5 / 26
5 ガーベラ
しおりを挟む
昼休みが終わる頃、バラバラに教室へ戻った。次の休み時間、ロゼリンダたちがやってきた。
「クレメンティ様、お昼休みはどちらにおいででしたの。わたくしたち、ずっとお待ちしておりましたのよ」
ロゼリンダは、クレメンティに詰め寄る。クレメンティは、どこ吹く風と、飄々といなした。
「ロゼリンダ嬢、大変申し訳なかったね。留学の内容について、3人で先生に呼ばれていたんだ。これからも先生との話し合いが昼休みになりそうだから、僕たちのことは、気にしなくていいよ。君たちのお陰で学食を使うことにも慣れたし。どうもありがとう」
クレメンティにそう言われると、ロゼリンダたちは下がるしかない。ロゼリンダは、すぐに振り返って席へと戻って行ったが、フィオレラとジョミーナは、ベルティナを睨むことは忘れなかった。
『先生とのランチだって言ってるのに、どうして私を睨むのよ?』
ベルティナは、少しだけ口を尖らせた。それにしても、女の勘は、恐ろしい。
こうして、晴れの日には、5人でランチをした。雨の日は、3人は本当に先生の部屋で食べているようだ。イルミネがベルティナとセリナージェを見つけたのは偶然で、本当に先生の部屋で食べるつもりだったのだろう。
〰️ 〰️ 〰️
6月になった。いつものような昼休み。
「3人とももうすっかり学園に慣れたみたいね」
「うん。毎日楽しいよ」
セリナージェもエリオも、ランチボックスのおかずを口に運びながら、楽しそうだ。
「あ、そうだ。久しぶりに5人で市井に行こうよっ!」
「おお、それはいいな」
イルミネの提案に、クレメンティも乗り気だ。エリオもモグモグと食べながら、ウンウンと賛成の意思を出している。
「いいわね、どこに行く?ベルティナ、行きたいところある?」
「ストックの丘へ行ってみたいわ」
「僕たちは、聞いたことがないな」
エリオの視線での確認に二人も頷いた。
「私も知らないわ」
セリナージェも、目をクリクリさせていた。
「大きなストックが一本だけ立っていてね、王都が一望できるんですって」
「へぇ!見てみたいな」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、明日は朝に屋敷に行って、馬車と護衛を頼みましょう。寮の前に集合すると目立つから、あとで地図を書くわね。ここから15分ほどよ」
セリナージェが決まりというように、話を進めた。
「セリナの家にいくのかっ?」
クレメンティが裏返った声で確認してきた。
「ええそうよ。護衛がいないと出かけられないもの」
セリナージェは、不思議そうにクレメンティを見た。
「プッ!レム、気合い入れすぎるなよ」
セリナージェとベルティナには、全く意味がわからなかった。エリオは、からかっていると思われるイルミネを呆れた顔で見たが、特に進言もせず、セリナージェに答えた。
「とにかく、明日の朝、寮で食事を済ませて、10時頃伺うよ」
エリオの一言で、決定した。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナとセリナージェは、ベルティナのお願いで、前日からティエポロ侯爵邸へ戻っていた。ベルティナは、朝早くから起き出して忙しそうだ。セリナージェも朝食の後には手伝った。大きな籠4つが用意ができたころ、3人がやってきた。
玄関では、ベルティナとセリナージェだけでなく、ティエポロ侯爵夫人も迎えた。
執事がドアを開け、3人が入ってくる。
「まあ、いらっしゃい!ステキな男の子たちねぇ。ふふふ」
ティエポロ侯爵夫人が満面の笑顔で出迎えた。
「ティエポロ侯爵夫人様、ピッツォーネ王国、ガットゥーゾ公爵家が長男クレメンティと申します。以後お見知りおきください」
クレメンティがガチガチの表情で裏返った声でティエポロ侯爵夫人に挨拶をして、深く頭をさげた。
イルミネとエリオは、極々普通に挨拶する。
「フフフ、みんな可愛らしいのね。セリナもベルティナも目が肥えてますこと。ふふ」
扇で、隠された夫人の笑顔の独り言は、周りには聞こえない。
「3人とも、こちらに来て!」
セリナージェが中庭に3人を誘った。そこには、見事なガーベラが咲いていた。
「あの時の花かい?」
エリオは、すぐに春休みのボランティアを思い出した。クレメンティとイルミネも納得していた。
「ほとんど、庭師の方の力なのだけれど、キレイに咲いたから、見てもらいたかったの」
「もう、ベルティナったら。私たちも頑張ったのよう、でいいじゃない。真面目なんだからぁ」
セリナージェは、ベルティナをからかった。
「その真面目さが、ベルティナのいいところの1つだろう」
エリオがこれまたあまりに真面目に答えるので、一瞬、5人に間が空き、ベルティナが真っ赤になった。そんなベルティナを見て、3人は笑っていたが、エリオもまた赤くなって頭をかいていた。
「セリナはどの色が好きなんだ?」
クレメンティがなんの脈絡もなく質問する。
「ガーベラは、どんな色でも好きよ。こうしてお庭にあっても、切り花でお部屋にあってもステキよね」
「そうか。セリナにとてもよく似合いそうだ」
クレメンティは、無自覚に褒めて、セリナージェが頬をほんのり染めていたことに気がついていないようだった。
そして5人は、中庭を後にして、馬車へ乗り込む。
「では、お母様、いってきまーす!」
「いってまいります」
ティエポロ侯爵夫人に、セリナージェはヒラヒラと手を振るが、ベルティナは丁寧にお辞儀した。
5人は、狭さの理由から、クレメンティとイルミネが並んで座り、セリナージェ、ベルティナ、エリオが反対側に座った。
「ベルティナ、僕の隣で嫌じゃないか?」
「ランチではいつも隣じゃないの。気にしないで。ふふ」
「そ、そうだな」
『違う意味で気にしてほしいのだが』とエリオは心の中でがっくりしている。それを察したイルミネは、『クックックッ』と笑っていた。ベルティナとセリナージェにはイルミネが笑っている理由がわからない。クレメンティがイルミネにキツめの肘打ちをした。
「っと。今日は二人ともかわいいね。夏が近いなって思えるよ」
「イルはいつも上手ね」
そう返したセリナージェだが、褒められれば嬉しいものだ。可愛らしく笑顔になった。
「言わなきゃ伝わらないって思っているだけさ。なあ」
そう言って隣のクレメンティに肘で『コツン』とする。
「あ、ああ、すごく似合っている。うん」
「そうだね。二人ともステキだね」
エリオもすぐに追従した。
「ふふ、ありがとう」
ベルティナも笑顔でお礼を言った。セリナージェが窓を少し開けた。
「今日はいいお天気でよかったわね」
「そうだな。どのくらいで着くのかな?」
「執事さんの話だと、お昼前には着くそうよ」
クレメンティの質問に、ベルティナが答えた。
「え、それなら、どこかで食べてから行くか?」
「エリオは勘が悪いねぇ。メイドさんが用意してくれていたじゃないか」
「イルは、目敏いのねぇ」
「まあね。セリナのお母様がとても美しいのもちゃんと見たよ。な、レム」
クレメンティがなぜか赤くなって、小さく頷いた。
「セリナにそっくりだったね。な、レム」
クレメンティはさらに赤くなって頷いていた。これには、さすがのセリナージェも赤くなった。
ベルティナは、隣のエリオを見た。エリオは、ベルティナの視線を感じて、ベルティナに頷いた。
「イル、その辺にしとけよ」
「はーい。プックック」
そこからは、いつものように話をしていき、クレメンティもセリナージェも復活した。
丘の下に着くと、馬車を降りる。見上げただけで、木の大きさがわかる。
「わあ!ステキ!」
「こんなに遠くからでもわかるなんて凄いわね」
ベルティナとセリナージェは、先に降りたエリオのエスコートで馬車を降りると、すぐに歓喜の声をあげた。
馬で同行してくれた護衛たちが籠を持ってくれて、5人は丘を登り始める。
まず、セリナージェがツラそうにした。クレメンティが手を差し出す。先程のことがあり、セリナージェは、少し恥ずかしそうだったが、その手をとった。クレメンティがセリナージェに合わせてペースを落とした。
それを見た3人は少しだけペースをあげて、二人から離れる。
それが災いしたのか、ベルティナも息が上がってしまった。エリオが手を差し出した。
「ありがとう」
ベルティナは躊躇しないで手をとった。
「こんなことは予想していなかったわ」
「僕はとてもラッキーだ」
エリオは、前を向いたまま呟いた。
「え?何?聞こえなかったわ」
「いつでも頼ってね。ベルティナ」
今度は振り向いて言った。ベルティナに向けられたエリオの笑顔は、とても優しいものだった。エリオの美形笑顔にベルティナは、少しだけ『ドキリ』とした。
「エリオ…。うん、ありがとう」
ベルティナは、『ドキリ』としたことを無視して、笑顔で答えた。
「クレメンティ様、お昼休みはどちらにおいででしたの。わたくしたち、ずっとお待ちしておりましたのよ」
ロゼリンダは、クレメンティに詰め寄る。クレメンティは、どこ吹く風と、飄々といなした。
「ロゼリンダ嬢、大変申し訳なかったね。留学の内容について、3人で先生に呼ばれていたんだ。これからも先生との話し合いが昼休みになりそうだから、僕たちのことは、気にしなくていいよ。君たちのお陰で学食を使うことにも慣れたし。どうもありがとう」
クレメンティにそう言われると、ロゼリンダたちは下がるしかない。ロゼリンダは、すぐに振り返って席へと戻って行ったが、フィオレラとジョミーナは、ベルティナを睨むことは忘れなかった。
『先生とのランチだって言ってるのに、どうして私を睨むのよ?』
ベルティナは、少しだけ口を尖らせた。それにしても、女の勘は、恐ろしい。
こうして、晴れの日には、5人でランチをした。雨の日は、3人は本当に先生の部屋で食べているようだ。イルミネがベルティナとセリナージェを見つけたのは偶然で、本当に先生の部屋で食べるつもりだったのだろう。
〰️ 〰️ 〰️
6月になった。いつものような昼休み。
「3人とももうすっかり学園に慣れたみたいね」
「うん。毎日楽しいよ」
セリナージェもエリオも、ランチボックスのおかずを口に運びながら、楽しそうだ。
「あ、そうだ。久しぶりに5人で市井に行こうよっ!」
「おお、それはいいな」
イルミネの提案に、クレメンティも乗り気だ。エリオもモグモグと食べながら、ウンウンと賛成の意思を出している。
「いいわね、どこに行く?ベルティナ、行きたいところある?」
「ストックの丘へ行ってみたいわ」
「僕たちは、聞いたことがないな」
エリオの視線での確認に二人も頷いた。
「私も知らないわ」
セリナージェも、目をクリクリさせていた。
「大きなストックが一本だけ立っていてね、王都が一望できるんですって」
「へぇ!見てみたいな」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、明日は朝に屋敷に行って、馬車と護衛を頼みましょう。寮の前に集合すると目立つから、あとで地図を書くわね。ここから15分ほどよ」
セリナージェが決まりというように、話を進めた。
「セリナの家にいくのかっ?」
クレメンティが裏返った声で確認してきた。
「ええそうよ。護衛がいないと出かけられないもの」
セリナージェは、不思議そうにクレメンティを見た。
「プッ!レム、気合い入れすぎるなよ」
セリナージェとベルティナには、全く意味がわからなかった。エリオは、からかっていると思われるイルミネを呆れた顔で見たが、特に進言もせず、セリナージェに答えた。
「とにかく、明日の朝、寮で食事を済ませて、10時頃伺うよ」
エリオの一言で、決定した。
〰️ 〰️ 〰️
ベルティナとセリナージェは、ベルティナのお願いで、前日からティエポロ侯爵邸へ戻っていた。ベルティナは、朝早くから起き出して忙しそうだ。セリナージェも朝食の後には手伝った。大きな籠4つが用意ができたころ、3人がやってきた。
玄関では、ベルティナとセリナージェだけでなく、ティエポロ侯爵夫人も迎えた。
執事がドアを開け、3人が入ってくる。
「まあ、いらっしゃい!ステキな男の子たちねぇ。ふふふ」
ティエポロ侯爵夫人が満面の笑顔で出迎えた。
「ティエポロ侯爵夫人様、ピッツォーネ王国、ガットゥーゾ公爵家が長男クレメンティと申します。以後お見知りおきください」
クレメンティがガチガチの表情で裏返った声でティエポロ侯爵夫人に挨拶をして、深く頭をさげた。
イルミネとエリオは、極々普通に挨拶する。
「フフフ、みんな可愛らしいのね。セリナもベルティナも目が肥えてますこと。ふふ」
扇で、隠された夫人の笑顔の独り言は、周りには聞こえない。
「3人とも、こちらに来て!」
セリナージェが中庭に3人を誘った。そこには、見事なガーベラが咲いていた。
「あの時の花かい?」
エリオは、すぐに春休みのボランティアを思い出した。クレメンティとイルミネも納得していた。
「ほとんど、庭師の方の力なのだけれど、キレイに咲いたから、見てもらいたかったの」
「もう、ベルティナったら。私たちも頑張ったのよう、でいいじゃない。真面目なんだからぁ」
セリナージェは、ベルティナをからかった。
「その真面目さが、ベルティナのいいところの1つだろう」
エリオがこれまたあまりに真面目に答えるので、一瞬、5人に間が空き、ベルティナが真っ赤になった。そんなベルティナを見て、3人は笑っていたが、エリオもまた赤くなって頭をかいていた。
「セリナはどの色が好きなんだ?」
クレメンティがなんの脈絡もなく質問する。
「ガーベラは、どんな色でも好きよ。こうしてお庭にあっても、切り花でお部屋にあってもステキよね」
「そうか。セリナにとてもよく似合いそうだ」
クレメンティは、無自覚に褒めて、セリナージェが頬をほんのり染めていたことに気がついていないようだった。
そして5人は、中庭を後にして、馬車へ乗り込む。
「では、お母様、いってきまーす!」
「いってまいります」
ティエポロ侯爵夫人に、セリナージェはヒラヒラと手を振るが、ベルティナは丁寧にお辞儀した。
5人は、狭さの理由から、クレメンティとイルミネが並んで座り、セリナージェ、ベルティナ、エリオが反対側に座った。
「ベルティナ、僕の隣で嫌じゃないか?」
「ランチではいつも隣じゃないの。気にしないで。ふふ」
「そ、そうだな」
『違う意味で気にしてほしいのだが』とエリオは心の中でがっくりしている。それを察したイルミネは、『クックックッ』と笑っていた。ベルティナとセリナージェにはイルミネが笑っている理由がわからない。クレメンティがイルミネにキツめの肘打ちをした。
「っと。今日は二人ともかわいいね。夏が近いなって思えるよ」
「イルはいつも上手ね」
そう返したセリナージェだが、褒められれば嬉しいものだ。可愛らしく笑顔になった。
「言わなきゃ伝わらないって思っているだけさ。なあ」
そう言って隣のクレメンティに肘で『コツン』とする。
「あ、ああ、すごく似合っている。うん」
「そうだね。二人ともステキだね」
エリオもすぐに追従した。
「ふふ、ありがとう」
ベルティナも笑顔でお礼を言った。セリナージェが窓を少し開けた。
「今日はいいお天気でよかったわね」
「そうだな。どのくらいで着くのかな?」
「執事さんの話だと、お昼前には着くそうよ」
クレメンティの質問に、ベルティナが答えた。
「え、それなら、どこかで食べてから行くか?」
「エリオは勘が悪いねぇ。メイドさんが用意してくれていたじゃないか」
「イルは、目敏いのねぇ」
「まあね。セリナのお母様がとても美しいのもちゃんと見たよ。な、レム」
クレメンティがなぜか赤くなって、小さく頷いた。
「セリナにそっくりだったね。な、レム」
クレメンティはさらに赤くなって頷いていた。これには、さすがのセリナージェも赤くなった。
ベルティナは、隣のエリオを見た。エリオは、ベルティナの視線を感じて、ベルティナに頷いた。
「イル、その辺にしとけよ」
「はーい。プックック」
そこからは、いつものように話をしていき、クレメンティもセリナージェも復活した。
丘の下に着くと、馬車を降りる。見上げただけで、木の大きさがわかる。
「わあ!ステキ!」
「こんなに遠くからでもわかるなんて凄いわね」
ベルティナとセリナージェは、先に降りたエリオのエスコートで馬車を降りると、すぐに歓喜の声をあげた。
馬で同行してくれた護衛たちが籠を持ってくれて、5人は丘を登り始める。
まず、セリナージェがツラそうにした。クレメンティが手を差し出す。先程のことがあり、セリナージェは、少し恥ずかしそうだったが、その手をとった。クレメンティがセリナージェに合わせてペースを落とした。
それを見た3人は少しだけペースをあげて、二人から離れる。
それが災いしたのか、ベルティナも息が上がってしまった。エリオが手を差し出した。
「ありがとう」
ベルティナは躊躇しないで手をとった。
「こんなことは予想していなかったわ」
「僕はとてもラッキーだ」
エリオは、前を向いたまま呟いた。
「え?何?聞こえなかったわ」
「いつでも頼ってね。ベルティナ」
今度は振り向いて言った。ベルティナに向けられたエリオの笑顔は、とても優しいものだった。エリオの美形笑顔にベルティナは、少しだけ『ドキリ』とした。
「エリオ…。うん、ありがとう」
ベルティナは、『ドキリ』としたことを無視して、笑顔で答えた。
12
あなたにおすすめの小説
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。
パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
当て馬令嬢は自由を謳歌したい〜冷酷王子への愛をゴミ箱に捨てて隣国へ脱走したら、なぜか奈落の底まで追いかけられそうです〜
平山和人
恋愛
公爵令嬢エルナは、熱烈に追いかけていた第一王子シオンに冷たくあしらわれ、挙句の果てに「婚約者候補の中で、お前が一番あり得ない」と吐き捨てられた衝撃で前世の記憶を取り戻す。 そこは乙女ゲームの世界で、エルナは婚約者選別会でヒロインに嫌がらせをした末に処刑される悪役令嬢だった。
「死ぬのも王子も、もう真っ平ご免です!」
エルナは即座に婚約者候補を辞退。目立たぬよう、地味な領地でひっそり暮らす準備を始める。しかし、今までエルナを蔑んでいたはずのシオンが、なぜか彼女を執拗に追い回し始め……? 「逃げられると思うなよ。お前を俺の隣以外に置くつもりはない」 「いや、記憶にあるキャラ変が激しすぎませんか!?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる