一般トレジャーハンターの俺が最強の魔王を仲間に入れたら世界が敵になったんだけど……どうしよ?

大好き丸

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最終章

第四十四話 ヨーソロー

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「超次元戦艦ムサシ!発進っ!!」

 ラルフは艦橋で腕を組み、堂々と号令を掛けた。それに続くようにアンノウンが答える。

「発進ヨーソロー」

 二人が何やら示し合わせていたのを傍から見ていたミーシャは「何それ?私もやりたいんだけど」と抗議している。
 そんなミーシャの主張を無視してグゴゴゴッと地鳴りのような音を立てながら戦艦が浮き上がった。

「おおっ!」

 持ち上げられるような浮遊感を一瞬感じたが、すぐに平衡を保つように安定する。そのまま浮遊していき、雲の上までぐんぐん上がってピタリと止まった。

「……浮き上がってみて思うことがあルんじゃが、真下とか見にくいノぅ。何かこう、全てを見渡せルもノとかそういうノは無いかノぅ」

『心配いらん。建造過程で魔力の伝達をスムーズにするために追加で塗った魔鉱石の塗料がそれを可能にするわい。灰燼の要塞以上の視野の広さじゃて』

 論より証拠と目の前にモニターを出現させる。真下と思われる風景や背後の様子、真上まで網羅している。また歓声が上がり、全員がこの戦艦に魅了される。

「それじゃ行くか!異世界へ!」

 バッと拳を振り上げるラルフ。しかしその言葉にみんなの目が泳ぐ。

「ところで……ラルフは多次元への入り口を開けることが出来るの?」

 ミーシャの質問に全員の視線がラルフに集まった。それに対してラルフは一切答えることが出来ない。
 ラルフの持つ小さな異次元ポケットディメンションは独自の異次元を倉庫代わりに使うことの出来る特異能力。それを応用して入口と出口を離して使用することで東の端から西の端までを一歩で跨ぐことも可能になる。
 次元を好き勝手開けることが出来るので何を考えずとも多次元に行けると思っていたが、思えば失敗して別の次元に出たことは一度もなかった。
 となればどうやって行くのかは謎である。ここで一人の男が前に出た。

「それ何だがよぉ、俺ぁ昔自力で多次元への扉を開けたんだよなぁ。あそこが出入り口ってんなら、その場所に行けばまた開けられるんじゃねぇかと思うんだよなぁ……」

 藤堂は頭を掻きながら提案する。だがそれだと面倒な問題が浮上する。

「待ッテ。ソレジャ次ノ次元ニハドウヤッテ渡ルノ?」

 ジュリアは訝しそうに首を傾げる。ジュリアの言いたいことに気づいた仲間たちは一様に腕を組んだ。

「……この作戦は失敗だな」

 ロングマンは冷ややかに呟いた。ここから魔族の世界に行くのは出来るだろう。だが、その魔族の世界から次の場所に行くのは、またそういう座標的なものを探す必要がある。

「……前回開けた場所に行く前に、ちょっと考える時間を設けたほうが宜しいのでは無いでしょうか?」

 イミーナは蔑むようにため息をつきながら提案する。
 力なく手を下ろしたラルフは意気込んだ自分を恥じることになった。それに対し、正孝が居た堪れない空気を壊すように冗談混じりに歩を叩いた。

「お前の特異能力って確か索敵だったろ?探索系能力ならそういうのも探すことは出来ねぇの?」

 叩かれた腕を摩りながら周りを見渡す。歩に注がれる視線にプレッシャーを感じたが、歩は唇をキュッと閉めて覚悟を決めた。

「や、やってみる!」

 歩は自分の中にある特異能力に問いかける。何が出来て何が出来ないのか。アンノウンは自身の想像物を魔法陣から出す能力。それを召喚だと言い張っているのだ。それと同様にラルフの能力も色々拡大解釈がされている。
 ならば自分だって出来るのではないだろうか。例えば探したいものが曖昧であっても自分が強く望むなら探せるのではないだろうか。
 相手のステータスを確認したり、どこに何があるのかを確認したりするのが息をするように出来るのだから、少し頑張れば次のステージへ登れると考える。
 見られているという羞恥が歩の集中を阻害するが、正孝に叩かれた腕の痛みを自身の責任感に塗り替え、心の奥底へと力を求めた。
 しばらくしてハッと目を見開く。その目は虹色に輝いていた。

「そうか……これが見るってことなんだ……」

 歩の能力はこの瞬間に覚醒した。そう、特異能力は本気で求めれば答えてくれる。自分を信じることが能力を底上げする唯一の方法なのだ。

「やったなぁアユム!凄ぇぞ!!」

 ラルフは大喜びで歩に駆け寄る。仲間たちからの賛辞が続々と浴びせられる中、アンノウンの「やるじゃん」の一言が歩にとって一番嬉しかったりする。

『うむ。それではアユム殿と視覚を共有し、多次元への入口付近に移動しようと思うが如何かな?』

「共有……ですか?」

「怖がらなくて良いですよ。私のおじいちゃんだから」

「い、いや、それより……共有って、どうするんですか?」

 アスロンは戦艦ムサシの核。この船自体がアスロンと言って過言ではない。となればこの船と接続する必要があるのではないかと推測する。SF的な観点から見れば何らかのチューブとかヘルメットなどを被って共有ということになるそうだが果たして。
 歩が怖がっているのに気づいたアルルはニコッと一切の敵意なく笑った。

「魔法ですよ」

 その優しげな言葉に歩は数度目をしばたたかせる。アルルの言葉でようやく歩の言い知れぬ不安感を察したアスロンもアルルに続いた。

『ああ、そうか……魔法じゃよ』

 うんうんと頷いて肯定するアスロン。何てことはない。ただ身を任せて魔法に委ねる。それを持って共有とする。

「へへっ、魔法って偉大だねぇ」

 ラルフはいたずら口調で笑って見せた。魔法で何をどうするのか聞かないままに、この何ともいえない同調圧力に屈し、卑屈な笑みを浮かべながらぺこりと頭を下げた。
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