外れスキル【レバレッジたったの1.0】を進化させ、俺はエルフ聖女と無双する ―冒険者パーティ追放勇者、バージョンアップの成り上がり―

緋色優希

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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】

1-73 新装備 突撃槍グランドフレイム

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 宿に帰ったら、他の連中はもう戻っていた。

「リクル、お前の準備はいいのか。
 ここを出ると、王都の店ほどの品揃えはどこにもないぞ。

 まあバルバディア聖教国もダンジョン都市であり物品は豊富な方だが、色々な物の品揃えではここには勝てまいよ」

「んー、何が入用ですかね。
 装備というか外套なんかも、気温の低い向こうの方が揃っているのかなと思って」

「まあそうね。
 でもお洒落着はこっちの店の方が断然よ」

 どうやら、ここではその手の買い物に専念していたらしいエラヴィスが、そのような事を言っている。

 今もかなりお洒落な最新ファッションらしい、季節の合い物である春物をお召しになっていた。

 なんというか淡い色合いの薄い水色の春物セーターと、少し短めの原色系スカートの組み合わせに、こっちも薄い色系統のベージュのかかった白系統のカーディーガンだ。

 足元は街歩き用のコサージュ付きの赤い靴にショートソックスと。

「あとポーションなんかは?」
「旅の途中の分は買ってある。
 向こうではまた補充すればいい」

「防具とかはどうだろう」
「胸当てや肩当は、槍のついでにバニッシュが直してくれたわよ」

「あ、そうだ。俺の槍は?」
「出来ておるぞい。ほれ」

 バニッシュが手渡してくれた槍は妙に軽かった。

「あれ?
 バニッシュ、何かしたのかい。
 槍が凄く軽いよ」

「ほっほ、軽量化の術式を組み込んでおいたわ。
 そっちが本筋ではないので、そこになるべくリソースを食わせんようにしてあるのじゃ。
 その程度なら、そうたいしてリソースは食わない」

「へえ?」

「わかりやすく言うとだな、その槍が集めて力に変えられる魔素は一定の量なのじゃ。

 改良してそれを倍の量まで引き上げておいたが、修復が必要な状態じゃと、そこに全リソースを注ぎ込んでしまう特性なので、フレイム系のスキルは修復完了まで使えんぞい。
 まあ修復にもそう時間はかからんはずじゃが。

 後、魔法剣仕様も組んでおいた。
 使い方は道中にエラヴィスから習うがよい」

「うっわ、凄く強化されている感じだ。
 ありがとう、バニッシュ」

「あと、スキルの力を貯める方法も付与しておいた。
 バーニングという奴じゃな。

 リミットまで貯めると通常の力の五倍の威力までいくが、その代わり一旦リソースがゼロになるので、その時に槍が壊されていると修復自体にも時間がかかるから忘れんようにな」

 槍には『エルバニッシュ』の銘が新たに刻まれていた。

 こいつは偽造できない特殊な術式が組み込まれていた。
 そのためだけの術式だから堅牢なもののようだ。

 魔力を流し込むと光る。
 フレイムはいくつかの種類が組まれていた。

 突撃槍グランドフレイム。
 こいつは槍の先端に魔力を集中させ、熱による貫通力を生み出すものだ。

 あまり広域でない範囲で強力な相手と戦うのに向いているようだ。

 前面の多数の敵を同時に小火焔で撃つためのショットフレイム。

 これでも俺のブーストと組み合わせると、へたをすると一発一発が、素のグランドフレイムを上回る威力だ。

 特に火焔に弱いタイプの魔物の群れとの、中近接戦で威力を発揮しそうだ。

 あとドラゴンフレイムは火炎放射の魔法でスライムや毒虫なんかには効きそうだ。

『エルバニッシュのグランドフレイム・ランス』と名付けておいた。

 そして後ろから覗き込んだ先輩がニターっと笑った。

「へえ、いい槍だね。
 君を貫くのにぴったりじゃないか」

「あのなあ。
 もうこいつは絶対に貸しませんからね。

 探索中に俺を斬らないって約束するなら、こっちのカミエが使っていたミスリルの大剣セットを使ってくださいよ。
 先輩のお気に入りの復元機能も付けてもらってありますから」

「面倒だな。
 向こうに着くまで無手でいい」

「まったく、これだよ」

「あはは、リクル。
 クレジネスにそんな事を言ったって無駄無駄」

「いや、そうなんだけどさ」

 そして、俺の持っていたミスリル製の二振りの剣と短剣には槍や大剣と同じような再生機能と切れ味を倍増しにする付与が付けられている。

 俺の防具にも軽い軽量化と防御力強化の付与がされていた。

「バニッシュ、よくこんなに一日でやれたね」

「なんの、そう手間のかかるほどの事はやっておらん。
 ありきたりのものじゃからのう。
 一から作れば、遥かに凄い物になるが、それには相当時間がかかるのでな」

「これでも十分だよ、ありがとう」

「ふふ、また魔法金属でも手に入ったら新しい武具を打ってやろう。
 オリハルコンが狙い目なのじゃがなあ」

「オリハルコンねえ」
 俺の装備はここ王都で大きく進歩したのであった。

 だが、マロウスから提案があった。

「まだ時間がある。
 リクル、少し武器の性能を試すがいい」

「え、確かにそうかもしれないけれど、この魔法のランスはやたらなところで使うとまずくないですか」

「大丈夫だ、ついてこい」

 マロウスと二人っきりで出かけるなんて初めてだ。
 どこへ行くのかな。

 すると、なんと行先は王都の冒険者協会だった。

 俺達の宿は一般区画の中心街にあり、同じような立地の協会まではそう遠くない。
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