暴虐の果て

たじ

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第7話

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 11月10日

 「………たすけてぇぇぇーーー!!!しんじぃぃぃーーーーーー!!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」

 …………何処かで女性の叫び声が聞こえる。しんじ………?誰の事だ………?

 「…………びぃやぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」なんだかゴボゴボという音がしているような………?

 「だぁずげぇぇでぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!でぃうざんがげないでぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!!じんじぃぃぃぃぃぃぃーーーーーー!!!!」
 
 ……………………………………………………………………………、、。
…………ここは何処だ?俺は一体…………?

 …………頭が割れるように痛い。………またさっき誰かの悲鳴が聞こえた気がした。

 「起床ーーーーー!!!きしよ"う"ぅぅぅぅ~~~~~!!!!」…………また何処かから大音量の声が響き出した。

 …………それと同時に頭の痛みがピークに達し私は気を失った。


 11月11日

 6畳程の小部屋に制帽を被った二人組がいる。一人がもう一人に何かを囁く。

 「3126番はまた発作か……………。」部下の報告に藤堂は思わず顔をしかめる。今日は一際煙草がまずい。
 
 ……一体ここ一月だけで何回あの囚人は問題を起こすのだろう。
 (……ったく、俺が主任になってからというものの、トラブル続きで嫌んなるぜ……。)
 藤堂は胸中で一人呟く。

 3126番というのは、薬物絡みで先々月の下旬に現行犯逮捕された男の事である。逮捕の後拘置所に収監され、先月はじめにこの藤堂の勤める刑務所へと移送されてきた。

 それからこっち、数日に一度のペースでてんかんに似た発作を起こしては医務室に運ばれ、目覚めては暴れだす、というのを繰り返している。

 (…………全く厄介なやつが転がり込んできたもんだ。ったく……。)

 藤堂は手に持っていた煙草を最後に一吹きすると、部下と共に小部屋を後にした。
 
 
 10月17日午後2時頃

 鬼洞院(きとういん)真(まこと)は私立大学の2年生でバイトや授業のないときは専ら廃墟だの実際の殺人現場だの、所謂オカルトスポット巡りをすることを趣味としている。

 今日も幽霊が現れるとネットで噂されている某県にある山中の廃屋を調査しに来ていた。

 「さぁ、今日の物件はどんなもんかなぁ~~?」ニヤニヤ一人で笑いながら山奥のボロボロの木造の廃屋の周りを歩いている彼の姿はちょっとしたヤバイ感じが出てしまっている。

 そうして件の廃屋にすっかり夢中になってスマホで写真撮影をしていると彼はズルッと盛大に足を滑らした。

 「…うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」

 廃屋の丁度真裏側は傾斜のきつい斜面となっておりそこから足を滑らせた青年はゴロゴロと山の斜面を何mも下へ転がってゆく。


 ……カァーカァーカァー……。……何処かからカラスの鳴き声が聞こえてくる。

 「……っ!!痛ったたたた……!!」
 険しい斜面を派手に転がった割には擦り傷や打撲傷はあるものの、特にどこか骨を折ったりとか重傷を負っている訳ではないようだ。

 青年は廃屋の方を見上げる。あんな上から一気に転がったのによく無事で済んだものだ。我ながら運が良い。

 「………ん?」目の前の茂みにちらりとなにか建物の様なものの影が写ったような……。

 青年はその建物らしきものが見えた方へと茂みを掻き分けてゆく。

 するとそこには何だか物置のような小さな木造の小屋が一つあった。

 小屋の窓ガラスはすっかり汚れておりドアも苔むしていてどうやら何年も人が使っていないようだ。

 「…ほほぅ。こんな所にお宝が……。」
 そう言いつつ青年はドアを開こうとするがよく見ると小さな南京錠がついていて開かない。しかし長年の風雪に晒されて鍵はかなりガタがきている。

 「……これなら……。」そう呟いた彼は手近にあった拳大の石を手にしてゴツンと南京錠に振り落とした。

 果たして南京錠は二度三度と石をぶつける内にグラグラしてきて、五度目に彼が石をぶつけるとカランっと音を立てて土台のネジごと吹き飛んだ。

 「……よ~しよしよし。さてさて中にはな~にがあっるのっかな~~?」ルンルン気分で彼がドアをギィーという音を立てながら開けると中には簡素な木製の机と椅子が一組。
 後は同じく木製の棚にズラッと何かが入った瓶が並んでいるだけだった。

 「……な~んだ、期待して損しちゃったぜ~~!!」軽口を叩きながら中に入っていく彼の目に何かボロボロのバインダーのようなものが映った。

 「……何だこりゃ?」摘まみ上げてパラパラとページを捲る青年の目が妖しく輝いた。

 「……こいつが本物ならとんでもない大スクープだぞ!!!」興奮した口調で彼は最初のページからジックリと目を通し始めた………。
 
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