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9 道の駅季楽里あさひ
水萌里と洋太はおひさまテラスの帰りに、『道の駅季楽里あさひ』に寄ることが習慣になっていた。
すでに季楽里あさひで買えるものを把握していて、おひさまテラスのあるイオンタウンのスーパーである程度の物を購入すると、すぐ近くにあるそこへ向かう。
道の駅季楽里あさひには、旭市の美味しいものがたくさん集まっているのだ。旬の野菜や果物が多く並んでいる。養鶏も盛んなので新鮮な卵もあるし、豚の畜産は全国二位なのでお肉もある。海を抱えているから当然海産物もある。
さらには暖かい気候のため花栽培も盛んなので、花屋も併設されており、お盆などのシーズンにはそれに見合うものが並べられる。
「道の駅」というと旅行客というイメージだが、新鮮さと直送の値段を目当てに地元の人々も通っていてなかなかの賑わいである。
「あったぞ!」
洋太は真っ先にトマトの売り場へ行く。ツヤツヤと輝いた大きなトマトも好きだが、おやつ感覚で食べられるミニトマトも捨てがたい。
生産者の名前もすっかり覚えている。
「スーパーの野菜も悪くはないが、なぜかこちらの方が美味いんだよ」
カップを持ち上げて不思議そうに呟いた。
「それはやっぱり鮮度じゃないかしら?」
「鮮度?」
「季楽里のお野菜は農家さんが直接持ってきて並べるのよ。多くが朝獲りとか採りたてだと思うわ。それに採りたてを並べられるから完熟も可能なのよ」
「スーパーは違うのか?」
「ええ」
水萌里はスーパーの流通について洋太にレクチャーする。
「旭市産の野菜が確実に新鮮なものを食べられるのが季楽里あさひというわけだな」
「そうね。野菜だけじゃないわ。あちらに並ぶ甘味やパンも旭市のどこかのお店で作られたものがほとんどよ。お肉やお魚もね」
「あれが食べたいな!」
「はいはい」
洋太は人となってから「食べる」ということが気に入りとても楽しそうにしている。
「ここは何を食べても美味しいくていいわよね」
「他は違うのか?」
「流通が発達しているから、日本中どこでもある程度のものは食べることができるけど、ここまで充実した食を地元で提供できるところはなかなか無いと思う」
「そういうものか」
「うふふ。私達は幸せってことよ」
「美味いは幸せだ! なっ!」
洋太も笑顔になる。
「洋太は明日からお仕事だから、今日は洋太の分のあさピー焼きを二つにしちゃうわっ!」
「なにっ!」
水萌里の提案に洋太は目を輝かせた。
「あさピー焼き」とは「あさピー」をモチーフにした、季楽里あさひ名物のたい焼き風おやつである。薄力粉や米粉や小豆は国産にこだわり、さらに塩は旭市産の揚げ浜塩田製法で作られる"サンライズソルト"や岩塩を使用するというこだわりぶりだ。味は、つぶあん、しろあん、カマンベール、カスタードと四種類あり、季楽里あさひのイチオシだけあってリピーターが多い。
洋太は激リピーターであるが、水萌里の管理下では買う時は一つと決められていた。必ず足から食べて、「ごめん」と言いながら頭を食べる姿は、水萌里にとっても真守にとっても微笑ましすぎて、季楽里あさひに来るたびに買ってあげてしまう。
「うーん……。二つならしょっぱさのあるカマンベールは入れるとして、甘いものは……どれも捨てがたい……」
洋太が悩んでいる間に水萌里はスムージーを注文した。季節のスムージーは旭産の果物を使っているらしい。
「そういえば、生志ら魚が食べたいって真守に言われていたわ。洋太。お会計してきてね」
千円を洋太に渡した水萌里は海産物の売り場へ行く。季楽里あさひには何度も来ているが主に野菜コーナーばかりを見ていて鮮魚コーナーは初めて来たのだった。
そこには九十九里浜産のハマグリをはじめ、様々な海産物が置かれている。
「まあ! 鯛ってこのくらいの大きさなのね」
切り身になっていない魚を見ることが少ない水萌里は四十センチほどの鯛一匹が売られているのを見て驚いていた。これでもとても大きく、家族三人が食すのなら充分な大きさである。
ただし、水萌里が見ていたのは金目鯛であることは見逃してほしい。
「確かにこれが当たり前の大きさなら、あの魚拓はすごいわ」
水萌里は陳列されているものが見たことがないものばかりでウキウキして見て回る。
「これは丸干しね。確か、これも名産だったわ。明日の朝ごはんにしましょう」
あれもこれもと見て回ったが、鮮度が自慢で売られているものを買うために来ているのに、鮮度が落ちる買い方をしては意味がないので、涙を飲んで諦める。
「買ってきたぞ」
あさピー焼きコーナーから来た洋太に声をかけらてた水萌里は、精肉コーナーも回りたかったのだが、スムージーを冷たいうちに飲みたかったので、今日のところはここで止めておいた。
「また後日来ましょう」
「その時はあさピー焼きしろあんを頼むぞ」
おねだりを忘れない神様に水萌里は思わず笑っていた。
☆☆☆
ご協力
道の駅季楽里あさひ様
すでに季楽里あさひで買えるものを把握していて、おひさまテラスのあるイオンタウンのスーパーである程度の物を購入すると、すぐ近くにあるそこへ向かう。
道の駅季楽里あさひには、旭市の美味しいものがたくさん集まっているのだ。旬の野菜や果物が多く並んでいる。養鶏も盛んなので新鮮な卵もあるし、豚の畜産は全国二位なのでお肉もある。海を抱えているから当然海産物もある。
さらには暖かい気候のため花栽培も盛んなので、花屋も併設されており、お盆などのシーズンにはそれに見合うものが並べられる。
「道の駅」というと旅行客というイメージだが、新鮮さと直送の値段を目当てに地元の人々も通っていてなかなかの賑わいである。
「あったぞ!」
洋太は真っ先にトマトの売り場へ行く。ツヤツヤと輝いた大きなトマトも好きだが、おやつ感覚で食べられるミニトマトも捨てがたい。
生産者の名前もすっかり覚えている。
「スーパーの野菜も悪くはないが、なぜかこちらの方が美味いんだよ」
カップを持ち上げて不思議そうに呟いた。
「それはやっぱり鮮度じゃないかしら?」
「鮮度?」
「季楽里のお野菜は農家さんが直接持ってきて並べるのよ。多くが朝獲りとか採りたてだと思うわ。それに採りたてを並べられるから完熟も可能なのよ」
「スーパーは違うのか?」
「ええ」
水萌里はスーパーの流通について洋太にレクチャーする。
「旭市産の野菜が確実に新鮮なものを食べられるのが季楽里あさひというわけだな」
「そうね。野菜だけじゃないわ。あちらに並ぶ甘味やパンも旭市のどこかのお店で作られたものがほとんどよ。お肉やお魚もね」
「あれが食べたいな!」
「はいはい」
洋太は人となってから「食べる」ということが気に入りとても楽しそうにしている。
「ここは何を食べても美味しいくていいわよね」
「他は違うのか?」
「流通が発達しているから、日本中どこでもある程度のものは食べることができるけど、ここまで充実した食を地元で提供できるところはなかなか無いと思う」
「そういうものか」
「うふふ。私達は幸せってことよ」
「美味いは幸せだ! なっ!」
洋太も笑顔になる。
「洋太は明日からお仕事だから、今日は洋太の分のあさピー焼きを二つにしちゃうわっ!」
「なにっ!」
水萌里の提案に洋太は目を輝かせた。
「あさピー焼き」とは「あさピー」をモチーフにした、季楽里あさひ名物のたい焼き風おやつである。薄力粉や米粉や小豆は国産にこだわり、さらに塩は旭市産の揚げ浜塩田製法で作られる"サンライズソルト"や岩塩を使用するというこだわりぶりだ。味は、つぶあん、しろあん、カマンベール、カスタードと四種類あり、季楽里あさひのイチオシだけあってリピーターが多い。
洋太は激リピーターであるが、水萌里の管理下では買う時は一つと決められていた。必ず足から食べて、「ごめん」と言いながら頭を食べる姿は、水萌里にとっても真守にとっても微笑ましすぎて、季楽里あさひに来るたびに買ってあげてしまう。
「うーん……。二つならしょっぱさのあるカマンベールは入れるとして、甘いものは……どれも捨てがたい……」
洋太が悩んでいる間に水萌里はスムージーを注文した。季節のスムージーは旭産の果物を使っているらしい。
「そういえば、生志ら魚が食べたいって真守に言われていたわ。洋太。お会計してきてね」
千円を洋太に渡した水萌里は海産物の売り場へ行く。季楽里あさひには何度も来ているが主に野菜コーナーばかりを見ていて鮮魚コーナーは初めて来たのだった。
そこには九十九里浜産のハマグリをはじめ、様々な海産物が置かれている。
「まあ! 鯛ってこのくらいの大きさなのね」
切り身になっていない魚を見ることが少ない水萌里は四十センチほどの鯛一匹が売られているのを見て驚いていた。これでもとても大きく、家族三人が食すのなら充分な大きさである。
ただし、水萌里が見ていたのは金目鯛であることは見逃してほしい。
「確かにこれが当たり前の大きさなら、あの魚拓はすごいわ」
水萌里は陳列されているものが見たことがないものばかりでウキウキして見て回る。
「これは丸干しね。確か、これも名産だったわ。明日の朝ごはんにしましょう」
あれもこれもと見て回ったが、鮮度が自慢で売られているものを買うために来ているのに、鮮度が落ちる買い方をしては意味がないので、涙を飲んで諦める。
「買ってきたぞ」
あさピー焼きコーナーから来た洋太に声をかけらてた水萌里は、精肉コーナーも回りたかったのだが、スムージーを冷たいうちに飲みたかったので、今日のところはここで止めておいた。
「また後日来ましょう」
「その時はあさピー焼きしろあんを頼むぞ」
おねだりを忘れない神様に水萌里は思わず笑っていた。
☆☆☆
ご協力
道の駅季楽里あさひ様
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