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26 はるか頭上
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一旦男子生徒の言葉を止めたケネシスが一つ頷く。
「お二人はここまで相談などはしておりませんね?」
男子生徒と女子生徒に聞くと二人は大きく頷いた。
「はい。今まで招待いただいた理由もわかりませんでしたから」
「ではお二人共同時にその時に聞いたことを教えてください。せいの」
「可哀想だと思われたいから虐めてくれ」
「虐めてほしい。親友でしょう」
前のアリサの証言は『協力』という言葉が使われているが二人は『虐めて』という言葉を使った。二人の言葉は多少違うがパレシャが虐められたいと言ったということはみなに伝わりざわめきが起きる。
「嘘よっ!!」
パレシャが首をブンブンと振る。
「お二人共。証言していただきありがとうございます」
アリサの言葉でアリサとケネシスが礼をしたのを見て二人は元の場所へ戻っていった。そしてアリサとケネシスはパレシャへと向き直す。
「お二人のお言葉通りわたくしはユノラド男爵令嬢様に『虐め』を懇願されましたわ。しかしわたくしはそのような低俗なことはいたしたくありませんでしたのでユノラド男爵令嬢様と関わりを持たぬようにと避けておりましたの。でもわたくしが避けることが周囲へご迷惑をおかけすることになってしまうようですのでわたくしは虐めではなく貴族として淑女としてのマナーなどをユノラド男爵令嬢様にご説明していくことにいたしましたのよ。わたくしはユノラド男爵令嬢様が淑女となるべく『協力』をしてさしあげたのです。
それを虐めと捉え嬉々としてこちらで発表なさるとはわたくしの考えのはるか頭上にいらっしゃいましたのね」
アリサが伏し目がちになる。
「皆様にご迷惑をお掛けしないようにと取った行動がこうして皆様に不快な思いをさせてしまうことになるなんて……」
二人の友人たちがアリサに駆け寄りハンカチを手渡した。
「アリサ様。皆わかっておりますわ。アリサ様に非はございませんわ」
「このようなご説明はなくともアリサ様のお信用は揺らぐことはございませんのに」
他の招待客もうんうんと首肯していた。アリサが目尻を抑えてから顔をあげってにっこりとする。その姿を見てグッと涙を堪える者もいたほどアリサが皆を気遣い傷心し無理に笑顔を作っていることはわかっている。
「皆様ありがとうございます」
「アリサ様。お気になさらないでくださいませ」
「わたくしどもはいつでもお味方ですわ。ご無理はなさらないで」
他の招待客も気にするなというようにフルフルと首を横に振っている。
ケネシスはその様子を嬉しそうに見ていた。
「なんなの!? みんなでアリサアリサって! 被害者は私なのよ。加害者の言い分が正しいわけないじゃない」
「いえ。違いますよ。ここに書かれているもので虐めに相当するものは一つもありません」
ケネシスがくしゃくしゃの紙を広げて見せた。
「にも関わらずズバニールさんによってアリサが加害者かのように言われたようです。つまり、被害者はアリサで加害者はズバニールさんとズバニールさんに吹き込んだユノラド男爵令嬢ですよ」
「なんだっと!」
加害者と言われてズバニールも黙っていない。
「貴様は何の権限があってそんな偉そうにアリサの隣に立っているのだ!」
「そうよ! ケネシスは私が好きなんでしょう。私がズバニールを選んだからって拗ねたりしないでよ。私の幸せを願ってちょうだい」
「は?」
ケネシスは『氷の小公爵』という二つ名の本領を見せる。これまでは表情を変えずそっけない態度を取ることからそう言われてきたが今のケネシスは背中でさえも猛吹雪を起しそうなほどである。
「気持ち悪い」
「「気持ち悪い??」」
ケネシスのブリザードを真正面から受けているズバニールとパレシャは支え合いながらケネシスの言葉を聞き返した。
「アリサが僕の人望のためにそれを無下にしない方がいいと助言してくださったので致し方なくぎりぎりの接点を維持しただけですよ。僕としても社交界に出れば好き嫌いだけで過ごしていけるわけにはいかないことは理解しておりますのでその練習にと考え我慢しておりました。
それなのに僕がそれを好き? ありえない。ありえなさすぎる。その考えが気持ち悪い。もういっそ塵一つ残さず消してしまいたいほどに気持ち悪い」
ケネシスが頭を抱えた。
「ああ。僕はまだまだ鍛錬が足りないようです。接点は持つが好意の度合いを相手に伝えることができていなかったのですね。顔見知り程度と伝えるつもりだったのですが、いっそ嫌悪感を表すべきだったのでしょうか?」
アリサがケネシスの腕に触れた。
「ケニィ。あの方がわたくしの考えのはるか上であったため皆様にご迷惑をかけてしまいました。そしてそれを貴方にも強要してしまい貴方を苦しめた……。ごめんなさい」
「アリサ。君を責めているわけじゃないのです。僕もあまりのありえないことの言われように我を忘れてしまいましたね。すみません。
我々の常識を超える者がいるという教訓になったのだと考えるようにしましょう」
ケネシスは腕にあるアリサの手に手を重ねアリサもコクンと頷いた。
「お二人はここまで相談などはしておりませんね?」
男子生徒と女子生徒に聞くと二人は大きく頷いた。
「はい。今まで招待いただいた理由もわかりませんでしたから」
「ではお二人共同時にその時に聞いたことを教えてください。せいの」
「可哀想だと思われたいから虐めてくれ」
「虐めてほしい。親友でしょう」
前のアリサの証言は『協力』という言葉が使われているが二人は『虐めて』という言葉を使った。二人の言葉は多少違うがパレシャが虐められたいと言ったということはみなに伝わりざわめきが起きる。
「嘘よっ!!」
パレシャが首をブンブンと振る。
「お二人共。証言していただきありがとうございます」
アリサの言葉でアリサとケネシスが礼をしたのを見て二人は元の場所へ戻っていった。そしてアリサとケネシスはパレシャへと向き直す。
「お二人のお言葉通りわたくしはユノラド男爵令嬢様に『虐め』を懇願されましたわ。しかしわたくしはそのような低俗なことはいたしたくありませんでしたのでユノラド男爵令嬢様と関わりを持たぬようにと避けておりましたの。でもわたくしが避けることが周囲へご迷惑をおかけすることになってしまうようですのでわたくしは虐めではなく貴族として淑女としてのマナーなどをユノラド男爵令嬢様にご説明していくことにいたしましたのよ。わたくしはユノラド男爵令嬢様が淑女となるべく『協力』をしてさしあげたのです。
それを虐めと捉え嬉々としてこちらで発表なさるとはわたくしの考えのはるか頭上にいらっしゃいましたのね」
アリサが伏し目がちになる。
「皆様にご迷惑をお掛けしないようにと取った行動がこうして皆様に不快な思いをさせてしまうことになるなんて……」
二人の友人たちがアリサに駆け寄りハンカチを手渡した。
「アリサ様。皆わかっておりますわ。アリサ様に非はございませんわ」
「このようなご説明はなくともアリサ様のお信用は揺らぐことはございませんのに」
他の招待客もうんうんと首肯していた。アリサが目尻を抑えてから顔をあげってにっこりとする。その姿を見てグッと涙を堪える者もいたほどアリサが皆を気遣い傷心し無理に笑顔を作っていることはわかっている。
「皆様ありがとうございます」
「アリサ様。お気になさらないでくださいませ」
「わたくしどもはいつでもお味方ですわ。ご無理はなさらないで」
他の招待客も気にするなというようにフルフルと首を横に振っている。
ケネシスはその様子を嬉しそうに見ていた。
「なんなの!? みんなでアリサアリサって! 被害者は私なのよ。加害者の言い分が正しいわけないじゃない」
「いえ。違いますよ。ここに書かれているもので虐めに相当するものは一つもありません」
ケネシスがくしゃくしゃの紙を広げて見せた。
「にも関わらずズバニールさんによってアリサが加害者かのように言われたようです。つまり、被害者はアリサで加害者はズバニールさんとズバニールさんに吹き込んだユノラド男爵令嬢ですよ」
「なんだっと!」
加害者と言われてズバニールも黙っていない。
「貴様は何の権限があってそんな偉そうにアリサの隣に立っているのだ!」
「そうよ! ケネシスは私が好きなんでしょう。私がズバニールを選んだからって拗ねたりしないでよ。私の幸せを願ってちょうだい」
「は?」
ケネシスは『氷の小公爵』という二つ名の本領を見せる。これまでは表情を変えずそっけない態度を取ることからそう言われてきたが今のケネシスは背中でさえも猛吹雪を起しそうなほどである。
「気持ち悪い」
「「気持ち悪い??」」
ケネシスのブリザードを真正面から受けているズバニールとパレシャは支え合いながらケネシスの言葉を聞き返した。
「アリサが僕の人望のためにそれを無下にしない方がいいと助言してくださったので致し方なくぎりぎりの接点を維持しただけですよ。僕としても社交界に出れば好き嫌いだけで過ごしていけるわけにはいかないことは理解しておりますのでその練習にと考え我慢しておりました。
それなのに僕がそれを好き? ありえない。ありえなさすぎる。その考えが気持ち悪い。もういっそ塵一つ残さず消してしまいたいほどに気持ち悪い」
ケネシスが頭を抱えた。
「ああ。僕はまだまだ鍛錬が足りないようです。接点は持つが好意の度合いを相手に伝えることができていなかったのですね。顔見知り程度と伝えるつもりだったのですが、いっそ嫌悪感を表すべきだったのでしょうか?」
アリサがケネシスの腕に触れた。
「ケニィ。あの方がわたくしの考えのはるか上であったため皆様にご迷惑をかけてしまいました。そしてそれを貴方にも強要してしまい貴方を苦しめた……。ごめんなさい」
「アリサ。君を責めているわけじゃないのです。僕もあまりのありえないことの言われように我を忘れてしまいましたね。すみません。
我々の常識を超える者がいるという教訓になったのだと考えるようにしましょう」
ケネシスは腕にあるアリサの手に手を重ねアリサもコクンと頷いた。
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