3 / 14
2
しおりを挟む
「うっ!?」
今日最大の揺れを最後に車が止まった。
この技術の発達した時代にもはやほとんど見られなくなった山道という現代っ子にとっての地獄に俺は予想道理脳に甚大な被害をもたらす車酔いを引き起こして吐きそうだった。
「おいガキ、絶対吐くなよ。」
俺の顔色の悪さを見てなお試練を与えてくるグラサンマジぱねえっす。
──えー、扱い酷くないっすか?
そんな心の声を完全に無視してグラサンは心底ガキが嫌いだって顔で身を引きながらこちらを見てフッと笑った。
──この仕事絶対向いてないわー、早く降りたい…
それでも車が止まったということはここが目的地ということになるのだろう。
長時間拘束されていた体はすでに悲鳴をあげていた。
そんな固まった体をゆっくりと伸ばしながら外に出る。
まぶしい日光に目を細めながらもまず最初に見えたのは人の一生分を遥かに越えそうなほど長い歴史がありそうな大木があり、根や枝に苔が生えていて虫も張り付いている。その大木によって養分を吸いとられたのか周りに木はなく小さな広場のようになっている。しかし限界まで枝を伸ばした木々によって俺たちの頭上は葉っぱで覆われている。
それでも粘る太陽が俺の位置にだけもはや意地の領域で直射日光を当ててくる。眩しい
地面は少し傾斜になっていて草と栄養の多そうな柔らかい土。そしてリスや鳥の動物の鳴き声が聞こえてくる。
──山の中なのか。
推測でもなんでもなくただ目の前のことを読み取った。
──最悪だ…
誰もが思ったであろう事を俺の心が代弁してあげた。
実は見間違いだということはあり得ないことでどちらかというと俺の存在の方がが間違っている気がしてくる。
──あーそうか、グラサン道間違えたんだなー…
そんなわけはないのである。俺の周りには同じように何台もの車があり、これが全て道を間違えたのなら俺たちは方向音痴かつ機械音痴のグラサンどものドライブに山まで付き合わされただけになる。これほど無駄なことはあるだろうか?
──むしろその方が良いのか?
いや、どうせこんなところまで連れてこられたのだから何かしなければ気がすまない。
そう思ってもう一度周りを見渡すとようやく他の車からぞろぞろと同年代のやつらが出てきたぐらいだった。俺と同じでここにつれてこられ、まだなにも理解できずに呆然と立ち尽くしている当然ながらこれを理解できるやつなどいるはずもないだろう。
しかし、他人の驚いているアホ面を見るのは悪くないなと思った。
今気づいたけどここから先に車が通れるような道はない。
──え…
この時ほど自分の予想が外れてほしいと思ったことはないだろう。
いつの間にか全ての車が山から降りていってしまっていた。いや一台だけ、俺が乗ってきた車だけ残っている。
──あ、子供嫌いグラサン残ってる?…
今日最大の揺れを最後に車が止まった。
この技術の発達した時代にもはやほとんど見られなくなった山道という現代っ子にとっての地獄に俺は予想道理脳に甚大な被害をもたらす車酔いを引き起こして吐きそうだった。
「おいガキ、絶対吐くなよ。」
俺の顔色の悪さを見てなお試練を与えてくるグラサンマジぱねえっす。
──えー、扱い酷くないっすか?
そんな心の声を完全に無視してグラサンは心底ガキが嫌いだって顔で身を引きながらこちらを見てフッと笑った。
──この仕事絶対向いてないわー、早く降りたい…
それでも車が止まったということはここが目的地ということになるのだろう。
長時間拘束されていた体はすでに悲鳴をあげていた。
そんな固まった体をゆっくりと伸ばしながら外に出る。
まぶしい日光に目を細めながらもまず最初に見えたのは人の一生分を遥かに越えそうなほど長い歴史がありそうな大木があり、根や枝に苔が生えていて虫も張り付いている。その大木によって養分を吸いとられたのか周りに木はなく小さな広場のようになっている。しかし限界まで枝を伸ばした木々によって俺たちの頭上は葉っぱで覆われている。
それでも粘る太陽が俺の位置にだけもはや意地の領域で直射日光を当ててくる。眩しい
地面は少し傾斜になっていて草と栄養の多そうな柔らかい土。そしてリスや鳥の動物の鳴き声が聞こえてくる。
──山の中なのか。
推測でもなんでもなくただ目の前のことを読み取った。
──最悪だ…
誰もが思ったであろう事を俺の心が代弁してあげた。
実は見間違いだということはあり得ないことでどちらかというと俺の存在の方がが間違っている気がしてくる。
──あーそうか、グラサン道間違えたんだなー…
そんなわけはないのである。俺の周りには同じように何台もの車があり、これが全て道を間違えたのなら俺たちは方向音痴かつ機械音痴のグラサンどものドライブに山まで付き合わされただけになる。これほど無駄なことはあるだろうか?
──むしろその方が良いのか?
いや、どうせこんなところまで連れてこられたのだから何かしなければ気がすまない。
そう思ってもう一度周りを見渡すとようやく他の車からぞろぞろと同年代のやつらが出てきたぐらいだった。俺と同じでここにつれてこられ、まだなにも理解できずに呆然と立ち尽くしている当然ながらこれを理解できるやつなどいるはずもないだろう。
しかし、他人の驚いているアホ面を見るのは悪くないなと思った。
今気づいたけどここから先に車が通れるような道はない。
──え…
この時ほど自分の予想が外れてほしいと思ったことはないだろう。
いつの間にか全ての車が山から降りていってしまっていた。いや一台だけ、俺が乗ってきた車だけ残っている。
──あ、子供嫌いグラサン残ってる?…
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから
渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。
朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。
「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」
「いや、理不尽!」
初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。
「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」
※※※
専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり)
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる