58 / 59
第一章 孤独の果てに
1-58 陸海魔神コンビ
しおりを挟む
「どうしましょう、副長。
空間魔法で隠れられていると、うちの戦闘班でも多分手が出せないと思いますが。
船に魔法でブーストをかけて振り切りますか」
秋山君がこっそりと一方的に接敵し、感じ取った感触を上司に報告している。
「うーむ、どうしたものかな。
ジン、あんたもう一度あいつらを見つけられるか?」
「やってみよう。
直接海中へ行くなら見つけられるのではないかな。
このままだと振り切っても、いつそいつらから襲撃を受けるかわからん。
ついでに出来れば片付けてみるよ」
「それはいいが、どうやってだ。
秋山の見立てでは生半可な方法では難しそうだが。
こいつは一見脳筋そうに見えて、偵察と敵の見極めには定評がある男だ」
「俺も準空間魔法を使えるので、相手の正体さえわかれば探知は可能だ。
俺が得意の物理解析で構造を把握し、同じような空間魔法を構築して、それを用いてその空間魔法帯を生成と逆のプロセスで破壊する」
「その中にいた敵兵全ては海中に放り出されてお陀仏って訳か」
「まあ、そういう筋書きなんだが上手くいくかどうかはやってみないとな。
何しろ相手があのロルスなんだから、俺も結果の保証は出来ん。
最悪でも今回撃退できるなら十分な成果だ。
次からは俺がそいつを見つけられるだろうから絶対に船には近寄らせない」
「いいだろう。
それで何かうちから手助けは必要か?」
「そうだな、俺は陸上魔物なので水中活動には君らほど自信がない。
水系の魔法は得意だから一人でやってやれない事もないのだが、敵の探知と新魔法構築、そして攻撃に集中したい。
俺を乗せて足になってくれるメンバーが欲しい。
今回の戦いには、今の人間ボディで十分だからそいつの大きさは問わん。
むしろ大きすぎると却って敵の的になりやすいからな。
とにかく速くて機動性があり、頑丈な奴がいい」
「それじゃあ、俺の出番だな」
振り向くと、そこには腕組みをした精悍な顔立ちの戦闘班長の守山海斗が立っていた。
「へえ、あんた速いのかい?」
「ああ、直進時の最高速度では水中ジェット推進の秋山には負けるが、これでもなかなか速いぞ。
機動力なら鮫の俺の方が多分上だろう。
何より体が糞頑丈にできていてな。
突撃や機動力なら任せろ。
体形的にも真正面からなら的にもなりにくい。
まあ少々図体はでかいのだが、あんたが俺の背中に立って背鰭に捕まってくれれば丁度いいくらいじゃないのか」
なるほど、この強気な性格はまさしく突撃隊長そのものだ。
味方としてはあの帝国相手に心強い事この上ない。
「じゃあ、あんたに任せる」
「ジン、あんたは水中での呼吸は?」
「水中から酸素を分離したり水魔法で水を分解して酸素も作れたりもするし、収納には大量の空気がある。
そもそもギガンテスはマッコウクジラにも負けないレベルで長時間呼吸無しの水中活動が可能だ」
それを聞いて彼はニヤリと笑って服を収納して、逞しい鍛え上げたような体を晒した。
「伊達にトリプルΩ扱いじゃないな。
では隠密を頼む。
近づく時に騒々しくして連中に逃げられたらまた厄介だ」
「そういう事だね、心得た」
そして俺自身は上だけを脱いで、先に裸になり水に入った彼を同時に隠密し、船を動かす魔法は自動操縦にセットして魔力も補充しておいた。
これで魔力の続く間は船の推進力は途切れまい。
ここいらはもう岩礁などがない深海の上にあたる航路だから、少々の間なら俺がいなくても問題はなかろう。
魔法は舵と連動させてあるのだ。
そして俺はメガロドンの上に立ち巨大なその背鰭に捉まると、ポンポンと鮫肌を足で叩いて合図した。
こいつは立派な鮫皮下ろしが出来そうな鮫皮だなあ。
巨大な鱶鰭も実に立派なものだ。
もうメガロドンを見るどころか、なんと背中に乗せてもらう事になってしまった。
これだから異世界というところは。
まあピンチなのに、ちょっと楽しかったのは俺も否めないけれども。
俺のつまらないような感慨は後方に置き去って、高速水中魔物と人化中の陸上魔物の超隠蔽のコンビにより、どうやら敵には気取られないように水中から接近できたようだ。
空間感知と俺が呼んでいるスキルにより、そいつを確実に捉え分析を開始した。
空間魔法自体は習得に励み、そして不完全ながらもあれこれと応用を利かしていたので、こうやってこの厚さゼロで不可視の奇妙な隠れ蓑の構造を解析するのも、多少時間はかかったがなんとか成功した。
そして俺も晴れてこの厄介な空間魔法を使えるようになった。
こいつはありがたい。
いっそここからは船をこいつに仕舞っていくか。
そして、同じ魔法を行使できるようになったので、そいつにも干渉できるようになった。
「守山さん、準備オッケーだ。
これから攻撃を試す。
仕掛ければ、おそらく奴らも一旦逃げようとするだろう。
浅い場所で取り逃がすとまた面倒だ。
どうせなら、もう少し奴らを深い場所へ追い込みたいのだが」
「了解した。
それと呼び方は海斗でいいぞ。
他人行儀だな、お前」
「じゃあ、海斗。
お膳立ては任せたからよろしく」
空間魔法で隠れられていると、うちの戦闘班でも多分手が出せないと思いますが。
船に魔法でブーストをかけて振り切りますか」
秋山君がこっそりと一方的に接敵し、感じ取った感触を上司に報告している。
「うーむ、どうしたものかな。
ジン、あんたもう一度あいつらを見つけられるか?」
「やってみよう。
直接海中へ行くなら見つけられるのではないかな。
このままだと振り切っても、いつそいつらから襲撃を受けるかわからん。
ついでに出来れば片付けてみるよ」
「それはいいが、どうやってだ。
秋山の見立てでは生半可な方法では難しそうだが。
こいつは一見脳筋そうに見えて、偵察と敵の見極めには定評がある男だ」
「俺も準空間魔法を使えるので、相手の正体さえわかれば探知は可能だ。
俺が得意の物理解析で構造を把握し、同じような空間魔法を構築して、それを用いてその空間魔法帯を生成と逆のプロセスで破壊する」
「その中にいた敵兵全ては海中に放り出されてお陀仏って訳か」
「まあ、そういう筋書きなんだが上手くいくかどうかはやってみないとな。
何しろ相手があのロルスなんだから、俺も結果の保証は出来ん。
最悪でも今回撃退できるなら十分な成果だ。
次からは俺がそいつを見つけられるだろうから絶対に船には近寄らせない」
「いいだろう。
それで何かうちから手助けは必要か?」
「そうだな、俺は陸上魔物なので水中活動には君らほど自信がない。
水系の魔法は得意だから一人でやってやれない事もないのだが、敵の探知と新魔法構築、そして攻撃に集中したい。
俺を乗せて足になってくれるメンバーが欲しい。
今回の戦いには、今の人間ボディで十分だからそいつの大きさは問わん。
むしろ大きすぎると却って敵の的になりやすいからな。
とにかく速くて機動性があり、頑丈な奴がいい」
「それじゃあ、俺の出番だな」
振り向くと、そこには腕組みをした精悍な顔立ちの戦闘班長の守山海斗が立っていた。
「へえ、あんた速いのかい?」
「ああ、直進時の最高速度では水中ジェット推進の秋山には負けるが、これでもなかなか速いぞ。
機動力なら鮫の俺の方が多分上だろう。
何より体が糞頑丈にできていてな。
突撃や機動力なら任せろ。
体形的にも真正面からなら的にもなりにくい。
まあ少々図体はでかいのだが、あんたが俺の背中に立って背鰭に捕まってくれれば丁度いいくらいじゃないのか」
なるほど、この強気な性格はまさしく突撃隊長そのものだ。
味方としてはあの帝国相手に心強い事この上ない。
「じゃあ、あんたに任せる」
「ジン、あんたは水中での呼吸は?」
「水中から酸素を分離したり水魔法で水を分解して酸素も作れたりもするし、収納には大量の空気がある。
そもそもギガンテスはマッコウクジラにも負けないレベルで長時間呼吸無しの水中活動が可能だ」
それを聞いて彼はニヤリと笑って服を収納して、逞しい鍛え上げたような体を晒した。
「伊達にトリプルΩ扱いじゃないな。
では隠密を頼む。
近づく時に騒々しくして連中に逃げられたらまた厄介だ」
「そういう事だね、心得た」
そして俺自身は上だけを脱いで、先に裸になり水に入った彼を同時に隠密し、船を動かす魔法は自動操縦にセットして魔力も補充しておいた。
これで魔力の続く間は船の推進力は途切れまい。
ここいらはもう岩礁などがない深海の上にあたる航路だから、少々の間なら俺がいなくても問題はなかろう。
魔法は舵と連動させてあるのだ。
そして俺はメガロドンの上に立ち巨大なその背鰭に捉まると、ポンポンと鮫肌を足で叩いて合図した。
こいつは立派な鮫皮下ろしが出来そうな鮫皮だなあ。
巨大な鱶鰭も実に立派なものだ。
もうメガロドンを見るどころか、なんと背中に乗せてもらう事になってしまった。
これだから異世界というところは。
まあピンチなのに、ちょっと楽しかったのは俺も否めないけれども。
俺のつまらないような感慨は後方に置き去って、高速水中魔物と人化中の陸上魔物の超隠蔽のコンビにより、どうやら敵には気取られないように水中から接近できたようだ。
空間感知と俺が呼んでいるスキルにより、そいつを確実に捉え分析を開始した。
空間魔法自体は習得に励み、そして不完全ながらもあれこれと応用を利かしていたので、こうやってこの厚さゼロで不可視の奇妙な隠れ蓑の構造を解析するのも、多少時間はかかったがなんとか成功した。
そして俺も晴れてこの厄介な空間魔法を使えるようになった。
こいつはありがたい。
いっそここからは船をこいつに仕舞っていくか。
そして、同じ魔法を行使できるようになったので、そいつにも干渉できるようになった。
「守山さん、準備オッケーだ。
これから攻撃を試す。
仕掛ければ、おそらく奴らも一旦逃げようとするだろう。
浅い場所で取り逃がすとまた面倒だ。
どうせなら、もう少し奴らを深い場所へ追い込みたいのだが」
「了解した。
それと呼び方は海斗でいいぞ。
他人行儀だな、お前」
「じゃあ、海斗。
お膳立ては任せたからよろしく」
0
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる