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41 ケーキ当てクイズ
「はい! 恒例のチコニアクイズぅぅぅぅ」
自分で拍手をしながら高々と宣言した水萌里に付き合うように手を打っている洋太の口はもぐもぐと動き、手はテーブルに置かれた木製の菓子入れを何度も往復してクッキーを頬張りそのたびに独り言感想を言っている。
「くるみクッキーか。これも旨いけど、俺的にはアーモンドクッキーだな。でも母さんはくるみクッキーが好きそうだ」
ぽりぽりもぐもぐ
「ミルクにコーヒークッキーは最強コンビだ」
ごきゅごきゅごきゅ
クッキーも美味しい『Ciconiaチコニア』は旭二中の北側にある長屋店舗の真ん中にある小さなお菓子屋さんである。一人で全ての手作りしているという女性オーナーは以前には母親と一緒に菓子教室をやりながらやっていたが集合自粛で教室を続けることが難しくなりお店だけにした。そのころよりメニューも増えていて集まり自粛を好機と変換しているので、調理だけでなく経営にも腕がいいと言える。
「よ、洋太! 俺のもとっておいてくれよ」
洋太の食べ方の勢いに真守は焦りを見せる。油断をしていると全部洋太に食べられてしまうのだ。ちなみに、水萌里はすでに自分が食べたい分は確保している。
「おやじはクイズに正解すればケーキが食べられるんだからいいじゃないか」
そういう洋太はすでに二つのケーキを平らげていた。
「それにチコニアのクッキーは日持ちするから心配いらないだろう?」
「日持ちの心配じゃない。当家の在庫の心配だ!」
真守は急いで皿を持ってきて好みのクッキーを分けておく。ちなみに、日持ちがすることをいいことに水萌里はキッチンの引き出しに二袋ほど隠してあるが、知らぬは真守ばかりなり。するどい洋太は知っているが気を使ってそれには手を出さない。
「相変わらずセコいな」
「じゃーん!」
二人のやり取りを無視していた水萌里は銀の蓋クローシュが乗った皿を持ってきた。
「では真守さん。いつものように!」
真守はため息をこぼしながらも素直にアイマスクをする。
「香りで正解したら、真守さんが食べたことがないケーキ贈呈。一口で正解したら食べたことがある好きなケーキ一ピース。三口で正解したら半ピースです!」
「クッキークイズにしないか?」
アイマスクをしていても口が引きつったのがわかるほど真守は懇願した。
「クッキーは独特な味が多いからクイズにならないじゃないか」
「でも当てやすいから…………」
チコニアのケーキはいろいろな国のオーソドックスなスポンジ系なのだ。このクイズの難しいところは正確な名前と国まで当てなければならないことだ。「あれだよ。あれ! 味はわかるのに国名が出てこないぃぃぃ」とか「はい、一文字違いまーす」いうことが、よくある。クッキーなら「紅茶味」とか「マカデミアナッツ」という答えなので正解しやすい。
「はいはい。とにかく始めますよ。オープーン!」
「おおおおおお!」
盛り上げ上手の洋太がノリノリで付き合うが、真守は不安そうだ。洋太がクイズに参加しないのは、横文字に弱く全く当たらないから。世界各国どころか日本の都道府県も覚えていない。「あっちの遠くに天照様のお力を感じる」と言って毎日西に頭を下げるが、何県かは知らない。
皿を持った水萌里は真守の鼻に近づける。
「心地よいバターの香りだ」
正確な名前を当てなければならない時点で真守の頭の中では『ガトーショコラクラッシク』と『ベイクドチーズケーキ』は削除されている。
「では、答えをどうぞ」
「ポルトガルのボーロ・ドウラード!」
「ざんねーん! 確かにボーロ・ドウラードはバター香るカステラよね。あれは美味しいわ。でもこれは違いまーす」
「そうなんだよ。バターだけじゃない香ばしい何かは感じるんだ」
「では実食!」
水萌里がそれを一口大にフォークで切り分け真守の口に運んだ。
「え? これ食べたことある?」
「絶対にある」
「キャラメルアップルケーキもバターケーキがベースだけど、アップルの味はしないしな……」
洋太のお墨付きに真守が諦めてもう一度口を開け、水萌里はもう一口入れた。
「まじで? これはアーモンド系だと思うんだよ。あと別のナッツ系? こんなケーキ食べたことあるか? んー、わからないから……ナッツ系だとイタリアのトルタ・マントヴァーナ!」
「違いまーす! では最後の一口をどうぞ」
真守は探るように食べるが首を傾げた。
「なら、ヒントをあげましょう。ケーキではありません」
「ずっるーーー! 答えはフィナンシェです!」
ガバリとアイマスクを外した真守が苦い顔で皿に残っていたフィナンシェを食べ、水萌里も洋太もいたずらが成功して大笑いした。
「ケーキだって思い込んでいたし、舌触りがいいからクッキーではないから騙された。確かにこのアーモンドとカシューナッツ、最後に鼻に抜けるラム酒はフィナンシェだよな」
マドレーヌとフィナンシェは生地を寝かしてから作るため量が限られた貴重なものだ。十個以上大量購入するためには事前に予約しておく必要があるほど手がこんでいるものである。
「うふふ。面白かったから、サービスよ。はい、イギリスのレモンドリズルケーキです」
「念願のっ」
クイズに正解しなかったり、ジャンケンに負けたり、早さで負けたりして、真守はレモンドリズルケーキをこれまで食べることができなかったのだった。
「この黄色の添えレモンがいい。色だけでも食欲が沸く。うーん、レモンが爽やかだ」
「うふふ。美味しいわよねぇ。それは『チコニア』のオーナーさんご本人も好きだって言っていたもの」
嬉しそうにケーキを食べる真守にお茶を淹れ直し、自分の分のココナッツドリームケーキを乗せた皿を持ってテーブルについた。
お茶の時間を終えると洋太はいつものようにメレンゲクッキーを一袋持って立ち上がった。
「ごちそうさまあ」
「あら? 洋太、それでいいの?」
メレンゲカプチーノクッキーの袋がにこにこと笑う水萌里の手にあった。
「ずっるーーー!」
唇を尖らせながらもひょいっと水萌里の手からその袋を奪う。
「洋太。ならそっちおいていってくれよ。明日、俺が食べるから」
「やあだね。俺の明日のおやつだよぉ」
二つの袋を持ってご満悦の洋太は軽い足取りで部屋へ向かった。
☆☆☆
ご協力
Ciconiaチコニア様(火曜日水曜日定休日)
自分で拍手をしながら高々と宣言した水萌里に付き合うように手を打っている洋太の口はもぐもぐと動き、手はテーブルに置かれた木製の菓子入れを何度も往復してクッキーを頬張りそのたびに独り言感想を言っている。
「くるみクッキーか。これも旨いけど、俺的にはアーモンドクッキーだな。でも母さんはくるみクッキーが好きそうだ」
ぽりぽりもぐもぐ
「ミルクにコーヒークッキーは最強コンビだ」
ごきゅごきゅごきゅ
クッキーも美味しい『Ciconiaチコニア』は旭二中の北側にある長屋店舗の真ん中にある小さなお菓子屋さんである。一人で全ての手作りしているという女性オーナーは以前には母親と一緒に菓子教室をやりながらやっていたが集合自粛で教室を続けることが難しくなりお店だけにした。そのころよりメニューも増えていて集まり自粛を好機と変換しているので、調理だけでなく経営にも腕がいいと言える。
「よ、洋太! 俺のもとっておいてくれよ」
洋太の食べ方の勢いに真守は焦りを見せる。油断をしていると全部洋太に食べられてしまうのだ。ちなみに、水萌里はすでに自分が食べたい分は確保している。
「おやじはクイズに正解すればケーキが食べられるんだからいいじゃないか」
そういう洋太はすでに二つのケーキを平らげていた。
「それにチコニアのクッキーは日持ちするから心配いらないだろう?」
「日持ちの心配じゃない。当家の在庫の心配だ!」
真守は急いで皿を持ってきて好みのクッキーを分けておく。ちなみに、日持ちがすることをいいことに水萌里はキッチンの引き出しに二袋ほど隠してあるが、知らぬは真守ばかりなり。するどい洋太は知っているが気を使ってそれには手を出さない。
「相変わらずセコいな」
「じゃーん!」
二人のやり取りを無視していた水萌里は銀の蓋クローシュが乗った皿を持ってきた。
「では真守さん。いつものように!」
真守はため息をこぼしながらも素直にアイマスクをする。
「香りで正解したら、真守さんが食べたことがないケーキ贈呈。一口で正解したら食べたことがある好きなケーキ一ピース。三口で正解したら半ピースです!」
「クッキークイズにしないか?」
アイマスクをしていても口が引きつったのがわかるほど真守は懇願した。
「クッキーは独特な味が多いからクイズにならないじゃないか」
「でも当てやすいから…………」
チコニアのケーキはいろいろな国のオーソドックスなスポンジ系なのだ。このクイズの難しいところは正確な名前と国まで当てなければならないことだ。「あれだよ。あれ! 味はわかるのに国名が出てこないぃぃぃ」とか「はい、一文字違いまーす」いうことが、よくある。クッキーなら「紅茶味」とか「マカデミアナッツ」という答えなので正解しやすい。
「はいはい。とにかく始めますよ。オープーン!」
「おおおおおお!」
盛り上げ上手の洋太がノリノリで付き合うが、真守は不安そうだ。洋太がクイズに参加しないのは、横文字に弱く全く当たらないから。世界各国どころか日本の都道府県も覚えていない。「あっちの遠くに天照様のお力を感じる」と言って毎日西に頭を下げるが、何県かは知らない。
皿を持った水萌里は真守の鼻に近づける。
「心地よいバターの香りだ」
正確な名前を当てなければならない時点で真守の頭の中では『ガトーショコラクラッシク』と『ベイクドチーズケーキ』は削除されている。
「では、答えをどうぞ」
「ポルトガルのボーロ・ドウラード!」
「ざんねーん! 確かにボーロ・ドウラードはバター香るカステラよね。あれは美味しいわ。でもこれは違いまーす」
「そうなんだよ。バターだけじゃない香ばしい何かは感じるんだ」
「では実食!」
水萌里がそれを一口大にフォークで切り分け真守の口に運んだ。
「え? これ食べたことある?」
「絶対にある」
「キャラメルアップルケーキもバターケーキがベースだけど、アップルの味はしないしな……」
洋太のお墨付きに真守が諦めてもう一度口を開け、水萌里はもう一口入れた。
「まじで? これはアーモンド系だと思うんだよ。あと別のナッツ系? こんなケーキ食べたことあるか? んー、わからないから……ナッツ系だとイタリアのトルタ・マントヴァーナ!」
「違いまーす! では最後の一口をどうぞ」
真守は探るように食べるが首を傾げた。
「なら、ヒントをあげましょう。ケーキではありません」
「ずっるーーー! 答えはフィナンシェです!」
ガバリとアイマスクを外した真守が苦い顔で皿に残っていたフィナンシェを食べ、水萌里も洋太もいたずらが成功して大笑いした。
「ケーキだって思い込んでいたし、舌触りがいいからクッキーではないから騙された。確かにこのアーモンドとカシューナッツ、最後に鼻に抜けるラム酒はフィナンシェだよな」
マドレーヌとフィナンシェは生地を寝かしてから作るため量が限られた貴重なものだ。十個以上大量購入するためには事前に予約しておく必要があるほど手がこんでいるものである。
「うふふ。面白かったから、サービスよ。はい、イギリスのレモンドリズルケーキです」
「念願のっ」
クイズに正解しなかったり、ジャンケンに負けたり、早さで負けたりして、真守はレモンドリズルケーキをこれまで食べることができなかったのだった。
「この黄色の添えレモンがいい。色だけでも食欲が沸く。うーん、レモンが爽やかだ」
「うふふ。美味しいわよねぇ。それは『チコニア』のオーナーさんご本人も好きだって言っていたもの」
嬉しそうにケーキを食べる真守にお茶を淹れ直し、自分の分のココナッツドリームケーキを乗せた皿を持ってテーブルについた。
お茶の時間を終えると洋太はいつものようにメレンゲクッキーを一袋持って立ち上がった。
「ごちそうさまあ」
「あら? 洋太、それでいいの?」
メレンゲカプチーノクッキーの袋がにこにこと笑う水萌里の手にあった。
「ずっるーーー!」
唇を尖らせながらもひょいっと水萌里の手からその袋を奪う。
「洋太。ならそっちおいていってくれよ。明日、俺が食べるから」
「やあだね。俺の明日のおやつだよぉ」
二つの袋を持ってご満悦の洋太は軽い足取りで部屋へ向かった。
☆☆☆
ご協力
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