一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
552 / 718
第十四章 驚天動地

第四話 神々の思惑

しおりを挟む
 そもそも何故イイルクオンの住人に特異能力を授けないのか。それはこの世界の秩序のためである。
 この世界で生きる者たちは、生まれ持った種族と才能で過酷な環境を生き抜かなければならない。死なない方法を学び、技術を身につけ、生きる術を見出す。自らを助くる者だけが生き延びることを許されるのだ。

 神の力を授けられる者はイイルクオンの住人で無い者。その理由は今後別の世界でのみ生きることを強いられた者に対する救済措置。身体能力の大幅強化、本来持ち得ない魔力の保有、それだけでも破格であると言える。
 ならどうして特異能力まで授けるのか?特異能力を与えるのは、元の世界に戻してあげられないという謝罪の意味があるのだ。
 時には守護者、時には侵略者と呼ばれる異世界の転移者たち。神から愛され、優遇されていると思われていた力は、実は哀れみから来ていたことを誰も知らない。

 だが、この特異能力の発現方法には授けた神でさえ頭を悩ませる問題があった。どのような特異能力になるかは、発現した者の性格や生き方に依存するというものだ。
 授けた当初こそ問題はなかった。例えば熱血を地で行く性格をしていれば炎の能力が発現し、氷の如く冷徹な意思を持っていれば氷の能力が発現するというように、単純な能力で固定されていたからだ。心の内の最も強い感情、つまりは喜怒哀楽に依存するのだと勘違いしたのだ。
 複雑な能力が顕現しないのなら放置しても問題はない。その考えが浅はかだったと気づくのに時間はかからなかった。

『念力、変身、天候操作……。最も面倒だったのが隠蔽能力だと誰が予想した?』

 ネレイドは過去の情景に思いを馳せる。

『しぶとさという点ではロングマンの”見切り”も厄介だったけど?』

『うむ。特異能力の発現に関して、思った以上に広い分野で違いが観れたのは、幸運でもあり不幸でもある。全てが死に絶えるのも惜しいと思って保存を決定したのは、今となっては良かったのかどうかも分からんな……』

 エレクトラもユピテルも追従する。サトリを除く全員が同じ気持ちであるに違いない。

『理想とする自分を思い描く。それまで積み重ねてきたことが大きく出る。十人十色、千差万別。理想の能力発現法であると私は今でも考えております。だからこそアトムはそれを利用し、転移者を五人も増やしたのですから』

『イリヤ……何が言いたい?』

『面倒ごとを増やした……』

『ミネルバ!貴様には聞いていないぞ!』

『いや、ミネルバの意見こそ正しい。は危惧していた。イイルクオンの住人に特異能力を授けた時、何が発現するのか?とな……。吾は「愛想が尽きた世界からの脱出を望む者」こそが次元に干渉し得る能力を得るのではないだろうかと考えていた。魔族が居て、戦争があって、生きるのにとことん苦労する者に万が一にも与えてしまった時、魔族を超えた別の災厄を持ち込んでしまうかもしれない。これ以上の面倒ごとがあるか?この意見は吾らが一時休息に入る時に提唱したことだったと記憶しているが……サトリよ、何らか弁明することはあるか?』

 ここでようやくサトリに視線が行く。黙って話を聞いていたサトリはコクンと頷いた。

『先ず初めに訂正から。ラルフの小さな異次元ポケットディメンションは収納スペースの確保という観念から来ています。世界の脱出を望んで得たのは創造の能力でしたよ?とはいえ、私はラルフ以外に能力を与えようなど思ってもいません。そのラルフの次元干渉能力も限定的なもの。何度も言うように放っておいても大丈夫です』

『確かラルフとか言うヒューマンは次元干渉について、そこまで興味がないとの触れ込み。捨て置くのは危険ですが、かと言って四六時中監視の目を光らせなくても良い。サトリが強弁したことを精査すればこう言うことになりますが?』

『その通りですよ?何か?』

 イリヤの言葉に開き直るサトリ。

『補足しますと「今は」と言う文言が付きます。今は興味がありません。いずれ自身の能力を試そうとする機会が増えるでしょうね……』



「ワープ?何それ?」

 ラルフは歩から小さな異次元ポケットディメンションの活用法を聞いていた。単なる世間話の一環だったが、歩はワープトンネルの原理がラルフの能力で実現出来るのではないかと考えたのだ。

「ああ、前回の戦争でいろんなとこに任意で穴を開けまくってたからね。そういう考えも出来なくないよ」

 アンノウンも便乗する。ラルフはどうすれば良いか理論を聴きながら試すことにする。

「何だっけ?入り口と出口を別々に作って……」



『……私たちにその探究心を止める術はありません』

 サトリは気丈に言い放つ。エレクトラは腕を組んで苛立ちながら吐き捨てる。

『偉そうに……誰のせいでこんな話し合いになってると思うの?』

『ラルフですね』

『なっ!?自分に罪は無いという気?!』

『もし私に罪があるとすれば、あなた方を巻き込んだことでしょうか?ここまで余裕をなくすことになるとは夢にも思いませんでしたが……』

 空気が冷える。と同時に刺すような殺意が場を支配し、全てのヘイトがサトリに集まるのを感じる。

『ふふ、どうです?悔しかったらあなた方も試してみては?』

『……こう言っては何だがサトリよ。の自慢のミーシャとラルフに対抗するため、吾らは既に手は打っている。らに復讐心を抱いて剣を磨いているであろうな……』

 サトリの眉毛が持ち上がる。

『ネレイド、まだ早いのでは?サプライズも何もあったものでは無いじゃ無い』

『いやいや、我も今聞かされて驚愕しているぞ。これがお前らの対策か』

 ユピテルは目を丸くしながらも、喜びが表情に表れている。サトリは踵を返した。

『サプライズと言われてはこれ以上は聞けませんね。受けて立ちましょう』

 神々の思惑も佳境を迎えている。サトリは満足して現世に戻っていった。

『あっ!?無事に返しちゃったにゃ!!』

 アルテミスの後悔を残して……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...