暴虐の果て

たじ

文字の大きさ
15 / 45

第15話

しおりを挟む
11月11日午後7時

私はあれから"わたしのすきなこと"と紙に書かれてあったヒントについてあれこれ考えてパソコンに打ち込んでみた。

……しかし。

ピーッ。無情にエラーを告げる機械音が鳴り響くばかりで一向に正解できないでいた。

………………………………。

ひょっとせずとも私を拉致監禁した犯人に踊らされているのでは?

そうも考えたがそれならもっと目につくような場所にヒントを書いた紙を置いておくのが普通ではないだろうか。

「……うーん……。」

唸りながら考えるものの特に思い付くことはない。

「私の好きなこと……………。……………!!
まさか…………。犯人にとっての好きなこと?」

だとすれば犯人の好むこととは一体なんだろう?
赤の他人を拉致監禁すること?

パソコンに打ち込むもまたしてもエラー音が鳴り響いた。

……そういえば隣に監禁されている男が殺し合いたいとかイカれた事をモールスで送ってきていたが……。

拉致監禁した人間同士を殺し合わせることか?

ピーッというエラー音と共に"あともう少しだお。ガンバ!"というふざけたメッセージが表示される。

あともう少し……?

監禁している人間を死に至らしめる事……?

殺す事?

片端から打ち込むと目の前のコンクリート壁がウィーン、ウィーンと微かな音をたててゆっくりと上に上がっていく。

パソコン画面を見ると「すんばらしいっ!おめでとうっ!」とメッセージが表示されていた。

「……つくづく人を馬鹿にしているな。」

そう言いながら私は目の前の壁の開口部を潜って外へと出た。


    ◆  ◆  ◆  ◆

10月5日

荒垣探偵事務所から帰宅した入江真美は家の玄関口で震え動揺していた。

……どうもさっきから激しい頭痛と変な動悸がして心臓がバクバクと破裂しそうだった。

ハンドバッグからピルケースを取り出して中の錠剤を何粒か取り出して飲み込む。

しばらくすると嘘のように動悸は治まり頭に甘い痺れと共に快感が押し寄せてきた。

「……フゥ……。」

最近どうも以前よりも薬の量が増えていた。
以前までは2、3日おきに数錠飲めば良かったのが最近ではほとんど毎日薬を服用している。

マズイマズイと思いながらも真美はネットを通して手に入れたその怪しい薬にどっぷりと浸かりつつあった。


     ◆  ◆  ◆  ◆

同10月5日深夜


「京子た~~ん♡♡」

薄暗い部屋の中でパソコンデスク前の椅子に腰かけた男が一枚の写真に頬擦りしている。

その表情は弛緩しきっていて口の端からよだれが流れ落ちている。

「もうすぐ会いに行くからねぇ~~~!!」

男の目の前のパソコンの画面には残虐な殺人映像が繰り返し再生されていた。










しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...