73 / 169
第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-73 新装備 突撃槍グランドフレイム
しおりを挟む
宿に帰ったら、他の連中はもう戻っていた。
「リクル、お前の準備はいいのか。
ここを出ると、王都の店ほどの品揃えはどこにもないぞ。
まあバルバディア聖教国もダンジョン都市であり物品は豊富な方だが、色々な物の品揃えではここには勝てまいよ」
「んー、何が入用ですかね。
装備というか外套なんかも、気温の低い向こうの方が揃っているのかなと思って」
「まあそうね。
でもお洒落着はこっちの店の方が断然よ」
どうやら、ここではその手の買い物に専念していたらしいエラヴィスが、そのような事を言っている。
今もかなりお洒落な最新ファッションらしい、季節の合い物である春物をお召しになっていた。
なんというか淡い色合いの薄い水色の春物セーターと、少し短めの原色系スカートの組み合わせに、こっちも薄い色系統のベージュのかかった白系統のカーディーガンだ。
足元は街歩き用のコサージュ付きの赤い靴にショートソックスと。
「あとポーションなんかは?」
「旅の途中の分は買ってある。
向こうではまた補充すればいい」
「防具とかはどうだろう」
「胸当てや肩当は、槍のついでにバニッシュが直してくれたわよ」
「あ、そうだ。俺の槍は?」
「出来ておるぞい。ほれ」
バニッシュが手渡してくれた槍は妙に軽かった。
「あれ?
バニッシュ、何かしたのかい。
槍が凄く軽いよ」
「ほっほ、軽量化の術式を組み込んでおいたわ。
そっちが本筋ではないので、そこになるべくリソースを食わせんようにしてあるのじゃ。
その程度なら、そうたいしてリソースは食わない」
「へえ?」
「わかりやすく言うとだな、その槍が集めて力に変えられる魔素は一定の量なのじゃ。
改良してそれを倍の量まで引き上げておいたが、修復が必要な状態じゃと、そこに全リソースを注ぎ込んでしまう特性なので、フレイム系のスキルは修復完了まで使えんぞい。
まあ修復にもそう時間はかからんはずじゃが。
後、魔法剣仕様も組んでおいた。
使い方は道中にエラヴィスから習うがよい」
「うっわ、凄く強化されている感じだ。
ありがとう、バニッシュ」
「あと、スキルの力を貯める方法も付与しておいた。
バーニングという奴じゃな。
リミットまで貯めると通常の力の五倍の威力までいくが、その代わり一旦リソースがゼロになるので、その時に槍が壊されていると修復自体にも時間がかかるから忘れんようにな」
槍には『エルバニッシュ』の銘が新たに刻まれていた。
こいつは偽造できない特殊な術式が組み込まれていた。
そのためだけの術式だから堅牢なもののようだ。
魔力を流し込むと光る。
フレイムはいくつかの種類が組まれていた。
突撃槍グランドフレイム。
こいつは槍の先端に魔力を集中させ、熱による貫通力を生み出すものだ。
あまり広域でない範囲で強力な相手と戦うのに向いているようだ。
前面の多数の敵を同時に小火焔で撃つためのショットフレイム。
これでも俺のブーストと組み合わせると、へたをすると一発一発が、素のグランドフレイムを上回る威力だ。
特に火焔に弱いタイプの魔物の群れとの、中近接戦で威力を発揮しそうだ。
あとドラゴンフレイムは火炎放射の魔法でスライムや毒虫なんかには効きそうだ。
『エルバニッシュのグランドフレイム・ランス』と名付けておいた。
そして後ろから覗き込んだ先輩がニターっと笑った。
「へえ、いい槍だね。
君を貫くのにぴったりじゃないか」
「あのなあ。
もうこいつは絶対に貸しませんからね。
探索中に俺を斬らないって約束するなら、こっちのカミエが使っていたミスリルの大剣セットを使ってくださいよ。
先輩のお気に入りの復元機能も付けてもらってありますから」
「面倒だな。
向こうに着くまで無手でいい」
「まったく、これだよ」
「あはは、リクル。
クレジネスにそんな事を言ったって無駄無駄」
「いや、そうなんだけどさ」
そして、俺の持っていたミスリル製の二振りの剣と短剣には槍や大剣と同じような再生機能と切れ味を倍増しにする付与が付けられている。
俺の防具にも軽い軽量化と防御力強化の付与がされていた。
「バニッシュ、よくこんなに一日でやれたね」
「なんの、そう手間のかかるほどの事はやっておらん。
ありきたりのものじゃからのう。
一から作れば、遥かに凄い物になるが、それには相当時間がかかるのでな」
「これでも十分だよ、ありがとう」
「ふふ、また魔法金属でも手に入ったら新しい武具を打ってやろう。
オリハルコンが狙い目なのじゃがなあ」
「オリハルコンねえ」
俺の装備はここ王都で大きく進歩したのであった。
だが、マロウスから提案があった。
「まだ時間がある。
リクル、少し武器の性能を試すがいい」
「え、確かにそうかもしれないけれど、この魔法のランスはやたらなところで使うとまずくないですか」
「大丈夫だ、ついてこい」
マロウスと二人っきりで出かけるなんて初めてだ。
どこへ行くのかな。
すると、なんと行先は王都の冒険者協会だった。
俺達の宿は一般区画の中心街にあり、同じような立地の協会まではそう遠くない。
「リクル、お前の準備はいいのか。
ここを出ると、王都の店ほどの品揃えはどこにもないぞ。
まあバルバディア聖教国もダンジョン都市であり物品は豊富な方だが、色々な物の品揃えではここには勝てまいよ」
「んー、何が入用ですかね。
装備というか外套なんかも、気温の低い向こうの方が揃っているのかなと思って」
「まあそうね。
でもお洒落着はこっちの店の方が断然よ」
どうやら、ここではその手の買い物に専念していたらしいエラヴィスが、そのような事を言っている。
今もかなりお洒落な最新ファッションらしい、季節の合い物である春物をお召しになっていた。
なんというか淡い色合いの薄い水色の春物セーターと、少し短めの原色系スカートの組み合わせに、こっちも薄い色系統のベージュのかかった白系統のカーディーガンだ。
足元は街歩き用のコサージュ付きの赤い靴にショートソックスと。
「あとポーションなんかは?」
「旅の途中の分は買ってある。
向こうではまた補充すればいい」
「防具とかはどうだろう」
「胸当てや肩当は、槍のついでにバニッシュが直してくれたわよ」
「あ、そうだ。俺の槍は?」
「出来ておるぞい。ほれ」
バニッシュが手渡してくれた槍は妙に軽かった。
「あれ?
バニッシュ、何かしたのかい。
槍が凄く軽いよ」
「ほっほ、軽量化の術式を組み込んでおいたわ。
そっちが本筋ではないので、そこになるべくリソースを食わせんようにしてあるのじゃ。
その程度なら、そうたいしてリソースは食わない」
「へえ?」
「わかりやすく言うとだな、その槍が集めて力に変えられる魔素は一定の量なのじゃ。
改良してそれを倍の量まで引き上げておいたが、修復が必要な状態じゃと、そこに全リソースを注ぎ込んでしまう特性なので、フレイム系のスキルは修復完了まで使えんぞい。
まあ修復にもそう時間はかからんはずじゃが。
後、魔法剣仕様も組んでおいた。
使い方は道中にエラヴィスから習うがよい」
「うっわ、凄く強化されている感じだ。
ありがとう、バニッシュ」
「あと、スキルの力を貯める方法も付与しておいた。
バーニングという奴じゃな。
リミットまで貯めると通常の力の五倍の威力までいくが、その代わり一旦リソースがゼロになるので、その時に槍が壊されていると修復自体にも時間がかかるから忘れんようにな」
槍には『エルバニッシュ』の銘が新たに刻まれていた。
こいつは偽造できない特殊な術式が組み込まれていた。
そのためだけの術式だから堅牢なもののようだ。
魔力を流し込むと光る。
フレイムはいくつかの種類が組まれていた。
突撃槍グランドフレイム。
こいつは槍の先端に魔力を集中させ、熱による貫通力を生み出すものだ。
あまり広域でない範囲で強力な相手と戦うのに向いているようだ。
前面の多数の敵を同時に小火焔で撃つためのショットフレイム。
これでも俺のブーストと組み合わせると、へたをすると一発一発が、素のグランドフレイムを上回る威力だ。
特に火焔に弱いタイプの魔物の群れとの、中近接戦で威力を発揮しそうだ。
あとドラゴンフレイムは火炎放射の魔法でスライムや毒虫なんかには効きそうだ。
『エルバニッシュのグランドフレイム・ランス』と名付けておいた。
そして後ろから覗き込んだ先輩がニターっと笑った。
「へえ、いい槍だね。
君を貫くのにぴったりじゃないか」
「あのなあ。
もうこいつは絶対に貸しませんからね。
探索中に俺を斬らないって約束するなら、こっちのカミエが使っていたミスリルの大剣セットを使ってくださいよ。
先輩のお気に入りの復元機能も付けてもらってありますから」
「面倒だな。
向こうに着くまで無手でいい」
「まったく、これだよ」
「あはは、リクル。
クレジネスにそんな事を言ったって無駄無駄」
「いや、そうなんだけどさ」
そして、俺の持っていたミスリル製の二振りの剣と短剣には槍や大剣と同じような再生機能と切れ味を倍増しにする付与が付けられている。
俺の防具にも軽い軽量化と防御力強化の付与がされていた。
「バニッシュ、よくこんなに一日でやれたね」
「なんの、そう手間のかかるほどの事はやっておらん。
ありきたりのものじゃからのう。
一から作れば、遥かに凄い物になるが、それには相当時間がかかるのでな」
「これでも十分だよ、ありがとう」
「ふふ、また魔法金属でも手に入ったら新しい武具を打ってやろう。
オリハルコンが狙い目なのじゃがなあ」
「オリハルコンねえ」
俺の装備はここ王都で大きく進歩したのであった。
だが、マロウスから提案があった。
「まだ時間がある。
リクル、少し武器の性能を試すがいい」
「え、確かにそうかもしれないけれど、この魔法のランスはやたらなところで使うとまずくないですか」
「大丈夫だ、ついてこい」
マロウスと二人っきりで出かけるなんて初めてだ。
どこへ行くのかな。
すると、なんと行先は王都の冒険者協会だった。
俺達の宿は一般区画の中心街にあり、同じような立地の協会まではそう遠くない。
0
あなたにおすすめの小説
勤続5年。1日15時間勤務。業務内容:戦闘ログ解析の俺。気づけばダンジョン配信界のスターになってました
厳座励主(ごんざれす)
ファンタジー
ダンジョン出現から六年。攻略をライブ配信し投げ銭を稼ぐストリーマーは、いまや新時代のヒーローだ。その舞台裏、ひたすらモンスターの戦闘映像を解析する男が一人。百万件を超える戦闘ログを叩き込んだ頭脳は、彼が偶然カメラを握った瞬間に覚醒する。
敵の挙動を完全に読み切る彼の視点は、まさに戦場の未来を映す神の映像。
配信は熱狂の渦に包まれ、世界のトップストリーマーから専属オファーが殺到する。
常人離れした読みを手にした無名の裏方は、再びダンジョンへ舞い戻る。
誰も死なせないために。
そして、封じた過去の記憶と向き合うために。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!
おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。
ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。
過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。
ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。
世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。
やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。
至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる