デビルナイツ・ジン

緋色優希

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第一章 孤独の果てに

1-58 陸海魔神コンビ

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「どうしましょう、副長。
 空間魔法で隠れられていると、うちの戦闘班でも多分手が出せないと思いますが。

 船に魔法でブーストをかけて振り切りますか」

 秋山君がこっそりと一方的に接敵し、感じ取った感触を上司に報告している。

「うーむ、どうしたものかな。
 ジン、あんたもう一度あいつらを見つけられるか?」

「やってみよう。
 直接海中へ行くなら見つけられるのではないかな。

 このままだと振り切っても、いつそいつらから襲撃を受けるかわからん。
 ついでに出来れば片付けてみるよ」

「それはいいが、どうやってだ。
 秋山の見立てでは生半可な方法では難しそうだが。

 こいつは一見脳筋そうに見えて、偵察と敵の見極めには定評がある男だ」

「俺も準空間魔法を使えるので、相手の正体さえわかれば探知は可能だ。

 俺が得意の物理解析で構造を把握し、同じような空間魔法を構築して、それを用いてその空間魔法帯を生成と逆のプロセスで破壊する」

「その中にいた敵兵全ては海中に放り出されてお陀仏って訳か」

「まあ、そういう筋書きなんだが上手くいくかどうかはやってみないとな。

 何しろ相手があのロルスなんだから、俺も結果の保証は出来ん。
 最悪でも今回撃退できるなら十分な成果だ。

 次からは俺がそいつを見つけられるだろうから絶対に船には近寄らせない」

「いいだろう。
 それで何かうちから手助けは必要か?」

「そうだな、俺は陸上魔物なので水中活動には君らほど自信がない。

 水系の魔法は得意だから一人でやってやれない事もないのだが、敵の探知と新魔法構築、そして攻撃に集中したい。

 俺を乗せて足になってくれるメンバーが欲しい。
 今回の戦いには、今の人間ボディで十分だからそいつの大きさは問わん。

 むしろ大きすぎると却って敵の的になりやすいからな。
 とにかく速くて機動性があり、頑丈な奴がいい」

「それじゃあ、俺の出番だな」

 振り向くと、そこには腕組みをした精悍な顔立ちの戦闘班長の守山海斗が立っていた。

「へえ、あんた速いのかい?」

「ああ、直進時の最高速度では水中ジェット推進の秋山には負けるが、これでもなかなか速いぞ。
 機動力なら鮫の俺の方が多分上だろう。

 何より体が糞頑丈にできていてな。
 突撃や機動力なら任せろ。
 体形的にも真正面からなら的にもなりにくい。

 まあ少々図体はでかいのだが、あんたが俺の背中に立って背鰭に捕まってくれれば丁度いいくらいじゃないのか」

 なるほど、この強気な性格はまさしく突撃隊長そのものだ。
 味方としてはあの帝国相手に心強い事この上ない。

「じゃあ、あんたに任せる」
「ジン、あんたは水中での呼吸は?」

「水中から酸素を分離したり水魔法で水を分解して酸素も作れたりもするし、収納には大量の空気がある。

 そもそもギガンテスはマッコウクジラにも負けないレベルで長時間呼吸無しの水中活動が可能だ」

 それを聞いて彼はニヤリと笑って服を収納して、逞しい鍛え上げたような体を晒した。

「伊達にトリプルΩ扱いじゃないな。
 では隠密を頼む。
 近づく時に騒々しくして連中に逃げられたらまた厄介だ」

「そういう事だね、心得た」

 そして俺自身は上だけを脱いで、先に裸になり水に入った彼を同時に隠密し、船を動かす魔法は自動操縦にセットして魔力も補充しておいた。

 これで魔力の続く間は船の推進力は途切れまい。

 ここいらはもう岩礁などがない深海の上にあたる航路だから、少々の間なら俺がいなくても問題はなかろう。

 魔法は舵と連動させてあるのだ。

 そして俺はメガロドンの上に立ち巨大なその背鰭に捉まると、ポンポンと鮫肌を足で叩いて合図した。

 こいつは立派な鮫皮下ろしが出来そうな鮫皮だなあ。
 巨大な鱶鰭も実に立派なものだ。

 もうメガロドンを見るどころか、なんと背中に乗せてもらう事になってしまった。
 これだから異世界というところは。

 まあピンチなのに、ちょっと楽しかったのは俺も否めないけれども。

 俺のつまらないような感慨は後方に置き去って、高速水中魔物と人化中の陸上魔物の超隠蔽のコンビにより、どうやら敵には気取られないように水中から接近できたようだ。

 空間感知と俺が呼んでいるスキルにより、そいつを確実に捉え分析を開始した。

 空間魔法自体は習得に励み、そして不完全ながらもあれこれと応用を利かしていたので、こうやってこの厚さゼロで不可視の奇妙な隠れ蓑の構造を解析するのも、多少時間はかかったがなんとか成功した。

 そして俺も晴れてこの厄介な空間魔法を使えるようになった。
 こいつはありがたい。

 いっそここからは船をこいつに仕舞っていくか。
 そして、同じ魔法を行使できるようになったので、そいつにも干渉できるようになった。

「守山さん、準備オッケーだ。
 これから攻撃を試す。

 仕掛ければ、おそらく奴らも一旦逃げようとするだろう。

 浅い場所で取り逃がすとまた面倒だ。
 どうせなら、もう少し奴らを深い場所へ追い込みたいのだが」

「了解した。
 それと呼び方は海斗でいいぞ。
 他人行儀だな、お前」

「じゃあ、海斗。
 お膳立ては任せたからよろしく」

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