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第一章 孤独の果てに
1-5 旅立ちの朝
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そして、旅立ちの朝はやってきた。
シルバーの奴と来たら朝っぱらからはしゃぎまくっていた。
訳もなく、まだ雪が止んだばかりのふわりとしている雪原に飛び出していき、思いっきり走り回ってきたかと思うと、全速力で戻ってきて元王女姉妹にすりすりして周りを飛んで跳ね回り、実に楽しそうに叫んでいる。
「お出かけー、アリエスとメリーベルと、そしてそして、お父さんと一緒にお出かけー。
旅だ、旅だあーーー!」
もう辛抱堪らないという感じで、どうにも止まらないものらしい。
まあ、あいつもつい最近まで子犬だったのだから無理もないのかな。
そして俺同様、友達には思いっきり不自由していたのだ。
そして毎日同じようなこの何の変哲もないような山の景色ばかり眺めて暮らしているのだから無理もない。
犬ってアウトドアが大好きで、また旅行も大好きな生き物なのだ。
車でお出かけするのも大好きで、車に乗ると窓から顔を出して気持ちよさそうにして世界を眺めている生き物だ。
犬って確か、白黒にしか世界が見えないはずなのだが、やっぱり楽しいのかね。
まあその代わりに人間に見えない波長まで視えるのだろうが。
かくいう俺も人間以上に、ほぼは超全域が見えるので最初の頃は大いに戸惑ったものだ。
何しろ、天から降り注ぐ宇宙線まで視えちまうからな。
昼間でも全ての星が全部視えるのだ。
細かい小惑星みたいな物まで視覚で全部捕捉できるのだからな。
獲物を捉える感覚は蛇なんかよりも、よっぽど凄いのだ。
「ふふ、もうシルバーったら」
「きゃはは、くすぐったいよお」
二人とも、体の方はもうなんともない。
俺のΩ(究極)回復魔法で十分に癒されている。
昨日はシルバーの土魔法と俺の火魔法で強引に作り上げた風呂にも入れたし、今朝はシチューなどを食べたのだ。
パンは無いので、主食は採集したイモ類で食べさせた。
なんとなくとはいえ、先の予定が決まったので、まだ幼いメリーベルも少しは元気になったようだった。
それに、あんなはしゃぎ回り自分にすり寄ってくる弟がいたのでは、まだ十歳の少女には落ち込んでいるなんて無理な芸当であろう。
俺も今はむしろ、何かと無理をしがちな姉の方の心配をしていたが、どうやら大丈夫そうな按排だったので、そっと安堵の息を吐いた。
心に傷を負った子供達、そのケアなんて俺だけでは絶対に無理なのだから。
少なくとも、俺の生前の職業はその手のカウンセラーではなかったように思う。
「おい、シルバー。
はしゃぐのはいいが、その子達はお前が背に乗せていくのだからな、気をつけていくのだぞ。
大事な友達を落としたりしないようにな」
「わかってる。でも!」
そう言って、今度はまるで子猫のように自分の尻尾をくるくると追いかけ始めたシルバー。
はしゃぐのだけは止められないようだなあ。
まあ、今くらいはいいか。
あの子達も一緒にはしゃいでいるのだし、ここは子供同士で任せておくか。
「主、支度は整っていますよ。
お荷物の収納を」
「ああ、ありがとう、ルー。それでは」
俺は荷物一式と、家として使っているかまくら自体も収納した。
これは俺の魔法で作った物で、大変頑丈で床部分ごとひっぺがして移動できるように作ってある。
冬の間、使う予定の住まいだし、また冒険者が来ても面倒だと思い、組み立て式住居のパオのように移動式のかまくら住居という大変珍しい物を使っているのだ。
「さあ、みんな行くよ。
じゃあ、シルバー伏せ」
そしてペタンっと地面に体を落とした彼の背に、二人の少女が上手にフェンリル登山してみせた。
こいつは体長五メートルもあって尻尾を入れると六メートルを超えるサイズで、馬二頭分ほどはあるだろう。
馬か馬車代わりに二人の少女を乗せるには十分なサイズだ。
実はこいつの背中は非常に柔らかく、そして不思議な事に馬のように股ずれを起こさない。
なんで知っているかというと、それが心配になったので調べてみたら、鑑定のスキルでそのような結果が出た。
つまり、この世界で同じようにフェンリルを乗用として使役する者が存在するという訳なのだろう。
世の中には俺以外にも物好きな奴がいるもんだ。
「じゃあ二人とも、なるべく揺らさないようにするけど、しっかり毛皮を掴んでいてね!」
「うん」
「わあ、シルバーの上は暖かいなあ」
そう、この雪原を行くにあたっては、二人を直に雪の上を歩かせると冷え切ってしまうのでこのようにしたのだ。
高速で走らせると、また二人の体が冷えてしまうのでシルバーは普通に歩かせてはいるが、馬の倍以上の歩幅を持つフェンリルなので時速十キロくらいは出るだろう。
速歩くらいなら自転車レベルのスピードなので、そのくらいで行ってもいいかもしれない。
その辺は子供達の体にかかる負担を見ながら行こうと思っている。
特に急ぐ旅でもないのだ。
いやむしろ、急ぐと楽しい旅がすぐに終わってしまうしな。
人から魔物、いや魔神とさえ呼ばれるギガンテスのこの俺が、人間の子供達と一緒にいられる時間はあまりにも短いのだから。
シルバーの奴と来たら朝っぱらからはしゃぎまくっていた。
訳もなく、まだ雪が止んだばかりのふわりとしている雪原に飛び出していき、思いっきり走り回ってきたかと思うと、全速力で戻ってきて元王女姉妹にすりすりして周りを飛んで跳ね回り、実に楽しそうに叫んでいる。
「お出かけー、アリエスとメリーベルと、そしてそして、お父さんと一緒にお出かけー。
旅だ、旅だあーーー!」
もう辛抱堪らないという感じで、どうにも止まらないものらしい。
まあ、あいつもつい最近まで子犬だったのだから無理もないのかな。
そして俺同様、友達には思いっきり不自由していたのだ。
そして毎日同じようなこの何の変哲もないような山の景色ばかり眺めて暮らしているのだから無理もない。
犬ってアウトドアが大好きで、また旅行も大好きな生き物なのだ。
車でお出かけするのも大好きで、車に乗ると窓から顔を出して気持ちよさそうにして世界を眺めている生き物だ。
犬って確か、白黒にしか世界が見えないはずなのだが、やっぱり楽しいのかね。
まあその代わりに人間に見えない波長まで視えるのだろうが。
かくいう俺も人間以上に、ほぼは超全域が見えるので最初の頃は大いに戸惑ったものだ。
何しろ、天から降り注ぐ宇宙線まで視えちまうからな。
昼間でも全ての星が全部視えるのだ。
細かい小惑星みたいな物まで視覚で全部捕捉できるのだからな。
獲物を捉える感覚は蛇なんかよりも、よっぽど凄いのだ。
「ふふ、もうシルバーったら」
「きゃはは、くすぐったいよお」
二人とも、体の方はもうなんともない。
俺のΩ(究極)回復魔法で十分に癒されている。
昨日はシルバーの土魔法と俺の火魔法で強引に作り上げた風呂にも入れたし、今朝はシチューなどを食べたのだ。
パンは無いので、主食は採集したイモ類で食べさせた。
なんとなくとはいえ、先の予定が決まったので、まだ幼いメリーベルも少しは元気になったようだった。
それに、あんなはしゃぎ回り自分にすり寄ってくる弟がいたのでは、まだ十歳の少女には落ち込んでいるなんて無理な芸当であろう。
俺も今はむしろ、何かと無理をしがちな姉の方の心配をしていたが、どうやら大丈夫そうな按排だったので、そっと安堵の息を吐いた。
心に傷を負った子供達、そのケアなんて俺だけでは絶対に無理なのだから。
少なくとも、俺の生前の職業はその手のカウンセラーではなかったように思う。
「おい、シルバー。
はしゃぐのはいいが、その子達はお前が背に乗せていくのだからな、気をつけていくのだぞ。
大事な友達を落としたりしないようにな」
「わかってる。でも!」
そう言って、今度はまるで子猫のように自分の尻尾をくるくると追いかけ始めたシルバー。
はしゃぐのだけは止められないようだなあ。
まあ、今くらいはいいか。
あの子達も一緒にはしゃいでいるのだし、ここは子供同士で任せておくか。
「主、支度は整っていますよ。
お荷物の収納を」
「ああ、ありがとう、ルー。それでは」
俺は荷物一式と、家として使っているかまくら自体も収納した。
これは俺の魔法で作った物で、大変頑丈で床部分ごとひっぺがして移動できるように作ってある。
冬の間、使う予定の住まいだし、また冒険者が来ても面倒だと思い、組み立て式住居のパオのように移動式のかまくら住居という大変珍しい物を使っているのだ。
「さあ、みんな行くよ。
じゃあ、シルバー伏せ」
そしてペタンっと地面に体を落とした彼の背に、二人の少女が上手にフェンリル登山してみせた。
こいつは体長五メートルもあって尻尾を入れると六メートルを超えるサイズで、馬二頭分ほどはあるだろう。
馬か馬車代わりに二人の少女を乗せるには十分なサイズだ。
実はこいつの背中は非常に柔らかく、そして不思議な事に馬のように股ずれを起こさない。
なんで知っているかというと、それが心配になったので調べてみたら、鑑定のスキルでそのような結果が出た。
つまり、この世界で同じようにフェンリルを乗用として使役する者が存在するという訳なのだろう。
世の中には俺以外にも物好きな奴がいるもんだ。
「じゃあ二人とも、なるべく揺らさないようにするけど、しっかり毛皮を掴んでいてね!」
「うん」
「わあ、シルバーの上は暖かいなあ」
そう、この雪原を行くにあたっては、二人を直に雪の上を歩かせると冷え切ってしまうのでこのようにしたのだ。
高速で走らせると、また二人の体が冷えてしまうのでシルバーは普通に歩かせてはいるが、馬の倍以上の歩幅を持つフェンリルなので時速十キロくらいは出るだろう。
速歩くらいなら自転車レベルのスピードなので、そのくらいで行ってもいいかもしれない。
その辺は子供達の体にかかる負担を見ながら行こうと思っている。
特に急ぐ旅でもないのだ。
いやむしろ、急ぐと楽しい旅がすぐに終わってしまうしな。
人から魔物、いや魔神とさえ呼ばれるギガンテスのこの俺が、人間の子供達と一緒にいられる時間はあまりにも短いのだから。
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