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第一章 外れスキル【レバレッジたったの1.0】
1-85 試練の塔?
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「では、バニッシュは研究のために神殿に残り、マイアが代わりに入るという事でいいな」
「はい、聖女様、よろしくお願いいたします。
明日は皆様も初日ですので、皆様にここへ慣れていただくために邪気払いを十分にかけて、魔物の出現を押さえながら探索してまいるといたしましょう」
「うむ、ではそうするか」
あ、魔物の出現を押さえるなんて言ったから先輩はちょっと不服そうだな。
まあいいんだけど。
俺はその意見に賛成だぜ、ちょっと考えている事もあるので。
まだ使っていないスキルを試しておきたいのさ。
「ではエラヴィス、我々は明日に備えて装備などを整えに行くぞ。
マロウスは……聞くまでもないな」
うん、どうせ一人で鍛錬なんだよね。
だが彼は以外にもこう言ったのだ。
「久しぶりだから、俺も塔に登ってみるかな。
あそこでの鍛錬も気持ちの良いものだ」
なんて、おっさんだよ。
あの見上げるばかりの塔は鍛錬をしにいくのに登る階段くらいにしか考えていないのか。
「ほお、ビーストベアー。
久しぶりにあんたを追い回せるとは面白い」
「だが、ついてこれるかな。
いくら踏破者といえども、たかが人間風情が」
あ、先輩の目が燃えた。
狂気というよりも純粋にメラっと。
きっと今までマロウスを追いかけても捕まえられなかったんだなあ。
「その言葉、必ずや後悔させてやろう」
「かかってくるがいい。
落胤たる者、その気概でなくてはな。
そうでなければ、あの勇者の血を引く王家の血筋が泣こうというものよ」
もうマロウスったら、なんて事を。
人の心の闇を抉りまくりだ。
完全にクレジネスたるあの先輩を挑発していやがる。
勝負に本気は付き物ってかあ。
ちょっと俺には真似ができないような豪気さだこと。
もう既に種族的なレベルで完全に無理ですわ。
だが先輩は不気味な笑みを顔いっぱいに張り付けて実に嬉しそうだ。
こ、これは素で喜んでいやがる。
やっぱり、こっちも大概だったかあ。
くっそお、いつかバージョンアップで高みに登り、こいつらをぶっちぎりで追い抜いてやるぜ。
そのためには鍛錬と精進と根性しかないのだ。
外れスキル勇者の三原則だな。
「よおし、みんな。
まとめて塔登りで勝負だあ~」
そして、俺達は案内の神官マイアに誘われ、塔へと向かった。
「こちらにございますわ。
それでは一回目の登頂は私が案内いたします。
私も最近は大司祭様のお手伝いばかりでございまして、ダンジョンに潜るのは久しぶりですから、本日は皆様とご一緒に鍛錬する事にいたします」
なんか、この人が今さらっと凄い事を言った気がする。
俺はともかくとして、ダンジョンの踏破者で自らクレジネスなどと名乗るダンジョンコアさえ脅すような化け物や、そいつが追いかけ回しても捕まえられないような人外の鍛錬オタクと一緒に?
俺だって一応は聖女様から勇者と呼ばれるような人間なのだが、ちょっとこの人には引くなあ。
そして案内されて解放されたままの、広めの入り口を潜ると、そこはなんと内径が軽く三十メートル以上はありそうな中空の塔になっていた。
見上げれば高さ百五十メートルはありそうなところに天板が見える。
そこの上が天空の闘技場か何かにでもなっているのだろうか。
選ばれた(登頂できた)者だけが参加できるというルールか何かの。
内部を螺旋のように手摺付きの階段が幾重にも重なって頂点を目指すようになっている、まるで試練の塔だ。
俺は思わず息を飲んだ。
これはまた、えらい場所だなあ。
「どうした。
臆したのか、リクル」
「なんだったら、お前は引き返してもいいぞ。
俺は今からそこの熊野郎と決着をつける事にする」
「まあ、さすがは聖女様のパーティだけあって熱いですわね」
駄目だ、俺はまだまだ、ほんの若輩者に過ぎなかった。
ちょっと管理魔物だの蜥蜴の大群なんかを片付けたくらいで、いい気になっていたチンピラに過ぎない。
この人達、ちょっと頭がおかしい。
見ろよ、あの割合と下の方にいる奴、もう青い顔をしてへたりこんで歩けないみたいじゃないか。
そういう奴らがあちこちにいて、よく観察していると、なんとベテラン神官による救助隊が大勢出動しているみたいだぞ。
しかも、ありえない事に『縦登りコース』まであるじゃないか。
鉄の梯子みたいになっている奴とか、登るためのでっぱりがついている場所とか、その上それらすらない場所を指や足先をかけて登る上級者コースまで存在した。
いや存在していない。
自分で勝手にそういうコースを自己開発しているだけだなのだった。
やっぱり、ここはそういう一種の鍛錬施設なのだ。
何が祈りの塔だよ、ふざけやがって。
だが俺は負けねえぞ!
「はい、聖女様、よろしくお願いいたします。
明日は皆様も初日ですので、皆様にここへ慣れていただくために邪気払いを十分にかけて、魔物の出現を押さえながら探索してまいるといたしましょう」
「うむ、ではそうするか」
あ、魔物の出現を押さえるなんて言ったから先輩はちょっと不服そうだな。
まあいいんだけど。
俺はその意見に賛成だぜ、ちょっと考えている事もあるので。
まだ使っていないスキルを試しておきたいのさ。
「ではエラヴィス、我々は明日に備えて装備などを整えに行くぞ。
マロウスは……聞くまでもないな」
うん、どうせ一人で鍛錬なんだよね。
だが彼は以外にもこう言ったのだ。
「久しぶりだから、俺も塔に登ってみるかな。
あそこでの鍛錬も気持ちの良いものだ」
なんて、おっさんだよ。
あの見上げるばかりの塔は鍛錬をしにいくのに登る階段くらいにしか考えていないのか。
「ほお、ビーストベアー。
久しぶりにあんたを追い回せるとは面白い」
「だが、ついてこれるかな。
いくら踏破者といえども、たかが人間風情が」
あ、先輩の目が燃えた。
狂気というよりも純粋にメラっと。
きっと今までマロウスを追いかけても捕まえられなかったんだなあ。
「その言葉、必ずや後悔させてやろう」
「かかってくるがいい。
落胤たる者、その気概でなくてはな。
そうでなければ、あの勇者の血を引く王家の血筋が泣こうというものよ」
もうマロウスったら、なんて事を。
人の心の闇を抉りまくりだ。
完全にクレジネスたるあの先輩を挑発していやがる。
勝負に本気は付き物ってかあ。
ちょっと俺には真似ができないような豪気さだこと。
もう既に種族的なレベルで完全に無理ですわ。
だが先輩は不気味な笑みを顔いっぱいに張り付けて実に嬉しそうだ。
こ、これは素で喜んでいやがる。
やっぱり、こっちも大概だったかあ。
くっそお、いつかバージョンアップで高みに登り、こいつらをぶっちぎりで追い抜いてやるぜ。
そのためには鍛錬と精進と根性しかないのだ。
外れスキル勇者の三原則だな。
「よおし、みんな。
まとめて塔登りで勝負だあ~」
そして、俺達は案内の神官マイアに誘われ、塔へと向かった。
「こちらにございますわ。
それでは一回目の登頂は私が案内いたします。
私も最近は大司祭様のお手伝いばかりでございまして、ダンジョンに潜るのは久しぶりですから、本日は皆様とご一緒に鍛錬する事にいたします」
なんか、この人が今さらっと凄い事を言った気がする。
俺はともかくとして、ダンジョンの踏破者で自らクレジネスなどと名乗るダンジョンコアさえ脅すような化け物や、そいつが追いかけ回しても捕まえられないような人外の鍛錬オタクと一緒に?
俺だって一応は聖女様から勇者と呼ばれるような人間なのだが、ちょっとこの人には引くなあ。
そして案内されて解放されたままの、広めの入り口を潜ると、そこはなんと内径が軽く三十メートル以上はありそうな中空の塔になっていた。
見上げれば高さ百五十メートルはありそうなところに天板が見える。
そこの上が天空の闘技場か何かにでもなっているのだろうか。
選ばれた(登頂できた)者だけが参加できるというルールか何かの。
内部を螺旋のように手摺付きの階段が幾重にも重なって頂点を目指すようになっている、まるで試練の塔だ。
俺は思わず息を飲んだ。
これはまた、えらい場所だなあ。
「どうした。
臆したのか、リクル」
「なんだったら、お前は引き返してもいいぞ。
俺は今からそこの熊野郎と決着をつける事にする」
「まあ、さすがは聖女様のパーティだけあって熱いですわね」
駄目だ、俺はまだまだ、ほんの若輩者に過ぎなかった。
ちょっと管理魔物だの蜥蜴の大群なんかを片付けたくらいで、いい気になっていたチンピラに過ぎない。
この人達、ちょっと頭がおかしい。
見ろよ、あの割合と下の方にいる奴、もう青い顔をしてへたりこんで歩けないみたいじゃないか。
そういう奴らがあちこちにいて、よく観察していると、なんとベテラン神官による救助隊が大勢出動しているみたいだぞ。
しかも、ありえない事に『縦登りコース』まであるじゃないか。
鉄の梯子みたいになっている奴とか、登るためのでっぱりがついている場所とか、その上それらすらない場所を指や足先をかけて登る上級者コースまで存在した。
いや存在していない。
自分で勝手にそういうコースを自己開発しているだけだなのだった。
やっぱり、ここはそういう一種の鍛錬施設なのだ。
何が祈りの塔だよ、ふざけやがって。
だが俺は負けねえぞ!
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