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第5章 王国との激突
第40話「宣戦布告」
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王国軍の太鼓の音が、大地を揺らした。五千の兵士が、整然と行進を始める。その隊列は、地平線の端から端まで続いているように見えた。
先頭には、重装騎兵が並び、その後ろに槍兵、弓兵、そして攻城兵器を引く部隊が続いている。旗が風になびき、鎧が陽光を反射して輝いている。その光景は、圧倒的な力の誇示だった。
城壁の上で、レオンは王国軍を見つめていた。五千対六百。数の差は、あまりにも大きい。だが、レオンの表情に恐れはなかった。この町を、仲間を、自由を守る。その決意だけが、彼の心を満たしていた。
「すごい数だな」
ルークが、レオンの隣で呟いた。彼の手には、巨大な戦斧が握られている。その目は、敵軍を値踏みするように見つめていた。
「ああ。だが、数だけで勝てるわけじゃない」
レオンは、城壁の兵士たちを見渡した。彼らの顔には、緊張がある。だが、誰も逃げようとはしていない。全員が、自分の持ち場を守っている。
「全員、聞いてくれ」
レオンが声を上げると、城壁の上の兵士たちが注目した。
「敵は多い。だが、我々には城壁がある。再構築武具がある。そして、何より、守るべきものがある」
レオンは、町を指差した。
「あそこに、我々の家族がいる。友がいる。未来がある。それを守るために、俺たちは戦う」
兵士たちが、頷いた。その目には、決意の光がある。
「怖いか?」
レオンが聞くと、何人かが正直に頷いた。
「俺も怖い。だが、それでも戦う。なぜなら、俺たちには逃げる場所がないからだ」
レオンは、剣を抜いて掲げた。
「ここが、俺たちの最後の砦だ。ここで負ければ、すべてが終わる」
「だから、勝つ。絶対に」
「おおっ!」
兵士たちの声が、空に響いた。その声は、王国軍にも聞こえたはずだ。
王国軍の陣営では、総司令グレイソン将軍が馬上から町を見つめていた。彼は四十代半ばの男で、数々の戦場を経験してきた歴戦の将軍だった。傷だらけの顔には、冷徹な表情が浮かんでいる。
「あれが、リコンストラクト自由国か」
グレイソンは、町の城壁を観察した。高く、厚い城壁。その上には、多くの兵士が並んでいる。だが、数は明らかに少ない。
「将軍、城壁は予想以上に強固です」
副官が、報告した。
「再構築の力で強化されているようです」
「再構築、か」
グレイソンは、その言葉を反芻した。彼も、再構築者レオン・アーデルハイトの噂は聞いていた。追放された貴族が、辺境に独立国家を作った。その力は、古代文明の遺産だという。
「だが、所詮は一人の力だ」
グレイソンは、冷静に分析した。
「我々には五千の兵がいる。正面から押し切れる」
「では、総攻撃を?」
「いや、まずは様子を見る」
グレイソンは、手を上げた。
「偵察隊を出せ。敵の配置と、城壁の弱点を探れ」
「了解しました」
副官が馬を走らせると、百名ほどの兵士が隊列から離れて、町へ向かって進み始めた。彼らは、軽装で素早く動ける偵察兵だった。
「偵察隊が来ます」
城壁の上で、見張りの兵士が報告した。レオンは、双眼鏡で確認する。確かに、百名ほどの兵士が近づいてきている。
「弓兵、準備しろ」
レオンが命じると、城壁の上の弓兵たちが矢を番えた。その数は、五十。偵察隊の半分だ。
「射程に入るまで待て。無駄撃ちはするな」
レオンは、冷静に指示を出した。矢は貴重だ。一本一本を、確実に当てなければならない。
偵察隊が、射程距離に入った。レオンは、手を上げた。
「撃て!」
五十本の矢が、一斉に放たれた。空を覆う矢の雨が、偵察隊に降り注ぐ。悲鳴が上がり、何人かの兵士が倒れた。だが、残りは盾で矢を防ぎ、さらに前進してくる。
「第二射、用意!」
レオンが叫ぶと、弓兵たちが再び矢を番えた。今度は、倒れた敵の位置を見て、狙いを定める。
「撃て!」
再び、矢の雨が降り注いだ。さらに数人が倒れる。だが、偵察隊はまだ撤退しない。城壁の構造を観察しながら、横に移動している。
「しつこいな」
ルークが、舌打ちした。
「ルリア、魔法で追い払え」
レオンが指示すると、ルリアが城壁の端に立った。両手を広げ、呪文を唱え始める。
「炎よ、我が敵を焼き払え」
彼女の手から、巨大な火球が放たれた。火球は、偵察隊の中央に着弾して爆発する。炎が広がり、兵士たちが慌てて逃げ出した。
「撤退します」
見張りが報告した。偵察隊は、死傷者を残して王国軍の陣営へ戻っていく。
「よし」
レオンは、小さく頷いた。
「第一ラウンドは、我々の勝ちだ」
だが、これは始まりに過ぎない。本当の戦いは、これからだ。
王国軍の陣営では、グレイソン将軍が偵察隊の報告を聞いていた。
「城壁は、予想以上に高い。弓兵の腕も確かです。そして、魔法使いもいます」
偵察隊の隊長が、報告した。彼の額には、汗が浮かんでいる。
「死傷者は?」
「十五名です」
「そうか」
グレイソンは、地図を広げた。そこには、リコンストラクト自由国の町が詳しく描かれている。
「城壁の弱点は?」
「見つかりませんでした。どこも均一に強固です」
「では、正攻法で行くしかないな」
グレイソンは、地図に印をつけた。
「明日の朝、総攻撃を開始する。攻城兵器で城壁を破壊し、そこから突入する」
「了解しました」
副官が敬礼した。
「ですが、将軍。敵には再構築者がいます。城壁を修復される可能性があります」
「わかっている」
グレイソンは、冷静に答えた。
「だからこそ、短時間で決着をつける。一気に攻め込んで、敵の指揮官を倒す」
「レオン・アーデルハイトを?」
「ああ。あいつを倒せば、この町は崩壊する」
グレイソンは、地図を巻いた。
「すべての部隊に伝えろ。明日の夜明けと共に、攻撃を開始すると」
その夜、リコンストラクト自由国では、最後の準備が行われていた。城壁の補強、矢の補充、食料の配給。すべてが、明日の戦いのためだった。
レオンは、城壁を巡回していた。兵士たち一人一人に声をかけ、励ます。その姿を見て、兵士たちの不安が少しずつ和らいでいく。
「坊ちゃん」
ミーナが、温かいスープを持ってきた。彼女は、避難所から出て、兵士たちに食事を配っている。
「ミーナ、危ないぞ。避難所にいろ」
「嫌です」
ミーナは、首を振った。
「私も、何かしたいんです。戦えないけど、せめて食事くらいは」
レオンは、ミーナの決意を感じて、何も言えなくなった。
「わかった。だが、無理はするな」
「はい」
ミーナは、微笑んで次の兵士へスープを運んでいった。
深夜、レオンは執務室で作戦の最終確認をしていた。カイル、ルーク、セリア、ルリア、村長が集まっている。
「明日の朝、王国軍が総攻撃を仕掛けてくる」
レオンが言うと、全員が頷いた。
「我々の作戦は、防衛に徹する。城壁を守り、敵を消耗させる」
レオンは、地図を指差した。
「そして、敵が疲弊したところで、カイルとダリウス卿の部隊が側面から攻撃する」
「挟み撃ちですね」
セリアが確認した。
「ああ。これが、我々の勝機だ」
「ですが、リスクもあります」
村長が言った。
「もし、挟み撃ちのタイミングを間違えれば、部隊が孤立します」
「わかっている」
カイルが答えた。
「だが、やるしかない。正面からぶつかれば、数の差で押し切られる」
「カイル、頼んだぞ」
レオンが言うと、カイルは力強く頷いた。
「任せろ。必ず、成功させる」
会議が終わった後、レオンは一人、城の屋上に立っていた。北の方角を見ると、王国軍の陣営の灯りが無数に見える。まるで、星が地面に降りてきたかのようだ。
「明日、あれと戦うのか」
レオンは、呟いた。その声には、不安が混じっている。
「レオン」
背後から、ルリアの声がした。彼女は、毛布を二枚持って屋上に上がってきた。
「寒いですよ。これを」
ルリアは、毛布をレオンに渡した。レオンは、それを肩にかけた。確かに、夜は冷える。
「ありがとう」
「眠れないんですか?」
「ああ。明日のことを考えると」
レオンは、正直に答えた。
「怖いのか、と自分に聞いている」
「怖いに決まっています」
ルリアは、レオンの隣に立った。
「私も怖いです。でも、それでも戦います」
「なぜだ?」
「あなたがいるからです」
ルリアは、レオンを見た。
「あなたが戦うなら、私も戦います。それだけです」
レオンは、ルリアの言葉に、心が温かくなるのを感じた。一人じゃない。仲間がいる。その事実が、どれほど心強いか。
「ありがとう、ルリア」
「いいえ」
ルリアは、微笑んだ。
「明日、一緒に戦いましょう」
「ああ」
二人は、しばらく黙って王国軍の陣営を見つめていた。明日、運命の戦いが始まる。この町の、この自由の、すべてがかかっている戦いが。
夜明け前、王国軍が動き始めた。太鼓の音が響き、兵士たちが整列する。攻城兵器が、前線に運ばれていく。巨大な投石機、破城槌、攻城塔。すべてが、城壁を破壊するための兵器だった。
城壁の上で、レオンは全軍に最後の言葉を送った。
「今日、我々は歴史を作る」
レオンの声が、城壁全体に響いた。
「小さな町が、大国に立ち向かう。それは、無謀に見えるかもしれない」
「だが、我々には、信じるものがある。自由、平等、そして仲間」
レオンは、剣を掲げた。
「この信念のために、俺たちは戦う。勝利のために、未来のために」
「おおっ!」
兵士たちの雄叫びが、空を震わせた。
王国軍の陣営では、グレイソン将軍が最後の命令を下していた。
「全軍、前進せよ。リコンストラクト自由国を制圧する」
「王国に栄光を!」
副官が叫ぶと、五千の兵士が一斉に応えた。
「栄光を!」
太鼓が鳴り、ラッパが響く。王国軍が、動き出した。その波は、圧倒的だった。地面が揺れ、砂塵が舞い上がる。
城壁の上で、レオンは敵軍を見つめた。来る。ついに、本当の戦いが始まる。
「全員、配置につけ」
レオンの命令で、兵士たちが最終確認をする。弓兵は矢を、槍兵は槍を、魔法使いは呪文を。
「来るぞ」
ルークが、戦斧を構えた。
王国軍が、射程距離に入った。
「弓兵、撃て!」
レオンの叫びと共に、無数の矢が放たれた。
リコンストラクト自由国と王国の、運命を懸けた戦いが、今、始まった。
先頭には、重装騎兵が並び、その後ろに槍兵、弓兵、そして攻城兵器を引く部隊が続いている。旗が風になびき、鎧が陽光を反射して輝いている。その光景は、圧倒的な力の誇示だった。
城壁の上で、レオンは王国軍を見つめていた。五千対六百。数の差は、あまりにも大きい。だが、レオンの表情に恐れはなかった。この町を、仲間を、自由を守る。その決意だけが、彼の心を満たしていた。
「すごい数だな」
ルークが、レオンの隣で呟いた。彼の手には、巨大な戦斧が握られている。その目は、敵軍を値踏みするように見つめていた。
「ああ。だが、数だけで勝てるわけじゃない」
レオンは、城壁の兵士たちを見渡した。彼らの顔には、緊張がある。だが、誰も逃げようとはしていない。全員が、自分の持ち場を守っている。
「全員、聞いてくれ」
レオンが声を上げると、城壁の上の兵士たちが注目した。
「敵は多い。だが、我々には城壁がある。再構築武具がある。そして、何より、守るべきものがある」
レオンは、町を指差した。
「あそこに、我々の家族がいる。友がいる。未来がある。それを守るために、俺たちは戦う」
兵士たちが、頷いた。その目には、決意の光がある。
「怖いか?」
レオンが聞くと、何人かが正直に頷いた。
「俺も怖い。だが、それでも戦う。なぜなら、俺たちには逃げる場所がないからだ」
レオンは、剣を抜いて掲げた。
「ここが、俺たちの最後の砦だ。ここで負ければ、すべてが終わる」
「だから、勝つ。絶対に」
「おおっ!」
兵士たちの声が、空に響いた。その声は、王国軍にも聞こえたはずだ。
王国軍の陣営では、総司令グレイソン将軍が馬上から町を見つめていた。彼は四十代半ばの男で、数々の戦場を経験してきた歴戦の将軍だった。傷だらけの顔には、冷徹な表情が浮かんでいる。
「あれが、リコンストラクト自由国か」
グレイソンは、町の城壁を観察した。高く、厚い城壁。その上には、多くの兵士が並んでいる。だが、数は明らかに少ない。
「将軍、城壁は予想以上に強固です」
副官が、報告した。
「再構築の力で強化されているようです」
「再構築、か」
グレイソンは、その言葉を反芻した。彼も、再構築者レオン・アーデルハイトの噂は聞いていた。追放された貴族が、辺境に独立国家を作った。その力は、古代文明の遺産だという。
「だが、所詮は一人の力だ」
グレイソンは、冷静に分析した。
「我々には五千の兵がいる。正面から押し切れる」
「では、総攻撃を?」
「いや、まずは様子を見る」
グレイソンは、手を上げた。
「偵察隊を出せ。敵の配置と、城壁の弱点を探れ」
「了解しました」
副官が馬を走らせると、百名ほどの兵士が隊列から離れて、町へ向かって進み始めた。彼らは、軽装で素早く動ける偵察兵だった。
「偵察隊が来ます」
城壁の上で、見張りの兵士が報告した。レオンは、双眼鏡で確認する。確かに、百名ほどの兵士が近づいてきている。
「弓兵、準備しろ」
レオンが命じると、城壁の上の弓兵たちが矢を番えた。その数は、五十。偵察隊の半分だ。
「射程に入るまで待て。無駄撃ちはするな」
レオンは、冷静に指示を出した。矢は貴重だ。一本一本を、確実に当てなければならない。
偵察隊が、射程距離に入った。レオンは、手を上げた。
「撃て!」
五十本の矢が、一斉に放たれた。空を覆う矢の雨が、偵察隊に降り注ぐ。悲鳴が上がり、何人かの兵士が倒れた。だが、残りは盾で矢を防ぎ、さらに前進してくる。
「第二射、用意!」
レオンが叫ぶと、弓兵たちが再び矢を番えた。今度は、倒れた敵の位置を見て、狙いを定める。
「撃て!」
再び、矢の雨が降り注いだ。さらに数人が倒れる。だが、偵察隊はまだ撤退しない。城壁の構造を観察しながら、横に移動している。
「しつこいな」
ルークが、舌打ちした。
「ルリア、魔法で追い払え」
レオンが指示すると、ルリアが城壁の端に立った。両手を広げ、呪文を唱え始める。
「炎よ、我が敵を焼き払え」
彼女の手から、巨大な火球が放たれた。火球は、偵察隊の中央に着弾して爆発する。炎が広がり、兵士たちが慌てて逃げ出した。
「撤退します」
見張りが報告した。偵察隊は、死傷者を残して王国軍の陣営へ戻っていく。
「よし」
レオンは、小さく頷いた。
「第一ラウンドは、我々の勝ちだ」
だが、これは始まりに過ぎない。本当の戦いは、これからだ。
王国軍の陣営では、グレイソン将軍が偵察隊の報告を聞いていた。
「城壁は、予想以上に高い。弓兵の腕も確かです。そして、魔法使いもいます」
偵察隊の隊長が、報告した。彼の額には、汗が浮かんでいる。
「死傷者は?」
「十五名です」
「そうか」
グレイソンは、地図を広げた。そこには、リコンストラクト自由国の町が詳しく描かれている。
「城壁の弱点は?」
「見つかりませんでした。どこも均一に強固です」
「では、正攻法で行くしかないな」
グレイソンは、地図に印をつけた。
「明日の朝、総攻撃を開始する。攻城兵器で城壁を破壊し、そこから突入する」
「了解しました」
副官が敬礼した。
「ですが、将軍。敵には再構築者がいます。城壁を修復される可能性があります」
「わかっている」
グレイソンは、冷静に答えた。
「だからこそ、短時間で決着をつける。一気に攻め込んで、敵の指揮官を倒す」
「レオン・アーデルハイトを?」
「ああ。あいつを倒せば、この町は崩壊する」
グレイソンは、地図を巻いた。
「すべての部隊に伝えろ。明日の夜明けと共に、攻撃を開始すると」
その夜、リコンストラクト自由国では、最後の準備が行われていた。城壁の補強、矢の補充、食料の配給。すべてが、明日の戦いのためだった。
レオンは、城壁を巡回していた。兵士たち一人一人に声をかけ、励ます。その姿を見て、兵士たちの不安が少しずつ和らいでいく。
「坊ちゃん」
ミーナが、温かいスープを持ってきた。彼女は、避難所から出て、兵士たちに食事を配っている。
「ミーナ、危ないぞ。避難所にいろ」
「嫌です」
ミーナは、首を振った。
「私も、何かしたいんです。戦えないけど、せめて食事くらいは」
レオンは、ミーナの決意を感じて、何も言えなくなった。
「わかった。だが、無理はするな」
「はい」
ミーナは、微笑んで次の兵士へスープを運んでいった。
深夜、レオンは執務室で作戦の最終確認をしていた。カイル、ルーク、セリア、ルリア、村長が集まっている。
「明日の朝、王国軍が総攻撃を仕掛けてくる」
レオンが言うと、全員が頷いた。
「我々の作戦は、防衛に徹する。城壁を守り、敵を消耗させる」
レオンは、地図を指差した。
「そして、敵が疲弊したところで、カイルとダリウス卿の部隊が側面から攻撃する」
「挟み撃ちですね」
セリアが確認した。
「ああ。これが、我々の勝機だ」
「ですが、リスクもあります」
村長が言った。
「もし、挟み撃ちのタイミングを間違えれば、部隊が孤立します」
「わかっている」
カイルが答えた。
「だが、やるしかない。正面からぶつかれば、数の差で押し切られる」
「カイル、頼んだぞ」
レオンが言うと、カイルは力強く頷いた。
「任せろ。必ず、成功させる」
会議が終わった後、レオンは一人、城の屋上に立っていた。北の方角を見ると、王国軍の陣営の灯りが無数に見える。まるで、星が地面に降りてきたかのようだ。
「明日、あれと戦うのか」
レオンは、呟いた。その声には、不安が混じっている。
「レオン」
背後から、ルリアの声がした。彼女は、毛布を二枚持って屋上に上がってきた。
「寒いですよ。これを」
ルリアは、毛布をレオンに渡した。レオンは、それを肩にかけた。確かに、夜は冷える。
「ありがとう」
「眠れないんですか?」
「ああ。明日のことを考えると」
レオンは、正直に答えた。
「怖いのか、と自分に聞いている」
「怖いに決まっています」
ルリアは、レオンの隣に立った。
「私も怖いです。でも、それでも戦います」
「なぜだ?」
「あなたがいるからです」
ルリアは、レオンを見た。
「あなたが戦うなら、私も戦います。それだけです」
レオンは、ルリアの言葉に、心が温かくなるのを感じた。一人じゃない。仲間がいる。その事実が、どれほど心強いか。
「ありがとう、ルリア」
「いいえ」
ルリアは、微笑んだ。
「明日、一緒に戦いましょう」
「ああ」
二人は、しばらく黙って王国軍の陣営を見つめていた。明日、運命の戦いが始まる。この町の、この自由の、すべてがかかっている戦いが。
夜明け前、王国軍が動き始めた。太鼓の音が響き、兵士たちが整列する。攻城兵器が、前線に運ばれていく。巨大な投石機、破城槌、攻城塔。すべてが、城壁を破壊するための兵器だった。
城壁の上で、レオンは全軍に最後の言葉を送った。
「今日、我々は歴史を作る」
レオンの声が、城壁全体に響いた。
「小さな町が、大国に立ち向かう。それは、無謀に見えるかもしれない」
「だが、我々には、信じるものがある。自由、平等、そして仲間」
レオンは、剣を掲げた。
「この信念のために、俺たちは戦う。勝利のために、未来のために」
「おおっ!」
兵士たちの雄叫びが、空を震わせた。
王国軍の陣営では、グレイソン将軍が最後の命令を下していた。
「全軍、前進せよ。リコンストラクト自由国を制圧する」
「王国に栄光を!」
副官が叫ぶと、五千の兵士が一斉に応えた。
「栄光を!」
太鼓が鳴り、ラッパが響く。王国軍が、動き出した。その波は、圧倒的だった。地面が揺れ、砂塵が舞い上がる。
城壁の上で、レオンは敵軍を見つめた。来る。ついに、本当の戦いが始まる。
「全員、配置につけ」
レオンの命令で、兵士たちが最終確認をする。弓兵は矢を、槍兵は槍を、魔法使いは呪文を。
「来るぞ」
ルークが、戦斧を構えた。
王国軍が、射程距離に入った。
「弓兵、撃て!」
レオンの叫びと共に、無数の矢が放たれた。
リコンストラクト自由国と王国の、運命を懸けた戦いが、今、始まった。
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