戦場の弾丸

憂演

文字の大きさ
4 / 6
第一章

メンバーと赤毛の少女1

しおりを挟む
司令室を出た後、リウは食堂に足を運んだ。
食堂のおばさんは豚の見た目をした人外で、料理の腕・性格を嫌う者はほとんどいないと噂れている。
リウもおばさんの料理には目がなく、このガルーダ帝国に配属されてから三食必ず食べたいと思うくらい好きだった。
「おばさん、今日の朝ごはんって何?」
数十分前の曇った顔つきもいつの間にか晴れ、食べたいという欲に溢れた顔つきになっていた。
「あらリウちゃんじゃない!
今日は手作りの米粉パンとオムレツだよ。」
リウはおばさんの言葉に目を輝かせながら唾を飲み込む。
厨房の奥に進んでいったおばさんの背中を見ながら、リウは今日の予定を思い出していた。
午前はリウの所属する部隊のメンバーで模擬戦闘。午後は個人練習とステータスの更新。
普段とあまり変わらない予定だが、リウにとってはこの予定のままであって欲しかった。
約十年前から停戦状態になっているが、いつ戦争が始まってもおかしくない。
「リウ君ーーー!!」
「ぐえっ」
大きな声で名前を呼ばれたのと同時にリウはもろに突進をくらった。
ぼーっと考え事をしていたリウはあまりにも突然のことに対応することが出来ない。
「レイン、いつも言ってるけどいきなり突進しないで。」
「わかってるって!」
悪戯っぽい笑みをしながらレインはリウの髪をぐしゃぐしゃにした。
その可愛らしい笑顔でリウの怒りの気持ちがどこかに消え去っていた。
いつもこうやって許してしまうのだ。
彼女レイン・ヘルは、ボブヘアーにアホ毛が特徴の珍しい赤毛だ。
リウが知っている情報ではレインはリウと同じただの人だ。
しかし、不思議とレインの明るい性格のおかげで苦しい時もリウはいつも笑顔でいられるのだ。
「今から朝食食べるんだったら丁度良かった。 模擬戦闘のことも相談したいし、一緒に食べよう!」
「別にいいよ。」
約束をしてすぐに朝食が乗ったプレートをおばさんから貰うと、レインに席を案内して貰う。
リウの一日が始まるのだ。
席までたどり着くとリウのメンバーの一人がもうすでに座って待っていた。
「レイン遅いし…。しかもリウいるじゃん。 
どーも、おはようございます。」
けだるそうに挨拶する彼女を見て、リウは苦笑いした。
「エフィなんか俺に対して冷たくない?」
「なわけ、自意識過剰なんじゃない。
普通だよ普通。」
そんな彼女も可愛らしい笑顔でリウの質問に答えた。
エフィ・ユーチスは人ではない。
三種族の中では人外に含まれるがエフィは精霊である。
レインとは真逆に、冷たい性格だが模擬戦闘などの訓練でも冷静な判断が出来るのでリウには必要な存在でもあった。
よく目立つ十字架のヘアピンに少しボサボサのサイドテールの彼女は、レインと同じ赤毛だった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

乙女ゲームはエンディングを迎えました。

章槻雅希
ファンタジー
卒業パーティでのジョフロワ王子の婚約破棄宣言を以って、乙女ゲームはエンディングを迎えた。 これからは王子の妻となって幸せに贅沢をして暮らすだけだと笑ったゲームヒロインのエヴリーヌ。 だが、宣言後、ゲームが終了するとなにやら可笑しい。エヴリーヌの予想とは違う展開が起こっている。 一体何がどうなっているのか、呆然とするエヴリーヌにジョフロワから衝撃的な言葉が告げられる。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様・自サイトに重複投稿。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

処理中です...