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46 本の作者
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たわいも無い話しをして雰囲気がよくなったのを見計らってエイミーは本題に入る。
「私にはとても大切な本があるのだけど、その本はオルクス公爵家で作られたと聞いたわ。私のお父様がプレゼントしてくれた本なの」
話してはダメだという塩梅が若干十二歳のケネシスの予想と異なっていたためケネシスはギョッとして強張った。エイミーはアリサににっこりと微笑む。
「大好きな本なの。アリサ嬢にお会いしたらお礼を言いたかったのよ。お父様によろしくお伝えいただける?」
オルクス公爵はワイドン公爵のススメとアリサの家庭教師からの懇願もあって写生生を使ってこれまで二巻を各三十冊ほど作成しており知る人ぞ知る本になっている。
「わかりましたわ。父に伝えておきます。わたくしも大好きな本なのです。気に入っていただけて嬉しいですわ」
「あれはやはりメイロッテが主人公なの?」
「そうですわ。わたくしがメイお義姉様を大好きなことを知った家庭教師がわたくしのお勉強のために作成してくださったものなのです」
「もう。アリサ。それははずかしいからお外では内緒にしてちょうだい」
メイロッテは頬を染めて両手でそれを隠す。
『なるほど。発案者であることは秘密だけど、オルクス公爵家で書かれたものであることやコンティ辺境伯令嬢がモデルであることは秘密ではないのですね』
黙って三人の話を聞いているケネシスの頭の中はフル回転である。
『やはりどう見ても僕と同年代ですね。この方があれを作ったとは……。
上には上がいますね。僕はもっと精進しましょう』
「メイロッテ。いいじゃないの。すごく光栄なことでしょう。
ところで男の子用も書いていると聞いたのだけれど」
この頃にはジャルフはロッティー物語の版画制作を始めていて、アリサと家庭教師フリーラは少年用の本の文章の編集に入っていた。
「はい。まだ作成途中ですが。絵師を務める執事の手がやっと空くことになりましたので作成をお願いしているところです」
『コンティ辺境伯令嬢が見たのはその作成作業なのかもしれないですね。僕も見たいですけど……。発案者が秘密なのだから無理でしょうね。
あの本だけでなく別の本もあるとはすごい方だ』
「よかったら、ケネシスにその本を一冊譲ってほしいのだけど」
エイミーがおねだりポーズをする。
『あれは新しい馬や新しい剣がほしいときの義姉上の作戦ですね。義父上なら落ちますが、年下のオルクス公爵令嬢に通用するのですか?』
ケネシスの心配を他所に年上からのおねだり攻撃にアリサは楽しそうに笑っていた。
「かしこまりました。執事に伝えておきますわ。できあがりましたらワイドン公爵邸にお送りすればよろしいでしょうか?」
「いえ!」
慌てて否定したケネシスの声は少しばかり大きくなりメイロッテとアリサは驚いておりエイミーは呆れている。
「あー、コホン。すみません。
お手紙をいただければ受け取りに参ります。ご迷惑でなければですが」
今度はメイロッテとアリサがフッと微笑み、エイミーが目を丸くしていた。
『ケネシスったら結構やるじゃないの! アリサ義妹計画は順調だわ』
「迷惑だなどということはございませんわ。ではその際にはご連絡させていただきますわね」
「はい! 楽しみにお待ちしております!」
『本ではなく、アリサに会えることが楽しみなのでしょうね。それまでに会話の訓練をメイドに頼んでおかなくては!』
北部学園に入学を控えるエイミーはケネシスの会話の指導までする時間はないのである。
エイミーの計略で交流を持つことになったアリサとケネシスであったがその一年後にアリサが第一王子の婚約者候補の一人に選ばれたことで距離を置かなければならなくなってしまった。
その報告を受けたエイミーは北部辺境伯家で怒り狂い自分の婚約者である辺境伯の次男相手に剣を振り回して発散させたことは遠い未来でケネシスとアリサの耳に入った話である。
〰 〰 〰
『あの時は目の前が真っ暗になる気分でしたが、諦めずにいてよかったです。エイミー義姉さんがワイドン公爵家を後継してくれたおかげもありますね』
「ケニィ。本のことと貴方のことは同列にはならないですわ」
アリサの不安そうな顔にケネシスは反省した。
「アリサ。君の本への情熱は別物であることはわかっていますよ」
「うをっほん! ケネシスの判断が我が家の助けになったことは確かだな」
見つめ合いラブラブモードに突入しそうになったアリサとケネシスにオルクス公爵が待ったをかけた。
「私にはとても大切な本があるのだけど、その本はオルクス公爵家で作られたと聞いたわ。私のお父様がプレゼントしてくれた本なの」
話してはダメだという塩梅が若干十二歳のケネシスの予想と異なっていたためケネシスはギョッとして強張った。エイミーはアリサににっこりと微笑む。
「大好きな本なの。アリサ嬢にお会いしたらお礼を言いたかったのよ。お父様によろしくお伝えいただける?」
オルクス公爵はワイドン公爵のススメとアリサの家庭教師からの懇願もあって写生生を使ってこれまで二巻を各三十冊ほど作成しており知る人ぞ知る本になっている。
「わかりましたわ。父に伝えておきます。わたくしも大好きな本なのです。気に入っていただけて嬉しいですわ」
「あれはやはりメイロッテが主人公なの?」
「そうですわ。わたくしがメイお義姉様を大好きなことを知った家庭教師がわたくしのお勉強のために作成してくださったものなのです」
「もう。アリサ。それははずかしいからお外では内緒にしてちょうだい」
メイロッテは頬を染めて両手でそれを隠す。
『なるほど。発案者であることは秘密だけど、オルクス公爵家で書かれたものであることやコンティ辺境伯令嬢がモデルであることは秘密ではないのですね』
黙って三人の話を聞いているケネシスの頭の中はフル回転である。
『やはりどう見ても僕と同年代ですね。この方があれを作ったとは……。
上には上がいますね。僕はもっと精進しましょう』
「メイロッテ。いいじゃないの。すごく光栄なことでしょう。
ところで男の子用も書いていると聞いたのだけれど」
この頃にはジャルフはロッティー物語の版画制作を始めていて、アリサと家庭教師フリーラは少年用の本の文章の編集に入っていた。
「はい。まだ作成途中ですが。絵師を務める執事の手がやっと空くことになりましたので作成をお願いしているところです」
『コンティ辺境伯令嬢が見たのはその作成作業なのかもしれないですね。僕も見たいですけど……。発案者が秘密なのだから無理でしょうね。
あの本だけでなく別の本もあるとはすごい方だ』
「よかったら、ケネシスにその本を一冊譲ってほしいのだけど」
エイミーがおねだりポーズをする。
『あれは新しい馬や新しい剣がほしいときの義姉上の作戦ですね。義父上なら落ちますが、年下のオルクス公爵令嬢に通用するのですか?』
ケネシスの心配を他所に年上からのおねだり攻撃にアリサは楽しそうに笑っていた。
「かしこまりました。執事に伝えておきますわ。できあがりましたらワイドン公爵邸にお送りすればよろしいでしょうか?」
「いえ!」
慌てて否定したケネシスの声は少しばかり大きくなりメイロッテとアリサは驚いておりエイミーは呆れている。
「あー、コホン。すみません。
お手紙をいただければ受け取りに参ります。ご迷惑でなければですが」
今度はメイロッテとアリサがフッと微笑み、エイミーが目を丸くしていた。
『ケネシスったら結構やるじゃないの! アリサ義妹計画は順調だわ』
「迷惑だなどということはございませんわ。ではその際にはご連絡させていただきますわね」
「はい! 楽しみにお待ちしております!」
『本ではなく、アリサに会えることが楽しみなのでしょうね。それまでに会話の訓練をメイドに頼んでおかなくては!』
北部学園に入学を控えるエイミーはケネシスの会話の指導までする時間はないのである。
エイミーの計略で交流を持つことになったアリサとケネシスであったがその一年後にアリサが第一王子の婚約者候補の一人に選ばれたことで距離を置かなければならなくなってしまった。
その報告を受けたエイミーは北部辺境伯家で怒り狂い自分の婚約者である辺境伯の次男相手に剣を振り回して発散させたことは遠い未来でケネシスとアリサの耳に入った話である。
〰 〰 〰
『あの時は目の前が真っ暗になる気分でしたが、諦めずにいてよかったです。エイミー義姉さんがワイドン公爵家を後継してくれたおかげもありますね』
「ケニィ。本のことと貴方のことは同列にはならないですわ」
アリサの不安そうな顔にケネシスは反省した。
「アリサ。君の本への情熱は別物であることはわかっていますよ」
「うをっほん! ケネシスの判断が我が家の助けになったことは確かだな」
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