16 / 16
僕のこと
.
しおりを挟む
「混血の人間、、、」
「ああ、そうだ。」
洸牙が話を続ける。
「妖同士の共食いは、妖の体に影響を与えない。だから、妖と人間との間に子を作り、その子を食らうことで不老不死になれると言い始めたものがいた。純血の人間ではなく、混血ならばと。幸い、人間と妖の性交は天罰の対象ではない。人間の姿を保つことができる妖力の高い妖達は、こぞって人間界に渡り、人間と関係を持ち、子を成そうとした。ただ、妖と人間との間に子を宿すものは現れなかった。」
心臓がバクバクと音を鳴らしているのが分かる。緊張の中で洸牙の次の言葉を待った。
「桜麗という鬼がいた。圧倒的な強さを持つ鬼だった。性格は、極悪非道、自分のことしか考えない自己中心的な鬼。その鬼は不滅を夢見ていた。ほとんどの妖が、人と子を成すことを諦めていく中で、奴だけは諦めなかった。奴の、自分が成し遂げたい目標に対する執念は、凄まじいものだ。」
桜麗。聞いたことがある。
「桜麗って、蓮花ちゃんの両親を殺した鬼ですよね。あなたを待っている時に蓮花ちゃんから聞きました。」
「そうだ。桜麗は、奴のやり方に意を唱えた蓮花の両親を殺した。俺が鬼の王になる前、王位についていたのも奴だ。桜麗は、人間界に何回も出向き、何度も人間との子を成そうとした。そして、その結果、一人の女が、子を孕んだんだ。奇跡だった。」
僕を撫でながら洸牙が言葉を続ける。洸牙がこの先言おうとしていることが分かるような気がした。
「桜麗との間に子供を成したのが、僕の母で、その子供が僕ということですか。」
「その通りだ。」
蓮花ちゃんの両親を奪った、自分のことしか考えれない極悪な鬼、桜麗。そんな鬼が僕の父親?
「僕は、そんな最悪な鬼の血を引いてるんですね。」
「たしかに、血を引いてはいる。だが、唯は違う。唯は困っているものに手を差し伸べ、周りを思いやれる、誰よりも優しい子だ。」
鬼の大きな手が、僕を撫ぜ続けている。懐かしむような眼差し。僕のことを知っているような口ぶり。僕が覚えていない、僕と、この鬼との出会いを思い出しているのだろうか。どれだけ顔を見ても、洸牙との出会いを思い出せないのが、もどかしい。
「俺が、唯が混血だと気付いたのは、唯と俺が初めて出会った時だ。唯は覚えていないだろーがな。」
洸牙が意地悪そうに笑う。その顔がやけに色っぽくて、直視できない。
「唯。俺からも一つ質問させてくれ。」
洸牙の顔を直視出来ずに、顔を背けている唯に、洸牙が真剣な面持ちで問いかけた。
「ああ、そうだ。」
洸牙が話を続ける。
「妖同士の共食いは、妖の体に影響を与えない。だから、妖と人間との間に子を作り、その子を食らうことで不老不死になれると言い始めたものがいた。純血の人間ではなく、混血ならばと。幸い、人間と妖の性交は天罰の対象ではない。人間の姿を保つことができる妖力の高い妖達は、こぞって人間界に渡り、人間と関係を持ち、子を成そうとした。ただ、妖と人間との間に子を宿すものは現れなかった。」
心臓がバクバクと音を鳴らしているのが分かる。緊張の中で洸牙の次の言葉を待った。
「桜麗という鬼がいた。圧倒的な強さを持つ鬼だった。性格は、極悪非道、自分のことしか考えない自己中心的な鬼。その鬼は不滅を夢見ていた。ほとんどの妖が、人と子を成すことを諦めていく中で、奴だけは諦めなかった。奴の、自分が成し遂げたい目標に対する執念は、凄まじいものだ。」
桜麗。聞いたことがある。
「桜麗って、蓮花ちゃんの両親を殺した鬼ですよね。あなたを待っている時に蓮花ちゃんから聞きました。」
「そうだ。桜麗は、奴のやり方に意を唱えた蓮花の両親を殺した。俺が鬼の王になる前、王位についていたのも奴だ。桜麗は、人間界に何回も出向き、何度も人間との子を成そうとした。そして、その結果、一人の女が、子を孕んだんだ。奇跡だった。」
僕を撫でながら洸牙が言葉を続ける。洸牙がこの先言おうとしていることが分かるような気がした。
「桜麗との間に子供を成したのが、僕の母で、その子供が僕ということですか。」
「その通りだ。」
蓮花ちゃんの両親を奪った、自分のことしか考えれない極悪な鬼、桜麗。そんな鬼が僕の父親?
「僕は、そんな最悪な鬼の血を引いてるんですね。」
「たしかに、血を引いてはいる。だが、唯は違う。唯は困っているものに手を差し伸べ、周りを思いやれる、誰よりも優しい子だ。」
鬼の大きな手が、僕を撫ぜ続けている。懐かしむような眼差し。僕のことを知っているような口ぶり。僕が覚えていない、僕と、この鬼との出会いを思い出しているのだろうか。どれだけ顔を見ても、洸牙との出会いを思い出せないのが、もどかしい。
「俺が、唯が混血だと気付いたのは、唯と俺が初めて出会った時だ。唯は覚えていないだろーがな。」
洸牙が意地悪そうに笑う。その顔がやけに色っぽくて、直視できない。
「唯。俺からも一つ質問させてくれ。」
洸牙の顔を直視出来ずに、顔を背けている唯に、洸牙が真剣な面持ちで問いかけた。
10
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる