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7 第一王子側近たち「「ひゃあ」」
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「そなたは勘違いしている。第一王子殿下とエーティル嬢は婚約していない」
キリアの穏やかなのに威圧的な雰囲気は王族として育ってきた故であろう。
「それはっ! さっきエーティルが私が言った時に婚約解消に応じたからじゃないのっ。王太子との婚約を解消したくせに王太子妃になるってまだ言っているなんて図々しいのよっ!」
「あの者は言葉が通じないのですか?」
キリアはエーティルに尋ねた。エーティルは扇で顔を正面には隠しキリアには苦笑いで返した。
キリアも手で口元を隠して小さくため息をつく。
「あの女より側近たちに聞いた方がよさそうですね」
ムーガがキリアの耳元へアドバイスをするとキリアが頷く。
「第一王子殿下の側近である者たちに聞く。お前たち二人は王太子権に関する決まりを理解しているのか?」
「「はい。もちろんです」」
この国では第一王子と第二王子に合った年齢の令嬢から王太子妃になる者を選び教育を施す。その教育の間に王子二人のうちどちらを王太子にするかは国王陛下が決め、王太子妃にと選ばれている令嬢と婚約し婚姻する。
第一王子と第二王子の年齢に差があった場合は第一王子が断然有利である。
第三王子以下が第一王子や第二王子と年齢が近い場合は第三王子以下にも王太子になる権利が与えられる。
国王陛下が一人を決定させるまでその権利がある者たちは王太子妃となる令嬢と定期的に茶会などをしていく。
王太子妃候補との相性で王太子を選ぶこともあれば、実務能力で選ぶこともあるし、血筋で選ぶこともある。
現在、第一王子ラオルド二十歳、第二王子キリア十八歳、第三王子メルキト十七歳。そして、エーティル十八歳である。第四王子は十歳なので今の所王太子権はない。
「本当に理解しているのならばまずは第一王子殿下にエーティル嬢との交流を深めることを忠告するべきではないのか?」
「ラオルド殿下は事務能力もお高いですし剣技も素晴らしいです。間違いなく王太子の第一候補であられます。ですからご自身の側妃のことをお考えになってもよいと思ったのです。
『ラオルド殿下の決めた方にしてあげて』と訴えたと思ったのです」
またしてもドリテンが答えソナハスが頷くのだが二人は普段からこれで上手くいっている。
「王太子はお前たちが決めるのではないっ! 国王陛下のお考えを勝手に決めることは不敬であるぞ」
「「ひゃあ」」
ドリテンは自分を抱いて震え、前も見ていられなくなったソナハスは頭を抱えて前のめりになる。二人共二十四歳になるが十八歳のキリアの威圧にタジタジである。
「とはいえ、確かに第一王子殿下の能力は誰もが認めるところだ」
キリアの言葉に光明を見た二人は必死になってそれに賛同しブンブンと首肯した。
「ならば尚更エーティル嬢の重要性は理解しているはずだ。なぜ安易にその女をエーティル嬢へ近づかせたのだ?」
このような王太子決定システムのために現在エーティルは最重要人物となっている。後ろで控えていたメイド二人はメイドの皮を被った戦闘員である。だからこそ物凄い殺気を放てるしラオルドがエーティルに縋りたかったのに手を伸ばすことしかできなかった所以なのだ。
メイド二人の眼力はその辺の男なら……チビる。
なので、あの時万が一ウェルシェがエーティルに触れようとしても触れられはしない。
だが、触れられないことと近寄り声をかけることを許したことは別問題である。
「万が一、その女がエーティル嬢を害したらお前たちの命だけでは済まぬぞ。一族全員炭鉱送りとなるだろう。
そうなったら第一王子殿下とて無傷では済まなかっただろうな。第一王子殿下が侍らせていた女がエーティル嬢に擦り傷でも付けてみろ。それだけでも第一王子殿下は王太子候補から遠ざかるぞ。
側近としてその覚悟を持ってその女をあの場へ連れて来たのか?」
側近二人は涙で顔をグシャグシャにして首をブンブンと振った。
「で、ですが、エーティル様は護衛も付けていらっしゃいませんし、そのメイドたちも動きませんでしたし」
珍しくソナハスが口を開いたが素っ頓狂な話でメイドたちの殺気が増しただけだった。
「なろっ! 戯言をっ!」
メイドの一人が小さな声で多少口汚く怒りを表したがムーガがヤレヤレと言う顔で腕を横に挙げて制した。
〰️ 〰️ 〰️
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皆様からご意見を多数いただきました
『ラオルド の 自由に して あげて』について
ドリテンのセリフ
「『ラオルド殿下の決めた方にしてあげて』と訴えたと思ったのです」
ここに繋がります。
殿下の自由だけど最終的にその人を側妃にするのは正妃なので『してあげて』になります。
&ピンクさんは匂わせセリフをまき散らすのです。
キリアの穏やかなのに威圧的な雰囲気は王族として育ってきた故であろう。
「それはっ! さっきエーティルが私が言った時に婚約解消に応じたからじゃないのっ。王太子との婚約を解消したくせに王太子妃になるってまだ言っているなんて図々しいのよっ!」
「あの者は言葉が通じないのですか?」
キリアはエーティルに尋ねた。エーティルは扇で顔を正面には隠しキリアには苦笑いで返した。
キリアも手で口元を隠して小さくため息をつく。
「あの女より側近たちに聞いた方がよさそうですね」
ムーガがキリアの耳元へアドバイスをするとキリアが頷く。
「第一王子殿下の側近である者たちに聞く。お前たち二人は王太子権に関する決まりを理解しているのか?」
「「はい。もちろんです」」
この国では第一王子と第二王子に合った年齢の令嬢から王太子妃になる者を選び教育を施す。その教育の間に王子二人のうちどちらを王太子にするかは国王陛下が決め、王太子妃にと選ばれている令嬢と婚約し婚姻する。
第一王子と第二王子の年齢に差があった場合は第一王子が断然有利である。
第三王子以下が第一王子や第二王子と年齢が近い場合は第三王子以下にも王太子になる権利が与えられる。
国王陛下が一人を決定させるまでその権利がある者たちは王太子妃となる令嬢と定期的に茶会などをしていく。
王太子妃候補との相性で王太子を選ぶこともあれば、実務能力で選ぶこともあるし、血筋で選ぶこともある。
現在、第一王子ラオルド二十歳、第二王子キリア十八歳、第三王子メルキト十七歳。そして、エーティル十八歳である。第四王子は十歳なので今の所王太子権はない。
「本当に理解しているのならばまずは第一王子殿下にエーティル嬢との交流を深めることを忠告するべきではないのか?」
「ラオルド殿下は事務能力もお高いですし剣技も素晴らしいです。間違いなく王太子の第一候補であられます。ですからご自身の側妃のことをお考えになってもよいと思ったのです。
『ラオルド殿下の決めた方にしてあげて』と訴えたと思ったのです」
またしてもドリテンが答えソナハスが頷くのだが二人は普段からこれで上手くいっている。
「王太子はお前たちが決めるのではないっ! 国王陛下のお考えを勝手に決めることは不敬であるぞ」
「「ひゃあ」」
ドリテンは自分を抱いて震え、前も見ていられなくなったソナハスは頭を抱えて前のめりになる。二人共二十四歳になるが十八歳のキリアの威圧にタジタジである。
「とはいえ、確かに第一王子殿下の能力は誰もが認めるところだ」
キリアの言葉に光明を見た二人は必死になってそれに賛同しブンブンと首肯した。
「ならば尚更エーティル嬢の重要性は理解しているはずだ。なぜ安易にその女をエーティル嬢へ近づかせたのだ?」
このような王太子決定システムのために現在エーティルは最重要人物となっている。後ろで控えていたメイド二人はメイドの皮を被った戦闘員である。だからこそ物凄い殺気を放てるしラオルドがエーティルに縋りたかったのに手を伸ばすことしかできなかった所以なのだ。
メイド二人の眼力はその辺の男なら……チビる。
なので、あの時万が一ウェルシェがエーティルに触れようとしても触れられはしない。
だが、触れられないことと近寄り声をかけることを許したことは別問題である。
「万が一、その女がエーティル嬢を害したらお前たちの命だけでは済まぬぞ。一族全員炭鉱送りとなるだろう。
そうなったら第一王子殿下とて無傷では済まなかっただろうな。第一王子殿下が侍らせていた女がエーティル嬢に擦り傷でも付けてみろ。それだけでも第一王子殿下は王太子候補から遠ざかるぞ。
側近としてその覚悟を持ってその女をあの場へ連れて来たのか?」
側近二人は涙で顔をグシャグシャにして首をブンブンと振った。
「で、ですが、エーティル様は護衛も付けていらっしゃいませんし、そのメイドたちも動きませんでしたし」
珍しくソナハスが口を開いたが素っ頓狂な話でメイドたちの殺気が増しただけだった。
「なろっ! 戯言をっ!」
メイドの一人が小さな声で多少口汚く怒りを表したがムーガがヤレヤレと言う顔で腕を横に挙げて制した。
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皆様からご意見を多数いただきました
『ラオルド の 自由に して あげて』について
ドリテンのセリフ
「『ラオルド殿下の決めた方にしてあげて』と訴えたと思ったのです」
ここに繋がります。
殿下の自由だけど最終的にその人を側妃にするのは正妃なので『してあげて』になります。
&ピンクさんは匂わせセリフをまき散らすのです。
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