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僕のこと
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「混血の人間、、、」
「ああ、そうだ。」
洸牙が話を続ける。
「妖同士の共食いは、妖の体に影響を与えない。だから、妖と人間との間に子を作り、その子を食らうことで不老不死になれると言い始めたものがいた。純血の人間ではなく、混血ならばと。幸い、人間と妖の性交は天罰の対象ではない。人間の姿を保つことができる妖力の高い妖達は、こぞって人間界に渡り、人間と関係を持ち、子を成そうとした。ただ、妖と人間との間に子を宿すものは現れなかった。」
心臓がバクバクと音を鳴らしているのが分かる。緊張の中で洸牙の次の言葉を待った。
「桜麗という鬼がいた。圧倒的な強さを持つ鬼だった。性格は、極悪非道、自分のことしか考えない自己中心的な鬼。その鬼は不滅を夢見ていた。ほとんどの妖が、人と子を成すことを諦めていく中で、奴だけは諦めなかった。奴の、自分が成し遂げたい目標に対する執念は、凄まじいものだ。」
桜麗。聞いたことがある。
「桜麗って、蓮花ちゃんの両親を殺した鬼ですよね。あなたを待っている時に蓮花ちゃんから聞きました。」
「そうだ。桜麗は、奴のやり方に意を唱えた蓮花の両親を殺した。俺が鬼の王になる前、王位についていたのも奴だ。桜麗は、人間界に何回も出向き、何度も人間との子を成そうとした。そして、その結果、一人の女が、子を孕んだんだ。奇跡だった。」
僕を撫でながら洸牙が言葉を続ける。洸牙がこの先言おうとしていることが分かるような気がした。
「桜麗との間に子供を成したのが、僕の母で、その子供が僕ということですか。」
「その通りだ。」
蓮花ちゃんの両親を奪った、自分のことしか考えれない極悪な鬼、桜麗。そんな鬼が僕の父親?
「僕は、そんな最悪な鬼の血を引いてるんですね。」
「たしかに、血を引いてはいる。だが、唯は違う。唯は困っているものに手を差し伸べ、周りを思いやれる、誰よりも優しい子だ。」
鬼の大きな手が、僕を撫ぜ続けている。懐かしむような眼差し。僕のことを知っているような口ぶり。僕が覚えていない、僕と、この鬼との出会いを思い出しているのだろうか。どれだけ顔を見ても、洸牙との出会いを思い出せないのが、もどかしい。
「俺が、唯が混血だと気付いたのは、唯と俺が初めて出会った時だ。唯は覚えていないだろーがな。」
洸牙が意地悪そうに笑う。その顔がやけに色っぽくて、直視できない。
「唯。俺からも一つ質問させてくれ。」
洸牙の顔を直視出来ずに、顔を背けている唯に、洸牙が真剣な面持ちで問いかけた。
「ああ、そうだ。」
洸牙が話を続ける。
「妖同士の共食いは、妖の体に影響を与えない。だから、妖と人間との間に子を作り、その子を食らうことで不老不死になれると言い始めたものがいた。純血の人間ではなく、混血ならばと。幸い、人間と妖の性交は天罰の対象ではない。人間の姿を保つことができる妖力の高い妖達は、こぞって人間界に渡り、人間と関係を持ち、子を成そうとした。ただ、妖と人間との間に子を宿すものは現れなかった。」
心臓がバクバクと音を鳴らしているのが分かる。緊張の中で洸牙の次の言葉を待った。
「桜麗という鬼がいた。圧倒的な強さを持つ鬼だった。性格は、極悪非道、自分のことしか考えない自己中心的な鬼。その鬼は不滅を夢見ていた。ほとんどの妖が、人と子を成すことを諦めていく中で、奴だけは諦めなかった。奴の、自分が成し遂げたい目標に対する執念は、凄まじいものだ。」
桜麗。聞いたことがある。
「桜麗って、蓮花ちゃんの両親を殺した鬼ですよね。あなたを待っている時に蓮花ちゃんから聞きました。」
「そうだ。桜麗は、奴のやり方に意を唱えた蓮花の両親を殺した。俺が鬼の王になる前、王位についていたのも奴だ。桜麗は、人間界に何回も出向き、何度も人間との子を成そうとした。そして、その結果、一人の女が、子を孕んだんだ。奇跡だった。」
僕を撫でながら洸牙が言葉を続ける。洸牙がこの先言おうとしていることが分かるような気がした。
「桜麗との間に子供を成したのが、僕の母で、その子供が僕ということですか。」
「その通りだ。」
蓮花ちゃんの両親を奪った、自分のことしか考えれない極悪な鬼、桜麗。そんな鬼が僕の父親?
「僕は、そんな最悪な鬼の血を引いてるんですね。」
「たしかに、血を引いてはいる。だが、唯は違う。唯は困っているものに手を差し伸べ、周りを思いやれる、誰よりも優しい子だ。」
鬼の大きな手が、僕を撫ぜ続けている。懐かしむような眼差し。僕のことを知っているような口ぶり。僕が覚えていない、僕と、この鬼との出会いを思い出しているのだろうか。どれだけ顔を見ても、洸牙との出会いを思い出せないのが、もどかしい。
「俺が、唯が混血だと気付いたのは、唯と俺が初めて出会った時だ。唯は覚えていないだろーがな。」
洸牙が意地悪そうに笑う。その顔がやけに色っぽくて、直視できない。
「唯。俺からも一つ質問させてくれ。」
洸牙の顔を直視出来ずに、顔を背けている唯に、洸牙が真剣な面持ちで問いかけた。
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