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69 正体は不明……
海上地区にある『遊戯場ヴィーナス』の駐車場においてとあるイベント第一回目が大成功をおさめた。
一夏はそのイベントにいつものごとくフラフラと行ったのだが、そこで多くの人に同じ質問をされた。
「このイベントすごいんですけど、主催者さんをご存知ですか?」
一夏は「ハナワさんのお顔は存じているし、ドラム缶リメイクのアイディアが面白い人ってことは知っているけど…………。
あ! あさひの芸術祭実行委のメンバーさんよ」と困り顔で答えることしかできない。
そのイベントとは『フリマル』だ。初回にもかかわらず延べ六千人の来場者と言われるほどビッグイベントであったため、その主催者ハナワへの注目が集まることも当然だろう。ハナワは駐車場のためにと空き地の草刈りをやったり、空き地と会場との間に溝があるためパイプ橋を作ったり、宣伝のため『たこみんFM』に出演したりと大忙しでこの日を迎えていた。もちろん、ハナワ一人でできるものではない。手助けしてくれる友人たちがいるのもまたハナワの人柄を表す一つだ。
『お人柄はいい人ってことは感じてるわ。旭市を盛り上げるイベントを企画したハナワご夫婦。私にはそれで充分!』
一夏の視線の先にはパステルのピンクやブルーで色とりどりのドラム缶リメイクベンチが舞台をゆったりと観劇できるように並んでいる。一夏の好みはテーブルと椅子のセットだ。野外バーでも開けそうなその形を面白いと思っている。多くの来場者がいるための椅子が空くことはなさそうだ。
「さてと」
気を取り直してイベントを楽しむことにした一夏は出店テントを見て回る。
ドライフラワーの額アートを見て『KUKKA』の前で足を止める。
「あ、もしかして、先日、ボッチでアートワークショップにいらっしゃいました?」
可愛らしい声に顔を上げるとたしかに『ボッチツキ市』で隣同士でフラワーアートワークショップをやった女性だった。
「まあ! 本業だったのねぇ。斬新なのにまとまっていてセンスのある人だなぁとは思ったわ」
そのワークショップでも互いに笑顔で楽しんだので、一夏も自然と笑顔になる。さらには互いにつけていたアクセサリーも同じデザイナー『Moju』のものだったので話に花が咲く。
再び歩き出した一夏はハンドメイドアクセサリー『Lapin』の商品を見て興奮し始めた。
「うわぁ! これカワイイ! レジンハンドメイドですか? 猫ちゃんキュートぉ! こっちはシックでステキぃ!」
店主との会話をたっぷりと楽しみ、イヤリングを選んだ。そして隣に目を向けると美味しそうなマフィンが並ぶ。Lapinの隣に並ぶのは菓子店『リトルミィ』。
この二人はイベントも大好きでプライベートも仲良しで、それが功を奏しイベントの主催までするほどである。横芝光町にて数年前から開催されている『ひだまりマルシェ』が名前の通りあったかい雰囲気のイベントなのは、二人の人柄だと言える。十店舗ほどでスタートした『ひだまりマルシェ』は回を重ねるごとに出店者も増えていき今では三十店舗近くとなっている。この八月の開催は第八回となる。
水萌里は種類の多いマフィンに頬を緩ませて悩む。
「全種類食べたいけど…………」
思わず口から漏れた。リトルミイのミサも笑顔になる。
「インスタでイベント出店は告知していますのでそちらにも是非いらしてください。ひだまりマルシェは八月です」
頷いて食べられるだけの焼き菓子を選んだ。
『そうだ! 今日はモンゴルマンさんのお誕生日だわ。プレゼントにしよう』
あさげーリーダーのモンゴルマンはこのイベントフリマルの舞台司会をやっている。暑い中声をあげ雰囲気を盛り上げていた。モンゴルマンはあさげーメンバーハナワの応援出演をしている。
菓子店『リトルミィ』でプレゼント用の買い物を済ませると再び巡り始めた。
「あら? ようちゃん、一人?」
真っ黒い何かを頬張りながらパリパリ鯛焼きの『なんごう亭』に並んでいた洋太を見つけた一夏は手を振った。
「おやじがここの鯛焼きか好きなんだ。だからみやげにな。ここのは洋風な鯛焼きなんだとさ。俺には和風と洋風の違いはよくわかんないけどとにかく美味いのは間違いない」
「私も好きよ。なんごう亭のチャーシュー丼も好きだけど。それにしてもそれ何?」
洋太が食べているものはピンクの可愛らしいラップシートに包まれてはいるが、黒い。本当に黒い。
洋太が一夏へ向けた断面は生クリームがツヤツヤとしていた。
「見た目面白のクレープだぞ。あっちの方でピンク色にキャベツか描かれたキッチンカーで売ってたんだ。味もいいけど、見た目も面白いから母さんにみやげだ」
一夏は両親に手みやげを買う洋太についつい笑顔になる。
「私もそれ買いに行ってくるわ」
クレープ『合同会社キャベツ』のキッチンカーで竹炭入りクレープを購入した一夏は舞台のある方へと向かう。本当に真っ黒な生地に驚きはしたが、クレープは美味しい。
モンゴルマンにリトルミィのマフィンを手渡した一夏は、また別のイベントへと車を走らせた。
一夏のイベント周りは始まったばかりだ。
「イベントやるにはいい季節! レッツゴー!」
車内で一人拳を上げる五十代は怪しいかもしれないが、楽しいことが大好きな一夏はそんなことは気にしないのだった。
そしてフリマルは再始動した。8月にはさらにデカくなって登場するだろう!
☆☆☆
ご協力
フリマル様
ハナワ様
KUKKA様
Lapin様
リトルミィ様
なんごう亭様
合同会社キャベツ様
モンゴルマン斎藤様
あさげー様
一夏はそのイベントにいつものごとくフラフラと行ったのだが、そこで多くの人に同じ質問をされた。
「このイベントすごいんですけど、主催者さんをご存知ですか?」
一夏は「ハナワさんのお顔は存じているし、ドラム缶リメイクのアイディアが面白い人ってことは知っているけど…………。
あ! あさひの芸術祭実行委のメンバーさんよ」と困り顔で答えることしかできない。
そのイベントとは『フリマル』だ。初回にもかかわらず延べ六千人の来場者と言われるほどビッグイベントであったため、その主催者ハナワへの注目が集まることも当然だろう。ハナワは駐車場のためにと空き地の草刈りをやったり、空き地と会場との間に溝があるためパイプ橋を作ったり、宣伝のため『たこみんFM』に出演したりと大忙しでこの日を迎えていた。もちろん、ハナワ一人でできるものではない。手助けしてくれる友人たちがいるのもまたハナワの人柄を表す一つだ。
『お人柄はいい人ってことは感じてるわ。旭市を盛り上げるイベントを企画したハナワご夫婦。私にはそれで充分!』
一夏の視線の先にはパステルのピンクやブルーで色とりどりのドラム缶リメイクベンチが舞台をゆったりと観劇できるように並んでいる。一夏の好みはテーブルと椅子のセットだ。野外バーでも開けそうなその形を面白いと思っている。多くの来場者がいるための椅子が空くことはなさそうだ。
「さてと」
気を取り直してイベントを楽しむことにした一夏は出店テントを見て回る。
ドライフラワーの額アートを見て『KUKKA』の前で足を止める。
「あ、もしかして、先日、ボッチでアートワークショップにいらっしゃいました?」
可愛らしい声に顔を上げるとたしかに『ボッチツキ市』で隣同士でフラワーアートワークショップをやった女性だった。
「まあ! 本業だったのねぇ。斬新なのにまとまっていてセンスのある人だなぁとは思ったわ」
そのワークショップでも互いに笑顔で楽しんだので、一夏も自然と笑顔になる。さらには互いにつけていたアクセサリーも同じデザイナー『Moju』のものだったので話に花が咲く。
再び歩き出した一夏はハンドメイドアクセサリー『Lapin』の商品を見て興奮し始めた。
「うわぁ! これカワイイ! レジンハンドメイドですか? 猫ちゃんキュートぉ! こっちはシックでステキぃ!」
店主との会話をたっぷりと楽しみ、イヤリングを選んだ。そして隣に目を向けると美味しそうなマフィンが並ぶ。Lapinの隣に並ぶのは菓子店『リトルミィ』。
この二人はイベントも大好きでプライベートも仲良しで、それが功を奏しイベントの主催までするほどである。横芝光町にて数年前から開催されている『ひだまりマルシェ』が名前の通りあったかい雰囲気のイベントなのは、二人の人柄だと言える。十店舗ほどでスタートした『ひだまりマルシェ』は回を重ねるごとに出店者も増えていき今では三十店舗近くとなっている。この八月の開催は第八回となる。
水萌里は種類の多いマフィンに頬を緩ませて悩む。
「全種類食べたいけど…………」
思わず口から漏れた。リトルミイのミサも笑顔になる。
「インスタでイベント出店は告知していますのでそちらにも是非いらしてください。ひだまりマルシェは八月です」
頷いて食べられるだけの焼き菓子を選んだ。
『そうだ! 今日はモンゴルマンさんのお誕生日だわ。プレゼントにしよう』
あさげーリーダーのモンゴルマンはこのイベントフリマルの舞台司会をやっている。暑い中声をあげ雰囲気を盛り上げていた。モンゴルマンはあさげーメンバーハナワの応援出演をしている。
菓子店『リトルミィ』でプレゼント用の買い物を済ませると再び巡り始めた。
「あら? ようちゃん、一人?」
真っ黒い何かを頬張りながらパリパリ鯛焼きの『なんごう亭』に並んでいた洋太を見つけた一夏は手を振った。
「おやじがここの鯛焼きか好きなんだ。だからみやげにな。ここのは洋風な鯛焼きなんだとさ。俺には和風と洋風の違いはよくわかんないけどとにかく美味いのは間違いない」
「私も好きよ。なんごう亭のチャーシュー丼も好きだけど。それにしてもそれ何?」
洋太が食べているものはピンクの可愛らしいラップシートに包まれてはいるが、黒い。本当に黒い。
洋太が一夏へ向けた断面は生クリームがツヤツヤとしていた。
「見た目面白のクレープだぞ。あっちの方でピンク色にキャベツか描かれたキッチンカーで売ってたんだ。味もいいけど、見た目も面白いから母さんにみやげだ」
一夏は両親に手みやげを買う洋太についつい笑顔になる。
「私もそれ買いに行ってくるわ」
クレープ『合同会社キャベツ』のキッチンカーで竹炭入りクレープを購入した一夏は舞台のある方へと向かう。本当に真っ黒な生地に驚きはしたが、クレープは美味しい。
モンゴルマンにリトルミィのマフィンを手渡した一夏は、また別のイベントへと車を走らせた。
一夏のイベント周りは始まったばかりだ。
「イベントやるにはいい季節! レッツゴー!」
車内で一人拳を上げる五十代は怪しいかもしれないが、楽しいことが大好きな一夏はそんなことは気にしないのだった。
そしてフリマルは再始動した。8月にはさらにデカくなって登場するだろう!
☆☆☆
ご協力
フリマル様
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5/9から小説になろうでも掲載中