あなたなんて知らない

おーろら

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第一章:事件

015. 姉ちゃん、テンション上がって酒に酔う

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「明日から残り三日間は休みだ」
「そういうことで、叶羽が行きたい場所ある~?どこでも行きたい場所に連れて行ってあげるよ~」
「うーん、別にない。どこでもいい」
 社長と姉ちゃんは顔を見合わせた後、俺の方を寂しそうに見た。

「叶羽~、あんた十五歳でしょ?つい最近まで中学生だった高校生でしょうが~。もう少し子どもっぽい雰囲気があってもいいんじゃない~?」
「そんなこと言ったって行きたい場所なんてないから…」
「映画、見たものある~?」
「なんでもいいよ。姉ちゃんが見たい映画で」
「全くもぅ~。仕方ないなぁ、姉さんが提案するデートプランを行こう。明日は少しゆっくり帰って次の日に~」
「それじゃ残りは武田の家に帰るのか…」
「あっ、それはしないよ~。せっかくの連休に楽しく遊んで武田の家に帰るなんておもしろくな~い」
 姉ちゃんは頬を膨らませていた。なんだか姉ちゃんの方が年下みたいな感じだった。
 どうやらお酒に酔っているようだ。
 仕事が一段落して気が緩んだみたいだ。
 こんな姉ちゃんを見るのは久しぶりだ。

「ほら、姉ちゃん!しっかり立って」
「わかってるよ~」
「会計してくる間、美桜を支えててくれ」
「はい、わかりました」
 社長が急いで先に出入り口近くのレジに行った。
 支払いをしている間にゆっくり姉ちゃんを支えて歩いた。

「お待たせ、行こうか」
「はい」
 社長が姉ちゃんを支えて店を出て歩き出した。
 酔っぱらった姉ちゃんを間に挟んで三人並んで歩いた。
 ホテルに着いてエレベーターで部屋のある階へ行く。
 社長と二人で話すことがなくて沈黙状態だ。
 姉ちゃんと同じくらい酒を飲んでいたけど顔には何も出ていない。
 これが大人の男なのか?
 姉ちゃんの部屋の前に到着すると社長がポケットからカードキーを出して部屋の鍵を開けた。

「叶羽くん、お疲れ。美桜のことは任せてくれ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「明日はゆっくり家に帰ろう」
「ありがとうございます。それじゃ俺も部屋に戻ります」
 部屋の入口で姉ちゃんを社長に頼んだ。
 俺はそのまま隣の自分の部屋へ入った。
 その後はシャワーを浴びてすぐに寝た。



 やはり朝はいつもの時間に目が覚めてしまった。
 ベッドから起き上がり、頭を冷やすために朝もう一度シャワーを浴びた。
 バスルームから出ると部屋のチャイムが鳴った。
 裸だった俺はタオルを肩にかけスラックスをはいて扉を開けた。

「叶羽~、お待たせ。クリーニングに出しといた物も受け取ったから。これ、渡しておくね~」
「あ~、サンキュー」
「朝食に行くから荷物は後で~」
「わかった」
 姉ちゃんはクリーニングから戻った俺の制服とスーツと綺麗にたたまれた下着類を渡してきた。
 俺は姉ちゃんからそれらを受け取り、部屋のベッドの上に置いた。
 スマホと財布とカードキーを手に持って部屋を出た。

「姉ちゃん、お待たせ」
「うん、待った~」
 ニヤリと笑って俺を見た。
 社長も部屋から出てきた。

「待たせたな、すまない」
「ぜんぜ~ん、待ってないよ~」
「いやっ、姉ちゃん。社長と俺で滅茶苦茶態度が違い過ぎだろっ?」
「えー?そんなことない~」
「美桜…からかい過ぎると叶羽くんに嫌われるぞ」
 社長に言われた一言で昨夜みたいに姉ちゃんは頬を膨らませた。

「姉ちゃん、昨日みたいな顔してまだ酔ってる?」
「そんなわけないでしょ~」
「もういいから…朝ごはん食べてホテルを出るよ」
 社長も半分呆れていた。
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