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6 ストックの丘
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丘の上に着いた頃には、ベルティナは、膝に手を置いてしまうくらいヘトヘトだった。
「ベルティナ、振り向いてごらん」
ベルティナが肩で息をしたまま振り向くとそこには王都が本当に一望できた。真ん中にそびえる真っ白なお城、そこから広がる町並み。西の端は見えなくて、この町がどこまでも続いているかのようであった。
ベルティナは、息を飲んだ。それから、両手を広げて、深呼吸する。
「すごいわぁ!すぅ、はぁ!気持ちいい!」
「うん、キレイだね」
「うん。ピッツォーネ王国王都にも勝るとも劣らない。すごい景色だ」
しばらく、3人はその景色に見惚れていた。それから、ゆっくりと登ってきたクレメンティとセリナージェが到着して、今度は5人で景色を堪能した。
〰️
丘の上には、何組かのカップルやグループがすでにいた。1つのかごから大きなシートを2枚だす。空いているスペースに30メートルほど離して2枚を敷いた。
「エリオ、この籠を1つ持ってもらえる?」
「いいよ」
エリオはベルティナについていった。離れて敷いた方のシートだった。
「これ、みなさんの分です。ゆっくりなさってください」
護衛の3人は立ち上がってお礼を述べた。
「ベルティナ様、ありがとうございます。お嬢様にもよろしくお伝えください」
「あ、あとさっきの話は叔父様と叔母様には、秘密でお願いしますね。本人の気持ちがフワフワなのに、まわりに何か言われると意固地になっちゃうんで」
「ハハハ、さすが、ベルティナ様はお嬢様をよくご存知だ。畏まりました。先程は、5人でそれぞれ登ったことにいたしましょう」
そう言われて、ベルティナは自分もエリオと手を繋いだことを思いだし、顔を赤くした。
「では、ゆっくりしてください」
それを誤魔化すように急いでその場を離れた。エリオが追ってきて、隣に並んだ。
「あれは、護衛たちのランチだったのか。僕たちは気が利かないな」
「それは女の領分でしょう。気にしないで楽しんでくれた方が嬉しいわ。ね」
ベルティナが、エリオを見て確認する。
「ふふふ、そうか、そうさせてもらうよ」
エリオとベルティナが3人のところへ戻ると、こちらはすでにランチの用意が済んでいた。空いている場所に並んで座る。
「どうぞ、召し上がって」
セリナージェが、両手を広げて3人にすすめた。
「よし、いただこう」
エリオの言葉で、二人も挨拶して、3人は食べ始めた。今日のサンドイッチは、ハンバーグが挟んであったり、薄くスライスされた肉が挟んであったりと、ボリューム満点だ。野菜も一緒に挟んであるので、全くしつこくない。3人は夢中で食べた。
ベルティナとセリナージェは、3人のその様子を、ニコニコしながら見て、二人は、ゆっくり味わっている。
3人の食欲が充分に満たされた。
「今日のお料理は、ベルティナが作ってくれたのよ」
3人の満腹を待って、セリナージェが発表した。
「「「え?!」」」
当然、料理人が作ったと思っていた3人は、目をクリクリに見開いた。
『3人とも、そんな顔でもかっこいいのね。美形ってすごいわ』
ベルティナは素っ頓狂なことを考えて、苦笑いした。セリナージェの言葉に言い訳する。
「セリナも朝から手伝ってくれたじゃないの。料理長もね。みんなで作ったのよ」
「いいじゃない。メインはベルティナなんだから、ベルティナが作ったでいいのよ」
「いや、セリナも一緒だったんだろう。二人ともありがとう。すごくうまかった」
クレメンティは、すかさずセリナージェも褒める。
「うんうん!俺たちの好みをわかってくれてるって感じだった」
「ああ、うまかったな。こんなサンドイッチ初めて食べたよ。二人ともすごいな」
3人のベタ褒めに、二人は照れてしまった。イルミネが突然立ち上がった。
「なあ!定番そうな、あれやろうよっ!」
イルミネが、ベルティナとセリナージェの手を取り、引っ張っていく。エリオとクレメンティも慌てて追いかけた。
5人はストックの木の根本まで来て、手をつないだまま、木の幹を囲う。あまりの定番に、5人はクスクス笑いが止まらない。エリオとクレメンティの手がつながれば成功だ。
「届いたぁ?」
「「まだぁ!」」
男の子3人が声を掛け合う。イルミネは、ベルティナとセリナージェの手を少しずつ離す。
「届いたぁ?」
「「もう少しぃ!」」
イルミネの手は、もうベルティナとセリナージェの指先しか握っていない。
「「届いたぁ!!」」
5人は大笑いしながら、手を離してシートまで戻った。まるで小さな子供になったみたいで、純粋に楽しくて笑えた。
それからしばらく、ゴロゴロしたりおしゃべりしたり、ゆっくりとした時間を過ごす。
「こういう時間っていいな………」
エリオが寝っ転がったまま、背伸びをしながら呟いた。
「そうだな。俺たちは、あっちじゃなかなか、なぁ~」
「うーん、でもあっちでも、こういう時間がほしくなるなぁ」
クレメンティは、大きく開いた膝を抱えてどっしりと座り、王都を眺めながら、そう言った。
ベルティナとセリナージェは、高位貴族子息ならではの忙しさがあるのだろうと察する。二人は、3人にこの時間を持たせてあげられたことを嬉しく思った。
そろそろいい時間になったので、片付けを始める。まだ少し日は高いが、寮の門限がある。
「夕日は見れなかったわね」
ベルティナは、まだ明るい王都の町並みを見ていた。
「うん。じゃあ、また冬近くになったら来ようよ。それなら、門限にも間に合うさ」
エリオが隣に並んで同じ景色を見ながらそう言った。
「また一緒に見れるかしら?」
「うん。絶対だよ」
「そうね。ふふふ、楽しみだわ」
ベルティナは、その時、近くにいたのがエリオだけで、二人で約束したなんておもっていなかった。
そして、後ろから声がかかる。
「本当にいい景色ね。来てよかったわ」
「ああ、とってもいい休日になった」
クレメンティは、景色でなく、セリナージェの笑顔の横顔を見ていた。
「レムにとっては、特にね」
クレメンティは、イルミネに回し蹴りをしたが、イルミネがヒョイッと避けた。
すぐ隣にいたセリナージェは、びっくりしていたが、少しだけ離れて様子を見ていたベルティナとエリオは、笑っていた。
〰️ 〰️ 〰️
馬車で、学園の近くまで、3人を送る。ベルティナとセリナージェは、今日と明日は屋敷に泊まって、月曜日の朝に学園へ帰る予定だ。
3人が馬車を降りた。ベルティナとセリナージェも紙袋を3つ持って一緒に降りた。
「これは、私も最初から最後までやったわよ」
「ふふふ、そうね。
これ、おやつに出そうと思ったけど、3人ともお腹いっぱいだったみたいだったから。お土産だと思ってね」
ベルティナがエリオとイルミネに渡した。セリナージェは、クレメンティに渡す。
「開けていい?」
エリオが、少し上目遣いで二人に聞いた。
「「どうぞ!」」
「わぉ!クッキーじゃん!スゴイ!カラフルだね!色んな味になってるのかな?」
イルミネが喜びの声をあげた。
「そうよ。楽しんで食べてね」
セリナージェの自信満々な様子が可愛らしくて、ベルティナは、つい笑ってしまった。
「ありがとう。すごく嬉しいよ」
「ああ、楽しみだな」
3人が、あまりにも中を真剣に見ているので、ベルティナが照れてしまった。
「あ、あんまり期待しすぎないで、ね」
「もう、ベルティナったら、こういうときは、自信持って渡した方が美味しいのよ!」
「そうかもしれないな。ハハハ。セリナ、楽しみに味わうよ」
クレメンティの言葉に、今度はセリナージェが照れてしまった。
「じゃあ、今、感想を言ってしまおう!」
そう言って、イルミネが1つをパクリと食べた。
「バターのいい香りだ。これはどうして緑なの?」
「ほうれん草が入っているのよ」
「え“?」
エリオがカエルが潰されたような声を出した。エリオがほうれん草を嫌いなようだと、ベルティナは気がついていた。エリオの一言にベルティナは、クスクスと笑う。
「エリオ、1つ食べてみたらいいよ。全くわかんないから」
イルミネのおすすめに、エリオが恐る恐る口した。そして、目を見開いた。
「あれ?うまい…」
「ふふふ、よかったわ。エリオに食べてほしくて作ったのよ」
ベルティナが笑顔でそう言うので、エリオは頭をかきながら照れていた。
「じゃあ、レムは、この赤いのを食べてみて!」
セリナージェが、クレメンティの袋からオレンジ色っぽいクッキーを出して、クレメンティの口元に持っていった。クレメンティは、肩を揺らしてびっくりした。セリナージェもそれで自分のしていることに気がついて、手を引こうとした。しかし、一瞬はやく、クレメンティがセリナージェの手を掴んで、セリナージェの手にあったクッキーを口に入れた。セリナージェは、真っ赤になった。
「うまい!」
クレメンティは笑顔だったが、まだセリナージェの手を離さない。
ベルティナは、それをないかのように話をすすめた。
「それは、人参入り、ね。ふふふ」
「え“?」
クレメンティはびっくりして、セリナージェの手を離した。セリナージェは、顔を赤くしたままで話ができそうもない。
「ああ、俺には好き嫌いがないから、工夫なんてしてもらえないやぁ」
イルミネが口を尖らせた。
「イルの袋には、多めにナッツクッキーを入れておいたわ」
「ベルティナ!本当に?やったぁ!楽しみだなぁ!」
イルミネがあまりにはしゃぐので、みんなもついつい笑ってしまった。
「ベルティナ、振り向いてごらん」
ベルティナが肩で息をしたまま振り向くとそこには王都が本当に一望できた。真ん中にそびえる真っ白なお城、そこから広がる町並み。西の端は見えなくて、この町がどこまでも続いているかのようであった。
ベルティナは、息を飲んだ。それから、両手を広げて、深呼吸する。
「すごいわぁ!すぅ、はぁ!気持ちいい!」
「うん、キレイだね」
「うん。ピッツォーネ王国王都にも勝るとも劣らない。すごい景色だ」
しばらく、3人はその景色に見惚れていた。それから、ゆっくりと登ってきたクレメンティとセリナージェが到着して、今度は5人で景色を堪能した。
〰️
丘の上には、何組かのカップルやグループがすでにいた。1つのかごから大きなシートを2枚だす。空いているスペースに30メートルほど離して2枚を敷いた。
「エリオ、この籠を1つ持ってもらえる?」
「いいよ」
エリオはベルティナについていった。離れて敷いた方のシートだった。
「これ、みなさんの分です。ゆっくりなさってください」
護衛の3人は立ち上がってお礼を述べた。
「ベルティナ様、ありがとうございます。お嬢様にもよろしくお伝えください」
「あ、あとさっきの話は叔父様と叔母様には、秘密でお願いしますね。本人の気持ちがフワフワなのに、まわりに何か言われると意固地になっちゃうんで」
「ハハハ、さすが、ベルティナ様はお嬢様をよくご存知だ。畏まりました。先程は、5人でそれぞれ登ったことにいたしましょう」
そう言われて、ベルティナは自分もエリオと手を繋いだことを思いだし、顔を赤くした。
「では、ゆっくりしてください」
それを誤魔化すように急いでその場を離れた。エリオが追ってきて、隣に並んだ。
「あれは、護衛たちのランチだったのか。僕たちは気が利かないな」
「それは女の領分でしょう。気にしないで楽しんでくれた方が嬉しいわ。ね」
ベルティナが、エリオを見て確認する。
「ふふふ、そうか、そうさせてもらうよ」
エリオとベルティナが3人のところへ戻ると、こちらはすでにランチの用意が済んでいた。空いている場所に並んで座る。
「どうぞ、召し上がって」
セリナージェが、両手を広げて3人にすすめた。
「よし、いただこう」
エリオの言葉で、二人も挨拶して、3人は食べ始めた。今日のサンドイッチは、ハンバーグが挟んであったり、薄くスライスされた肉が挟んであったりと、ボリューム満点だ。野菜も一緒に挟んであるので、全くしつこくない。3人は夢中で食べた。
ベルティナとセリナージェは、3人のその様子を、ニコニコしながら見て、二人は、ゆっくり味わっている。
3人の食欲が充分に満たされた。
「今日のお料理は、ベルティナが作ってくれたのよ」
3人の満腹を待って、セリナージェが発表した。
「「「え?!」」」
当然、料理人が作ったと思っていた3人は、目をクリクリに見開いた。
『3人とも、そんな顔でもかっこいいのね。美形ってすごいわ』
ベルティナは素っ頓狂なことを考えて、苦笑いした。セリナージェの言葉に言い訳する。
「セリナも朝から手伝ってくれたじゃないの。料理長もね。みんなで作ったのよ」
「いいじゃない。メインはベルティナなんだから、ベルティナが作ったでいいのよ」
「いや、セリナも一緒だったんだろう。二人ともありがとう。すごくうまかった」
クレメンティは、すかさずセリナージェも褒める。
「うんうん!俺たちの好みをわかってくれてるって感じだった」
「ああ、うまかったな。こんなサンドイッチ初めて食べたよ。二人ともすごいな」
3人のベタ褒めに、二人は照れてしまった。イルミネが突然立ち上がった。
「なあ!定番そうな、あれやろうよっ!」
イルミネが、ベルティナとセリナージェの手を取り、引っ張っていく。エリオとクレメンティも慌てて追いかけた。
5人はストックの木の根本まで来て、手をつないだまま、木の幹を囲う。あまりの定番に、5人はクスクス笑いが止まらない。エリオとクレメンティの手がつながれば成功だ。
「届いたぁ?」
「「まだぁ!」」
男の子3人が声を掛け合う。イルミネは、ベルティナとセリナージェの手を少しずつ離す。
「届いたぁ?」
「「もう少しぃ!」」
イルミネの手は、もうベルティナとセリナージェの指先しか握っていない。
「「届いたぁ!!」」
5人は大笑いしながら、手を離してシートまで戻った。まるで小さな子供になったみたいで、純粋に楽しくて笑えた。
それからしばらく、ゴロゴロしたりおしゃべりしたり、ゆっくりとした時間を過ごす。
「こういう時間っていいな………」
エリオが寝っ転がったまま、背伸びをしながら呟いた。
「そうだな。俺たちは、あっちじゃなかなか、なぁ~」
「うーん、でもあっちでも、こういう時間がほしくなるなぁ」
クレメンティは、大きく開いた膝を抱えてどっしりと座り、王都を眺めながら、そう言った。
ベルティナとセリナージェは、高位貴族子息ならではの忙しさがあるのだろうと察する。二人は、3人にこの時間を持たせてあげられたことを嬉しく思った。
そろそろいい時間になったので、片付けを始める。まだ少し日は高いが、寮の門限がある。
「夕日は見れなかったわね」
ベルティナは、まだ明るい王都の町並みを見ていた。
「うん。じゃあ、また冬近くになったら来ようよ。それなら、門限にも間に合うさ」
エリオが隣に並んで同じ景色を見ながらそう言った。
「また一緒に見れるかしら?」
「うん。絶対だよ」
「そうね。ふふふ、楽しみだわ」
ベルティナは、その時、近くにいたのがエリオだけで、二人で約束したなんておもっていなかった。
そして、後ろから声がかかる。
「本当にいい景色ね。来てよかったわ」
「ああ、とってもいい休日になった」
クレメンティは、景色でなく、セリナージェの笑顔の横顔を見ていた。
「レムにとっては、特にね」
クレメンティは、イルミネに回し蹴りをしたが、イルミネがヒョイッと避けた。
すぐ隣にいたセリナージェは、びっくりしていたが、少しだけ離れて様子を見ていたベルティナとエリオは、笑っていた。
〰️ 〰️ 〰️
馬車で、学園の近くまで、3人を送る。ベルティナとセリナージェは、今日と明日は屋敷に泊まって、月曜日の朝に学園へ帰る予定だ。
3人が馬車を降りた。ベルティナとセリナージェも紙袋を3つ持って一緒に降りた。
「これは、私も最初から最後までやったわよ」
「ふふふ、そうね。
これ、おやつに出そうと思ったけど、3人ともお腹いっぱいだったみたいだったから。お土産だと思ってね」
ベルティナがエリオとイルミネに渡した。セリナージェは、クレメンティに渡す。
「開けていい?」
エリオが、少し上目遣いで二人に聞いた。
「「どうぞ!」」
「わぉ!クッキーじゃん!スゴイ!カラフルだね!色んな味になってるのかな?」
イルミネが喜びの声をあげた。
「そうよ。楽しんで食べてね」
セリナージェの自信満々な様子が可愛らしくて、ベルティナは、つい笑ってしまった。
「ありがとう。すごく嬉しいよ」
「ああ、楽しみだな」
3人が、あまりにも中を真剣に見ているので、ベルティナが照れてしまった。
「あ、あんまり期待しすぎないで、ね」
「もう、ベルティナったら、こういうときは、自信持って渡した方が美味しいのよ!」
「そうかもしれないな。ハハハ。セリナ、楽しみに味わうよ」
クレメンティの言葉に、今度はセリナージェが照れてしまった。
「じゃあ、今、感想を言ってしまおう!」
そう言って、イルミネが1つをパクリと食べた。
「バターのいい香りだ。これはどうして緑なの?」
「ほうれん草が入っているのよ」
「え“?」
エリオがカエルが潰されたような声を出した。エリオがほうれん草を嫌いなようだと、ベルティナは気がついていた。エリオの一言にベルティナは、クスクスと笑う。
「エリオ、1つ食べてみたらいいよ。全くわかんないから」
イルミネのおすすめに、エリオが恐る恐る口した。そして、目を見開いた。
「あれ?うまい…」
「ふふふ、よかったわ。エリオに食べてほしくて作ったのよ」
ベルティナが笑顔でそう言うので、エリオは頭をかきながら照れていた。
「じゃあ、レムは、この赤いのを食べてみて!」
セリナージェが、クレメンティの袋からオレンジ色っぽいクッキーを出して、クレメンティの口元に持っていった。クレメンティは、肩を揺らしてびっくりした。セリナージェもそれで自分のしていることに気がついて、手を引こうとした。しかし、一瞬はやく、クレメンティがセリナージェの手を掴んで、セリナージェの手にあったクッキーを口に入れた。セリナージェは、真っ赤になった。
「うまい!」
クレメンティは笑顔だったが、まだセリナージェの手を離さない。
ベルティナは、それをないかのように話をすすめた。
「それは、人参入り、ね。ふふふ」
「え“?」
クレメンティはびっくりして、セリナージェの手を離した。セリナージェは、顔を赤くしたままで話ができそうもない。
「ああ、俺には好き嫌いがないから、工夫なんてしてもらえないやぁ」
イルミネが口を尖らせた。
「イルの袋には、多めにナッツクッキーを入れておいたわ」
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