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25 ヒーローガール
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「このクズバカール!! よくもやってくださいましたわね!」
眉間にシワを寄せたアリサは階段の最上段から透き通る声を高らかに上げた。
ハーフアップの黄緑色の髪には下から見ても艶めきがわかり金色を基調としたドレスは紫色とのコラボレーションによって華やかなのに落ち着きのありアリサの雰囲気そのものであった。
「本当に信じられませんわっ!」
「アリサ」
アリサの隣に立つ青年が優しく諭すように呟く。
「みなさんが女神の降臨をお待ちですよ。そろそろ参りましょう」
二人が降りてくる姿は神々しく羨望の眼差しが集中している。先程ズバニールたちが降りてきた時とはまわりの視線に雲泥の差だ。
パーティーの雰囲気ぶち壊し状態であったためアリサは登場しただけですでにヒーローガールである。
しかし、アリサ本人はとある人物のためのヒーローガールになることしか考えていない。
「アリサぁぁぁ」
半泣きのパレシャがズバニールの胸から顔を上げてアリサに助けを求めた。
壁にいたメイドがサササササとアリサに近づきメモを渡す。
「そうですか。わたくしたちがいない間にこのようなお話になっておりましたのね」
アリサはそのメモを隣の青年に渡す。
「グブッ!」
メモを読んだ青年は絶句して驚愕の感情むき出しの視線をズバニールとパレシャに向けた。
「ここまで酷いとは」
そこにはズバニールがメイロッテに言い募った言葉がメモされている。
「そうなのぉ。アリサぁ。ケネシスぅ。メイロッテ様が酷いのよぉ」
パレシャはズバニールの胸に顔を寄せて泣き出した。
「いえいえ。酷いのはズバニールさんとユノラド男爵令嬢ですよ。ご理解をしていらっしゃらないのはお二人だけのようですし」
絶句していたケネシスは気を取り直して周りをグルっと見回しパレシャに答えた。
「どうしてケネシスがアリサのエスコートしているの? アリサは王太子妃になるのよ」
「わたくしは王太子妃にはなりません」
答えたのはアリサだった。
「それよりまずはこの内容について片付けましょう」
アリサはケネシスの手からメモを取りひらひらと振る。
「ここにはお二人の本日の言動が書かれております。端的にまとめますと男爵令嬢による公爵令嬢への難癖ですわね」
「アリサのことは責めていないよっ!」
「ズバニールがわたくしが虐めのような低俗なことをしていたと声高らかにおっしゃったのでしょう?」
「だからそれはアリサがメイロッテに命令されたから……」
「お義姉様を呼び捨て……」
アリサは小さくつぶやきメモをくしゃりと握りつぶす。
「手を痛めてしまいますよ」
ケネシスはそっとアリサの手を握りそのメモを回収した。
「そっ、そんなことしたら王太子に睨まれるんだからっ!」
二人の声が聞こえないパレシャにはただ手を取ったようにしか見えていないようだ。
「王太子殿下に敬称なしとは自殺願望でもあるのかもしれませんね」
ケネシスがアリサに顔を近づかせた。パレシャへの呆れの嘆息をもう一度して凛々しく背を正してパレシャを見つめる。
「勘違いなさっているようですがそれは後ほど説明いたしますわ。
この虐めについてです。わたくしの言動は貴族として当然のことですし、最後の水たまりについては攻撃をなさったのはユノラド男爵令嬢様でわたくしは防衛したに過ぎません。
そもそもユノラド男爵令嬢様はわたくしに自分に協力てほしいと懇願なさったではありませんか?」
それを知らなかったズバニールはパレシャを自分から引き離して顔をじっと見た。パレシャは慌ててズバニールに首を振ってみせる。
「それについては証人も見つけてあります」
ケネシスがにっこりと笑い招待客の一部を手で示すと男子生徒と女子生徒が一人ずつ前に出た。
「俺はユノラド男爵令嬢と同じクラスの者です」
「私もです」
「お二人が何を見聞きしたのかを教えていただけますか?」
ケネシスは優しく誘導する。冷たい印象を持たれているケネシスの温かな言葉に引き寄せられるように更に前に出た。
「二学年の中頃にオルクス公爵令嬢様が我がクラスにいらっしゃいました。ユノラド男爵令嬢の素行を見にいらっしゃったご様子でした。その頃にはすでにオルクス公爵子息様とユノラド男爵令嬢との噂は出ておりましたので。
その際、何を勘違いしたのかユノラド男爵令嬢はオルクス公爵令嬢様を自分の味方だという態度で『相談がある』と持ちかけ教室の隅へと行きました。その時に……」
男子生徒が続けようとするのをケネシスが手で制した。
眉間にシワを寄せたアリサは階段の最上段から透き通る声を高らかに上げた。
ハーフアップの黄緑色の髪には下から見ても艶めきがわかり金色を基調としたドレスは紫色とのコラボレーションによって華やかなのに落ち着きのありアリサの雰囲気そのものであった。
「本当に信じられませんわっ!」
「アリサ」
アリサの隣に立つ青年が優しく諭すように呟く。
「みなさんが女神の降臨をお待ちですよ。そろそろ参りましょう」
二人が降りてくる姿は神々しく羨望の眼差しが集中している。先程ズバニールたちが降りてきた時とはまわりの視線に雲泥の差だ。
パーティーの雰囲気ぶち壊し状態であったためアリサは登場しただけですでにヒーローガールである。
しかし、アリサ本人はとある人物のためのヒーローガールになることしか考えていない。
「アリサぁぁぁ」
半泣きのパレシャがズバニールの胸から顔を上げてアリサに助けを求めた。
壁にいたメイドがサササササとアリサに近づきメモを渡す。
「そうですか。わたくしたちがいない間にこのようなお話になっておりましたのね」
アリサはそのメモを隣の青年に渡す。
「グブッ!」
メモを読んだ青年は絶句して驚愕の感情むき出しの視線をズバニールとパレシャに向けた。
「ここまで酷いとは」
そこにはズバニールがメイロッテに言い募った言葉がメモされている。
「そうなのぉ。アリサぁ。ケネシスぅ。メイロッテ様が酷いのよぉ」
パレシャはズバニールの胸に顔を寄せて泣き出した。
「いえいえ。酷いのはズバニールさんとユノラド男爵令嬢ですよ。ご理解をしていらっしゃらないのはお二人だけのようですし」
絶句していたケネシスは気を取り直して周りをグルっと見回しパレシャに答えた。
「どうしてケネシスがアリサのエスコートしているの? アリサは王太子妃になるのよ」
「わたくしは王太子妃にはなりません」
答えたのはアリサだった。
「それよりまずはこの内容について片付けましょう」
アリサはケネシスの手からメモを取りひらひらと振る。
「ここにはお二人の本日の言動が書かれております。端的にまとめますと男爵令嬢による公爵令嬢への難癖ですわね」
「アリサのことは責めていないよっ!」
「ズバニールがわたくしが虐めのような低俗なことをしていたと声高らかにおっしゃったのでしょう?」
「だからそれはアリサがメイロッテに命令されたから……」
「お義姉様を呼び捨て……」
アリサは小さくつぶやきメモをくしゃりと握りつぶす。
「手を痛めてしまいますよ」
ケネシスはそっとアリサの手を握りそのメモを回収した。
「そっ、そんなことしたら王太子に睨まれるんだからっ!」
二人の声が聞こえないパレシャにはただ手を取ったようにしか見えていないようだ。
「王太子殿下に敬称なしとは自殺願望でもあるのかもしれませんね」
ケネシスがアリサに顔を近づかせた。パレシャへの呆れの嘆息をもう一度して凛々しく背を正してパレシャを見つめる。
「勘違いなさっているようですがそれは後ほど説明いたしますわ。
この虐めについてです。わたくしの言動は貴族として当然のことですし、最後の水たまりについては攻撃をなさったのはユノラド男爵令嬢様でわたくしは防衛したに過ぎません。
そもそもユノラド男爵令嬢様はわたくしに自分に協力てほしいと懇願なさったではありませんか?」
それを知らなかったズバニールはパレシャを自分から引き離して顔をじっと見た。パレシャは慌ててズバニールに首を振ってみせる。
「それについては証人も見つけてあります」
ケネシスがにっこりと笑い招待客の一部を手で示すと男子生徒と女子生徒が一人ずつ前に出た。
「俺はユノラド男爵令嬢と同じクラスの者です」
「私もです」
「お二人が何を見聞きしたのかを教えていただけますか?」
ケネシスは優しく誘導する。冷たい印象を持たれているケネシスの温かな言葉に引き寄せられるように更に前に出た。
「二学年の中頃にオルクス公爵令嬢様が我がクラスにいらっしゃいました。ユノラド男爵令嬢の素行を見にいらっしゃったご様子でした。その頃にはすでにオルクス公爵子息様とユノラド男爵令嬢との噂は出ておりましたので。
その際、何を勘違いしたのかユノラド男爵令嬢はオルクス公爵令嬢様を自分の味方だという態度で『相談がある』と持ちかけ教室の隅へと行きました。その時に……」
男子生徒が続けようとするのをケネシスが手で制した。
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