神様の料理番

柊 ハルト

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ショコラの接吻

02 ー 亜種

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 微妙な空気を塗り替えたのは、フレデリクからの連絡だった。タイミングよくアレクセイの胸元から呼び出し音が鳴ったのだ。
 この世界の連絡用の魔道具も音が鳴るのかと感心していたが、その呼び出し音は鳩時計に似た音だ。感心すると同時に、気が抜けてしまったのは言うまでもない。

「マコト。俺達は先に戻るぞ」

 連絡鏡を胸元にしまったアレクセイは、誠の腰を抱いた。

「え…うん」

 この場の指揮は、カーマインに任せるそうだ。連れてきた応援要員はオスカー以外は残していくらしく、休みが潰れたレビ達は少し不満そうだ。アレクセイ班として活動しているのもあるが、カーマインに見つかったのが運の尽きだったらしい。
 残る団員達は転移用の魔法陣を描いたり、亜種が出現したことにより、異変を感じた魔獣が暴走するのを止める役割があるそうだ。

「魔法陣を描くって…ここまで転移の魔法陣で来たんじゃないの?」

 そもそもの疑問だ。アレクセイが騎士団塔に連絡をしてから彼らがここに来たのは、十分程経った頃だろう。だからてっきり、魔法陣を利用したと思っていたのだ。
 けれど、そうではなかったらしく、聞いてくれよとオスカーが誠に答えていた。

「転移の魔法陣は悪用される恐れがあるから、俺らが使う陣は基本的に、騎士団が管理する建物にしか敷いてないのよ」
「そうなんだ。じゃあ、どうやって…」
「マコト君。応援に来た団員、良く見て。鳥系獣人が多いっしょ。あれ、俺も含めて全員猛禽類なんだ」

 どういうことかと聞くと、彼らはオスカー達猛禽類の獣人が獣身をとった背中に乗せて運んで来たそうだ。
 転移の魔法陣は、設置した陣と陣の間でしか移動ができないので、今回の場合は使いたくても使えなかった。今敷いている陣は、調査団をこちらに寄越すための物らしい。
 そしてカーマインがオスカーをこちらに残した意味は、帰りの運搬を任せるという意味だった。
 他に人が居なければ影を使ってフレデリクの執務室に行けるのだが、ここでは控えるしかないだろう。
 遠慮無くアレクセイと空の旅を楽しんだ誠は、昨日来たばかりの執務室に、アレクセイを先頭に入った。中ではすでにローゼスが紅茶の準備をしており、テーブルの真ん中には空の皿まで用意されている。
 目が合うとニコリと…いや、ニヤリと笑っていたので、あの皿を満たすのは誠の役目だろう。
 先に一言二言話していたアレクセイとフレデリクが席に着く。誠達は、それを見てから座った。全員が席に着いてから口を開いたのは、フレデリクだった。

「まずは、帰還を急かしたことを謝る。が、王都騎士団は、警戒体制に入ることが決定したのでな」
「…そうですか」

 そう言ったのは、オスカーだった。
 先程聞いたのだろうアレクセイは、眉を顰めたままだ。その決定に余程不服なのか、ただ単に忙しくなるのが嫌なのか。誠はアレクセイの手の甲を、ぽんぽんと軽く叩いてやった。

「ああ。だからお前達の休暇は取り消しだな。これから各班の討伐部隊が次々に王都に帰還してくるが、その半分が帰って来たところでお前達にはまた遠征に向かってもらいたい」
「分かりました。それで、遠征ルートは決まっているんですか」
「ああ。アレクセイ、君の班は主に亜種の討伐を頼みたい。亜種は…ローゼス」
「はい」

 フレデリクは話の途中でローゼスを呼んだ。空の皿を誠の前に寄せたローゼスは、空いたスペースに地図を広げる。
 見てみると、何箇所かバツ印がつけられていた。

「これは、亜種が出現したポイントだ。最初ははじまりの森付近」

 フレデリクの指は、ミョート村と書かれた文字の近くのバツ印を示した。そして森のバツ印をいくつか差すと、ぐるりと森を囲むように滑らせる。

「そして、次」

 またバツ印を示し、今度は森よりも大きな楕円を描く。

「もしかして…」

 あまりにも分かりやすいそれは、誠でも気が付く。亜種は森を中心として広がっているのだろう。
 顔を上げた誠がフレデリクを見ると、大きく頷かれた。

「ああ。…はじまりの森はその名の通り、あの森から世界が始まったと言われている。だから世界に異変が起こるなら、森からだろう。森から波紋が広がるように亜種が出現している。アレクセイ班は、今日の亜種の出現ポイントから時計回りに遠征を。逆方向は、第五班の者に頼むことにした」
「分かりました」
「頼むぞ、アレクセイ」
「はい」

 畏まった態度で、アレクセイは頭を下げた。オスカーもそれに続く。
 誠はそんな二人を見ながら、これからどうしようかと考えていた。ツガイができたばかりの自分は、言うなれば新婚状態だ。数十年、数百年連れあったツガイなら「行ってらっしゃい」の一言で済むだろうが、自分には無理だ。
 何も、四六時中ベッタリとしたいわけではない。ただ、ほんの少しでも側に居たいのだ。
 けれど王都騎士団に所属しているアレクセイに、そんな我儘を言うわけにもいかない。どうせ龍玉でアレクセイの居場所はすぐに分かる。だったら、こっちで屋台を開きながら夜中はアレクセイの側に移動しようか、もしくは冒険者の依頼を受けながら近くを着いて行こうか。
 そう考えていると、フレデリクはローゼスから小さな麻袋を受け取ると、誠の前に置いた。

「何?」
「アレクセイから聞いた。ミョート村からここまでの料理番としての褒賞だ。それと、これからの着手金だ」
「…は?」

 これからと言うのは、どういう意味なのだろうか。
 誠が首を傾げていると、こちらを見たアレクセイとオスカーは吃驚したような顔をしている。

「え…マコト君、来ないつもりだったの?」
「逆に聞くけど、俺、部外者だよ?着いてっても良いと思うのかよ」
「あ…」

 そうだった。と、オスカーは頬をかく。

「いや、マコトには同行してもらう。アレクセイのツガイだからと言うのも大きいが、君の戦力を当てにしたいと言うのが本音だ」

 魔獣の亜種との戦いは、多少の怪我がつきものだそうだ。アレクセイ班は第一斑の中でも戦力が高い。それに未来の幹部候補なので、経験を積ませたいけど、怪我を最小限に留めたい。だから誠の力に目を付けたということらしい。
 それに何かあれば、誠は影を使っての行き来ができるし、フレデリク達との連絡も取れる。
 本当は外部の人間に頼むことではないが、高レベルの冒険者に依頼をするのと同じだとフレデリクは考えているようだ。

「ことは急を要する。民間に被害が出ることを考えると、我ら王都騎士団と各領の騎士団が手を組み、そして冒険者に手を貸してもらうのは、効率的で安全も確保できる。そうだろう?」

 フレデリクは、ゆっくりと足を組んだ。
 しっかりと俯瞰で物事を考えている。確かに、非常事態ならば戦力は多い方が良い。それに、アレクセイとまた一緒に居られるし、近くで守ることができる。それならば断る理由は何一つ無い。
 誠は了承しようと口を開こうとしたが、アレクセイに手を握られ、遮られてしまった。

「いや、駄目だ」
「…アレクセイ?」
「兄上…いや、部隊長。マコトは民間人ですよ」
「だが、彼は冒険者の資格を取っている」
「ですが、高ランクではない」
「ランクは高くないらしいが、その腕は本物だ。だからお前達二人で亜種を短時間で倒せた」
「しかし、それは本来、俺達騎士団の仕事ですよ」

 アレクセイは引き下がらない。誠と一緒に遠征の旅に出るのが嫌なのではなく、危険に晒したくないのだろう。その証拠に、誠の手を握るアレクセイの手は暖かく力強い。
 フレデリクのような合理的な考えも分かるが、己のツガイが絡む問題だ。一歩も引く姿勢を見せないアレクセイを制したのは、誠だった。

「アレクセイ。俺、一緒に行って良いって言ってくれてるんだから、行くよ」
「マコト…!」
「あのさぁ。アレクセイが俺の安全を考えてくれてんの、分かるよ。でも、それは俺も同じなんだよ。危ないことは絶対しないって約束するから。…駄目か?」

 少しあざといが、アレクセイの手を両手で包む。
 職務と誠の安全の板挟みになったアレクセイは、珍しく唸っている。段々と耳が後ろに寝ていっているのを見ると、相当迷っているのだろうし、フレデリクに対しての怒りがあるのだろう。

「アレクセイ。戻ったら何がなんでも、一週間の休みをやろう」
「…くっ」
「新居の件も、何とか抑えてやる。今は戦力を一人でも減らしたくないのだよ。分かってくれ」

 ここが狙い目だとフレデリクはたたみかける。誠も便乗して、包んだアレクセイの手をムニムニと揉んだ。

「……分かりました」

 随分と考えた結果、アレクセイは陥落した。へにゃりと垂れた尾が、それを物語っている。
 オスカーは珍しい物を見たと、目を丸くしていた。

「あー…こりゃ、班長とマコト君の将来の力関係が見えたな」
「どういうこと?」
「いやぁ。カカア天下ってやつ?部隊長は完全に亭主関白っつーか、ローゼスが…いや、お互いにツガイ主義だろ。班長も同じか亭主関白かなーって思ってたんだけど」
「ああ、確かに。でも遠野の家系は、始祖からしてカカア天下だからね。でも俺は違うだろ。アレクセイのこと考えてるもん」
「いーや、カカア天下だね。あの班長がここまで譲ってるあたり、マコト君はそれほど愛されてる証拠だし、大事にされてるんだよ。だから文句は言いつつも、強くは出でないでしょ」
「なっ…!」

 確かに大事にされているとは常々思うが、近しい人に指摘されるとは。一気に顔が赤くなった誠はアレクセイを見る。すると、同じく顔を赤らめているアレクセイに思いきり腕を引かれ、抱きしめられてしまった。

「…そうだな。俺のところはカカア天下だ。マコトには勝てる気がしない」

 アレクセイの切なそうな声に、誠は怒るに怒れなかった。そっと広い背中に腕を回そうとしたところで、向かい側からの咳払いで我に帰るが、アレクセイの腕はびくともしなかった。

「あー…夫婦仲が良いのは分かったのだが、マコト。受けてくれるか」
「そうですね。勝手に着いて行くか、夜だけでも合流しようと思ってたんで…ちょっ、アレクセイ、離せって」

 もがいても、びくともしない。誠は諦めて、アレクセイの膝の上にどすんと座ってやった。

「まったく…。で、オニーチャン。遠征中の俺の肩書きは?」
「ああ。これまで通り、料理番で良いだろう。書類にもそう記しておく。正確には『戦う料理番』だろうが、何か聞かれたら『戦える料理番』だと言っておくさ」
「あながち間違いではないな。ってことで、遠征の食費ください。これから買い出しに行くから。…あ。残った食料は預かったままだけど、どうしよう」

 材料費などは細かく伝えなくて良いとアレクセイに言われていたが、何かあった時のためにと、誠は食材費を書き残している。
 その紙と一緒に残ったお金はアレクセイに返したのだが、材料はまだ持ったままだったのだ。

「それは、これからの食費の足しにしてくれ。ローゼス」
「はい」

 フレデリクはローゼスから巾着を受け取ると、麻袋の隣に並べた。

「こればかりは、増額できなくてね。一日当たりの金額が決まっているんだ」

 誠は巾着の中を確認すると、麻袋と一緒にバッグに丁寧にしまった。

「了解。でも大丈夫でしょ。肉は現地調達できるし、俺もいろいろ持ってるし」
「そうか。けれど足りなくなったら、アレクセイに頼むと良い。君に何か買いたくて、ウズウズしているはずだからな」
「…ええ。兄上に言われなくても」

 誠を解放する気がないアレクセイの声が、耳元で響く。くすぐったいので少し離れて欲しいのだが、多分無理だろうなと誠は諦めていた。

「出発はおそらく半月後になるだろう。ルートは出発日に地図を渡す。…すまないな、本当は何か美味い物を食べてくれと、レストランでも予約してやりたいんだが」
「マコトの料理の方が美味しいですもんね」

 フレデリクの言葉の後に、ローゼスが続く。そう言えば、結局用意されていた皿は空のままだ。
 誠は何とかチョークバッグを前面に回すと、中からいくつか焼き菓子を取り出して皿に並べた。

「オニーチャン」
「何だ?」
「レストランの代わりに手配してもらいたい物があるんだけど」
「…その菓子は、手間賃の代わりか」
「うん」

 焼き菓子が乗った皿は、ローゼスによってすぐさまテーブルの中央に置かれている。この中で一番位が上のフレデリクが手を付けていないし、先にどうぞとの言葉も無いので誰も手を伸ばすことができないが、すでに戦いのゴングは鳴っているようで、ローゼスとオスカーは互いに視線で牽制をし合っていた。

「それで。何を用意しろと?」
「キッチン」
「…それだけで良いのかね」
「欲を言えば、ちょっと大きめの厨房。駄目だったら、小さなキッチンでも良いんだ。先に仕込みたい料理があるから」
「なるほど…分かった、用意しよう。ただし」

 ふぅ、と息を吐いたフレデリクに対し、誠は身構えてしまった。
 何を要求されるのだろうか。そう思っていたが、その要求は些細なことだった。

「材料費は出すので、その仕込みが必要な料理を、私達の分も用意してもらいたい」
「何だ、そんなことか」

 どんなムチャを言われるのかと思ったが、それくらいならお安い御用だ。

「いつ渡せるか確約できないから、出発する直前で良い?」
「ああ。楽しみにしている。特に私の子猫ちゃんが、君の料理を気に入っていてな。ことあるごとに、美味かったと言っているのだよ」
「へぇ…そりゃ嬉しいな」

 ニヤニヤとした笑みを浮かべながらローゼスを見ると、フレデリクの子猫ちゃんは、そのことをバラされたくなかったのだろう。顔を真っ赤にしていた。
 これで顔を真っ赤にした仲間ができた。誠はうんうんと頷きながら、何を作ろうかと頭の中でメニューを組み立てていた。
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