというのに、今はこんなにも堂々としているのを鑑みれば、少なくとも敵に思われていないように感じる。または攻撃されても誰かが防いでくれるという信頼か。いずれにしても一般的な感性ではない。
 と、ここでアンノウンがラルフに声をかける。

「そういえばティアマトが屋上で言ってたけど、この要塞は監視されているようだよ?ウィーが最初に気づいたって彼女が……」

「へぇ、ってことは今現在も監視されているかな?……イーファ」

「何です?」

「ウィーを呼んできてくれ。上空の敵を確認したい」

「分かりました」

 イーファがウィーを迎えに行っている間に、誰が上空の敵を捕まえるかを決めようとする。と言っても空を飛ぶものに限定される。アンノウンが召喚し、魔獣の背に乗れば誰でも空を飛べる。が、自由自在とまではいかないし、何より敵に悟られて逃げられてしまう。
 敵に気付かれずに近づいて捕まえられれば御の字。死なせたら、さらに拗らせるかも知れない。
 となるとミーシャはダメだ。総合一位の彼女は理論上どんな危うい任務だろうとこなせるが、敵には容赦ないので、二人のように降伏しない内は捕虜は取らないだろう。
 ならばベルフィアどうか?戦闘狂で血を常に追い求める怪物だ。ミーシャからの生け捕りの命令なら素直に聞きそうだが、その性格を知っていてもまず任せる気にはなれない。手足を失っててもご愛嬌、何て言われるのがオチだ。

 ということは、本当の意味で任せられるのはエレノアしか居ない。
 その考えに至ったのを察したエレノアが声をかけてきた。

「私が行ってくるぅ」

 そういうと、イーファの背中を追うようにエレノアも走った。

「……うん、あいつに任せてたら間違いはねぇな」

 ラルフは多少なりとも安心して歩を進める。大広間 兼 食堂に到着すると、二人を椅子に座るように指示した。

「それで?何か話したいことがあるって聞いたが……とりあえず話を聞こうか?」
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