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登場人物 & 26 ピンクさん「どいてどいてどいてぇ!!!」

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 登場人物が多くなってきたのでお話の途中ですが纒めました。参考にしてください。
 後半の登場人物は書いておりません。



ラオルド
 ビモーデ王国第一王子、二十歳。

エーティル
 公爵令嬢、十八歳。王太子妃になることが決定している

ウェルシェ
 男爵令嬢、十七歳。ピンク髪ピンク瞳のピンクさん。ラオルドの恋人?

ムーガ
 国営騎士団第三師団団長。国王の差配で現在はエーティルの側近の一人。侯爵家三男

キリア
 ビモーデ王国第二王子、十八歳。

ドリテン
 公爵家三男、二十四歳。ラオルドの側近
 
ソナハス
 侯爵家次男、二十四歳。ラオルドの側近

サナ
 第三師団第二部隊所属の女性騎士。子爵令嬢。ムーガの差配でエーティルの専属護衛兼メイド

リタ
 第三師団第二部隊所属の女性騎士。男爵令嬢。ムーガの差配でエーティルの専属護衛兼メイド

カティド
 第三師団第二部隊隊長

ケイルとヨハン
 第三師団第二部隊の新人隊員。二人共子爵家出身で十七歳。

マイアス
 元貴族家の武術家庭教師。現在は王城の衛兵

メルキト
 ビモーデ王国第三王子、十七歳

モカレ
 ビモーデ王国第四王子、十歳

ブランジッド
 エーティルの弟十三歳。公爵家の次期当主でエーティル大好きなシスコン

ベン
 エーティルの公爵家の自警団団長



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 一年後、王都から最も離れた小さな小さな男爵領ではピンクの瞳をした少女が丘の上から自分たちの町を見下ろしていた。
 連峰を背中に抱く領地は未開発なところも多く緑の森が瑞々しく光る自然豊かな領地だ。

 少女の茶色の髪が風に靡く。

「こんな坂道を散歩して転んだらどうするんだ?」

 優しさを目一杯に含んだ言葉に少女は満面の笑みで振り返る。
 その愛おしい笑顔に男は目を細めた。

〰️ 〰️ 〰️


 時を遡ってラオルドが城を辞する前日のことである。

 最北の修道院へ行くため女を一人乗せた粗末な馬車が北の門へ向かって出立した。護衛は馭者を務める騎士と騎馬に跨る騎士二人の三人。罪人を守るための騎士ではなく護送係を無事に完遂するための騎士である。

 出立して半日も経った頃に別の馬が馬車へ近づいてきた。警戒を強めた騎士たちであったがその馬上の者を見て安堵する。

「第三師団長殿。もしや直々に伝達ですか?」

 師団長と呼ばれた男を含めた四人は馬を止めて降り立った。男は殺気の全く籠もらない人懐っこくてどこにでも馴染めそうな極極普通の顔の口角をこれでもかと上げる。

「ご苦労さん。いや、伝達じゃないんだ。
護送係を交代するために来たんだよ」

「「「え!?」」」

 三人の騎士は周りをキョロキョロ見渡す見晴らしのいい街道には農夫の一人もいない。

「実はな、キリア殿下の護衛を強化しなければならなくなった」

 第三師団長ムーガが馬車に視線を送り暗に中にいる人物が関わった事件で政局が変わったということを伝える。騎士たちは第一王子の失墜と第二王子の立場の向上を察した。

「ですが、我々は師団長殿ほどに腕がたつわけではありませんし……」

 三人は目を合わせて頷きあう。

「一人一人の実力ならな。だが、俺一人で一日中を数ヶ月も守れるわけじゃない。今必要なのは一人の実力者じゃない。五十人の堅実で忠義な者なんだよ。わかるだろう?」

 師団長ほどの者から『堅実で忠義』と褒められれば喜ばない騎士はいない。三人は自分の堅実さと忠義心を肯定するように照れ笑いしたり首肯したりしている。

「こうして馬車に鍵も閂もしてあることだし、こんな小娘一人なら俺一人でどうにでもなる。お前たちが言うように俺は腕はたつから山賊から身を守ったり逃げるくらいならできるしな。いざとなればこの馬車も囮にして馬で逃げるさ」

「わかりました。ではお願いします。これが護送書類です」

「了解」

 ムーガは書類を受け取ると自分が乗ってきた馬に括り付けていた荷物を馭者台の後ろの荷物置き場に投げる。そして自分が乗ってきた馬の口を馭者をしていた騎士に預けた。

「じゃあな。気をつけて帰れよ」

「はい。師団長殿もお気をつけていってらっしゃいませ」

「ああ。んじゃ、次の町まで距離があるからもう行くわ。
こいつに合わせて俺まで野営なんて嫌だらよ」

「あははは。そうですね」

 馭者台に軽快に乗ったムーガは物凄い勢いで馬を走らせて行った。
 いくら罪人でも中に女性が乗っていると考えていた騎士たちは丁寧にそしてゆっくりめに馬車を進ませて来ていたのでムーガのスピードにびっくりする。
 だが、すでに彼方へ行ってしまった馬車を追いかけてまで聞くようなことではないし罪人を乗せているのだから問題はないだろうと判断した。

「俺たちもそろそろ行かないと夕方に王都へ着けなくなるぞ」

 三人の騎士はこれまで来た道を急ぎめに戻って行った。

 ムーガは森を少し入ったところで馬車を止め鍵と閂を外す。

『ガツン!』

 凄い勢いでドアが開かれ平民服を着たピンクの髪の少女が飛び出てきた。

「どいてどいてどいてぇ!!!」

 森の奥へと走っていく。
 行動の理由は女性の尊厳を守るため割愛する。

 ホッとした顔で戻ってきた少女にムーガは仕方のないやつだと苦笑いを零した。

「はぁ~~、スッキリしたぁ。罪人だからって馬車内で済ませろって酷くないですかぁ?
本当に漏れるかと思いましたよ」

 戻って来た少女のセリフ…………割愛の意味はなかったかもしれない。

 ムーガの困ったような微笑を見て唇を尖らせた少女の機嫌を取るように言い訳をする。

「出すもの出したら逃げるヤツが多いからさ。逃げられないように罪人の用足を見なきゃいけない騎士たちの気持ちも解かれよ」

「だからって桶はないでしょ! 桶は! 蓋緩いし」

 怒りを喚き散らす少女に対しムーガは少女の頭を撫でてその場を誤魔化した。


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『予想が裏切られたかも!?』
と思われましたらエールやご感想をいただけますと作者が『うっき~!!』となりますwww

よろしくお願いいたします!
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