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「それから食材も二流の物を一流の値段で卸しました。あれらに本物の味などわからないことは立証済みでしたので」
「ぷくくく」
イエット公爵は肩を揺らして笑う。
「その金を国庫ではなく我が家で管理したのです。
王城にある売買記録とうちの売買記録の照合をなさりますか?」
「いえいえ、その必要はありません。あの金を預けていただけただけで十分です。
ですが、そういう金なら使ってしまってよかったのですか?」
「うちも独立のために四割ほど使わせていただいておりますよ。ここに新しい庁舎や学園の建設をすることに使いました。
まさかいくら我が家でもあれほどの物を建てる資金はありませんよ」
「では、この計画はルワン公爵閣下と進められたのですな」
ルワン公爵はボンディッド王国の財務大臣であった。
イエット公爵はこれまでのことがいろいろと繋がってきた。
「そして、あえて国王たちの散財を止めずに利用なさった」
男二人がニヤリとして目を合わせる。
「そうです。財務大臣と宰相の力を使えば止めることはできたかもしれません。だが、どこかで綻びが出てあれらが暴走するやもしれない。それなら、好きなだけ散財させてそれを利用することにしたのです」
「はじめから独立をお考えだったのですか?」
「まさか。我が娘が王妃となれば問題の解決は容易くなりますし、生まれてくる王子をきっちりと育てれば良いと考えておりました。
ルワン公爵殿と独立を考えたのは子供らが学園に入学してからです。
国王たちに対しては早々に諦めてしまったという点は国民に申し訳なく思いますが、王子がクズだとわかった時点であの国王夫妻を改心させるより新たな国にする方が予算も労力も少なくて済むと考えたのです」
サイモンは妻ケルバから聞いた話は誰にも言っていない。
「王子がマリリアンヌ嬢を蔑ろにする事に愚息どもが関与していたため我らには独立に協力要請が来なかったわけですな」
「それに、皆さんの伴侶についてこちらの者たちはよくは思っておりませんでしたので」
イエット公爵は苦笑いした。
「その後、奥様は?」
「離縁をして実家へ返しました。実家にて幽閉されているようで、元妻の実家は早々に同盟に加入いたしました。
ボイド公爵の方は大変だったようです。義弟であった侯爵は平謝りでしたが、義父母であった前侯爵夫妻が公爵に怒り狂っておりましてな……。
同盟加入にも難色を示しておりました」
「今は?」
イエット公爵が首を横に振る。
「クーデターの一週間後に侯爵が王城を訪ねてまいりまして、家庭内の問題が解決したので領民のために加入したいと申し出てまいりました」
「ではすでに……」
「おそらくは三人共……」
「そうですか」
誰かを失うことなくクーデターを成す事は不可能に近いというのはわかっていたが、二人はため息を隠せなかった。わざわざ詳しくは調べないが、それぞれの家で意見が割れたであろうことは予想できる。その際、意見を纏めるために強行手段を取ったところもあるだろう。
未だに同盟に加入していない家ほどその傾向が強そうだと思うと複雑な気持ちは残る。
「それぞれの領主のやり方を強制するわけにはまいりませんからな」
イエット公爵の笑顔は悲しそうであった。
そこにノックの音が響く。サイモンが許可をすると一人の女性がワゴンを押して入ってきた。
「キオタス侯爵夫人……」
イエット公爵は驚いた。
「今は平民ですわ。ライシェルとお呼びくださいませ」
「そうでしたか。では、ライシェル殿。お元気そうで何よりです」
「ありがとうございます。イエット公爵は……少しおやつれになりましたわね」
三人は苦笑する。
「ぷくくく」
イエット公爵は肩を揺らして笑う。
「その金を国庫ではなく我が家で管理したのです。
王城にある売買記録とうちの売買記録の照合をなさりますか?」
「いえいえ、その必要はありません。あの金を預けていただけただけで十分です。
ですが、そういう金なら使ってしまってよかったのですか?」
「うちも独立のために四割ほど使わせていただいておりますよ。ここに新しい庁舎や学園の建設をすることに使いました。
まさかいくら我が家でもあれほどの物を建てる資金はありませんよ」
「では、この計画はルワン公爵閣下と進められたのですな」
ルワン公爵はボンディッド王国の財務大臣であった。
イエット公爵はこれまでのことがいろいろと繋がってきた。
「そして、あえて国王たちの散財を止めずに利用なさった」
男二人がニヤリとして目を合わせる。
「そうです。財務大臣と宰相の力を使えば止めることはできたかもしれません。だが、どこかで綻びが出てあれらが暴走するやもしれない。それなら、好きなだけ散財させてそれを利用することにしたのです」
「はじめから独立をお考えだったのですか?」
「まさか。我が娘が王妃となれば問題の解決は容易くなりますし、生まれてくる王子をきっちりと育てれば良いと考えておりました。
ルワン公爵殿と独立を考えたのは子供らが学園に入学してからです。
国王たちに対しては早々に諦めてしまったという点は国民に申し訳なく思いますが、王子がクズだとわかった時点であの国王夫妻を改心させるより新たな国にする方が予算も労力も少なくて済むと考えたのです」
サイモンは妻ケルバから聞いた話は誰にも言っていない。
「王子がマリリアンヌ嬢を蔑ろにする事に愚息どもが関与していたため我らには独立に協力要請が来なかったわけですな」
「それに、皆さんの伴侶についてこちらの者たちはよくは思っておりませんでしたので」
イエット公爵は苦笑いした。
「その後、奥様は?」
「離縁をして実家へ返しました。実家にて幽閉されているようで、元妻の実家は早々に同盟に加入いたしました。
ボイド公爵の方は大変だったようです。義弟であった侯爵は平謝りでしたが、義父母であった前侯爵夫妻が公爵に怒り狂っておりましてな……。
同盟加入にも難色を示しておりました」
「今は?」
イエット公爵が首を横に振る。
「クーデターの一週間後に侯爵が王城を訪ねてまいりまして、家庭内の問題が解決したので領民のために加入したいと申し出てまいりました」
「ではすでに……」
「おそらくは三人共……」
「そうですか」
誰かを失うことなくクーデターを成す事は不可能に近いというのはわかっていたが、二人はため息を隠せなかった。わざわざ詳しくは調べないが、それぞれの家で意見が割れたであろうことは予想できる。その際、意見を纏めるために強行手段を取ったところもあるだろう。
未だに同盟に加入していない家ほどその傾向が強そうだと思うと複雑な気持ちは残る。
「それぞれの領主のやり方を強制するわけにはまいりませんからな」
イエット公爵の笑顔は悲しそうであった。
そこにノックの音が響く。サイモンが許可をすると一人の女性がワゴンを押して入ってきた。
「キオタス侯爵夫人……」
イエット公爵は驚いた。
「今は平民ですわ。ライシェルとお呼びくださいませ」
「そうでしたか。では、ライシェル殿。お元気そうで何よりです」
「ありがとうございます。イエット公爵は……少しおやつれになりましたわね」
三人は苦笑する。
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