一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

文字の大きさ
563 / 718
第十四章 驚天動地

第十五話 新規加入者

しおりを挟む
「この度は、本当にご迷惑をおかけ致しました」

 黒影は深々と頭を下げる。エレノアの裏切り発覚後、責任を追求されて光の牢獄へと閉じ込められていた。粛々と罪を償っていた黒影だったが、つい数日前にラルフたちに救い出される。

「そう謝らないでください。もう何度も聞きましたよ?」

 ブレイドとアルルは困り果てたように恐縮する。かなりの時間が経過した中での救出に、助ける側としても彼が死んでいなかったことがもはや奇跡という状況、すぐに助け出せられなかったことに罪悪感を覚える。
 ラルフとミーシャ、そしてベルフィアが、イミーナの勧誘に勤しむ中での出来事。主人であるエレノアまで恐縮して、黒影の重ね重ねの感謝と謝罪が一向に止まらない。こう言っては何だが、こんな時にこそ図々しいラルフの性格を見習いたい。

「……あと何回謝るか賭けてみる?」

「えぇ?そ、そんなの失礼じゃない?」

 アンノウンの悪戯っ子のようなしたり顔に、歩は焦ったように目を丸くする。

「イイジャナイ。今日ノ オ昼ゴ飯ヲ賭ケテ勝負ヨ」

 ジュリアはアンノウンの言葉に乗っかる。歩も入れて三人の今日のお昼ご飯のメイン料理を賭けることになった。
 しかし三人の思惑はご破算となる。

「失礼します。ミーシャ様、ならびにベルフィア様がお戻りになられました」

 デュラハン姉妹のイーファは、和気藹々とする大広間に声がけをした。姉妹の大半を失ってからというもの、自分がしっかりしようという気持ちが出ているのか、前以上に背を伸ばして行儀良くメイド業に専念している。
 そんなイーファの言葉を聞いたみんなの視線が大広間の入り口に集まる。入って来る面々の中にイミーナが居た時の驚きは少なくなかった。

「おいおいイーファ。俺とイミーナを忘れてねーか?」

「……いえ、特にお伝えすることでも無いと感じましたので」

「冷たっ」

 ツンケンする態度の中に哀愁を見たラルフはそれ以上言及せずに大広間に入る。

「イミーナを早速連れて来るなんてぇ、大胆というか何というかぁ……」

 エレノアは体に稲妻を走らせ、警戒心を剥き出しにする。当然だろう。イミーナを仲間に加え入れようという考えは既に周知のものであったが、イミーナが首を縦に振るはずもなければ、振ったとてすぐさまお披露目ということにはならないであろうと踏んでいた。
 裏切りの代名詞とも呼ぶべきイミーナ。そんな彼女を簡単に外に出すなど正気の沙汰では無い。エレノアの警戒心に当てられてか、ブレイドやアルル、アンノウンたち三人も構え始める。

「慌てルな、此奴には妾達を傷付けルことは出来ん。安心せい」

 みんなの警戒を余所に、ベルフィアは興味無さげに口を開く。ミーシャの座ろうとする椅子の背もたれにサッと手を掛け、座りやすいように机から離す。ミーシャの「ありがとう」の言葉に今まで見たことないような目尻の下がった笑顔を作る。
 困惑しているブレイドたちにミーシャが身振り手振りで説明してみせる。

「イミーナは私と”血の契約”を結んだ。ベルフィアとメラたちの関係と同じく、私の従者になったから何も心配いらないって意味ね」

 その発言には心底驚く。イミーナには最も似つかわしくない血の契約。死んでも拒否するだろう事柄に天地がひっくり返る思いが巡る。

「……で?血の契約って?」

 アンノウンと歩は血の契約について知る由もない。二人してキョトンとしている。そんな二人に黒影がここぞとばかりに説明に入った。

「”血の契約”。それは主従関係を結ぶ魔法的儀式のことを指します。この契約を履行すれば、従者は主人に絶対服従を誓うことになります。この要塞にいらっしゃる方々、所謂いわゆる味方に対して暴力を禁じているのであれば、イミーナ様が寝首を搔くことはあり得ません」

「え……嘘。人権無視の魔法ってこと?そんな奇怪な魔法があったら今頃みんな誰かの従者でしょ?」

「そ、それは極端な発想でしょ?アンノウンさん。そんなだったら何で最初にエルフにかけられてないんですか?きっとかなり面倒な制約があるんですよ」

 歩の指摘に黒影は首を縦に振るべきか、横に振るべきかを悩む。

「いや、実はそう難しい訳ではなくてですね?……まぁある意味では難しいのですが……簡単に説明しますと、従者には意思決定が必要になります。つまり「私はあなたの下僕しもべです」という心構えが必要だということ。そして自身の血を首に巻きつけるように描き、その血を主人となる方に捧げることで契約が成るのです」

「……てことは自分自身で首輪をつけるということ?なるほど。何より重要なのは従者側の意思決定に依存するということね?」

「その通りです。血を首の周りに付ける行為も従者自身で行う必要があり、強制することは出来ません。あくまで相手との繋がりを重視する契約魔法なので、儀式を行えるだけの関係を持つ必要があるのです」

「お、思ったより簡単だ……そんなの、洗脳系の魔法を使えば下僕を増やし放題ってことになるけど、それはどうなんでしょうか?」

「現段階において、魔族側では洗脳に関する魔法は確立されていません。長い時間をかけて教育による思考や思想の洗脳は可能でしょうが、それに時間的コストをかけるくらいなら力でねじ伏せるのが魔族の流儀。恐怖やそれに付随する痛みで支配することを魔族が望むのは、もはや自然の摂理と言えるでしょう」

 黒影の流暢な喋りと聞き取りやすい声のお陰もあってか、異世界人である二人の頭でも簡単に理解することが出来た。

「ふーん……確か人族も洗脳や精神操作系はダメだったよね?」

 アンノウンの目はラルフに向かう。

「俺よりアスロンさんの方がよく知ってるだろ?」

『うむ。ちょっと前じゃが、イルレアンでの騒動の時に魔法の技術を学んで来た。やはりそこまでの進展は無かった。今の技術を持ってして知的生命体を操るのは至難の技じゃ。ベルフィア殿の特殊能力”吸血身体強化ブラッドブースト”に含まれる”魅了”は唯一の精神操作系魔法であると断言出来ような……』

「だってさ」

 ラルフは肩を竦める。

「それじゃそのブラッドブーストで……」

「いや、妾ノ能力はあくまで格下相手ノ能力。こノ要塞だとラルフかウィーに使えル程度ヨ。妾にも警戒ノ必要は無いぞ?」

 ベルフィアは椅子に座って淡々と説明する。

「……そろそろ皆さんの誤解が解けてきたと思いますので私から一言宜しいでしょうか?」

 イミーナは満を持して口を開く。一体何を言うつもりなのか?怖さ半分でみんな耳を傾ける。

「ふつつか者ですが、今後とも宜しくお願いします」

 深々と頭を下げるイミーナ。この瞬間に警戒心は霧散する。その様子にみんな顔を見合わせ、各々が「宜しく」を自分なりに伝え始めた。
 大体みんなが言い終わった頃、ミーシャのお腹が鳴った。

「お腹空いた」

 その言葉がお昼ご飯の号令となる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...