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第4章 街の興隆と影の手
第33話「拒絶と独立宣言」
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フェリックスが町を去ってから二週間が経った。
その間、レオンは独立を正式に宣言する準備を進めていた。ただ王国に反抗するだけでは不十分だ。この町が、正式な独立国家であることを、内外に示す必要がある。そのためには、宣言文を作り、国家としての体裁を整えなければならない。
レオンは、セリアと村長に協力を求めた。セリアは古代文明の知識があり、村長は長年の経験がある。二人の知恵を借りて、宣言文を作成していく。執務室では、三人で何度も議論が交わされた。
「独立国家として、何が必要ですか?」
レオンが聞くと、村長は考え込んだ。
「まず、国名です。正式な名称が必要でしょう」
「リコンストラクト領のままでいいのでは?」
「いえ、『領』では王国の一部という印象が残ります」
セリアが指摘した。
「新しい名前が必要ですね」
三人は、しばらく考えた。やがて、レオンが口を開いた。
「リコンストラクト自由国。どうでしょう?」
「自由国……」
村長は、その言葉を反芻した。
「いいですね。この町の理念を表しています」
「私も賛成です」
セリアも頷いた。
「では、正式名称は『リコンストラクト自由国』に決定します」
次に、国としての理念を定める必要があった。
何のために、この国は存在するのか。どんな価値を大切にするのか。それを明確にしなければ、ただの反乱集団と変わらない。
「この国の理念は、何だと思いますか?」
セリアが聞いた。
「自由だ」
レオンは、迷わず答えた。
「誰もが、自分の意志で生きられる。身分や過去に縛られない。それが、この国の根幹だ」
「では、それを宣言文に明記しましょう」
村長は、羽根ペンを取った。
「『リコンストラクト自由国は、すべての人の自由と平等を保障する』」
「いいですね」
レオンは頷いた。
「それから、この国では、誰もが対等だということも入れたい」
「『身分、性別、出自に関わらず、すべての人は平等である』」
セリアが提案した。
「完璧です」
三人は、一つ一つ、宣言文に言葉を紡いでいった。この国が何を目指すのか。どんな社会を作りたいのか。すべてを、文章にしていく。それは、容易な作業ではなかった。何度も書き直し、言葉を選び、議論を重ねた。
数日後、宣言文が完成した。それは、短いが力強い文章だった。レオンは、完成した宣言文を何度も読み返した。これが、自分たちの国の憲章になる。重い責任を感じた。
宣言文が完成した翌日、レオンは町の人々を集めた。
中央広場には、千人を超える人々が集まっている。男性、女性、子ども、老人。この町に住むすべての人が、ここにいる。みんな、緊張した表情でレオンを見つめていた。
レオンは、演台に立った。手には、完成したばかりの宣言文がある。深く息を吸って、声を張り上げた。
「みんな、集まってくれてありがとう」
広場が、静まり返った。レオンの声だけが、響いている。
「二週間前、王国から通達が来た。武装を解除しろ。経済活動を王国の監督下に置け。そして、俺を王都に出頭させろ、と」
人々の間に、ざわめきが起こった。多くの人は、既にその事実を知っている。だが、改めて聞くと、重みが違う。
「俺は、断った」
レオンは、はっきりと言った。
「この町を、王国の支配下には戻さない」
拍手が起こった。だが、不安の色も消えていない。
「だが、それは戦争を意味する」
レオンは、続けた。
「王国軍が来る。この町を攻めてくる。多くの犠牲が出るかもしれない」
広場が、再び静まり返った。子どもたちが、母親にしがみついている。老人たちは、硬い表情で立っている。
「だから、俺は問いたい」
レオンは、人々を見渡した。
「本当に、これでいいのか?王国に従った方が、安全かもしれない。戦わずに済むかもしれない」
誰も、答えない。ただ、レオンを見つめている。
「だが、従えば、この町は終わりだ」
レオンの声が、力強くなった。
「俺たちが築いてきた自由が、失われる。誰もが対等に生きられる、この場所が、消える。俺は、それを受け入れられない」
レオンは、拳を握りしめた。
「だから、今日、ここで宣言する」
レオンは、宣言文を高く掲げた。
「リコンストラクト自由国の独立を!」
その瞬間、広場が揺れた。歓声が、一斉に上がった。人々が、拳を掲げている。涙を流している人もいる。
「この国は、すべての人の自由を保障する!」
レオンの声が、さらに大きくなった。
「身分も、性別も、出自も関係ない!誰もが、対等に生きられる!」
「そうだ!」
「その通りだ!」
人々の声が、レオンに応える。
「俺たちは、王国の奴隷じゃない!」
レオンは、宣言文を読み上げ始めた。
「『我々、リコンストラクト自由国の人民は、自由と平等を求めて、ここに独立を宣言する』」
広場が、水を打ったように静まった。レオンの声だけが、響く。
「『我々は、すべての人が生まれながらにして平等であり、自由に生きる権利を持つと信じる』」
人々の目に、涙が浮かんでいる。
「『我々は、王国の不当な支配を拒否し、自らの手で、自らの未来を築く』」
レオンは、一言一言、丁寧に読み上げた。
「『我々は、この国で、誰もが夢を持ち、努力し、幸せを追求できる社会を作る』」
拍手が起こった。最初は小さかったが、徐々に大きくなっていく。
「『我々は、この自由を守るため、どんな困難とも戦う覚悟がある』」
拍手が、歓声に変わった。人々が、叫んでいる。
「『ここに、リコンストラクト自由国の独立を宣言する!』」
レオンが宣言文を読み終えると、広場全体が爆発した。歓声、拍手、涙、笑顔。すべてが、渾然一体となっている。
「リコンストラクト自由国、万歳!」
誰かが叫んだ。
「「「「「万歳!」」」」
「「「「「万歳!」」」」」
「「「「「万歳!」」」」」
その声が、広場を満たした。町全体を包んだ。遠くの森まで、届いたかもしれない。
レオンは、その光景を見て、胸が熱くなった。この人々のために、戦う。この自由を、守り抜く。どんな犠牲を払っても。
やがて、歓声が収まった。レオンは、再び口を開いた。
「これから、厳しい戦いが待っている」
レオンの声は、落ち着いていた。
「王国軍が来る。俺たちは、彼らと戦わなければならない」
人々の表情が、引き締まった。
「だが、恐れることはない」
レオンは、人々を見渡した。
「俺たちには、仲間がいる。この町がある。そして、何より、守るべき自由がある」
レオンは、拳を掲げた。
「俺たちは、勝つ!」
「勝つ!」
人々の声が、再び響いた。
「この国を、守り抜く!」
「守り抜く!」
レオンは、その声を聞きながら、決意を新たにした。もう、後戻りはできない。この国を、絶対に守る。
独立宣言の後、町は祝祭の雰囲気に包まれた。
広場では、即席の宴が始まった。人々は、食べ物や飲み物を持ち寄り、祝杯を上げている。子どもたちは、興奮して走り回っている。この日を、忘れないために。
だが、レオンは祝宴には参加せず、城に戻った。執務室で、次の手を考える。独立を宣言した。だが、それで終わりではない。むしろ、始まりだ。
ノックの音がして、カイルが入ってきた。
「いい演説だったな」
「ありがとう」
「だが、これで王国を完全に敵に回した」
「わかってる」
レオンは、地図を広げた。リコンストラクト自由国と、王国の位置が示されている。
「王国軍は、どのルートで来ると思う?」
「おそらく、北からだ」
カイルは、地図を指差した。
「王都から、最短ルートがこれだ」
「どのくらいの兵力?」
「最低でも三千。多ければ五千」
「五千……」
レオンは、唸った。こちらの防衛隊は、三百。十倍以上の敵だ。
「勝てるか?」
「わからない」
カイルは、正直に答えた。
「だが、やるしかない」
「そうだな」
二人は、しばらく地図を見つめていた。
その夜、レオンは仲間たちを集めた。
ルーク、セリア、ミーナ、リナ、ルリア、村長。みんな、疲れているが、目には決意がある。
「独立を宣言した」
レオンが言った。
「もう、後戻りはできない」
「当然だ」
ルークが言った。
「俺たちは、最後まで戦う」
「防護壁は、完成間近です」
セリアが報告した。
「あと三日で、町全体を覆えます」
「武器も、十分に揃いました」
ルークが続けた。
「三百人分の武器と、予備が百人分」
「食料の備蓄も、完了しています」
ミーナが言った。
「半年分、確保しました」
「商会も、最後の物資調達を完了しました」
リナが報告した。
「必要なものは、すべて揃っています」
「防衛隊の訓練も、順調です」
村長が言った。
「みんな、覚悟ができています」
レオンは、仲間たちを見渡した。みんな、頼もしい。この仲間たちがいれば、戦える。
「ありがとう。みんなのおかげで、ここまで来られた」
「礼はいらねえ」
ルークが笑った。
「俺たちは、家族だからな」
「そうですね」
セリアも微笑んだ。
「家族は、助け合うものです」
会議が終わった後、レオンは城の屋上に立っていた。
町を見下ろすと、まだ祝宴が続いている。灯りが、無数に点っている。人々の笑い声が、微かに聞こえる。
「レオン」
ルリアが、屋上に上がってきた。
「また一人ですか?」
「ああ」
「今日の宣言、素晴らしかったです」
ルリアは、レオンの隣に立った。
「みんな、感動していました」
「そうか」
「でも、不安なんですよね」
ルリアは、レオンを見た。
「本当に、守れるのかって」
「……ああ」
レオンは、正直に答えた。
「でも、やるしかない」
「私は、信じています」
ルリアは、レオンの手を取った。
「あなたなら、きっと守れると」
「ルリア……」
「だから、一緒に戦います」
ルリアの目は、真剣だった。
「私も、この国を守りたいです」
「ありがとう」
レオンは、ルリアの手を握り返した。この温かさが、力になる。
翌日、レオンは独立宣言文を正式に文書化した。
羊皮紙に、美しい文字で書き写す。そして、自分の名前を署名し、印章を押した。これが、リコンストラクト自由国の憲章だ。
次に、幹部たち全員にも署名を求めた。カイル、ルーク、セリア、ミーナ、リナ、ルリア、村長。一人一人が、自分の名前を書いた。この文書に名を連ねることは、覚悟を示すことだ。
「これで、完成だ」
レオンは、完成した憲章を見つめた。これが、自分たちの国の基盤になる。
「城の一番目立つ場所に、掲げましょう」
村長が提案した。
「誰もが見られるように」
「いいですね」
レオンは頷いた。
憲章は、城の大広間に掲げられた。立派な額縁に入れられ、壁の中央に飾られている。訪れる人は、誰でもこれを見ることができる。
町の人々は、次々と城を訪れた。憲章を見るために。その文字を読み、感動し、涙を流す人もいた。これが、自分たちの国の憲章なのだ。
一週間後、防護壁が完成した。
セリアと魔法使いたちの努力が、実を結んだ。町の各所に配置された魔法陣が、一つに繋がった。それらを起動させると、町全体を覆う透明な障壁が展開される。
「試験起動を行います」
セリアが、中央広場で宣言した。周囲には、多くの人が集まっている。
「起動!」
セリアが呪文を唱えると、魔法陣が光り始めた。その光が、空へ向かって伸びていく。やがて、町全体を覆うドーム状の障壁が現れた。透明だが、わずかに青く光っている。
「成功です!」
セリアが叫んだ。周囲から、歓声が上がった。
レオンは、その障壁を見上げた。美しい。そして、頼もしい。これで、空からの攻撃も防げる。
「素晴らしい仕事だ、セリア」
「ありがとうございます」
セリアは、嬉しそうに笑った。
「ただし、長時間の維持は魔力を消費します。常時展開は難しいです」
「いざという時だけ、展開すればいい」
「はい」
障壁は、数分後に消えた。だが、いつでも展開できる。それだけで、心強い。
同じ頃、王都では動きがあった。
王宮の会議室で、貴族たちが集まっている。その中心にいるのは、国王陛下だ。老齢だが、威厳のある顔立ちをしている。
「報告を」
国王が言うと、フェリックスが前に出た。
「リコンストラクト領は、通達を拒否しました」
会議室が、ざわめいた。
「それだけでなく、独立を宣言したとのことです」
「独立だと?」
一人の貴族が叫んだ。
「許されるはずがない!」
「ただの反乱だ」
別の貴族が言った。
「すぐに鎮圧すべきです」
国王は、黙って聞いていた。やがて、口を開いた。
「レオン・アーデルハイト。あの追放された貴族か」
「はい」
「奴は、何を考えている」
「おそらく、本気で独立国家を作るつもりです」
フェリックスが答えた。
「あの町は、既に軍事力も経済力も持っています」
「だからこそ、放置できない」
重臣の一人が言った。
「他の領地にも影響が出ます」
「その通り」
国王は頷いた。
「では、決定する。リコンストラクト領、いや、リコンストラクト自由国とやらを、武力で鎮圧する」
「陛下!」
貴族たちが、一斉に声を上げた。
「軍を派遣せよ。五千の兵で、あの町を滅ぼせ」
「御意!」
こうして、王国軍の派遣が決定された。リコンストラクト自由国への、侵攻が始まる。
その報告は、一週間後、リコンストラクト自由国に届いた。
商人のネットワークを通じて、情報が伝わったのだ。リナが、急いでレオンに報告した。
「坊ちゃん、王国軍が動き出しました」
「いつ、こちらに到着する?」
「早ければ、二週間後です」
「わかった」
レオンは、すぐに幹部たちを集めた。
「王国軍が来る。二週間後だ」
その言葉に、部屋が緊張に包まれた。
「五千の兵です」
リナが付け加えた。
「完全武装の正規軍です」
「五千か……」
カイルが呟いた。
「厳しいな」
「だが、やるしかない」
レオンは、立ち上がった。
「最後の準備を始める。二週間後、俺たちは戦う」
全員が、頷いた。
「この国を、守り抜く」
レオンの声は、力強かった。
「俺たちの自由を、絶対に渡さない」
「おう!」
仲間たちの声が、一つになった。
リコンストラクト自由国は、最後の準備に入った。二週間後、運命の戦いが始まる。この国の、存亡をかけた戦いが。
だが、レオンたちに迷いはない。この自由を守るために、全力で戦う。それだけだ。
その間、レオンは独立を正式に宣言する準備を進めていた。ただ王国に反抗するだけでは不十分だ。この町が、正式な独立国家であることを、内外に示す必要がある。そのためには、宣言文を作り、国家としての体裁を整えなければならない。
レオンは、セリアと村長に協力を求めた。セリアは古代文明の知識があり、村長は長年の経験がある。二人の知恵を借りて、宣言文を作成していく。執務室では、三人で何度も議論が交わされた。
「独立国家として、何が必要ですか?」
レオンが聞くと、村長は考え込んだ。
「まず、国名です。正式な名称が必要でしょう」
「リコンストラクト領のままでいいのでは?」
「いえ、『領』では王国の一部という印象が残ります」
セリアが指摘した。
「新しい名前が必要ですね」
三人は、しばらく考えた。やがて、レオンが口を開いた。
「リコンストラクト自由国。どうでしょう?」
「自由国……」
村長は、その言葉を反芻した。
「いいですね。この町の理念を表しています」
「私も賛成です」
セリアも頷いた。
「では、正式名称は『リコンストラクト自由国』に決定します」
次に、国としての理念を定める必要があった。
何のために、この国は存在するのか。どんな価値を大切にするのか。それを明確にしなければ、ただの反乱集団と変わらない。
「この国の理念は、何だと思いますか?」
セリアが聞いた。
「自由だ」
レオンは、迷わず答えた。
「誰もが、自分の意志で生きられる。身分や過去に縛られない。それが、この国の根幹だ」
「では、それを宣言文に明記しましょう」
村長は、羽根ペンを取った。
「『リコンストラクト自由国は、すべての人の自由と平等を保障する』」
「いいですね」
レオンは頷いた。
「それから、この国では、誰もが対等だということも入れたい」
「『身分、性別、出自に関わらず、すべての人は平等である』」
セリアが提案した。
「完璧です」
三人は、一つ一つ、宣言文に言葉を紡いでいった。この国が何を目指すのか。どんな社会を作りたいのか。すべてを、文章にしていく。それは、容易な作業ではなかった。何度も書き直し、言葉を選び、議論を重ねた。
数日後、宣言文が完成した。それは、短いが力強い文章だった。レオンは、完成した宣言文を何度も読み返した。これが、自分たちの国の憲章になる。重い責任を感じた。
宣言文が完成した翌日、レオンは町の人々を集めた。
中央広場には、千人を超える人々が集まっている。男性、女性、子ども、老人。この町に住むすべての人が、ここにいる。みんな、緊張した表情でレオンを見つめていた。
レオンは、演台に立った。手には、完成したばかりの宣言文がある。深く息を吸って、声を張り上げた。
「みんな、集まってくれてありがとう」
広場が、静まり返った。レオンの声だけが、響いている。
「二週間前、王国から通達が来た。武装を解除しろ。経済活動を王国の監督下に置け。そして、俺を王都に出頭させろ、と」
人々の間に、ざわめきが起こった。多くの人は、既にその事実を知っている。だが、改めて聞くと、重みが違う。
「俺は、断った」
レオンは、はっきりと言った。
「この町を、王国の支配下には戻さない」
拍手が起こった。だが、不安の色も消えていない。
「だが、それは戦争を意味する」
レオンは、続けた。
「王国軍が来る。この町を攻めてくる。多くの犠牲が出るかもしれない」
広場が、再び静まり返った。子どもたちが、母親にしがみついている。老人たちは、硬い表情で立っている。
「だから、俺は問いたい」
レオンは、人々を見渡した。
「本当に、これでいいのか?王国に従った方が、安全かもしれない。戦わずに済むかもしれない」
誰も、答えない。ただ、レオンを見つめている。
「だが、従えば、この町は終わりだ」
レオンの声が、力強くなった。
「俺たちが築いてきた自由が、失われる。誰もが対等に生きられる、この場所が、消える。俺は、それを受け入れられない」
レオンは、拳を握りしめた。
「だから、今日、ここで宣言する」
レオンは、宣言文を高く掲げた。
「リコンストラクト自由国の独立を!」
その瞬間、広場が揺れた。歓声が、一斉に上がった。人々が、拳を掲げている。涙を流している人もいる。
「この国は、すべての人の自由を保障する!」
レオンの声が、さらに大きくなった。
「身分も、性別も、出自も関係ない!誰もが、対等に生きられる!」
「そうだ!」
「その通りだ!」
人々の声が、レオンに応える。
「俺たちは、王国の奴隷じゃない!」
レオンは、宣言文を読み上げ始めた。
「『我々、リコンストラクト自由国の人民は、自由と平等を求めて、ここに独立を宣言する』」
広場が、水を打ったように静まった。レオンの声だけが、響く。
「『我々は、すべての人が生まれながらにして平等であり、自由に生きる権利を持つと信じる』」
人々の目に、涙が浮かんでいる。
「『我々は、王国の不当な支配を拒否し、自らの手で、自らの未来を築く』」
レオンは、一言一言、丁寧に読み上げた。
「『我々は、この国で、誰もが夢を持ち、努力し、幸せを追求できる社会を作る』」
拍手が起こった。最初は小さかったが、徐々に大きくなっていく。
「『我々は、この自由を守るため、どんな困難とも戦う覚悟がある』」
拍手が、歓声に変わった。人々が、叫んでいる。
「『ここに、リコンストラクト自由国の独立を宣言する!』」
レオンが宣言文を読み終えると、広場全体が爆発した。歓声、拍手、涙、笑顔。すべてが、渾然一体となっている。
「リコンストラクト自由国、万歳!」
誰かが叫んだ。
「「「「「万歳!」」」」
「「「「「万歳!」」」」」
「「「「「万歳!」」」」」
その声が、広場を満たした。町全体を包んだ。遠くの森まで、届いたかもしれない。
レオンは、その光景を見て、胸が熱くなった。この人々のために、戦う。この自由を、守り抜く。どんな犠牲を払っても。
やがて、歓声が収まった。レオンは、再び口を開いた。
「これから、厳しい戦いが待っている」
レオンの声は、落ち着いていた。
「王国軍が来る。俺たちは、彼らと戦わなければならない」
人々の表情が、引き締まった。
「だが、恐れることはない」
レオンは、人々を見渡した。
「俺たちには、仲間がいる。この町がある。そして、何より、守るべき自由がある」
レオンは、拳を掲げた。
「俺たちは、勝つ!」
「勝つ!」
人々の声が、再び響いた。
「この国を、守り抜く!」
「守り抜く!」
レオンは、その声を聞きながら、決意を新たにした。もう、後戻りはできない。この国を、絶対に守る。
独立宣言の後、町は祝祭の雰囲気に包まれた。
広場では、即席の宴が始まった。人々は、食べ物や飲み物を持ち寄り、祝杯を上げている。子どもたちは、興奮して走り回っている。この日を、忘れないために。
だが、レオンは祝宴には参加せず、城に戻った。執務室で、次の手を考える。独立を宣言した。だが、それで終わりではない。むしろ、始まりだ。
ノックの音がして、カイルが入ってきた。
「いい演説だったな」
「ありがとう」
「だが、これで王国を完全に敵に回した」
「わかってる」
レオンは、地図を広げた。リコンストラクト自由国と、王国の位置が示されている。
「王国軍は、どのルートで来ると思う?」
「おそらく、北からだ」
カイルは、地図を指差した。
「王都から、最短ルートがこれだ」
「どのくらいの兵力?」
「最低でも三千。多ければ五千」
「五千……」
レオンは、唸った。こちらの防衛隊は、三百。十倍以上の敵だ。
「勝てるか?」
「わからない」
カイルは、正直に答えた。
「だが、やるしかない」
「そうだな」
二人は、しばらく地図を見つめていた。
その夜、レオンは仲間たちを集めた。
ルーク、セリア、ミーナ、リナ、ルリア、村長。みんな、疲れているが、目には決意がある。
「独立を宣言した」
レオンが言った。
「もう、後戻りはできない」
「当然だ」
ルークが言った。
「俺たちは、最後まで戦う」
「防護壁は、完成間近です」
セリアが報告した。
「あと三日で、町全体を覆えます」
「武器も、十分に揃いました」
ルークが続けた。
「三百人分の武器と、予備が百人分」
「食料の備蓄も、完了しています」
ミーナが言った。
「半年分、確保しました」
「商会も、最後の物資調達を完了しました」
リナが報告した。
「必要なものは、すべて揃っています」
「防衛隊の訓練も、順調です」
村長が言った。
「みんな、覚悟ができています」
レオンは、仲間たちを見渡した。みんな、頼もしい。この仲間たちがいれば、戦える。
「ありがとう。みんなのおかげで、ここまで来られた」
「礼はいらねえ」
ルークが笑った。
「俺たちは、家族だからな」
「そうですね」
セリアも微笑んだ。
「家族は、助け合うものです」
会議が終わった後、レオンは城の屋上に立っていた。
町を見下ろすと、まだ祝宴が続いている。灯りが、無数に点っている。人々の笑い声が、微かに聞こえる。
「レオン」
ルリアが、屋上に上がってきた。
「また一人ですか?」
「ああ」
「今日の宣言、素晴らしかったです」
ルリアは、レオンの隣に立った。
「みんな、感動していました」
「そうか」
「でも、不安なんですよね」
ルリアは、レオンを見た。
「本当に、守れるのかって」
「……ああ」
レオンは、正直に答えた。
「でも、やるしかない」
「私は、信じています」
ルリアは、レオンの手を取った。
「あなたなら、きっと守れると」
「ルリア……」
「だから、一緒に戦います」
ルリアの目は、真剣だった。
「私も、この国を守りたいです」
「ありがとう」
レオンは、ルリアの手を握り返した。この温かさが、力になる。
翌日、レオンは独立宣言文を正式に文書化した。
羊皮紙に、美しい文字で書き写す。そして、自分の名前を署名し、印章を押した。これが、リコンストラクト自由国の憲章だ。
次に、幹部たち全員にも署名を求めた。カイル、ルーク、セリア、ミーナ、リナ、ルリア、村長。一人一人が、自分の名前を書いた。この文書に名を連ねることは、覚悟を示すことだ。
「これで、完成だ」
レオンは、完成した憲章を見つめた。これが、自分たちの国の基盤になる。
「城の一番目立つ場所に、掲げましょう」
村長が提案した。
「誰もが見られるように」
「いいですね」
レオンは頷いた。
憲章は、城の大広間に掲げられた。立派な額縁に入れられ、壁の中央に飾られている。訪れる人は、誰でもこれを見ることができる。
町の人々は、次々と城を訪れた。憲章を見るために。その文字を読み、感動し、涙を流す人もいた。これが、自分たちの国の憲章なのだ。
一週間後、防護壁が完成した。
セリアと魔法使いたちの努力が、実を結んだ。町の各所に配置された魔法陣が、一つに繋がった。それらを起動させると、町全体を覆う透明な障壁が展開される。
「試験起動を行います」
セリアが、中央広場で宣言した。周囲には、多くの人が集まっている。
「起動!」
セリアが呪文を唱えると、魔法陣が光り始めた。その光が、空へ向かって伸びていく。やがて、町全体を覆うドーム状の障壁が現れた。透明だが、わずかに青く光っている。
「成功です!」
セリアが叫んだ。周囲から、歓声が上がった。
レオンは、その障壁を見上げた。美しい。そして、頼もしい。これで、空からの攻撃も防げる。
「素晴らしい仕事だ、セリア」
「ありがとうございます」
セリアは、嬉しそうに笑った。
「ただし、長時間の維持は魔力を消費します。常時展開は難しいです」
「いざという時だけ、展開すればいい」
「はい」
障壁は、数分後に消えた。だが、いつでも展開できる。それだけで、心強い。
同じ頃、王都では動きがあった。
王宮の会議室で、貴族たちが集まっている。その中心にいるのは、国王陛下だ。老齢だが、威厳のある顔立ちをしている。
「報告を」
国王が言うと、フェリックスが前に出た。
「リコンストラクト領は、通達を拒否しました」
会議室が、ざわめいた。
「それだけでなく、独立を宣言したとのことです」
「独立だと?」
一人の貴族が叫んだ。
「許されるはずがない!」
「ただの反乱だ」
別の貴族が言った。
「すぐに鎮圧すべきです」
国王は、黙って聞いていた。やがて、口を開いた。
「レオン・アーデルハイト。あの追放された貴族か」
「はい」
「奴は、何を考えている」
「おそらく、本気で独立国家を作るつもりです」
フェリックスが答えた。
「あの町は、既に軍事力も経済力も持っています」
「だからこそ、放置できない」
重臣の一人が言った。
「他の領地にも影響が出ます」
「その通り」
国王は頷いた。
「では、決定する。リコンストラクト領、いや、リコンストラクト自由国とやらを、武力で鎮圧する」
「陛下!」
貴族たちが、一斉に声を上げた。
「軍を派遣せよ。五千の兵で、あの町を滅ぼせ」
「御意!」
こうして、王国軍の派遣が決定された。リコンストラクト自由国への、侵攻が始まる。
その報告は、一週間後、リコンストラクト自由国に届いた。
商人のネットワークを通じて、情報が伝わったのだ。リナが、急いでレオンに報告した。
「坊ちゃん、王国軍が動き出しました」
「いつ、こちらに到着する?」
「早ければ、二週間後です」
「わかった」
レオンは、すぐに幹部たちを集めた。
「王国軍が来る。二週間後だ」
その言葉に、部屋が緊張に包まれた。
「五千の兵です」
リナが付け加えた。
「完全武装の正規軍です」
「五千か……」
カイルが呟いた。
「厳しいな」
「だが、やるしかない」
レオンは、立ち上がった。
「最後の準備を始める。二週間後、俺たちは戦う」
全員が、頷いた。
「この国を、守り抜く」
レオンの声は、力強かった。
「俺たちの自由を、絶対に渡さない」
「おう!」
仲間たちの声が、一つになった。
リコンストラクト自由国は、最後の準備に入った。二週間後、運命の戦いが始まる。この国の、存亡をかけた戦いが。
だが、レオンたちに迷いはない。この自由を守るために、全力で戦う。それだけだ。
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この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
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魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
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『追放された底辺付与術師、実は【全自動化】のチートスキル持ちでした〜ブラックギルドを追い出されたので、辺境で商会を立ち上げたら勝手に世界規
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投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
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