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シロップの展望
06 ー カルトーフィリ村
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昨晩は和食を作ったが、そろそろ彼らの舌をスパイスに戻した方が良いのだろうか。
少し悩んだ誠は、バッグから虎の巻を取り出した。ファイルの素材やルーズリーフを纏めているリングを珍しがっているレビ達をよそに、誠はページを捲る。
「タブレットでしたっけ?あれにもレシピがたくさん載っていましたが、こちらの冊子にもたくさんあるんですね」
ルイージは誠の邪魔にならないように、少しだけルーズリーフを浮かせて、その隙間から他のページを覗いていた。
「国の数だけ料理があるからね。これは俺が作ったのとか、作りたいのを纏めたやつだから、色んな国の料理があるんだ。興味あるんだったら、後で見る?」
「ぜひ。…あ。もちろん、他言はしませんし、その前にマコトさんの国の文字は読めませんけどね」
それもそうか。けれどルイージは切り抜いた雑誌の写真や、誠が書き込んだイラストにも興味を持ったようだ。
書かれている材料を確認すると、誠はバッグの中から次々と材料を取り出した。
じゃが芋と聞いて真っ先に浮かんだのはフライドポテトだったが、今回はジャーマンポテトを作ることにした。
ジャーマンポテトは、ジャーマンとついているが、ドイツ料理ではない。類似した料理で、シュペックカルトッフェンという、ベーコンプラスじゃが芋という意味の物はある。
今日はドイツ料理にしようと決めていた誠は、さっそく先日アレクセイ達が狩ったオーク肉の内臓をバットに置いた。使う部分は、レバーだ。下処理をしっかりしてから牛乳と塩胡椒、マジョラム、パセリなどと一緒に浸しておく。
「スパイスも入れるんだな」
玉ねぎのみじん切りを頼んでいたアレクセイは、いつの間にか誠の手元を覗き込んでいた。レビ達も作業の手を止めている。
「入れるよー。でも、大量じゃないし、レバーの臭み消しと味のアクセントのためだよ」
「マコトの世界は、どうやって料理が発展したんだ?」
「どうって…徐々に?あとは、大陸から文化が伝わってきたりとか、貿易とかかな…」
急に聞かれても、こうだと言い切る自信が無い。誠は少し考えてから話し出した。
「やっぱ、いろんな国の文化が混ざったり、自国で独自に発展したりとかかな。この国と似た地域の国だと、その辺りの食文化も当時はスパイスをふんだんに使うのが良いとされてたんだ。でも、徐々に素材そのものを活かす料理に変わっていった国もあるし、同じ国でも気候とか地形によって、南北とかで全く違う食文化になったりとか…?」
こんな説明で良かったのだろうか。ざっくりし過ぎて余計に彼らを混乱させたかもしれないと思ったが、どうやらアレクセイ達が聞きたかったのは、食文化の発展の方向だったようだ。
「じゃあ、この国もそのうち味つけが変わるってことか?」
身を乗り出してレビが聞いてくる。誠はその様子に、少し笑った。
「かもね。何事にも流行り廃りがあるから。国の情勢が落ち着いてるんだったら、料理人にも余裕ができて、メニュー開発に力を入れるかもしんない。それから、貿易も大事かも。この国に無い作物とかスパイスとかを輸入して、それと一緒に使い方とかその国独自の調理法を学ぶとか。あとは…お勧めはしないけど、戦争で他の国を平らげて、そこで作ってる作物と一緒に文化を攫うとか」
「…戦争は嫌だな」
「だね」
レビの耳と尾の元気が無くなり、少ししみじみとした空気が流れてしまった。
ヨーロッパの食文化の遍歴は、略奪と円熟の繰り返しの産物だったようだ。宗教と民族が複雑に入り乱れ、領土拡大に力を入れていた時代もあったので、その時に伝わった物や混ざった文化もある。その文化は大陸を東へと伝わる時に現地の文化と混ざり、形を変えて極東の島国へと伝わった。
自国を焼失するような戦が殆ど無かった島国では、その文化は円熟し、更なる発展を遂げる。そう考えると、日本は恵まれた土地なんだと改めて分かる。
「まぁ、アレだ。そんなに今の料理の味付けが嫌なら、レビ達でブームを起こしてみたら?」
「ブームを…ですか?」
何となく言った言葉に、大食い王子が食いついた。
「そ。団員って貴族も居るんだろ?騎士団の食堂からブームを起こして、そこで認めて貰えばさ、家に帰ったら話題に上るかもしんないし。そうなったら、新しい物や流行に敏感な奥さんが興味を示す。そうなったら、自分の家の料理人に同じような料理を作って貰えるかもしれない」
「…なるほど。確かにそうだな」
アレクセイが尾を一振りさせ、頷いた。
「母の商会は、貴族向けと平民向けの店が分かれているが、基本的にターゲットは夫人だ。その家の財布を握っているところが多いからな」
「そうなんだ。俺の故郷でも、女性に向けた物が多いかな。新しい物や流行の物に敏感なのは女性が多いから」
そう言うと、興味を持ったのか、ルイージが聞いてきた。
「マコトさんの国では、何が流行っているんですか?」
「俺の故郷?うーん…今はタピオカが三回目のブームを巻き起こしてたかな。ミルクティーに、キャッサバ芋の根茎からとったでんぷんを糊化させて、小さなボール状にするんだ。それを入れたやつ。もちもちした食感があるんだよ。他にはルビーチョコレートとか。数年前だったら、パンケーキとかマカロン、ワッフルとか?」
「…全部美味しそうな予感がします」
大食い王子であり、美味いものハンターのルイージは、ゆるりと尾を揺らした。
スイーツ用のバインダーに全てレシピを書いているので、それも見せてあげた方が良いかもしれない。それが吉と出るか凶と出るかは不明だが。
「とにかく。最初は騎士団の料理人に、まずはスパイスの量を半分に減らすように交渉したり、塩胡椒だけの肉の焼き方を変えてもらうとか。そこからなら、できそうじゃん。どうかな?」
「そうだな。帰還したら、交渉してみよう。マコト。よければ手を貸してくれないか?」
「了解。急に変えると受け付けない人も居るだろうから、徐々に…ね」
誠がそう言うと、犬系獣人達は一斉に尾を振りだした。よっぽど料理改革が嬉しいのだろう。その一端を担ってしまったのは、自分の料理だということを自覚している誠は、忙しくなるだろうが楽しくなりそうだとワクワクしていた。
今晩のテーブルに上ったのは、ジャーマンポテトの他にはレバークヌーデル・ズッペというドイツ料理でも有名なスープだ。レバー団子のスープで、誠がレバーの処理をしていたのはこのためだ。
牛レバーを使うことが多いが、手元にオークのレバーがあったので、それで代用だ。他にはアイスバインという肉の煮込み料理を用意した。塩漬けにした豚すね肉を使うのだが、これもオークで代用だ。つけ合わせには、ほうれん草のソテーを作った。
箸休めには、コールスロー。他にも、蒸したじゃが芋に切れ込みを入れ、バターの塊を乗せただけのシンプルな物も用意する。
テーブルに並べると、皆の目が輝いたのが分かった。
「祈りを」
アレクセイの声が響く。その時だけは静かになったが、祈りを終えると一気に賑やかになった。
「どれも美味いな。今日もありがとう、マコト」
身を寄せてきたアレクセイの口元は緩んでいた。どの料理も口に合ったようで、安堵する。
毎回のことだが、やはりアレクセイに気に入って貰えるかどうか。それが不安でもあり楽しみだ。
「どういたしまして」
そう言って、笑い合う。その笑顔があるから、誠はまた料理を作りたくなるのだ。
さあ、明日は何を作ろうか。
少し悩んだ誠は、バッグから虎の巻を取り出した。ファイルの素材やルーズリーフを纏めているリングを珍しがっているレビ達をよそに、誠はページを捲る。
「タブレットでしたっけ?あれにもレシピがたくさん載っていましたが、こちらの冊子にもたくさんあるんですね」
ルイージは誠の邪魔にならないように、少しだけルーズリーフを浮かせて、その隙間から他のページを覗いていた。
「国の数だけ料理があるからね。これは俺が作ったのとか、作りたいのを纏めたやつだから、色んな国の料理があるんだ。興味あるんだったら、後で見る?」
「ぜひ。…あ。もちろん、他言はしませんし、その前にマコトさんの国の文字は読めませんけどね」
それもそうか。けれどルイージは切り抜いた雑誌の写真や、誠が書き込んだイラストにも興味を持ったようだ。
書かれている材料を確認すると、誠はバッグの中から次々と材料を取り出した。
じゃが芋と聞いて真っ先に浮かんだのはフライドポテトだったが、今回はジャーマンポテトを作ることにした。
ジャーマンポテトは、ジャーマンとついているが、ドイツ料理ではない。類似した料理で、シュペックカルトッフェンという、ベーコンプラスじゃが芋という意味の物はある。
今日はドイツ料理にしようと決めていた誠は、さっそく先日アレクセイ達が狩ったオーク肉の内臓をバットに置いた。使う部分は、レバーだ。下処理をしっかりしてから牛乳と塩胡椒、マジョラム、パセリなどと一緒に浸しておく。
「スパイスも入れるんだな」
玉ねぎのみじん切りを頼んでいたアレクセイは、いつの間にか誠の手元を覗き込んでいた。レビ達も作業の手を止めている。
「入れるよー。でも、大量じゃないし、レバーの臭み消しと味のアクセントのためだよ」
「マコトの世界は、どうやって料理が発展したんだ?」
「どうって…徐々に?あとは、大陸から文化が伝わってきたりとか、貿易とかかな…」
急に聞かれても、こうだと言い切る自信が無い。誠は少し考えてから話し出した。
「やっぱ、いろんな国の文化が混ざったり、自国で独自に発展したりとかかな。この国と似た地域の国だと、その辺りの食文化も当時はスパイスをふんだんに使うのが良いとされてたんだ。でも、徐々に素材そのものを活かす料理に変わっていった国もあるし、同じ国でも気候とか地形によって、南北とかで全く違う食文化になったりとか…?」
こんな説明で良かったのだろうか。ざっくりし過ぎて余計に彼らを混乱させたかもしれないと思ったが、どうやらアレクセイ達が聞きたかったのは、食文化の発展の方向だったようだ。
「じゃあ、この国もそのうち味つけが変わるってことか?」
身を乗り出してレビが聞いてくる。誠はその様子に、少し笑った。
「かもね。何事にも流行り廃りがあるから。国の情勢が落ち着いてるんだったら、料理人にも余裕ができて、メニュー開発に力を入れるかもしんない。それから、貿易も大事かも。この国に無い作物とかスパイスとかを輸入して、それと一緒に使い方とかその国独自の調理法を学ぶとか。あとは…お勧めはしないけど、戦争で他の国を平らげて、そこで作ってる作物と一緒に文化を攫うとか」
「…戦争は嫌だな」
「だね」
レビの耳と尾の元気が無くなり、少ししみじみとした空気が流れてしまった。
ヨーロッパの食文化の遍歴は、略奪と円熟の繰り返しの産物だったようだ。宗教と民族が複雑に入り乱れ、領土拡大に力を入れていた時代もあったので、その時に伝わった物や混ざった文化もある。その文化は大陸を東へと伝わる時に現地の文化と混ざり、形を変えて極東の島国へと伝わった。
自国を焼失するような戦が殆ど無かった島国では、その文化は円熟し、更なる発展を遂げる。そう考えると、日本は恵まれた土地なんだと改めて分かる。
「まぁ、アレだ。そんなに今の料理の味付けが嫌なら、レビ達でブームを起こしてみたら?」
「ブームを…ですか?」
何となく言った言葉に、大食い王子が食いついた。
「そ。団員って貴族も居るんだろ?騎士団の食堂からブームを起こして、そこで認めて貰えばさ、家に帰ったら話題に上るかもしんないし。そうなったら、新しい物や流行に敏感な奥さんが興味を示す。そうなったら、自分の家の料理人に同じような料理を作って貰えるかもしれない」
「…なるほど。確かにそうだな」
アレクセイが尾を一振りさせ、頷いた。
「母の商会は、貴族向けと平民向けの店が分かれているが、基本的にターゲットは夫人だ。その家の財布を握っているところが多いからな」
「そうなんだ。俺の故郷でも、女性に向けた物が多いかな。新しい物や流行の物に敏感なのは女性が多いから」
そう言うと、興味を持ったのか、ルイージが聞いてきた。
「マコトさんの国では、何が流行っているんですか?」
「俺の故郷?うーん…今はタピオカが三回目のブームを巻き起こしてたかな。ミルクティーに、キャッサバ芋の根茎からとったでんぷんを糊化させて、小さなボール状にするんだ。それを入れたやつ。もちもちした食感があるんだよ。他にはルビーチョコレートとか。数年前だったら、パンケーキとかマカロン、ワッフルとか?」
「…全部美味しそうな予感がします」
大食い王子であり、美味いものハンターのルイージは、ゆるりと尾を揺らした。
スイーツ用のバインダーに全てレシピを書いているので、それも見せてあげた方が良いかもしれない。それが吉と出るか凶と出るかは不明だが。
「とにかく。最初は騎士団の料理人に、まずはスパイスの量を半分に減らすように交渉したり、塩胡椒だけの肉の焼き方を変えてもらうとか。そこからなら、できそうじゃん。どうかな?」
「そうだな。帰還したら、交渉してみよう。マコト。よければ手を貸してくれないか?」
「了解。急に変えると受け付けない人も居るだろうから、徐々に…ね」
誠がそう言うと、犬系獣人達は一斉に尾を振りだした。よっぽど料理改革が嬉しいのだろう。その一端を担ってしまったのは、自分の料理だということを自覚している誠は、忙しくなるだろうが楽しくなりそうだとワクワクしていた。
今晩のテーブルに上ったのは、ジャーマンポテトの他にはレバークヌーデル・ズッペというドイツ料理でも有名なスープだ。レバー団子のスープで、誠がレバーの処理をしていたのはこのためだ。
牛レバーを使うことが多いが、手元にオークのレバーがあったので、それで代用だ。他にはアイスバインという肉の煮込み料理を用意した。塩漬けにした豚すね肉を使うのだが、これもオークで代用だ。つけ合わせには、ほうれん草のソテーを作った。
箸休めには、コールスロー。他にも、蒸したじゃが芋に切れ込みを入れ、バターの塊を乗せただけのシンプルな物も用意する。
テーブルに並べると、皆の目が輝いたのが分かった。
「祈りを」
アレクセイの声が響く。その時だけは静かになったが、祈りを終えると一気に賑やかになった。
「どれも美味いな。今日もありがとう、マコト」
身を寄せてきたアレクセイの口元は緩んでいた。どの料理も口に合ったようで、安堵する。
毎回のことだが、やはりアレクセイに気に入って貰えるかどうか。それが不安でもあり楽しみだ。
「どういたしまして」
そう言って、笑い合う。その笑顔があるから、誠はまた料理を作りたくなるのだ。
さあ、明日は何を作ろうか。
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