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第一章 ヒロイン編

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まだわからんのか。さっきはっきり言っただろ。

「モーリス男爵夫妻、お前達の教育はどうなってるんだ!?皇太子を軽々しくにしていいと教えているのか?」

「とんでもございません。サラリー!!!カルティド殿下になんという言葉遣いしてるんだ!!」
「サラリー、どうしちゃったの!?学園に入るまで優しい子だったじゃない………..。早くカルティド殿下に非礼を謝りなさい!!!」

モーリス男爵夫妻は自分の子を信じたい反面、顔を青くしながらモーリス嬢を責めている……俺が怖いのだろう。
謝られても許す気はない。

「…………カルティド殿下、申し訳ございません。ですが、あんな女より私を知ればこれからでも私を好きになるはずです!!!」

まだ言うか、呆れるな。
いい加減にしろよ。
よほど自分に自信があるらしいな。

「あんな女??リティのことか?自分の立場もわからず人を貶すことばかり呆れたものだな。言ったはずだ!!!俺はお前モーリス嬢を好きにならない。知ろうとも思わない。俺達の前に二度と現れるな。次に俺達の前に現れたらさらに地獄を味わわせてやろう。………わかってるだろうが、モーリス男爵夫妻、カーシス子爵夫妻、サルコー夫妻、ブレーリ公爵夫妻、今ここで自分達の子供に夫妻達からの考えを述べよ。」

自分でも恐ろしく低く冷めた声を出してしまった。
リティにされたことを思うととても冷静ではいられない。各夫妻に決断を委ねてるんだ……俺が決断すればこの4人はこの世にいないだろう……これでも耐えてる方だ。

「カルティド殿下……娘エバを修道院へ送ります。娘がファシリック公爵令嬢にご迷惑をお掛けしてすみませんでした。」

カーシス子爵夫妻が深々と頭を下げ、娘の断罪の先頭をきった。
そうだな。カーシス嬢には妥当か。な。

「ララが誠に申し訳ございません。娘との縁を切らせていただきます。そして一切の援助もいたしません。」

サルコーは子爵家と血縁ではあるが、父親が4男のため平民同様の扱いになっている。
仕方ない。夫妻からしたらこれ以上ない娘への罰になるな。
ただ、だが。

「カルティド殿下、この度は息子が多大なご迷惑をお掛け致しました。リティアナ嬢にも怖い思いをさせ申し訳ございません。今までも息子に対して正してきましたが私たちの思いは伝わらなかったようです。ブレーリ公爵家として息子を領地にある別荘へ送り王都へ二度と来ることを禁じることにします。」

廃嫡………とは言わないがほぼそのような対応だな。
まあ、こいつも公爵令息という自覚があるからこそ全部をモーリス嬢達の言いなりにはなっていなかったはずだ。
妥当といえば妥当か。

「なっ!?お父様お母様俺を捨てる気ですか??俺はブレーリ公爵家を継ぐ長男です!!」

こいつにとって廃嫡同然の対応で自分を保てないだろう。
なんせ蔑んでた弟に公爵当主を奪われるのだからな。

「お前……カルティド殿下の婚約者に手を出そうとしておきながらまだそんなことを言ってるのか!!次はないと前にも忠告したはずだ。ここで宣言しておく、イグルスに公爵当主を継いでもらう。」

「そっそんな………。」

絶望的な顔をして体を震わせている。
自業自得で何も言うことはない。
さて、主犯であるモーリス男爵夫妻はどんな決断か………
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