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第二章 バルバディア聖教国モンサラント・ダンジョン
2-54 成果分配
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「分配しよ」
「聖教国への貢献も忘れんでくれ」
「「わかってまーす」」
俺とエラヴィスはハモった。
まずはレディファーストで。
「姐御、あたしはこれが欲しいな」
彼女が強請った物は、武器ではなかった。
防具だ。
というか魔道具だな。
「神速の足具か。
珍しいな、お前が魔法剣以外にそれほど執着するとは」
「蜘蛛は速い。
それでも戦えば倒せるレベルだった。
でも邪神は戦った事がないからわからない。
あたしの能力って、結構足が命なのは知っているでしょ」
「邪神は速くない。
そんな足が必要ないほどの凄まじい怪物なのだ。
あの大神殿地下からあれを外に出したらもう世界の負けだ。
だが、お前の足を必要とするシーンがないなんて誰にいえよう。
そいつはエラヴィス、お前が持って行くがいい」
「姐御、大好きー!」
やれやれと言った面持ちで、その笑顔を見送った姐御は俺に胡乱な笑顔を向けた。
「盟主から貰った最高の槍と剣と鎧、それがありながら、お前がそんなに欲する物が何かあるのか?」
「これさ。
ルミナス、まずお前から説明を」
「ほう。そいつはまた珍しい。
聞こうではないか」
「この精霊の宝珠はねえ。精霊の召喚者が装備すると、精霊常時顕現の力があるの」
「ん? お前達、ずっと顕現しておるではないか」
姐御も怪訝そうな顔をしている。
「えー、そんなの無理だよ。
本当は今も消えそうなの」
「なんだと⁉
まったくそういう風に見えぬが。
確かに言われてみれば、精霊がこんなに持続して顕現しておるなど聞いた事がないのだが……」
「ただの痩せ我慢さ。
だって、そこの勇者といると楽しいからさあ、ついつい長居を」
「お前らなあ」
「やっぱりさあ、俺も精霊なんて者には常に一緒にいてほしいわけよ。
そういうわけで、そこの『精霊の宝珠五個セット』は俺がもらった」
「また、数はぴったりなのね……」
「つまり、必要だから貰った物だって事さ。
ではその次が俺の分ね」
「結局、お前の分もあるのではないか」
「まあまあ。
実はいい物を見つけちゃったんだ。
はいこれ、スキル・マグマムブースター」
全員、目が点になった。
俺は、その手首に付けるようなブレスレット状の魔道具を見せた。
こいつは何故か何か他の物とセットで入っていた小さな物だったので、もう少しで見落とすところだったのだが、ルミナスが見つけてくれたのだ。
まさに大殊勲賞である。
「今、なんと言った」
「だからスキル・マグナムブースターさ。
古代の兵器で、スキルや魔法の威力などを倍化する魔道具なのさ」
「う、うむ。
お前の能力をすべて倍に出来るというわけか」
「しかも、なんとこれが二つもあるのでね」
二個入りセットでした。
「なるほど」
チラっとバニッシュを見た姐御。
「もっと強力な奴を作りたいわけか」
「うん、重ね掛けは出来なかったから、出力を上げるしかないんだけどね。
今のところ複製は無理なのでバニッシュに改造してもらうしかない」
これ、何のために二個セットなのか意味がよくわからない商品だ。
本来は予備?
「そいつは、なかなか手強いのう。
というわけで、わしはそっちの仕事もあるので皆のお守りは、やはりお前に任せておくわい」
「では、そういう事で。
またそれの高性能な物が出たら俺が欲しい。
そしてもう一個それが出たら、それはバニッシュに。
だって運よく複製できたら凄いぜ」
後はバニッシュの欲しい物だが、こいつばかりは数も多いし交渉次第だ。
そして彼は開口一番にこのような事を切り出した。
「姫よ、財政の方はどうじゃ」
「うむ。
リクルのドラゴンがドワーフ国ハンマースパークで大量に買い手がついたので、ひとまず凌げるが、ここのところの減収が厳しくての。
壊れた街も修復せねばならんのだが、頭が痛い。
正直、済まないのだが今回の入手品のあらかたは聖教国の予算に回したいのが本音だ」
そんなにここの財政は苦しかったのか。
まあこの国って、通常の事をやっているわけではないからなあ。
支援金以外では、産業はダンジョンからの税収頼みなのだ。
「だが、邪神が起きるかもしれぬような不穏な空気のある時期に、天下のエルバニッシュ導師に素材を与えずに遊ばせておいたなどとあっては私が誹られよう。
導師が欲しい物はすべて持って行くがいい」
「よいのか、セラシア」
それから渋い顔で姐御はこう言った。
「仕方がない。
明日はまた宝箱探索に行くぞ。
お前達にも金は出してやらねばいかんのだしな。
あれの出現傾向も何かこう恣意的な物があるような事実も判明しておる。
リクルよ。
今回探す時には、なるべく金目の物を出せるように頑張れ」
「あははは、ラジャー」
こうして、ダンジョンのあちこちを探索し、あれこれと入手した挙句に、今度は本格的に宝箱探索に入る事になった。
「聖教国への貢献も忘れんでくれ」
「「わかってまーす」」
俺とエラヴィスはハモった。
まずはレディファーストで。
「姐御、あたしはこれが欲しいな」
彼女が強請った物は、武器ではなかった。
防具だ。
というか魔道具だな。
「神速の足具か。
珍しいな、お前が魔法剣以外にそれほど執着するとは」
「蜘蛛は速い。
それでも戦えば倒せるレベルだった。
でも邪神は戦った事がないからわからない。
あたしの能力って、結構足が命なのは知っているでしょ」
「邪神は速くない。
そんな足が必要ないほどの凄まじい怪物なのだ。
あの大神殿地下からあれを外に出したらもう世界の負けだ。
だが、お前の足を必要とするシーンがないなんて誰にいえよう。
そいつはエラヴィス、お前が持って行くがいい」
「姐御、大好きー!」
やれやれと言った面持ちで、その笑顔を見送った姐御は俺に胡乱な笑顔を向けた。
「盟主から貰った最高の槍と剣と鎧、それがありながら、お前がそんなに欲する物が何かあるのか?」
「これさ。
ルミナス、まずお前から説明を」
「ほう。そいつはまた珍しい。
聞こうではないか」
「この精霊の宝珠はねえ。精霊の召喚者が装備すると、精霊常時顕現の力があるの」
「ん? お前達、ずっと顕現しておるではないか」
姐御も怪訝そうな顔をしている。
「えー、そんなの無理だよ。
本当は今も消えそうなの」
「なんだと⁉
まったくそういう風に見えぬが。
確かに言われてみれば、精霊がこんなに持続して顕現しておるなど聞いた事がないのだが……」
「ただの痩せ我慢さ。
だって、そこの勇者といると楽しいからさあ、ついつい長居を」
「お前らなあ」
「やっぱりさあ、俺も精霊なんて者には常に一緒にいてほしいわけよ。
そういうわけで、そこの『精霊の宝珠五個セット』は俺がもらった」
「また、数はぴったりなのね……」
「つまり、必要だから貰った物だって事さ。
ではその次が俺の分ね」
「結局、お前の分もあるのではないか」
「まあまあ。
実はいい物を見つけちゃったんだ。
はいこれ、スキル・マグマムブースター」
全員、目が点になった。
俺は、その手首に付けるようなブレスレット状の魔道具を見せた。
こいつは何故か何か他の物とセットで入っていた小さな物だったので、もう少しで見落とすところだったのだが、ルミナスが見つけてくれたのだ。
まさに大殊勲賞である。
「今、なんと言った」
「だからスキル・マグナムブースターさ。
古代の兵器で、スキルや魔法の威力などを倍化する魔道具なのさ」
「う、うむ。
お前の能力をすべて倍に出来るというわけか」
「しかも、なんとこれが二つもあるのでね」
二個入りセットでした。
「なるほど」
チラっとバニッシュを見た姐御。
「もっと強力な奴を作りたいわけか」
「うん、重ね掛けは出来なかったから、出力を上げるしかないんだけどね。
今のところ複製は無理なのでバニッシュに改造してもらうしかない」
これ、何のために二個セットなのか意味がよくわからない商品だ。
本来は予備?
「そいつは、なかなか手強いのう。
というわけで、わしはそっちの仕事もあるので皆のお守りは、やはりお前に任せておくわい」
「では、そういう事で。
またそれの高性能な物が出たら俺が欲しい。
そしてもう一個それが出たら、それはバニッシュに。
だって運よく複製できたら凄いぜ」
後はバニッシュの欲しい物だが、こいつばかりは数も多いし交渉次第だ。
そして彼は開口一番にこのような事を切り出した。
「姫よ、財政の方はどうじゃ」
「うむ。
リクルのドラゴンがドワーフ国ハンマースパークで大量に買い手がついたので、ひとまず凌げるが、ここのところの減収が厳しくての。
壊れた街も修復せねばならんのだが、頭が痛い。
正直、済まないのだが今回の入手品のあらかたは聖教国の予算に回したいのが本音だ」
そんなにここの財政は苦しかったのか。
まあこの国って、通常の事をやっているわけではないからなあ。
支援金以外では、産業はダンジョンからの税収頼みなのだ。
「だが、邪神が起きるかもしれぬような不穏な空気のある時期に、天下のエルバニッシュ導師に素材を与えずに遊ばせておいたなどとあっては私が誹られよう。
導師が欲しい物はすべて持って行くがいい」
「よいのか、セラシア」
それから渋い顔で姐御はこう言った。
「仕方がない。
明日はまた宝箱探索に行くぞ。
お前達にも金は出してやらねばいかんのだしな。
あれの出現傾向も何かこう恣意的な物があるような事実も判明しておる。
リクルよ。
今回探す時には、なるべく金目の物を出せるように頑張れ」
「あははは、ラジャー」
こうして、ダンジョンのあちこちを探索し、あれこれと入手した挙句に、今度は本格的に宝箱探索に入る事になった。
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