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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-48 『勇者』の時間
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「ところで、その前に一個訊いておきたいのだがなあ」
「ナンダ」
既に、とっくの昔に三体に分身しているドラゴ導師が訊き返してきた。
最初っから選択肢なんかないじゃないか。
まったく、相変わらずいい根性をしてやがるな。
他の冒険者連中にも武器などを撒こうとしているし。
実際にそいつを受け取れた奴がいるかどうかまでは知らないのだが。
個人的には絶対にいないと思う。
「俺の持つ必殺のブーストスキルは使ってもいいのかい」
「ワレハコウイッタ。
ブキノシヨウハナシ、ワレサンニンマエヲタオスノガ、ジョウケント」
「あいよ。
では盟主様に、今の俺の力を見てもらおうか。
たとえ、それが邪神との戦場で武器がなくとも、どこまで戦えるのかを。
あんたは、それが見たいから俺をここへ呼ぶのだろう?」
それを聞いたドラゴ導師は、その見事なまでの蜥蜴面に凄まじく人間臭い笑顔を見せてくれた。
それはもしかしたら、彼を操る盟主その人の素の笑顔なのかもしれない。
「ドラゴ導師、たとえ木っ端微塵に消し飛んでも恨むなよ。
出来たら、盟主から与えられただろう力で耐えてくれ。
ただのドラゴナイトがここまで強いはずなどないんだからな。
俺は、まだ最高の武器とやらを貰っていないんだからよ!」
そして俺は既に使用を決めておいたブーストスキルを唱えた。
【マグナム・ルーレット】は当然の六を叩き出す。
ここでは、【神々の祝福】並びに【祈りの力×x】だけは絶対に外せないものだ。
だって、ここは『そういうシーン』なのだから。
そして、借り物のスキルを使用するようなチンケなスキル、【忘却の恩恵】などは『絶対に使ってはいけないシーン』なので、ここは俺の力を純粋に増幅してくれる【斬撃強化百倍】を選択する。
このスキルは、『拳』『蹴り』などによる斬撃攻撃も含まれている事は前もって確認してある。
今回はカミエの強力な斬撃スキルは使用しない、あのナタリーの手刀のような斬撃なのだ。
「行くぜ、ここからは勇者の時間だあ。
借り物でもなんでもない、この俺が自ら鍛練し、そして鍛え抜いた勇者のスキルの。
もう外れスキルだなんて絶対に言わせやしないさ。
そして、神々の祝福と祈りの力×x、この二つのスキルを勇者の心根として、盟主、あなたに捧げよう。
おそらく、あなたの、盟主の正体は……」
そして爆裂する勇者の徒手空拳が、三体の『超強化種』であろう、ドラゴナイト・レバレッジに対して炸裂していった。
そして、気が付くと俺はいつの間にかダンジョンの外にいて、エラヴィス閣下に揺り動かされていた。
俺の傍には眷属達とルミナスが待ってくれていた。
「よ、御寝坊勇者さん」
そして狼達は三十匹すべてが俺を取り囲むように座っており、ターワンも邪魔にならないように小さく体を縮めて座っていた。
「リクル、大丈夫?
かなりボロボロだったけど。
もう回復魔法はかけたわ」
「あ、ああ。
あれ、俺は彼に勝ったのか?」
すると、ターワンは起き上がって、俺にある物を差し出した。
「おお、これはまた」
「なんだ。
それが今回の賞品なのか?」
姐御が不思議そうに訊いた。
そして俺はその大層立派な『大剣』を抜いてみせた。
「いや、こんな物は、ただのオマケさ」
それは手に取っただけで理解できたのだ。最高の勇者の剣なのだと。
『聖剣・盟主の魔法剣。あらゆる力を受けてそれを力に変える。敵の攻撃さえも攻撃力に転換する。聖鎧・盟主の魔法鎧と連動して使う事も可能。完全非破壊オブジェクト』
「おやまあ、これがただのオマケなのだと。
また随分と大判ぶるまいである事だな、コントンというものは」
さすがは姐御だ。
一目見て武器の性能を見抜いたらしい。
鎧の方は、正真正銘のオマケ二個の鎧と共に俺の収納の中に入っていた。
「ねえ、リクル。
なんか鞘に紙が付いているわよ。
値札?」
そして、俺はそれを見て大いに笑った。
「あっはっはっは、こいつはまた傑作」
それには、こう簡潔に書かれてあったのだ。
【免許皆伝】と。
俺がドラゴ導師の修行を卒業してしまったため、今回の賞品となる鎧と対になるはずの最高の剣を渡し損ねると思い、こういう措置を取ってくれたのだろう。
「盟主、いつかあんたに会えるといいな。
だが、その時は……」
こうして俺は勇者に相応しい心根を、ここの盟主から認められ、最強の装備を手に入れた。
「ナンダ」
既に、とっくの昔に三体に分身しているドラゴ導師が訊き返してきた。
最初っから選択肢なんかないじゃないか。
まったく、相変わらずいい根性をしてやがるな。
他の冒険者連中にも武器などを撒こうとしているし。
実際にそいつを受け取れた奴がいるかどうかまでは知らないのだが。
個人的には絶対にいないと思う。
「俺の持つ必殺のブーストスキルは使ってもいいのかい」
「ワレハコウイッタ。
ブキノシヨウハナシ、ワレサンニンマエヲタオスノガ、ジョウケント」
「あいよ。
では盟主様に、今の俺の力を見てもらおうか。
たとえ、それが邪神との戦場で武器がなくとも、どこまで戦えるのかを。
あんたは、それが見たいから俺をここへ呼ぶのだろう?」
それを聞いたドラゴ導師は、その見事なまでの蜥蜴面に凄まじく人間臭い笑顔を見せてくれた。
それはもしかしたら、彼を操る盟主その人の素の笑顔なのかもしれない。
「ドラゴ導師、たとえ木っ端微塵に消し飛んでも恨むなよ。
出来たら、盟主から与えられただろう力で耐えてくれ。
ただのドラゴナイトがここまで強いはずなどないんだからな。
俺は、まだ最高の武器とやらを貰っていないんだからよ!」
そして俺は既に使用を決めておいたブーストスキルを唱えた。
【マグナム・ルーレット】は当然の六を叩き出す。
ここでは、【神々の祝福】並びに【祈りの力×x】だけは絶対に外せないものだ。
だって、ここは『そういうシーン』なのだから。
そして、借り物のスキルを使用するようなチンケなスキル、【忘却の恩恵】などは『絶対に使ってはいけないシーン』なので、ここは俺の力を純粋に増幅してくれる【斬撃強化百倍】を選択する。
このスキルは、『拳』『蹴り』などによる斬撃攻撃も含まれている事は前もって確認してある。
今回はカミエの強力な斬撃スキルは使用しない、あのナタリーの手刀のような斬撃なのだ。
「行くぜ、ここからは勇者の時間だあ。
借り物でもなんでもない、この俺が自ら鍛練し、そして鍛え抜いた勇者のスキルの。
もう外れスキルだなんて絶対に言わせやしないさ。
そして、神々の祝福と祈りの力×x、この二つのスキルを勇者の心根として、盟主、あなたに捧げよう。
おそらく、あなたの、盟主の正体は……」
そして爆裂する勇者の徒手空拳が、三体の『超強化種』であろう、ドラゴナイト・レバレッジに対して炸裂していった。
そして、気が付くと俺はいつの間にかダンジョンの外にいて、エラヴィス閣下に揺り動かされていた。
俺の傍には眷属達とルミナスが待ってくれていた。
「よ、御寝坊勇者さん」
そして狼達は三十匹すべてが俺を取り囲むように座っており、ターワンも邪魔にならないように小さく体を縮めて座っていた。
「リクル、大丈夫?
かなりボロボロだったけど。
もう回復魔法はかけたわ」
「あ、ああ。
あれ、俺は彼に勝ったのか?」
すると、ターワンは起き上がって、俺にある物を差し出した。
「おお、これはまた」
「なんだ。
それが今回の賞品なのか?」
姐御が不思議そうに訊いた。
そして俺はその大層立派な『大剣』を抜いてみせた。
「いや、こんな物は、ただのオマケさ」
それは手に取っただけで理解できたのだ。最高の勇者の剣なのだと。
『聖剣・盟主の魔法剣。あらゆる力を受けてそれを力に変える。敵の攻撃さえも攻撃力に転換する。聖鎧・盟主の魔法鎧と連動して使う事も可能。完全非破壊オブジェクト』
「おやまあ、これがただのオマケなのだと。
また随分と大判ぶるまいである事だな、コントンというものは」
さすがは姐御だ。
一目見て武器の性能を見抜いたらしい。
鎧の方は、正真正銘のオマケ二個の鎧と共に俺の収納の中に入っていた。
「ねえ、リクル。
なんか鞘に紙が付いているわよ。
値札?」
そして、俺はそれを見て大いに笑った。
「あっはっはっは、こいつはまた傑作」
それには、こう簡潔に書かれてあったのだ。
【免許皆伝】と。
俺がドラゴ導師の修行を卒業してしまったため、今回の賞品となる鎧と対になるはずの最高の剣を渡し損ねると思い、こういう措置を取ってくれたのだろう。
「盟主、いつかあんたに会えるといいな。
だが、その時は……」
こうして俺は勇者に相応しい心根を、ここの盟主から認められ、最強の装備を手に入れた。
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