DNAにセーブ&ロード 【前世は散々でしたが、他人のDNAからスキルを集めて、今度こそ女の子を幸せにしてみせます】

緋色優希

文字の大きさ
60 / 66
第二章 王都へ

2-7 待ちに待ったディナー

しおりを挟む
「さて、まずは前菜だ。これも美味しそうだなあ」

 鳥の蒸した、なんというかさっぱりした部分だな。ささみみたいなものだろうか。

 その蛋白さを損なわないような、これまたさっぱりした、それでいて非常に味わい深いソースがかかって味を引き立てている。俺は心してじっくりといただく事にした。そして気がついた。

「む、こいつは」
「どうしたの、アンソニー。やけに勿体つけて食べているね」
 自分は、遠慮なくパクパクいっているミョンデ姉。

「これ、今まで食べた事がない鳥だよ。多分、うちの近所にはいない種類なんだな。しかし、とんでもなく素晴らしい肉質だ。どうしよう、姉ちゃん。今からこいつを狩りにいってきてもいいかな」

 それを聞いて慌てる伯爵。ナプキンで口を拭くと、フォークで抑えるようにして言ってきた。

「待て待て待て。行くのなら、明日が終わってからにしてくれ。狩場は心当たりがあるので連れていってやるから。今は大人しく飯を食っておれ」
 すでに椅子の上に立ち上がって弓を取り出し大興奮の俺を伯爵が諫めた。

「もうアンソニーったら、でも確かにお土産に欲しいよね。家族にも食べさせたいわ」
「任せろ、姉ちゃん。冒険者達からパクったスキルで狩りまくりだぜ」

 スキルをパクるという事がまったく理解できていないが、美味しい思いはできそうなので満足そうなミョンデ姉。

「あー、その鳥を絶滅させん程度で頼むぞ。これは、この地方では名高い鳥でアリアーデという名物料理の食材だ。生息地は大体が貴族領の、普通の人は入れない場所にあるから、許可がないと狩猟はできん。この王都周辺ではいくつか心当たりがある。頼んでやるから」

「それを聞いて安心して食べられますよ。ではお替りを五皿ほどお願いします」
「あ、あたしもお替り!」

 給仕をしてくれる使用人の人は呆れていたが、苦笑する伯爵が持ってくるように指示を出した。
「まったく、お前はぶれない奴だな」

 お替りが届くまではじっくり食っていたが、届いたとたんに猛速で平らげていった。それでも、しっかりと味わいながらだから何も問題はない。

 お次はサラダ。おお、見たことない野菜類だが、見た目から判断して地球の知識から類推できる。

 体をアルカリ性にするサラダの機能的な役割、性能としては申し分なさそうだ。十分摂っておかないといけないな。幼児の場合どうなのかはよくわからないが。

 そしてコースは次のステージに移っていく。
 まずはスープから!

 俺は優雅に音を立てずに静かにスープを一口含む。俺は高級なレストランに慣れているのでいいが、ミョンデ姉はマナーに失敗しているようだ。いや、農民の子が貴族同等のマナーを身に着けている事の方が異様なのだが。しかも、俺はまだ二歳だ。

「お前、そんなマナーをどこで学んでくるんだ?」
 むしろ、伯爵は俺に対して呆れて見ていた。

 あの僻地の村の様子を知っているしな。それに、うちの母親の田舎者ぶりも知っているのだ。教えてくれる人なんか知っているわけがない。ミョンデ姉なんかマナーなんか拘っていなしし。だが、天真爛漫で卑しい感じではないので、伯爵の家人からも微笑ましくみてもらっているようだ。

「ふふ。独学にございますれば。それよりも、これはまた素晴らしいスープでございますね!」

「ほお、さすがは世界一食い意地の張った幼児だけあるな。確かに、うちのスープは評判なのだ。あれほど食い意地の張ったお前が、そこまで味わっているのを見たのは初めてだよ」

 さすがにこれは再現できる気はしない。だが、レッツチャレンジ! ここの料理長のスキルもパクらせていただこう。いや、ここは堂々と伯爵に申し込んで。こういう時はスキルハンターの力がバレているのは却って便利だよな。

 スープのお替りはやめておこう。水分のせいで水腹になり、固形物がたくさん入らなくなる恐れがある。その辺が理解できたものか、伯爵も呆れ顔だった。

「次はパンか。こいつは素晴らしいな。焼きたてで柔らかい」
 じっくりと齧り付いて味わう俺。またか、という目をする伯爵。

「本当だあ、こんなの食べた事がないよ」
 俺は大きく頷いて、また一口食べた。

「そして、この香り。これはもう麦からして違いますね。うちの村でとれるような麦じゃあない。それに焼き方も最高だ。いいなあ、いいパン焼き釜を使っているんですね」

「あ、ああ。これは最高品種の麦でね。普通の麦の値段の十倍以上はするものだ。お前、本当によくわかるな」

「一応、農民の子ですから」
 嘘だけどね。

 休日には、かなり本格的なオーブンでパンを焼いたりしたのだが、本格パン焼き釜には敵わないのは経験上、よく知っている。そういう事を売りにしているお店にはよく行ったから舌が覚えているだけだ。

 その後の魚や肉のコースも大満足の品だった。特に魚は遠方からだが、伯爵自ら収納を持って仕入れてくるため、特別な料理らしい。

「伯爵、このお肉なのですが」
「わかった、わかった。そいつの狩りも回ろう。これも、少し特別な獲物でなあ」

「ありがとうございます。確実に仕留めて御覧にいれますから。ついでにソースのレシピと材料もお願いいたします」

「わかったわかった。しかし、やはり二歳児の台詞じゃないな。まあ今更なのだが」
 そして、最後に俺を驚かせたもの。それはデザートのアイスクリームだ。これは‥…。

「伯爵、これは何かの魔導具で?」
「いや、そのような魔道具などはない。これは、うちの料理人のスキルで、あ」
 少し口が滑ったかなという感じの伯爵。

「できれば、それもいただいて帰りたいものです」
「わかったわかった。ただし、出どころは内緒にしてくれよ」

「よし、これもお替りだあ!」
 そして、すかさず叫ぶミョンデ姉。

「よしなよ、お姉ちゃん」
「なんでよー、珍しいわね」

「そいつは俺達幼児がお替りすると、お腹が痛くなる代物だからさ」
「えー、そうなのー」

「安心しなよ、レシピとスキルと材料は全部いただいて帰るつもりだからさ」
「お前、こいつは初めて食うのだろう? 何故わかるのだ」
 最後まで伯爵を呆れさせて、俺としても大満足なディナーだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

転生者は冒険者となって教会と国に復讐する!

克全
ファンタジー
東洋医学従事者でアマチュア作家でもあった男が異世界に転生した。リアムと名付けられた赤子は、生まれて直ぐに極貧の両親に捨てられてしまう。捨てられたのはメタトロン教の孤児院だったが、この世界の教会孤児院は神官達が劣情のはけ口にしていた。神官達に襲われるのを嫌ったリアムは、3歳にして孤児院を脱走して大魔境に逃げ込んだ。前世の知識と創造力を駆使したリアムは、スライムを従魔とした。スライムを知識と創造力、魔力を総動員して最強魔獣に育てたリアムは、前世での唯一の後悔、子供を作ろうと10歳にして魔境を出て冒険者ギルドを訪ねた。 アルファポリスオンリー

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

処理中です...